- カテゴリ:相続税・贈与税
- 根拠:評基通189
- 入力4項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
非上場株式を相続税で評価するとき、会社の中身によっては通常より高くなりやすい評価方法が使われることがあります。それが特定会社です。総資産のうち株式や土地がどれくらいの割合を占めているかで判定され、該当すると会社の規模にかかわらず純資産価額方式での評価が原則になります。まずはこの判定から確認するのが実務の順番です。
この計算式を3行でいうと
- 総資産(相続税評価)に占める株式等の割合が50%以上だと、株式保有特定会社に該当し純資産価額方式が原則になります。
- 土地等の割合は大会社なら70%以上、中会社なら90%以上で土地保有特定会社に該当。小会社は規模により70%か90%です。
- 特定会社に該当すると、株価を抑えやすい類似業種比準価額方式が使えなくなり、評価額が高く出やすくなります。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
特定会社の判定(株特・土地特)
評基通189★結果コピーリンク総資産(相続税評価ベース)に占める株式等・土地等の割合が一定以上だと「株式保有特定会社」「土地保有特定会社」となり、原則として純資産価額で評価します。
| 株式等の保有割合 | 60%(基準50%) |
| 土地等の保有割合 | 20%(基準90%) |
| 株特判定 | 該当→純資産価額(又はS1+S2方式) |
| 土地特判定 | 非該当 |
こんなときに使います
- 自社株式の相続税評価をする前に、会社が「特定会社」に当たらないか確認したいとき
- 不動産賃貸業や持株会社など、土地や株式の割合が多い会社を評価するとき
- 相続対策として資産の入れ替えを検討していて、評価方法が変わらないか知りたいとき
- 税理士から「株特(かぶとく)」「土地特」と言われて、意味を確認したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 総資産(相続税評価) | 会社が持つ資産を、決算書の帳簿価額ではなく相続税の評価ルールで評価し直した合計額です。帳簿上は小さくても、含み益のある資産があると相続税評価額はふくらみます。 | 直前期末時点の資産を財産評価基本通達にもとづいて評価し直した金額です。会社の株価評価を税理士に依頼すると、この金額が算出されます。 |
| うち株式等 | 総資産のうち、他社の株式や出資、投資信託の受益証券などが占める金額です。子会社株式や取引先との持ち合い株式も含みます。 | 保有する有価証券を、上場株式・非上場株式など種類ごとの評価方法で評価し直した金額の合計です。 |
| うち土地等 | 総資産のうち、土地や借地権、農地、山林などが占める金額です。土地の上に建っている建物そのものは含みません。 | 保有する土地・借地権を路線価方式や倍率方式で評価した金額の合計です。 |
| 会社規模(0大/1中/2小) | 評価しようとする会社が大会社・中会社・小会社のどれに区分されるかです。規模が大きいほど、株価が抑えやすい類似業種比準価額方式の比重が高くなります。 | 従業員数・直前期末の総資産価額・直前期の取引金額をもとに、業種ごとの基準表(財産評価基本通達178)にあてはめて判定します。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 株式保有割合を計算する:うち株式等の金額を、総資産(相続税評価)で割ります。この割合が50%以上であれば、会社の規模を問わず株式保有特定会社に該当します。
- 土地保有割合を計算する:うち土地等の金額を、総資産(相続税評価)で割ります。大会社は70%以上、中会社は90%以上で土地保有特定会社に該当します。小会社はさらに総資産の規模によって70%か90%かが分かれます。
- いずれかに該当するか確認する:株式保有特定会社・土地保有特定会社のどちらか一方にでも該当すれば、原則としてその株式は純資産価額方式で評価します。
- 該当しなければ通常の区分に進む:どちらにも該当しない場合は、会社規模に応じた通常の評価方式(類似業種比準価額方式・純資産価額方式・併用方式)で評価を進めます。
特定会社の判定は、株価そのものの計算に入る前の入口の判定です。ここで該当・非該当が決まることで、その後にどの計算式を使うかがまったく変わってくるため、非上場株式の評価では最初に確認する項目とされています。
具体例で確かめる
例1 持株会社的な会社(大会社)のケース
総資産4億円のうち、株式等が2億4,000万円 株式保有割合 = 240,000,000円 ÷ 400,000,000円 = 60%
50%以上のため株式保有特定会社に該当。原則として純資産価額方式で評価するため、含み益の大きい株式を持っているとその分だけ評価額が高くなりやすい
例2 不動産賃貸業(中会社)で基準に届かないケース
総資産6億円のうち、土地等が5億円 土地保有割合 = 500,000,000円 ÷ 600,000,000円 = 約83.3%
中会社の基準は90%以上のため、この時点では土地保有特定会社には該当しない(同じ割合でも大会社なら70%基準を超えて該当する)。会社規模の判定そのものを間違えると結論が逆転するので注意
例3 小会社で基準の確認が必要になるケース
総資産2億円のうち、土地等が1億7,000万円 土地保有割合 = 170,000,000円 ÷ 200,000,000円 = 85%
小会社の基準は総資産の規模により70%か90%かが変わるため、どちらの基準になるかを個別に確認する必要がある。自己判断で決めつけず、専門家に確認したほうがよい場面の代表例
会社規模別の判定基準 早見表
株式保有特定会社の基準は会社規模を問わず一律ですが、土地保有特定会社の基準は会社規模によって変わります。あわせて確認しておくと判定ミスを防げます。
| 会社規模 | 株式保有特定会社の基準 | 土地保有特定会社の基準 |
|---|---|---|
| 大会社 | 50%以上 | 70%以上 |
| 中会社 | 50%以上 | 90%以上 |
| 小会社 | 50%以上 | 70%または90%(総資産の規模により判定) |
ここを間違えやすい
1|「総資産」は決算書の帳簿価額ではありません
判定に使う総資産は、相続税の評価ルールで評価し直した金額です。含み益のある土地や有価証券を持っていると、帳簿価額より相続税評価額のほうが大きくなり、割合が変わることがあります。逆に含み損があると割合が小さく出ることもあります。
2|該当すると、有利な評価方式が使えなくなります
通常なら使える類似業種比準価額方式(上場している同業種の株価をもとに、会社の利益や配当の水準で評価額を抑えられる方式)が使えなくなり、純資産価額方式だけになるため、株価が高く算定されやすくなります。
3|小会社の土地保有特定会社は基準が2通りあります
総資産の規模によって70%基準か90%基準かが変わるため、「小会社だから一律70%」と決めつけると誤ることがあります。会社規模の判定表とあわせて個別に確認が必要です。
4|割合以外の基準で特定評価会社になることもあります
開業後3年未満の会社や、比準要素数1の会社、休業中・清算中の会社なども、株式等・土地等の割合にかかわらず特定評価会社となる場合があります。この計算機では割合による判定のみを扱っているため、あわせての確認が必要です。
よくある質問
- 特定会社に該当すると、必ず純資産価額方式になりますか。
- 原則としてそうなります。ただし比準要素数1の会社に限り、純資産価額方式と類似業種比準価額方式を一定割合で併用できる例外があります。該当するかどうかは個別の判定が必要です。
- 株式保有特定会社と土地保有特定会社の両方に該当したらどうなりますか。
- どちらか一方に該当するだけで純資産価額方式が原則になるため、両方に該当しても評価方法そのものは変わりません。
- 持株会社(ホールディングス)は必ず該当しますか。
- 総資産に占める株式等の割合が50%以上であれば該当します。事業会社の株式を多く保有する持株会社は該当しやすい傾向がありますが、実際の割合を計算して確認する必要があります。事業内容によっては該当しないケースもあります。
- 総資産の相続税評価額はどうやって出すのですか。
- 保有する不動産は路線価や固定資産税評価額をもとに、有価証券は種類ごとの評価方法にもとづいて、それぞれ課税時期時点の金額に評価し直します。決算書の数字をそのまま使うことはできません。会社全体の資産を洗い出す作業が必要になるため、時間に余裕をもって準備することをおすすめします。資産構成の見直しで割合が変わる場合もありますが、直前の入れ替えは税務上のリスクがあるため、実行前に必ず専門家に相談してください。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 財産評価基本通達189(特定の評価会社の株式)、189-3(株式等保有特定会社の株式の評価)
- 財産評価基本通達189-4(土地保有特定会社の株式又は開業後3年未満の会社等の株式の評価)
- 財産評価基本通達178(取引相場のない株式の評価上の区分)
- 財産評価基本通達185(純資産価額)
- 国税庁タックスアンサー No.4638「取引相場のない株式の評価」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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