- カテゴリ:所得税
- 根拠:所法92
- 入力2項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
上場株式などの配当金を受け取ったとき、確定申告で総合課税を選ぶと、配当控除という税額控除が使えます。源泉徴収だけで済ませる申告不要制度や、申告分離課税を選んだ場合には使えない、総合課税だけの特典です。この記事では、配当控除の金額がどう決まるのかを具体例つきでやさしく解説します。
この計算式を3行でいうと
- 配当控除は、課税総所得金額1,000万円以下の部分に対応する配当所得は10%、超える部分は5%です。
- 配当控除が使えるのは、確定申告で総合課税を選んだ場合だけという点に注意が必要です。
- 証券投資信託の分配金は控除率が異なり、株式と同じ計算式をそのまま使うことはできません。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
配当控除
所法92★結果コピーリンク総合課税を選んだ配当所得に対する税額控除。課税総所得1,000万円以下の部分は10%、超の部分は5%です。
| 1,000万以下対応(10%) | ¥100,000 |
| 1,000万超対応(5%) | ¥0 |
| 配当控除 | ¥100,000 |
こんなときに使います
- 上場株式の配当金を確定申告するとき、総合課税と申告分離課税のどちらが得か比較したいとき
- 非上場株式の配当を受け取り、総合課税で確定申告する必要があるとき
- 配当所得を含めて総合課税を選んだ場合の、実際の控除額を確認したいとき
- 課税総所得金額が1,000万円前後で、控除率がどちらに分かれるかを確認したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 配当所得 | 受け取った配当金から、株式を取得するための借入金の利子などを差し引いた金額です。 | 証券会社が発行する「特定口座年間取引報告書」や配当金の支払通知書で確認します。 |
| 課税総所得金額 | すべての所得を合算し、所得控除を差し引いたあとの金額です。ここに税率を掛けて所得税額を計算する、いちばんもとになる金額です。 | 確定申告書第一表の「課税される所得金額」欄で確認します。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 課税総所得金額を1,000万円で区切る:配当所得を含めた課税総所得金額のうち、1,000万円以下の部分と、1,000万円を超える部分に分けます。
- 配当所得がどちらの部分に対応するかを確認する:配当所得は所得の中でいちばん後ろに乗るものとして扱われるため、課税総所得金額が1,000万円を超えている場合は、超えている部分から優先的に配当所得が対応します。
- 控除率を掛けて合計する:1,000万円以下の部分に対応する配当所得には10%、1,000万円を超える部分に対応する配当所得には5%を掛けて、合計したものが配当控除額です。
具体例で確かめる
例1 配当所得100万円を含む、課税総所得800万円のケース
課税総所得800万円は1,000万円以下なので、配当所得100万円は全額が10%の対象 配当控除額 = 1,000,000円 × 10%
配当控除額は10万円。この金額がそのまま所得税額から差し引かれる
例2 配当所得100万円を含む、課税総所得1,200万円のケース
配当所得を除いた部分だけで1,100万円あり、すでに1,000万円を超えている 配当所得100万円は全額が1,000万円超の部分に対応するため、5%の対象
配当控除額 = 1,000,000円 × 5% = 5万円。同じ配当所得でも控除額が半分になる
例3 配当所得150万円を含む、課税総所得950万円のケース(1,000万円をまたぐ)
配当所得を除いた部分は800万円、1,000万円までの残り枠は200万円 配当所得150万円は残り枠200万円におさまるため、全額が10%の対象
配当控除額 = 1,500,000円 × 10% = 15万円
ここを間違えやすい
1|申告分離課税や申告不要制度を選ぶと配当控除は使えません
配当控除は総合課税を選んだ場合だけの特典です。上場株式等の譲渡損失と配当を損益通算したい場合などに申告分離課税を選ぶと、税率が有利になる一方で配当控除は使えなくなります。どちらが得かは所得水準によって変わります。
2|証券投資信託の分配金は控除率が異なります
株式の配当は10%・5%ですが、公社債投資信託を除く証券投資信託の分配金は、外貨建資産や株式以外への投資割合に応じて控除率が5%・2.5%などに引き下げられる場合があります。銘柄ごとに確認が必要です。
3|総合課税を選ぶと、所得税は安くなっても住民税や社会保険料に影響することがあります
総合課税を選んで配当所得を合算すると、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の算定基準になる所得が増え、保険料が上がることがあります。配当控除だけでなく、こうした影響もあわせて検討してください。
4|配当控除の対象にならない配当もあります
外国法人からの配当、REIT(不動産投資信託)の分配金、NISA口座内の配当など、そもそも配当控除の対象にならないものがあります。国内株式の配当だからといって、すべてが対象になるわけではありません。
よくある質問
- NISA口座で受け取った配当は配当控除の対象になりますか。
- なりません。NISA口座内の配当はそもそも非課税であり、確定申告の対象外です。配当控除は、課税対象の配当について総合課税を選んだ場合にだけ適用されます。
- 総合課税と申告分離課税、どちらを選べばよいですか。
- 課税総所得金額が低いほど総合課税が有利になりやすく、高いほど申告分離課税(税率一律)が有利になりやすい傾向があります。株式の譲渡損失がある場合は損益通算のために申告分離課税が必要になることもあるため、両方で試算して比べることをおすすめします。
- REIT(不動産投資信託)の分配金にも配当控除はありますか。
- ありません。REITの分配金は、法人税が実質的に課されていない仕組みのため、配当控除の対象外とされています。
- 配当控除だけで所得税額よりマイナスになったらどうなりますか。
- 配当控除は所得税額から差し引く税額控除ですが、控除しきれない金額が還付されるわけではありません。控除は所得税額を上限として計算されます。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 所得税法第92条(配当控除)
- 国税庁タックスアンサー No.1250「配当所得があるとき(配当控除)」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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