- カテゴリ:所得税
- 根拠:所法89
- 入力1項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
所得税は、所得が多くなるほど税率が上がる「超過累進課税」という仕組みです。本来は所得を段階ごとに区切って別々の税率をかけて合計しますが、実務では同じ結果を1回の掛け算と引き算で出せる速算表を使います。ここでは課税所得金額から所得税額を求める計算方法を確認します。
この計算式を3行でいうと
- 所得税額は「課税所得金額×税率-控除額」で求めます。税率と控除額は課税所得の金額帯によって7段階に分かれています。
- 税率は5%から45%までの7段階。所得が多い金額帯ほど税率が上がりますが、控除額を引くことで計算のつじつまを合わせています。
- 求めた税額に、さらに復興特別所得税として2.1%を上乗せしたものが、実際に納める所得税の金額です。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
所得税額(速算表)
所法89★結果コピーリンク課税所得金額に超過累進税率(速算表)を適用し、復興特別所得税2.1%を加算します。
| 所得税(速算表) | ¥572,500 |
| 復興特別所得税(2.1%) | ¥12,023 |
| 合計 | ¥584,523 |
こんなときに使います
- 確定申告書を作成していて、課税所得金額から実際の所得税額を計算したいとき
- 給与以外の所得が増えそうで、税率が1段階上がるかどうかのボーダーラインを確かめたいとき
- ふるさと納税や医療費控除などで課税所得が下がったとき、税額がどれだけ変わるか試算したいとき
- 副業や退職などで所得が変動する年に、あらかじめ納税額の見当をつけておきたいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 課税所得金額 | 総所得金額などから所得控除(基礎控除・社会保険料控除・扶養控除など)を差し引いたあとの金額です。ここに直接税率を掛けます。 | 確定申告書第一表の「課税される所得金額」欄、または源泉徴収票の情報から所得控除を差し引いて求めます。 |
所得税の速算表
| 課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 課税所得金額がどの段階に入るか確認する:速算表の7段階のうち、自分の課税所得金額がどの範囲に入るかを確認します。
- 税率を掛けて控除額を引く:その段階の税率を課税所得金額全体に掛け、同じ段階の控除額を引きます。段階ごとに分けて計算すべき税額と、これだけで同じ結果になります。
- 復興特別所得税を上乗せする:2で求めた所得税額に2.1%を掛けた金額を足します。これが実際に納める所得税の合計額です。
具体例で確かめる
例1 課税所得金額500万円のケース
330万円超695万円以下の段階なので、税率20%・控除額427,500円 所得税 = 5,000,000円 × 20% - 427,500円 = 572,500円 復興特別所得税 = 572,500円 × 2.1%
所得税と復興特別所得税をあわせて約584,500円
例2 課税所得金額190万円のケース(最低段階)
195万円以下の段階なので、税率5%・控除額0円 所得税 = 1,900,000円 × 5% - 0円 = 95,000円
所得税95,000円(復興特別所得税を加えると約96,995円)
例3 医療費控除で課税所得が10万円下がった場合の差
課税所得500万円のとき = 572,500円 課税所得490万円のとき = 4,900,000円 × 20% - 427,500円 = 552,500円 差額 = 572,500円 - 552,500円
控除が10万円増えると、所得税が20,000円軽くなる(税率20%の段階にいるため)
ここを間違えやすい
1|税率が上がっても、所得全体に高い税率がかかるわけではありません
「課税所得が900万円を超えたら全部33%」と誤解されがちですが、実際は段階ごとに税率が変わり、控除額を引くことで低い部分の負担が急に増えないようにする仕組みです。速算表はこれをまとめて1回の計算で処理できるようにしたものです。
2|課税所得金額は「収入」ではありません
速算表を掛けるのは、収入から所得控除まで引き終えたあとの課税所得金額です。年収や所得金額の合計にそのまま税率を掛けてしまう間違いが多いので注意してください。
3|配当控除・住宅ローン控除は速算表のあとに引きます
速算表で求めた税額は、あくまで所得税額の途中経過です。配当控除や住宅ローン控除など税額から直接差し引く控除がある場合は、この税額からさらに差し引いた金額が最終的な所得税額になります。
4|復興特別所得税を忘れないでください
復興特別所得税は所得税額の2.1%で、令和19年(2037年)分まで課税が続きます。源泉徴収票や納税額の通知でも所得税とあわせて表示されることが多く、見落としやすい項目です。
よくある質問
- 課税所得金額に端数がある場合はどうしますか。
- 課税所得金額は1,000円未満を切り捨てて計算します。速算表に当てはめる前に端数処理を済ませてください。
- 住民税もこの速算表で計算できますか。
- できません。住民税(所得割)は所得税と別に、原則として一律10%の税率で計算します。速算表は所得税専用です。
- 分離課税の所得(株式の譲渡益など)にもこの速算表を使いますか。
- 使いません。上場株式等の譲渡所得や退職所得の一部などは、総合課税とは別の税率で計算する分離課税の対象です。この速算表が対象にしているのは総合課税の所得です。
- 税率の段階が変わる境目ちょうどの金額のときはどうなりますか。
- 「〜以下」の側の段階が適用されます。たとえば課税所得金額がちょうど195万円なら、195万円超の段階ではなく195万円以下の段階(税率5%)で計算します。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 所得税法第89条(税率)
- 国税庁タックスアンサー No.2260「所得税の税率」
- 東日本大震災からの復興に関する財源確保法(復興特別所得税)
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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