平均課税(変動所得・臨時所得)の計算方法|自動計算ツール

  • カテゴリ:所得税
  • 根拠:所法90
  • 入力2項目・その場で自動計算
  • 令和8年度の数値に対応

作家の印税や漫画家の原稿料のように、年によって大きく変動する所得を変動所得といいます。ある年だけ所得が跳ね上がると、通常の累進課税ではその年だけ高い税率がかかってしまいます。平均課税は、この不公平を和らげるための特別な計算方法です。

この計算式を3行でいうと

  1. 変動所得と臨時所得の合計が総所得の20%以上ある場合に、平均課税(五分五乗に似た方式)を選べます。
  2. 課税総所得金額から平均課税対象金額の5分の4を除いた「調整所得」に対する税額をもとに、平均税率を求めます。
  3. 平均税率を平均課税対象金額の5分の4に掛けた「特別所得税額」を、調整所得に対する税額に足したものが最終的な税額です。

まずは計算してみる(自動計算ツール)

平均課税(変動所得・臨時所得)

所法90結果コピーリンク

印税・原稿料などの変動所得や臨時所得が総所得の20%以上ある場合、五分五乗に似た平均課税で累進を緩和できます。

調整所得=課税総所得−平均課税対象×4/5 → 税額T 平均税率=T÷調整所得 → 特別所得税額=対象×4/5×平均税率
平均課税の税額 ¥3,067,084
課税総所得金額¥20,000,000
平均課税対象金額×4/5(特別所得金額)¥12,000,000
調整所得金額¥8,000,000
調整所得金額の税額¥1,204,000
平均税率(小数2位未満切捨)15%
特別所得金額の税額¥1,800,000
合計(復興特別所得税込)¥3,067,084
通常計算(復興込)との差¥2,246,200
変動所得+臨時所得≧総所得の20%が要件。平均税率は小数2位未満切捨。
目次

こんなときに使います

  • 印税や原稿料、講演料など、年によって収入が大きく変動する仕事をしているとき
  • 特別な年だけ臨時収入があり、その年だけ税率が跳ね上がってしまいそうなとき
  • 変動所得や臨時所得が所得全体の中でどれくらいの割合か確認したいとき
  • 通常の累進課税で計算した場合と、平均課税を使った場合の税額を比べたいとき

入力する項目のかんたん解説

入力する項目どんな数字かどこを見ればよいか
課税総所得金額各種控除を差し引いたあとの、税率を掛ける直前の所得金額です。確定申告書の「課税される所得金額」欄で確認します。
平均課税対象金額(変動所得+臨時所得)その年の臨時所得と、その年の変動所得のうち前年・前々年の変動所得の合計額の2分の1(前2年の平均)を超える部分を合計した金額です。前2年に変動所得がなければ、その年の変動所得と臨時所得の合計になります。原稿料・印税や、特別な臨時収入などが該当します。確定申告書に記載する変動所得・臨時所得の内訳で確認します。

計算のしくみ(4ステップ)

  1. 調整所得を計算する:課税総所得金額から、平均課税対象金額の5分の4を差し引きます(課税総所得金額が平均課税対象金額以下のときは、課税総所得金額の5分の1が調整所得です)。
  2. 調整所得に対する税額と平均税率を求める:調整所得に通常の累進税率を当てはめて税額を計算し、その税額を調整所得で割って平均税率を出します(割合の小数点以下2位未満は切り捨て。例:0.1505→0.15)。
  3. 特別所得税額を計算する:平均課税対象金額の5分の4に、平均税率を掛けます。
  4. 合計して所得税額を出す:調整所得に対する税額と、特別所得税額を合計したものが所得税額(基準所得税額)で、これに2.1%の復興特別所得税が加わります。

具体例で確かめる

例1 印税収入が多く、課税総所得金額2,000万円のうち1,500万円が平均課税対象金額のケース(この計算機の初期値)

調整所得 = 20,000,000円 - 15,000,000円 × 4/5 = 8,000,000円 調整所得に対する税額T = 8,000,000円 × 23% - 636,000円 = 1,204,000円 平均税率 = 1,204,000円 ÷ 8,000,000円 = 0.1505 → 小数点以下2位未満を切り捨てて0.15(15%) 特別所得税額 = 15,000,000円 × 4/5 × 15% = 1,800,000円

所得税額 = 1,204,000円 + 1,800,000円 = 3,004,000円(復興特別所得税〔1円未満切捨て〕を加えると3,067,084円。参考:平均課税を使わず通常の累進課税だけで計算すると5,204,000円になるため、約220万円軽くなる)

例2 臨時収入はあったが、総所得の20%に届かなかったケース

変動所得・臨時所得の合計が、その年の総所得金額の20%未満だった

平均課税の要件を満たさないため、通常の累進課税だけで計算する

例3 規模の小さい変動所得のケース(課税総所得金額600万円のうち360万円が変動所得)

調整所得 = 6,000,000円 - 3,600,000円 × 4/5 = 3,120,000円 調整所得に対する税額T = 3,120,000円 × 10% - 97,500円 = 214,500円 平均税率 = 214,500円 ÷ 3,120,000円 = 0.06875 → 小数点以下2位未満を切り捨てて0.06(6%) 特別所得税額 = 3,600,000円 × 4/5 × 6% = 172,800円

所得税額 = 214,500円 + 172,800円 = 387,300円(通常の累進課税なら772,500円)

平均課税を使う場合と使わない場合の比較

通常の累進課税のみ平均課税を適用
課税総所得金額2,000万円(うち変動所得等1,500万円)の所得税額5,204,000円3,004,000円

変動所得や臨時所得の割合が大きいほど、平均課税による軽減効果は大きくなる傾向があります。

ここを間違えやすい

1|総所得の20%以上という要件を忘れやすい

変動所得と臨時所得の合計が、その年の総所得金額の20%に達していなければ、平均課税を使うこと自体ができません。また、前年・前々年にも変動所得がある場合は、その年の変動所得が前2年の平均を超えていることも必要です。まず要件を満たしているかどうかを確認してください。

2|対象になる所得の種類は限られています

変動所得は原稿料・印税・漁獲による所得など年による変動が大きい特定の所得、臨時所得も契約金や権利の使用料のような特定のものに限られます。すべての臨時収入が対象になるわけではありません。

3|平均課税は義務ではなく選択制です

要件を満たしていても、平均課税を使うかどうかは選べます。通常の累進課税で計算した税額と比べて、平均課税のほうが有利な場合に選択して申告してください。

4|平均税率の端数は切り捨てで計算します

税額を調整所得で割って平均税率を出すとき、その割合(小数)の小数点以下2位未満の端数は切り捨てます(例:0.1505→0.15、0.06875→0.06)。パーセント表示の小数第2位(15.05%)まで残したり四捨五入したりすると税額がずれるため注意してください。

よくある質問

変動所得や臨時所得にはどんなものがありますか。
変動所得は原稿料や印税、作曲料、養殖業による所得などが代表例です。臨時所得は契約金や、権利の使用料を一時に受け取る場合などが該当します。個別の所得がこれにあたるかどうかは判断が必要な場合があるため、税理士への確認をおすすめします。
平均課税を使うと必ず税金が安くなりますか。
必ずではありません。変動所得・臨時所得の割合や金額によっては、通常の累進課税で計算したほうが有利な場合もあります。両方を計算して比べることをおすすめします。
確定申告のとき、特別な書類が必要ですか。
「変動所得・臨時所得の平均課税の計算書」を確定申告書に添付する必要があります。詳しい書き方は国税庁の確定申告書の手引きを確認してください。
会社員でも使える制度ですか。
給与所得者であっても、副業の原稿料などで変動所得・臨時所得の要件を満たせば使える場合があります。ただし年末調整では適用されないため、確定申告が必要です。

根拠となる法令・出典

本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。

  • 所得税法第90条(変動所得及び臨時所得の平均課税)
  • 所得税法施行令第7条(変動所得の範囲)・第8条(臨時所得の範囲)
  • 国税庁「確定申告書等作成コーナー」変動所得・臨時所得の平均課税の解説

税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。

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