- カテゴリ:有利判定・比較
- 根拠:所法30・35
- 入力5項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
退職金やiDeCoの資産は、まとめて一時金として受け取ることも、年金のように何年かに分けて受け取ることもできます。一時金は退職所得として2分の1課税などの優遇があり、年金は公的年金等の雑所得として毎年の収入に組み込まれます。この計算機は、どちらの受け取り方が税負担の面で有利かをおおまかに比べるものです。
この計算式を3行でいうと
- 一時金で受け取ると退職所得となり、控除を引いた残りをさらに2分の1にしてから税率をかけるため、税負担が軽くなりやすい仕組みです。
- 年金で受け取ると公的年金等の雑所得となり、毎年の受取額から公的年金等控除を引いた金額に、その年の税率で毎年税金がかかります。
- 公的年金等控除は65歳以上のほうが優遇されており、ほかの公的年金と重なると控除枠を分け合うため受け取り時期の設計が重要です。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
退職金・iDeCoの一時金 vs 年金受取
所法30・35★結果コピーリンク退職金やiDeCoを一時金で受け取る場合(退職所得)と、年金形式で受け取る場合(公的年金等の雑所得)の税負担を比較します。
| 一時金の税負担 | ¥405,702 |
| 年金: 毎年の雑所得 | ¥900,000 |
| 年金の税負担累計 | ¥1,818,900 |
| ★有利判定 | 一時金受取 |
| 負担差 | ¥1,413,198 |
こんなときに使います
- 退職金やiDeCoの受け取り方を「一時金」「年金」のどちらにするか選ぶ前に、税負担のめやすを知りたいとき
- 企業型・個人型を問わずiDeCoの受給開始が近づき、受け取り方法を決める必要があるとき
- 公的年金の受給開始時期とiDeCoの受取時期が重ならないよう、スケジュールを検討したいとき
- 一時金と年金を組み合わせて受け取る「併用」も含めて、おおまかな税負担を比較したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 原資 | 一時金または年金のもとになる、退職金やiDeCoの資産の合計額です。運用中であれば、受け取る時点の見込額で考えます。 | 会社からの退職金支給見込額の通知、iDeCoの運営管理機関から届く残高通知・見込額のお知らせ。 |
| 勤続(加入)年数 | 退職所得控除の金額を決める年数です。会社の退職金なら勤続年数、iDeCoなら掛金の加入年数を使います。 | 入社日または加入日から受取時点までの年数。1年未満の端数は切り上げます。 |
| 年金の受取年数 | 年金として受け取る場合に、何年間に分けて受け取るかです。5年・10年・20年など、制度ごとに選べる期間から選びます。 | iDeCoの運営管理機関、企業年金制度の受け取り方法の案内資料。 |
| 受け取り開始時の年齢(65歳以上かどうか) | 年金の受け取りを始める年に65歳以上かどうかです。公的年金等控除の額は65歳以上のほうが優遇されています。65歳以上なら1、65歳未満なら0を入力します。 | 受け取りを開始する予定の年齢。 |
| 年金受取時の限界税率(他の所得考慮) | 年金を受け取る年に、ほかの所得(公的年金・給与など)とあわせて実際にかかる所得税の税率です。 | 受け取り年に見込まれる年収を所得税の速算表にあてはめて確認します。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 一時金で受け取った場合を計算する:原資から、加入年数にもとづく退職所得控除額を引き、残りをさらに2分の1にします。この金額に税率をかけたものが、一時金で受け取ったときの税負担です。
- 年金で受け取った場合を計算する:原資を受取年数で割った金額が毎年の受取額です。そこから公的年金等控除(年齢や他の年金収入によって変わります)を引いた残りが雑所得となり、これに毎年の限界税率をかけ、さらに受取年数ぶん合計します。
- 合計の税負担を比べる:一時金は受け取る年に一度だけ税金がかかるのに対し、年金は受取年数のあいだ毎年税金がかかります。両方の合計額を比べて、どちらが有利かを確認します。
具体例で確かめる
例1 原資2,000万円、加入30年を一時金で受け取るケース
退職所得控除 = 800万円 + 70万円 ×(30年-20年) = 1,500万円 退職所得 = (2,000万円-1,500万円)× 1/2 = 250万円
課税対象は250万円まで圧縮される。税率をかけても税負担は小さい
例2 同じ原資2,000万円を10年間の年金で受け取るケース
毎年の受取額 = 2,000万円 ÷ 10年 = 200万円 そこから公的年金等控除(65歳以上で優遇あり)を引いた金額が毎年の雑所得となり、限界税率10%を10年間かけ続ける
毎年の課税は小さくても、10年間積み重なる点が一時金との大きな違い
例3 65歳未満で年金受取を始めるケース
受け取り開始時の年齢を65歳未満にすると、公的年金等控除は65歳以上より低い金額で計算される
同じ受取額でも、65歳未満で受け取り始めるほうが雑所得は大きくなりやすい
一時金と年金のおもな違い
| 区分 | 一時金で受け取る | 年金で受け取る |
|---|---|---|
| 所得の種類 | 退職所得(分離課税) | 公的年金等の雑所得(総合課税) |
| 控除のしくみ | 退職所得控除を引いた残りをさらに2分の1にできる | 毎年の受取額から公的年金等控除を引く |
| 課税のタイミング | 受け取る年に一度だけ | 受取年数のあいだ毎年 |
| 国保・介護保険料への影響 | 受け取る年だけ影響しうる | 受け取っている間、毎年の算定所得に影響しうる |
ここを間違えやすい
1|公的年金等控除は「他の年金」と枠を分け合います
iDeCoの年金と、老齢厚生年金・老齢基礎年金などの公的年金を同じ年に受け取る場合、公的年金等控除は年金収入の合計額に対して計算されます。それぞれ別々に控除が使えるわけではないため、公的年金の受給開始時期とiDeCoの受取時期をずらすかどうかも検討材料になります。
2|年金で受け取ると国民健康保険料などの負担が増えることがあります
年金として受け取った雑所得は、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料、介護保険料の算定にも影響することがあります。一時金であれば受け取った年だけの影響ですが、年金は受け取っている期間ずっと影響します。この計算機の税負担には含まれていないため、あわせて確認が必要です。
3|一時金でも「ほかの退職金」と控除枠を分け合う場合があります
同じ年に会社の退職金とiDeCoの一時金を両方受け取る場合や、過去に受け取った退職金がある場合は、退職所得控除の計算が調整されることがあります。受け取る順番や時期によって有利・不利が変わります。
4|一時金と年金を組み合わせる「併用」もできる場合があります
制度によっては、資産の一部を一時金で、残りを年金で受け取る併用が選べることがあります。全額を一方に寄せるより、税負担や社会保険料の算定所得を分散できる場合があるため、加入している制度で併用ができるかどうかをあらかじめ確認してみてください。
よくある質問
- iDeCoと会社の退職金、どちらを先に受け取るべきですか。
- 退職所得控除は、受け取る順番や間隔によって使える金額が変わります。一般的には、先に受け取ったほうを基準にあとから受け取るほうの控除額が調整される仕組みがあるため、受け取る順序や時期はあらかじめ試算しておくことをおすすめします。会社の退職金の支給時期を動かせない場合は、iDeCo側の受給開始時期を調整して重なりを避ける方法もあります。
- 年金の受取年数はあとから変更できますか。
- 制度や運営管理機関によって異なります。iDeCoの場合、受取方法や受取期間の選択肢は加入している金融機関の商品によって決まっているため、事前に確認してください。
- 一時金と年金、結局どちらが得ですか。
- 原資の金額や加入年数、ほかの所得の状況によって結論は変わります。一般的には、退職所得控除の範囲内におさまる金額であれば一時金が有利になりやすく、控除を大きく超える金額では年金と組み合わせたほうが有利になる場合があります。会社の退職金の有無によっても結果は変わるため、あわせて試算のうえで判断してください。
- 65歳未満でも年金として受け取れますか。
- iDeCoは原則60歳以降に受け取りを開始できますが、公的年金等控除は65歳未満のほうが控除額が小さくなる傾向があります。受給開始年齢によって毎年の雑所得が変わるため、受給開始年齢も試算に含めて検討することをおすすめします。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 所得税法第30条(退職所得)、第35条(雑所得)
- 国税庁タックスアンサー No.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」/No.1600「公的年金等の課税関係」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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