- カテゴリ:有利判定・比較
- 根拠:法令133・133の2・措法67の5
- 入力3項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
パソコンや工具など、比較的安い資産を買ったとき、税金の計算上どう処理するかにはいくつかの選択肢があります。取得価額が10万円未満なら全額をその年の経費にでき、30万円未満でも中小企業なら特例で全額を経費にできる場合があります。この計算機は、取得価額に応じて選べる処理方法ごとの節税額と、あわせてかかる償却資産税の有無を比較するものです。
この計算式を3行でいうと
- 取得価額が10万円未満の資産は、消耗品費として全額をその場で経費にでき、翌年以降の償却資産税もかかりません。
- 10万円以上20万円未満は、3年で均等に経費にする一括償却資産と、中小企業だけが使える30万円未満の特例のどちらかを選べます。
- 30万円未満の特例は初年度に全額を経費にできますが、償却資産税の対象になり、年間300万円までという上限があります。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
少額資産の処理3択比較(消耗品・一括・30万特例)
法令133・133の2・措法67の5★結果コピーリンク取得価額に応じて選べる処理(消耗品費・3年一括償却・30万円特例・通常償却)の初年度損金と償却資産税の有無を比較します。
| ①3年一括償却(初年度1/3) | ¥60,000/償却資産税なし |
| ②30万特例(即時全額) | ¥180,000/償却資産税あり |
| ③通常償却(初年度概算) | ¥45,000/償却資産税あり |
| 判断 | 即時損金優先→②/固定資産税回避・毎年平準→① |
| 初年度の税効果(最大) | ¥61,200 |
こんなときに使います
- パソコンや工具、什器などを購入し、経費としてどう処理するか選びたいとき
- 取得価額が10万円台・20万円台で、複数ある処理方法の中から有利なものを選びたいとき
- 初年度にまとめて経費にしたいのか、複数年に分けたいのかをじっくり決めたいとき
- 償却資産税がかかるかどうかもあわせて確認しておきたいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 取得価額 | 購入した資産の金額です。通常、消費税を含めるかどうかは会社の経理方式(税込経理・税抜経理)にあわせます。付随費用(送料・設置費など)も含めて考えます。 | 購入時の請求書・領収書。 |
| 実効税率 | 法人税・地方法人税・住民税・事業税をあわせた、会社の実質的な税負担率です。節税額を金額で確認するために使います。 | 前期の決算書から「法人税等÷税引前当期純利益」でおおまかに計算するか、顧問税理士に確認します。個人事業主なら所得税の限界税率を使います。 |
| 通常償却の耐用年数 | 特例を使わず、通常の減価償却をした場合に適用される法定耐用年数です。比較のために使います。 | 減価償却資産の耐用年数表(資産の種類ごとに定められています)。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 取得価額がどの区分に入るか確認する:10万円未満、10万円以上20万円未満、20万円以上30万円未満、30万円以上のどこに当たるかで、選べる処理方法が変わります。
- 選べる処理方法ごとの初年度の損金額を計算する:全額損金(消耗品費)や30万円特例なら取得価額の全額、一括償却資産なら3分の1、通常償却なら耐用年数にもとづく金額が、その年の損金になります。
- 節税額と償却資産税の有無を比べる:初年度の損金額に実効税率をかけたものが節税額の目安です。あわせて、その処理方法が翌年以降の償却資産税の対象になるかどうかも確認します。初年度の節税額だけでなく、複数年でのトータルの負担で比べることが大切です。
具体例で確かめる
例1 取得価額18万円、実効税率34%のケース
一括償却資産(3年均等):初年度の損金 = 180,000円 ÷ 3 = 60,000円 → 節税額 = 60,000円 × 34% = 20,400円(償却資産税なし) 30万円特例:初年度の損金 = 180,000円(全額) → 節税額 = 180,000円 × 34% = 61,200円(償却資産税あり)
初年度だけを見れば30万円特例が有利。ただし翌年以降の償却資産税の負担もあわせて考えて選ぶ
例2 取得価額9万円のケース
10万円未満のため、消耗品費として全額損金 = 90,000円 償却資産税は対象外
全額をその場で経費にでき、翌年以降の管理や償却資産税の申告も不要
例3 取得価額28万円、耐用年数4年の通常償却と比べるケース
通常償却(定率法の目安):初年度の損金は取得価額の一部にとどまる 30万円特例:初年度の損金 = 280,000円(全額)
通常償却では数年に分けて経費化するのに対し、30万円特例なら初年度に一括で経費にできる
取得価額ごとに選べる処理方法
| 取得価額 | 選べる処理 | 償却資産税 |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 消耗品費として全額損金 | 対象外 |
| 10万円以上20万円未満 | 一括償却資産(3年均等) または 30万円特例(中小企業のみ) | 一括償却資産は対象外、30万円特例は対象 |
| 20万円以上30万円未満 | 30万円特例(中小企業のみ) または 通常の減価償却 | 30万円特例は対象、通常償却も対象 |
| 30万円以上 | 通常の減価償却のみ | 対象 |
ここを間違えやすい
1|30万円特例には年300万円までという上限があります
30万円未満の少額減価償却資産の特例は、1年間に適用できる合計額が300万円までと決められています。これを超えた分は、通常の減価償却などほかの方法で処理する必要があります。事業年度が1年に満たない場合は、この300万円も月数に応じて調整されます。年度末にまとめて資産を購入する際は、上限に達していないか事前に確認しておくとよいでしょう。
2|30万円特例は中小企業者等でなければ使えません
資本金の額や従業員数などの要件を満たす中小企業者等でなければ、30万円特例は使えません。要件を満たさない場合は、20万円未満なら一括償却資産、それ以外は通常の減価償却になります。資本金1億円超の法人や、常時使用する従業員数が一定数を超える法人などは対象外です。
3|一括償却資産は途中で処分しても3年間償却を続けます
一括償却資産として処理したものは、2年目で使わなくなったり処分したりしても、残りの帳簿価額を3年間かけて償却し続けます。通常の減価償却資産のように、除却損として一度に経費化することはできません。頻繁に入れ替える資産には向かない処理方法といえます。
4|償却資産税は課税標準が150万円未満なら実質かかりません
償却資産税(固定資産税の一種)は、その市区町村内にある償却資産の課税標準の合計額が150万円未満であれば、実質的に課税されません。少額資産の合計額が多い場合は、あわせて確認が必要です。税率はおおむね1.4%で、毎年1月末までに市区町村へ申告する必要があります。
よくある質問
- 3つの処理方法を同じ年に組み合わせて使えますか。
- 使えます。たとえば同じ年に8万円のプリンターと18万円のパソコンを買った場合、プリンターは消耗品費、パソコンは一括償却資産や30万円特例など、資産ごとに別々の処理方法を選ぶことができます。資産ごとに事務作業の手間や償却資産税への影響が変わるため、まとめて方針を決めておくと管理しやすくなります。
- 個人事業主でも30万円特例は使えますか。
- 使えます。青色申告をしている個人事業主で、常時使用する従業員数などの要件を満たしていれば、法人と同じように30万円特例の対象になります。白色申告の場合はこの特例を使えません。
- ソフトウエアやリース資産でも同じ基準ですか。
- ソフトウエアなどの無形減価償却資産も、取得価額による基準は同じように適用されます。所有権移転外リース取引で取得したとされる資産も対象になる場合がありますが、令和4年4月1日以後に取得して主要な事業以外の貸付けの用に供したものは対象から除かれます。貸付け用の資産を多く扱う事業では、この除外規定に該当しないか確認しておくと安心です。
- 取得価額には消費税を含めますか。
- 税抜経理をしている場合は税抜金額、税込経理をしている場合は税込金額で判定します。同じ資産でも経理方式によって取得価額の見え方が変わり、たとえば税抜で29万円台の資産が税込では30万円を超えるなど、区分の境目にある金額では判定結果が変わることもあるため注意してください。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 法人税法施行令第133条(少額の減価償却資産の取得価額の損金算入)、第133条の2(一括償却資産の損金算入)、租税特別措置法第67条の5(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)
- 国税庁タックスアンサー No.5403「少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示」/No.5408「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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