設備投資減税の即時償却と税額控除の比較|自動計算ツール

  • カテゴリ:有利判定・比較
  • 根拠:措法42の6・42の12の4
  • 入力4項目・その場で自動計算
  • 令和8年度の数値に対応

中小企業が機械などの設備投資をすると、中小企業投資促進税制や中小企業経営強化税制などで税負担を軽くできる場合があります。ここで選べるのが、初年度にまとめて経費にできる特別償却と、法人税そのものを直接減らす税額控除です。この計算機は、どちらを選ぶとキャッシュフロー上どれだけ有利かをおおまかに比べるものです。

この計算式を3行でいうと

  1. 特別償却(即時償却)は税金を将来に先送りする効果、税額控除は税額そのものを減らす効果で、性質がまったく異なります。
  2. 税額控除は法人税額の20%が上限で、控除しきれない分は原則1年間繰り越せますが、赤字の期は特別償却の効果がほとんど出ません。
  3. 多くの制度では特別償却と税額控除はどちらか一方しか選べないため、自社の利益水準にあわせて選ぶ必要があります。

まずは計算してみる(自動計算ツール)

即時償却 vs 税額控除(設備投資減税)

措法42の6・42の12の4結果コピーリンク

中小企業投資促進・経営強化税制などで選べる「特別償却(課税の繰延べ)」と「税額控除(永久減税)」のキャッシュ効果を比較します。

即時償却の初年度効果 = 取得価額 × 実効税率(将来の償却減とトレードオフ) 税額控除 = 取得価額 × 控除率(上限:法人税×20%)
初年度: 即時償却 ¥6,800,000 vs 控除 ¥1,600,000
即時償却の初年度税負担減¥6,800,000
税額控除額¥1,600,000
性質の違い即時償却=繰延べ(将来の償却が減る)/税額控除=永久減税
判断の目安資金繰り優先・当期黒字大→即時償却/長期の総額→税額控除
(参考)併用は不可同一資産はどちらか選択
赤字の期は即時償却の効果が出ない(繰越欠損になるだけ)。控除は法人税20%上限・1年繰越あり(制度による)。
目次

こんなときに使います

  • 機械や設備を購入する予定があり、税制優遇として特別償却と税額控除のどちらを選ぶか迷っているとき
  • 中小企業投資促進税制や中小企業経営強化税制などの適用を検討しているとき
  • 今期の利益水準から、税額控除をどのくらい使い切れるかを事前に確認しておきたいとき
  • 赤字の期に設備投資をする場合、特別償却を選ぶ意味があるのかどうかを確かめたいとき

入力する項目のかんたん解説

入力する項目どんな数字かどこを見ればよいか
設備の取得価額購入する機械・設備などの取得価額です。付随費用(運送費・設置費など)を含めた金額で考えます。中古品は原則として対象外になる制度が多い点にも注意します。見積書・請求書に記載された金額。制度ごとに定められた最低取得価額を満たしているかもあわせて確認します。
実効税率法人税・地方法人税・住民税・事業税をあわせた、会社の実質的な税負担率です。資本金や所得水準によって変わります。前期の決算書から「法人税等÷税引前当期純利益」でおおまかに計算するか、顧問税理士に確認します。
税額控除率制度ごとに決められている、取得価額に対する税額控除の割合です。制度や資産の種類、資本金の規模によって7%・10%などがあります。適用を検討している制度(中小企業投資促進税制・中小企業経営強化税制など)の内容。
当期の法人税額税額控除を使う前の、今期の法人税額です。控除できる金額の上限を計算するために使います。今期の決算見込みにもとづく法人税額の試算。試算表や予測損益計算書から確認します。

計算のしくみ(3ステップ)

  1. 特別償却(即時償却)の効果を計算する:取得価額に実効税率をかけた金額が、初年度に前倒しで軽くなる税負担の目安です。ただしこれは将来の減価償却費が減る分をいま前倒しで受け取っているだけで、資産を使い切るまでの長い目で見ると税負担の総額は変わりません(課税の繰延べ)。
  2. 税額控除の効果を計算する:取得価額に税額控除率をかけた金額が、税額から直接差し引ける金額です。ただし控除できるのは、原則としてその制度における当期の法人税額の20%までが上限です。
  3. 今期使える金額を比べる:特別償却は利益が出ている期ほど効果が大きく、税額控除は法人税額の20%という上限の中で確実に減税されます。自社の利益水準にあわせてどちらが有利かを判断し、迷う場合は数期先までの見込みも考慮します。

具体例で確かめる

例1 取得価額2,000万円、実効税率34%、法人税額800万円のケース

特別償却の初年度効果 = 2,000万円 × 34% = 680万円(将来の償却減とのトレードオフ) 税額控除 = 2,000万円 × 10% = 200万円 税額控除の上限 = 800万円 × 20% = 160万円

計算上の税額控除200万円のうち、実際に使えるのは上限の160万円まで

例2 法人税額が少ない(300万円)期に設備投資をしたケース

税額控除の上限 = 300万円 × 20% = 60万円 控除しきれない金額 = 200万円 - 60万円 = 140万円(原則1年間繰越)

法人税額が少ない期は税額控除を使い切れず、翌期に繰り越すことになる

例3 その期が赤字(法人税額0円)だったケース

税額控除の上限 = 0円 × 20% = 0円 特別償却をしても、もともと課税所得がなければ税負担の軽減効果は生まれない

赤字の期は税額控除も特別償却もその期には効果が出ず、繰越欠損金が増えるだけになる

特別償却と税額控除の性質の違い

区分特別償却(即時償却)税額控除
効果の中身経費にできる時期を前倒しする(課税の繰延べ)税額そのものを減らす(永久減税)
黒字が少ない期償却費を計上しても効果は限定的控除枠の上限(法人税額の20%)まで確実に効く
赤字の期効果が出ず、繰越欠損金が増えるだけ控除できる税額がないため使えない
使い切れなかった分翌期以降の償却費として残る制度により1年間の繰越が認められる場合がある

ここを間違えやすい

1|特別償却と税額控除は同じ資産に重複して使えません

ひとつの資産について、特別償却と税額控除を両方適用することはできません。どちらか一方を選ぶ必要があります。いったん確定申告で選択すると、あとから変更することも基本的にはできません。複数の設備を導入する場合は、資産ごとに異なる方法を選ぶこともできます。

2|税額控除には上限があります

税額控除の上限は、その事業年度の法人税額のおおむね20%です。複数の制度の税額控除を併用する場合も、合計でこの上限が適用されることがあります。設備投資の規模が大きいときほど、この上限にひっかかりやすくなる点に注意してください。

3|「税額控除率が高いほど得」とは限りません

控除率が高くても、法人税額が少なければ上限にひっかかって使い切れません。控除率だけでなく、当期の利益水準もあわせて確認する必要があります。逆に控除率が低くても、法人税額に余裕があれば無駄なく使い切れる場合があります。

4|対象になる資産・企業規模には条件があります

取得価額の下限(機械装置なら一定額以上など)や、資本金・従業員数による中小企業者の判定など、制度ごとに細かい要件があります。対象になる業種にも指定があるため、娯楽業の一部など対象外になる業種がないかもあわせて確認が必要です。

よくある質問

結局、特別償却と税額控除のどちらを選べばよいですか。
安定して利益が出ていて法人税額に余裕がある会社は、税額控除のほうが確実に税負担を減らせる傾向があります。一方、その期だけ利益が大きく出そうな場合は、特別償却で前倒しに経費計上する効果も検討する価値があります。将来数年分の利益計画を踏まえたうえで、自社にあわせて試算することをおすすめします。
特別償却は結局、税金が減るわけではないのですか。
特別償却は将来の減価償却費を前倒しで計上する仕組みのため、資産の耐用年数トータルで見た税負担の総額は変わりません。ただし、初年度の税負担を軽くしてキャッシュを手元に残せる点にメリットがあります。手元に残った資金を早期に別の投資や借入返済にまわせることが、実質的な価値になります。
税額控除の繰越はどんなときに使えますか。
その期の法人税額の20%という上限を超えて控除しきれなかった金額を、制度によっては翌期に1年間だけ繰り越せます。ただし制度ごとに要件が異なるため、対象になるか確認が必要です。
リース取引で設備を導入する場合も対象になりますか。
所有権移転外リース取引の場合、特別償却は使えませんが、税額控除は使える場合があります。リース契約の内容によって扱いが変わるため、リース会社や顧問税理士に契約前から確認しておくことをおすすめします。

根拠となる法令・出典

本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。

  • 租税特別措置法第42条の6(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)、第42条の12の4(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)
  • 国税庁タックスアンサー No.5433「中小企業投資促進税制」/No.5434「中小企業経営強化税制」

税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。

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