- カテゴリ:相続税・贈与税
- 根拠:相法12
- 入力2項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
生命保険金や死亡退職金は、亡くなった方の財産そのものではありませんが、相続税の計算では「みなし相続財産」として課税対象に加えます。ただし全額に税金がかかるわけではなく、非課税枠が用意されています。法定相続人の数が多いほど非課税になる金額も増える、家族への配慮を目的とした仕組みです。
この計算式を3行でいうと
- 非課税枠は「500万円×法定相続人の数」。受取額がこれ以下ならその保険金・退職金に相続税はかかりません。
- 生命保険金と死亡退職金は別々の枠を持ちます。両方受け取った場合はそれぞれ計算します。
- 相続を放棄した人が受け取った生命保険金には、この非課税枠を使えません。人数を数えるときは放棄した人も含みます。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
生命保険金・死亡退職金の非課税
相法12★結果コピーリンクみなし相続財産の生命保険金・死亡退職金には、法定相続人1人あたり500万円の非課税枠があります。
| 非課税限度(500万×人数) | 1,500万円 |
| 課税される金額 | 500万円 |
こんなときに使います
- 亡くなった家族の生命保険金を受け取ったが、相続税がかかるのか知りたいとき
- 会社から死亡退職金が支払われることになり、非課税になる金額を確認したいとき
- 生命保険金と死亡退職金の両方を受け取り、それぞれの非課税枠がいくらか整理したいとき
- 相続を放棄しても保険金は受け取れると聞いたが、税金の扱いがどうなるか確かめたいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 法定相続人の数 | 民法で相続人と決められている人の人数です。相続を放棄した人がいても、放棄はなかったものとして数えます。 | 戸籍謄本をたどって確定します。基礎控除の計算のときと同じ人数です。 |
| 受取額の合計 | 生命保険金、または死亡退職金として支払われた金額の合計です(単位:万円)。生命保険金と死亡退職金の両方がある場合は、それぞれ別に計算します。 | 保険会社からの支払通知書、勤務先からの退職金の支払明細で確認します。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 法定相続人の数を確認する:基礎控除の計算と同じ考え方で、放棄した人も含めて数えます。
- 非課税限度額を計算する:500万円に法定相続人の数を掛けます。相続人3人なら1,500万円です。
- 受取額と比べる:受取額の合計が非課税限度額以下なら、その保険金・退職金に相続税はかかりません。超えた部分だけが課税対象の財産として加算されます。
生命保険金と死亡退職金は、それぞれ別の非課税枠を持っています。両方を受け取った場合は、生命保険金は生命保険金の非課税枠、死亡退職金は死亡退職金の非課税枠と、別々に比べます。
具体例で確かめる
例1 法定相続人3人、生命保険金2,000万円を受け取ったケース
非課税限度額 = 500万円 × 3人 = 1,500万円 課税対象になる金額 = 2,000万円 - 1,500万円
課税対象は500万円。残りの1,500万円には相続税がかからない
例2 受取額が非課税限度額以下だったケース
法定相続人4人なので、非課税限度額 = 500万円 × 4人 = 2,000万円 受け取った生命保険金は1,200万円
受取額が非課税限度額以下のため、相続税がかかる金額はゼロ
例3 生命保険金と死亡退職金の両方を受け取ったケース
法定相続人3人。生命保険金1,800万円、死亡退職金1,800万円をそれぞれ受け取った 生命保険金:非課税枠1,500万円 → 課税対象300万円 死亡退職金:非課税枠1,500万円(別枠) → 課税対象300万円
合計の課税対象は600万円。2つの非課税枠を別々に使えるため、まとめて計算してはいけない
ここを間違えやすい
1|生命保険金と死亡退職金を合算して1回だけ非課税枠を使ってはいけません
それぞれ独立した非課税枠があります。片方だけで枠を使い切ったつもりでも、もう一方には別の1,500万円(相続人3人の場合)の枠が残っています。
2|相続を放棄した人にはこの非課税枠が使えません
相続を放棄した人も生命保険金の受取人には指定できますが、放棄した人が受け取った保険金には非課税枠を使えず、受取額の全額が課税対象になります。ただし人数を数えるときは、放棄した人も法定相続人に含めます。
3|相続人以外が受け取った分にも非課税枠は使えません
内縁の配偶者や相続人でない孫など、法定相続人ではない人が受取人になっている場合、その人の受取分には非課税枠を適用できません。非課税枠は相続人が受け取った分にだけ使えます。
4|非課税限度額は相続人ごとに分け合う金額です
非課税限度額の合計(500万円×人数)は、複数の相続人が保険金を受け取った場合、それぞれの受取額の割合に応じて配分します。1人がまとめて非課税枠全額を使えるわけではありません。
よくある質問
- 個人年金保険の年金受給権にもこの非課税枠は使えますか。
- 使えません。この非課税枠が対象になるのは、被相続人の死亡によって一時金として支払われる生命保険金と死亡退職金だけです。個人年金の年金受給権は別の評価方法によります。
- 死亡退職金には弔慰金も含まれますか。
- 通常の弔慰金は、社会通念上相当な金額であれば相続税の対象にはならず、この非課税枠の計算にも含めません。ただし実質的に退職手当金等と認められる金額は、死亡退職金として扱われます。
- 相続人が1人もいない場合、非課税枠はどうなりますか。
- 法定相続人がゼロであれば、非課税限度額も0円になります。受け取った保険金や退職金の全額が課税対象になります。
- 受け取った保険金が非課税限度額以下でも申告は必要ですか。
- その保険金だけを見れば課税額はゼロですが、ほかの相続財産と合計して基礎控除を超える場合は、相続税の申告そのものは必要です。生命保険金の非課税は、あくまで財産を合計する際の調整項目の一つです。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 相続税法第12条第1項第5号・第6号(相続税の非課税財産)
- 国税庁タックスアンサー No.4114「相続税の課税対象になる死亡保険金」
- 国税庁タックスアンサー No.4117「相続税の課税対象になる退職手当金」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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