- カテゴリ:相続税・贈与税
- 根拠:相法16
- 入力3項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
相続税は、財産をもらった人ごとに税率が決まるわけではありません。遺産の総額全体を、法定相続人が法定相続分どおりに分けたと仮定して、各人の取得金額に税率を当てはめ、それを合計したものが「相続税の総額」です。この総額を、実際の遺産分割の割合で改めて按分してはじめて、各人が納める税額が決まります。
この計算式を3行でいうと
- 相続税の総額は、法定相続分で分けたと仮定した各人の取得金額に税率を当てはめて計算し、合計します。
- 実際にどう遺産を分けたかにかかわらず、まず法定相続分で分けたと仮定して計算するのがルールです。
- 配偶者の有無や子の人数が変わると法定相続分も変わるため、相続税の総額も連動して変わります。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
相続税の総額(配偶者+子)
相法16★結果コピーリンク課税遺産総額を法定相続分で分けたと仮定し、各人に速算税率を適用して合算します(配偶者+子のモデル)。
| 配偶者(取得10,000万) | 2,300万円 |
| 子1(取得5,000万) | 800万円 |
| 子2(取得5,000万) | 800万円 |
| 相続税の総額 | 3,900万円 |
こんなときに使います
- 遺産の総額(基礎控除を引いたあと)がわかり、相続税がだいたいいくらになるか大まかに知りたいとき
- 配偶者と子どもが相続人になる、いちばん一般的なケースで税額を試算したいとき
- 子どもの人数が違うと相続税の総額がどう変わるか比べたいとき
- 遺産分割の話し合いの前に、家族全体で納める税金の総額を把握しておきたいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 課税遺産総額(基礎控除後) | 相続財産の合計額から、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いたあとの金額です(単位:万円)。 | 「相続税の基礎控除」の計算結果を使います。マイナスになる場合は相続税がかからないため、この計算は不要です。 |
| 配偶者あり1/なし0 | 配偶者が相続人になるかどうかです。配偶者がいる場合は1、いない場合は0を入力します。 | 亡くなった方の戸籍で配偶者の有無を確認します。 |
| 子の人数 | 相続人になる子の人数です。養子や代襲相続の孫を含みます。子がいない場合は、このモデルの対象外です。 | 戸籍謄本で確定した法定相続人の一覧から数えます。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 法定相続分で仮に分ける:配偶者がいる場合、配偶者の法定相続分は2分の1、残り2分の1を子の人数で均等に分けます。配偶者がいない場合は、全額を子の人数で均等に分けます。
- 各人の取得金額に税率を当てはめる:それぞれの取得金額に、相続税法が定める累進税率(速算表)を当てはめて、仮の税額を計算します。取得金額が大きいほど税率も段階的に上がります。
- 全員分を合計する:配偶者と子それぞれの仮の税額を合計したものが「相続税の総額」です。この総額を、実際の遺産分割の割合で按分し直したものが、各人が実際に納める税額になります。
具体例で確かめる
例1 課税遺産総額2億円、配偶者と子2人のケース
配偶者の取得金額 = 2億円 × 1/2 = 1億円 → 税額2,300万円 子1人あたりの取得金額 = 2億円 × 1/2 ÷ 2人 = 5,000万円 → 税額800万円×2人=1,600万円
相続税の総額 = 2,300万円 + 1,600万円 = 3,900万円
例2 課税遺産総額6,000万円、配偶者と子1人のケース
配偶者の取得金額 = 6,000万円 × 1/2 = 3,000万円 → 税額400万円 子の取得金額 = 6,000万円 × 1/2 = 3,000万円 → 税額400万円
相続税の総額 = 400万円 + 400万円 = 800万円
例3 課税遺産総額9,000万円、配偶者なし・子3人のケース
配偶者がいないため、子3人で均等に分ける 子1人あたりの取得金額 = 9,000万円 ÷ 3人 = 3,000万円 → 税額400万円×3人
相続税の総額 = 400万円 × 3人 = 1,200万円
相続税の速算表(早見表)
| 法定相続分に応じた取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | なし |
| 1,000万円超3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
この表は相続税法第16条に定められている税率です。各人の取得金額×税率-控除額で、その人の仮の税額を計算します。
ここを間違えやすい
1|法定相続分で計算するのは「総額」を出すためだけです
実際に遺産をどう分けたかに関係なく、いったん法定相続分で分けたと仮定して総額を計算します。実際の分け方が法定相続分と違っていても、この総額の計算式自体は変わりません。
2|このモデルは配偶者と子のケース専用です
相続人が父母や兄弟姉妹になる場合、代襲相続がある場合は、法定相続分の考え方が変わるため、この計算はそのまま使えません。個別の判断が必要です。
3|「相続税の総額」と「自分が納める税額」は別物です
ここで計算した総額は、家族全体で納める相続税の合計です。実際に誰がいくら納めるかは、この総額を実際の遺産分割の割合で按分し直し、配偶者の税額軽減など各種の特例を適用してから決まります。
4|取得金額の端数処理を忘れないでください
法定相続分で按分した取得金額に1,000円未満の端数が出た場合は切り捨てて税率を当てはめます。この試算では簡易的な数値で計算しているため、実際の申告では税理士による正確な端数処理を確認してください。
よくある質問
- 実際に配偶者や子が納める税額は、この総額をどう分けるのですか。
- 相続税の総額を、それぞれが実際に取得した財産の割合で按分します。たとえば配偶者が財産の60%を取得したなら、総額の60%が配偶者の税額(軽減前)になります。
- 孫が代襲相続人になる場合も「子の人数」に入れてよいですか。
- 代襲相続によって孫が相続人になる場合は、その孫を子の人数に含めて計算します。ただし通常の養子と代襲相続人とでは基礎控除の人数制限の扱いが異なるため、個別の確認をおすすめします。
- 遺産分割がまだ決まっていなくても、この総額は計算できますか。
- できます。相続税の総額は法定相続分をもとに計算するため、実際の遺産分割協議がまとまっていない段階でも試算が可能です。申告期限までに分割が決まらない場合も、いったん法定相続分で申告する必要があります。
- 基礎控除を引く前の金額をそのまま入力してもよいですか。
- 正しい結果になりません。ここに入力するのは基礎控除を引いたあとの課税遺産総額です。基礎控除前の財産額を入力すると、税額を過大に試算してしまいます。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 相続税法第16条(相続税の総額)
- 国税庁タックスアンサー No.4155「相続税の税率」
- 国税庁タックスアンサー No.4132「相続人の範囲と法定相続分」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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