- カテゴリ:消費税
- 根拠:28年改正法附則52・53
- 入力3項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
インボイス制度が始まってからも、免税事業者からの仕入れについて消費税の負担が一気に増えないよう経過措置が設けられています。免税事業者はインボイス(適格請求書)を発行できませんが、その相手からの仕入れでも、一定の割合だけ仕入税額控除を受けられる仕組みです。この割合は段階的に下がっていくため、いま自分がどの段階にいるかを確認することが大切です。
この計算式を3行でいうと
- 控除可能額は「対価に含む消費税×経過措置割合」で計算します。免税事業者からの仕入れでも一部は控除できます。
- 控除割合は令和5年10月から令和8年9月までは80%、令和8年10月から令和11年9月までは50%と段階的に下がります。
- 令和11年10月以降は、免税事業者からの仕入れについて仕入税額控除が受けられなくなります。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
インボイス経過措置(免税事業者からの仕入)
28年改正法附則52・53★結果コピーリンク免税事業者からの課税仕入れは、経過措置で一定割合だけ仕入税額控除できます(R8.9まで80%、R11.9まで50%)。
| 対価に含まれる消費税 | ¥100,000 |
| 経過措置80% | ¥80,000 |
こんなときに使います
- 取引先(仕入先)が免税事業者で、インボイス(適格請求書)を発行してもらえないとき
- 免税事業者からの仕入れが、消費税の申告でどれだけ控除できるのか確認したいとき
- 控除割合が80%から50%に下がるタイミングで、納税額への影響を試算したいとき
- 免税事業者との取引を続けるかどうか、消費税の負担の面から検討したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 支払対価(税込) | 免税事業者に支払った金額の合計で、消費税を含んだ税込の金額です。 | 請求書・領収書の合計金額、総勘定元帳の仕入・経費科目で確認します。 |
| 税率 | その取引にかかる消費税の税率です。標準税率10%か、軽減税率8%のどちらかを入力します。 | 取引の内容(飲食料品などは軽減税率)に応じて判断します。 |
| 控除割合 | 経過措置で控除できる割合です。取引を行った時期によって80%か50%のどちらかになります。 | 下の一覧表で、課税仕入れを行った日がどちらの期間に当てはまるかを確認します。 |
控除割合をどちらにするかは自動では判定できないため、下の「経過措置の期間と控除割合」の一覧表を見ながら、取引の日付に合わせて自分で選んで入力してください。
計算のしくみ(3ステップ)
- 消費税相当額を出す:支払対価(税込)に含まれている消費税額を逆算します。
- 該当する期間の控除割合を確認する:取引の日が令和5年10月から令和8年9月までなら80%、令和8年10月から令和11年9月までなら50%です。
- 控除可能額を計算する:消費税相当額に控除割合を掛けます。残りの部分(20%または50%)は控除できず、実質的な負担増になります。
控除できなかった部分は、単純に仕入れのコストが上がったのと同じ効果になります。取引金額の見直しや価格交渉の材料として、この負担額をあらかじめ把握しておくと安心です。
具体例で確かめる
例1 今の期間(80%)に、税込110万円を免税事業者に支払ったケース
消費税相当額 = 1,100,000円 × 10/110 = 100,000円 控除可能額 = 100,000円 × 80%
控除可能額80,000円 → 残り20,000円は控除できず、その分だけ負担が増える
例2 令和8年10月以降(50%)に、同じ税込110万円を支払ったケース
消費税相当額 = 1,100,000円 × 10/110 = 100,000円 控除可能額 = 100,000円 × 50%
控除可能額50,000円 → 同じ取引でも、時期が変わるだけで控除できる額が半分に減る
例3 小口の取引が多い場合(税込55万円、控除割合80%)
消費税相当額 = 550,000円 × 10/110 = 50,000円 控除可能額 = 50,000円 × 80%
控除可能額40,000円。小さな取引でも積み重なると影響は無視できない
経過措置の期間と控除割合
| 課税仕入れを行った日 | 控除割合 | ひとこと |
|---|---|---|
| 令和5年10月1日~令和8年9月30日 | 80% | いまはこの期間にあたります |
| 令和8年10月1日~令和11年9月30日 | 50% | まもなく控除割合が半分に下がります |
| 令和11年10月1日以降 | 控除不可 | 免税事業者からの仕入れは全額が控除の対象外になります |
ここを間違えやすい
1|控除割合はもうすぐ80%から50%に下がります
令和8年10月1日以降に行った課税仕入れからは、控除割合が50%に下がります。取引の日付が9月なのか10月なのかで控除できる金額が変わるため、決算期をまたぐ取引は特に注意してください。
2|帳簿と請求書等の保存が要件です
経過措置の適用を受けるには、区分記載請求書等と同様の記載事項がある請求書等を保存し、帳簿にこの経過措置の対象である旨を記載しておく必要があります。何も記録せずに控除だけ受けることはできません。
3|対象は「免税事業者」だけではありません
インボイスの登録をしていない課税事業者や、消費者・個人からの仕入れなど、適格請求書発行事業者以外からの課税仕入れであれば同じように経過措置の対象になります。
4|簡易課税・2割特例では、この経過措置は関係ありません
簡易課税や2割特例は、実際の仕入れ額にかかわらずみなし仕入率や一律の割合で仕入税額を計算する方式です。この経過措置による按分計算が必要になるのは、本則課税を選んでいる事業者だけです。
よくある質問
- 取引先がインボイス発行事業者かどうかは、どう確認しますか。
- 受け取った請求書に登録番号(Tから始まる13桁の番号)が記載されているかで確認できます。国税庁のインボイス発行事業者公表サイトで、登録番号から検索することもできます。
- 経過措置を使うのに、事前の届出は必要ですか。
- 特別な届出は不要です。ただし、区分記載請求書等と同様の記載事項がある請求書等の保存と、帳簿への一定の記載が要件になります。
- 控除割合はいつの時点の取引で判断しますか。
- 商品の引き渡しやサービスの提供を受けた日、つまり課税仕入れを行った日を基準に判断します。代金を支払った日ではない点に注意してください。
- 免税事業者との取引をやめたほうがよいのでしょうか。
- 控除できない部分は負担増になりますが、価格や取引条件を見直すなど対応の方法はさまざまです。取引先との関係や事業への影響も踏まえて、個別に判断することをおすすめします。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 消費税の適格請求書等保存方式導入に係る改正法附則第52条・第53条(免税事業者等からの仕入れに係る経過措置)
- 国税庁「適格請求書等保存方式に関するQ&A」(免税事業者等からの仕入れに係る経過措置部分)
- 国税庁インボイス制度特設サイト「経過措置」に関する案内
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
関連する計算ツール
← 税務計算ツール集(全168式)の一覧にもどるこの計算、実際の数字で確かめませんか
札幌のジェイスタート会計事務所(公認会計士・税理士)が、御社の実額をもとに試算し、次に打つ手までご提案します。初回のご相談は無料です。
初回相談(無料)を申し込む料金・契約の流れを見る