- カテゴリ:相続税・贈与税
- 根拠:措法70の7の5等
- 入力2項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
後継者が会社の株式を相続や贈与で引き継ぐとき、その株式にかかる相続税・贈与税の納付を先送りできる制度があります。それが事業承継税制の納税猶予です。「特例措置」を使えば、株式に対応する税額の100%が猶予の対象になります。ただし猶予はあくまで納税の先送りであり、一定の要件を満たし続けなければ打ち切られ、利子税とあわせて納付が必要になることがあります。
この計算式を3行でいうと
- 特例措置では、株式のみを取得したと仮定して計算した相続税額の100%が猶予されます。
- 実際に今すぐ納める税額は、全財産にかかる相続税額から猶予額を差し引いた金額です。
- 猶予を受けるには、事前の特例承継計画の提出など複数の要件を満たす必要があります。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
事業承継税制の納税猶予額
措法70の7の5等★結果コピーリンク後継者が承継した非上場株式に対応する相続税・贈与税を猶予。特例措置では株式対応税額の100%が猶予されます。
| 猶予税額(株式のみ仮定額) | 3,000万円 |
| 当初納付額 | 2,000万円 |
こんなときに使います
- 後継者が先代経営者から自社株を相続し、多額の相続税がかかりそうなとき
- 生前に自社株を後継者へ贈与し、事業承継税制を使えるか検討しているとき
- 猶予される税額と、実際に今すぐ納める税額の内訳を確認したいとき
- 特例承継計画の提出を検討していて、制度の効果を大まかにつかみたいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 全財産で計算した後継者の相続税額 | 後継者が相続するすべての財産(自社株を含む)をもとに計算した、その後継者の相続税額です。 | 相続税の総額を、実際の取得割合であん分して計算します。 |
| 株式のみ取得と仮定した税額 | 後継者が自社株だけを相続したと仮定して計算し直した相続税額です。 | 自社株の評価額をもとに、同じ相続税の計算方法であん分し直して求めます。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 通常の相続税額を計算する:後継者が相続するすべての財産をもとに、通常どおりの方法で相続税額を計算します。
- 株式対応部分を計算し直す:後継者が自社株だけを相続したと仮定して、同じ方法で相続税額を計算し直します。
- 猶予額と納付額に分ける:特例措置では、株式のみ取得と仮定した税額の全額が猶予されます。全財産の税額から猶予額を差し引いた残りが、今すぐ納める税額です。
具体例で確かめる
例1 自社株の比重が大きいケース
全財産で計算した相続税額5,000万円、株式のみ取得と仮定した税額3,000万円 猶予額 = 3,000万円(特例措置で全額猶予)
今すぐ納める税額 = 5,000万円-3,000万円 = 2,000万円
例2 自社株以外の財産が少ないケース
全財産で計算した相続税額3,200万円、株式のみ取得と仮定した税額3,000万円 猶予額 = 3,000万円
今すぐ納める税額 = 3,200万円-3,000万円 = 200万円
例3 相続財産のほとんどが自社株のケース
全財産で計算した相続税額4,000万円、株式のみ取得と仮定した税額3,900万円 猶予額 = 3,900万円
今すぐ納める税額 = 4,000万円-3,900万円 = 100万円
一般措置と特例措置の比較
| 項目 | 一般措置 | 特例措置 |
|---|---|---|
| 対象になる株式数 | 発行済議決権株式総数の3分の2まで | 取得したすべての株式 |
| 相続税の猶予割合 | 対象株式にかかる税額の80% | 対象株式にかかる税額の100% |
| 贈与税の猶予割合 | 対象株式にかかる税額の100% | 対象株式にかかる税額の100% |
| 事前の計画提出 | 不要 | 特例承継計画の提出が必要 |
| 適用期限 | 恒久的な制度 | 贈与・相続の実行に期限がある時限措置 |
このページの計算は、株式対応税額の100%が猶予される特例措置を前提にしています。一般措置では対象株式数や猶予割合に制限があるため、同じ入力値でも猶予額は少なくなります。
ここを間違えやすい
1|猶予は免除ではありません
猶予された税額は消えるわけではなく、要件を満たせなくなった時点で利子税とあわせて納付が必要になります。後継者がさらに次の後継者へ株式を承継するなど、一定の条件を満たせば最終的に免除される道もあります。
2|特例措置を使うには事前の計画提出が必要です
特例措置の適用を受けるには、あらかじめ「特例承継計画」を都道府県に提出し、確認を受けておく必要があります。2026年8月時点で、計画の提出期限は令和9年9月30日まで延長されていますが、実際に贈与・相続を行う期限は令和9年12月31日のままで、延長されていません。
3|猶予を受けたあとも継続要件があります
猶予の適用を受けたあとも、一定期間は会社の代表を続ける、雇用の状況を報告するなど、継続的な要件があります。要件を満たせなくなると猶予が打ち切られることがあります。
4|一般措置と特例措置では猶予割合が異なります
特例措置以前からある一般措置では、猶予の対象になる株式数や猶予割合に制限があり、100%が猶予されるとは限りません。どちらの措置を使うかで結果が大きく変わります。
よくある質問
- この制度を使うと相続税がゼロになりますか。
- 自社株以外の財産を相続していれば、その部分に対応する相続税は猶予の対象にならず、通常どおり納付が必要です。ゼロになるのは、相続財産のすべてが猶予対象の株式である場合に限られます。
- 後継者の要件はありますか。
- 会社の代表権を持つことになるなど、後継者としての要件があります。また、先代経営者にも代表権を有していたことなどの要件があり、あらかじめ都道府県に提出する特例承継計画に記載します。
- 猶予が打ち切られるのはどんなときですか。
- 後継者が代表を退いて株式を譲渡した場合や、一定の要件を満たさなくなった場合などです。打ち切られると、猶予されていた税額に加えて利子税の納付が必要になります。
- 贈与で株式を渡す場合も同じ考え方ですか。
- 基本的な考え方は同じで、贈与税についても株式対応部分の納税を猶予する制度があります。その後、先代経営者が亡くなった際に、猶予されていた贈与税は相続税に切り替わって改めて猶予の判定を受けます。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 租税特別措置法第70条の7の5ほか(非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例・特例措置)
- 中小企業庁「経営承継円滑化法」に基づく認定関連資料
- 国税庁「非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例」の手引き
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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