- カテゴリ:相続税・贈与税
- 根拠:相法19
- 入力3項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
生前に贈与をして相続財産を減らしても、相続開始が近いタイミングの贈与は「なかったこと」にはなりません。亡くなる前の一定期間内の贈与は、相続税を計算するときに相続財産へ足し戻す生前贈与加算という制度があるためです。令和6年の改正で、この足し戻す期間が3年から7年に延びました。
この計算式を3行でいうと
- 相続開始前3年以内の贈与は全額、4~7年前の贈与は合計から100万円を引いた残りが相続財産に加算されます。
- 対象になるのは、相続や遺贈で実際に財産を取得した人への贈与だけです。財産を受け取らない人への贈与は対象外です。
- 加算された贈与にすでに贈与税を払っていた場合は、その税額を相続税額から差し引いて二重課税を防ぎます。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
生前贈与加算(7年ルール)
相法19★結果コピーリンク相続人等への相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算されます(令和6年以後の贈与から3年→7年へ段階延長。延長4年分は総額100万円控除)。
| 3年以内分(全額) | 600万円 |
| 4〜7年前分(−100万) | 300万円 |
| 加算額合計 | 900万円 |
| 贈与税額控除 | 30万円 |
こんなときに使います
- 元気なうちに子や孫へ生前贈与をしていた人が亡くなり、相続税の計算にその贈与が影響するか確認したいとき
- 相続開始が近いと感じ、これから贈与をしても相続税対策になるのかどうかを知りたいとき
- 複数年にわたって贈与を受けていた相続人が、相続財産にいくら足し戻されるのか試算したいとき
- 贈与税をすでに納めている贈与について、相続税の計算でどう調整されるのか知りたいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 相続開始前3年以内の贈与合計 | 亡くなった日からさかのぼって3年以内に、被相続人から受けた贈与の合計額です。この期間の贈与は、金額の大小にかかわらず全額が加算対象になります。 | 贈与契約書、振込明細、過去に提出した贈与税の申告書で確認します。 |
| 4~7年前の贈与合計 | 亡くなった日から3年より前、7年以内に受けた贈与の合計額です。令和6年の改正で新しく加算対象に加わった期間にあたります。 | 同じく贈与契約書や振込明細、贈与税の申告書で確認します。 |
| 支払済みの贈与税額 | 加算対象になった贈与について、すでに納めた贈与税の金額です。相続税額から差し引くために使います。 | 過去の贈与税の申告書、納税証明書で確認します。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 3年以内の贈与を全額加算する:相続開始前3年以内の贈与は、金額の大小にかかわらずすべて相続財産に加算します。
- 4~7年前の贈与から100万円を引いて加算する:延長された4年分の贈与合計から100万円を引き、残りがあればその金額を加算します。100万円に満たなければ、この部分の加算額はゼロです。
- 加算額を合計し、贈与税額を差し引く:2つの加算額を合計したものが、相続財産に足し戻される金額です。すでに贈与税を払っている場合は、その税額を最終的な相続税額から差し引き、二重に税金を負担しないように調整します。
もともとこの制度は「相続開始前3年以内」が対象でしたが、令和5年度の税制改正で7年に延長されました。ただし段階的な延長のため、実際にさかのぼる年数は相続が開始した時期によって異なります。自分のケースで何年前まで遡って加算されるのかは、最新の制度で確認してください。
具体例で確かめる
例1 3年以内に600万円、4~7年前に400万円の贈与を受けていたケース
3年以内の加算額 = 6,000,000円(全額) 4~7年前の加算額 = 4,000,000円 - 1,000,000円 = 3,000,000円 加算額の合計 = 6,000,000円 + 3,000,000円
相続財産に加算される金額は900万円
例2 4~7年前の贈与が100万円以下だったケース
3年以内の贈与は200万円、4~7年前の贈与は80万円だった場合 4~7年前の加算額 = max(800,000円 - 1,000,000円, 0) = 0円 加算額の合計 = 2,000,000円 + 0円
相続財産に加算される金額は200万円。4~7年前の少額の贈与は加算されないことがある
例3 贈与税をすでに納めていたケース
例1と同じ900万円が加算対象で、この贈与について30万円の贈与税をすでに納めていた場合 相続税の総額を計算したあと、算出された相続税額から30万円を差し引く
加算はされるが、既に払った贈与税額30万円は相続税額から控除され、二重に税負担することはない
暦年課税と相続時精算課税の違い
| 区分 | 暦年課税で受けた贈与 | 相続時精算課税を選んで受けた贈与 |
|---|---|---|
| 相続財産への加算 | 相続開始前7年以内の分が対象(経過措置により当面は7年より短くなる場合があります) | 制度を選んだ後に受けたすべての贈与が対象。期間の制限はありません |
| 加算する金額 | 3年以内は全額、4~7年前は合計から100万円を控除した残り | 年110万円の基礎控除を除いた金額を全額加算 |
| 向いているケース | 相続開始までまだ時間があり、毎年少しずつ財産を移していきたい場合 | 早い段階でまとまった財産を確実に移転しておきたい場合 |
このページの計算式は、暦年課税で受けた贈与を前提にしています。相続時精算課税を選んでいる贈与財産がある場合は、この計算とは別に、年110万円の基礎控除を除いた全額を相続財産に加算して計算します。同じ被相続人からの贈与でも、年によって暦年課税と相続時精算課税が混在することはないため、どちらの制度を選んでいたかをまず確認することが第一歩になります。
ここを間違えやすい
1|財産を何も受け取らない人への贈与は対象外です
生前贈与加算の対象になるのは、相続や遺贈によって実際に財産を取得した人への贈与だけです。たとえば孫であっても、相続人でなく遺言による遺贈もなく、財産を何も受け取らないのであれば、その孫への生前贈与は加算の対象になりません。
2|相続時精算課税を選んでいる場合は取り扱いが異なります
相続時精算課税を選択した贈与は、この7年ルールとは別に、年110万円の基礎控除を除いた金額が全額相続財産に加算されます。さかのぼる期間の制限がない点が、通常の暦年課税の贈与とは異なります。一度相続時精算課税を選ぶと、同じ贈与者からの贈与について暦年課税に戻すことはできません。
3|「もらった年」ではなく「相続開始日からの遡り」で数えます
何年前の贈与かは、贈与を受けた暦年ではなく、相続開始日を起点にさかのぼった日数で数えます。年の途中で相続が発生した場合、単純に「令和何年分」で区切って考えると数え違いが起こりやすいので注意してください。
4|配偶者控除や住宅取得等資金の非課税分は対象外です
贈与税の配偶者控除(いわゆるおしどり贈与)を受けた金額のうち控除された部分や、住宅取得等資金の贈与非課税の適用を受けた金額は、生前贈与加算の対象から除かれます。すべての贈与が一律に加算されるわけではありません。
よくある質問
- 7年ルールは、もう完全に適用されているのですか。
- 令和6年1月1日以後の贈与から新しいルールの対象になりますが、実際に7年間さかのぼるようになるのは段階的な経過措置を経てからです。相続がいつ開始したかによって、実際に遡る年数が変わります。ご自身のケースで何年前まで遡るのかは、相続開始日をもとに最新の制度で確認してください。
- 孫への贈与も加算の対象になりますか。
- 孫が相続や遺贈で財産を取得しないのであれば、原則として対象外です。ただし孫が遺言により財産を受け取る場合や、孫を養子にしていて相続人になっている場合、生命保険金の受取人になっている場合は、生前贈与加算の対象になります。
- 加算された金額に、あらためて贈与税がかかりますか。
- かかりません。加算はあくまで相続税を計算するための手続きです。すでに納めた贈与税がある場合は、二重課税にならないよう、算出された相続税額から差し引かれます。
- 年110万円以下で贈与税がかからなかった分も加算されますか。
- されます。贈与税がかからない範囲の贈与であっても、相続開始前7年以内であれば加算の対象です。ただし4~7年前の部分は合計100万円までは控除されるため、少額であれば加算額がゼロになることもあります。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 相続税法第19条(相続開始前一定期間内に贈与があった場合の相続税額)
- 国税庁タックスアンサー No.4161「贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」
- 国税庁「令和5年度相続税・贈与税の改正のあらまし」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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