- カテゴリ:相続税・贈与税
- 根拠:措法70の2
- 入力2項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
マイホームを買うときや建てるとき、親や祖父母からの資金援助に贈与税がかかるのではと心配する方は多いはずです。実は住宅資金の贈与には専用の非課税制度があり、一定の金額まで贈与税がかからずに資金援助を受けられます。省エネ性能の高い住宅かどうかで、非課税になる金額が変わります。
この計算式を3行でいうと
- 非課税枠は、省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外の住宅なら500万円です。基礎控除110万円と併用できます。
- 対象になるのは、父母・祖父母など直系尊属からの贈与です。配偶者の親からの贈与は対象になりません。
- 受贈者の所得が2,000万円以下であることや、翌年3月15日までに住み始めることなど、要件を満たす必要があります。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
住宅取得等資金の贈与非課税
措法70の2★結果コピーリンク父母・祖父母から住宅資金の贈与を受けた場合、省エネ等住宅1,000万円・その他500万円まで非課税。基礎控除110万円と併用できます。
| 非課税枠 | 1,000万円 |
| 基礎控除110万後の課税価格 | 390万円 |
| 贈与税(特例税率) | 48.5万円 |
こんなときに使います
- マイホームの購入や新築、増改築にあたり、親や祖父母から資金援助を受けるとき
- 資金援助の額が大きく、贈与税がいくらかかるのか、非課税にできないか知りたいとき
- 省エネ性能の高い住宅とそうでない住宅とで、非課税になる金額がどう変わるか比較したいとき
- 複数の祖父母や父母からまとめて資金援助を受ける予定があり、非課税枠の使い方を確認したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 住宅資金の贈与額 | 父母や祖父母から、住宅の取得・新築・増改築の資金として受け取った金額の合計です。 | 贈与契約書、振込明細で確認します。複数人から受けた場合は合計します。 |
| 省エネ等住宅1/その他0 | 取得する住宅が、省エネ等住宅の基準(断熱等性能等級・一次エネルギー消費量等級など)を満たすかどうかです。 | 住宅性能証明書、建設住宅性能評価書などの証明書類で確認します。 |
入力するのはこの2項目だけですが、実務でいちばん重要なのは省エネ等住宅の証明書を取得できるかどうかです。証明の有無で非課税枠が2倍近く変わるため、住宅会社や工務店に証明書の発行が可能かどうかを、契約前の段階で確認しておくと安心です。
計算のしくみ(3ステップ)
- 住宅の種類を確認する:省エネ等住宅の基準を満たすかどうかで、非課税枠が1,000万円になるか500万円になるかが決まります。
- 非課税枠を差し引く:受け取った贈与額から、該当する非課税枠を差し引きます。非課税枠を超える部分だけが、贈与税の課税対象として残ります。
- 基礎控除110万円をさらに差し引く:暦年課税の基礎控除110万円は、この非課税制度と併用できます。残った金額からさらに110万円を差し引いたものが、実際に贈与税がかかる課税価格です。
課税価格が出たら、そこに贈与税(直系尊属から18歳以上の子や孫への贈与に適用される、特例贈与財産用の税率)を掛けて、実際に納める贈与税額を求めます。課税価格がゼロやマイナスになる場合は、贈与税はかかりませんが、非課税の適用を受けるための申告は別途必要です。
具体例で確かめる
例1 省エネ等住宅で1,500万円の資金援助を受けたケース
課税価格 = 15,000,000円 - 10,000,000円 - 1,100,000円
課税価格は390万円。この金額に贈与税の税率を掛けて、実際の贈与税額を求める
例2 省エネ等住宅の基準を満たさない住宅で、800万円の資金援助を受けたケース
非課税枠は500万円になる 課税価格 = 8,000,000円 - 5,000,000円 - 1,100,000円
課税価格は190万円。同じ贈与額でも、省エネ基準を満たさないと課税価格が高くなる
例3 贈与額が非課税枠より少なかったケース
省エネ等住宅で500万円の資金援助を受けた場合 課税価格 = max(5,000,000円 - 10,000,000円 - 1,100,000円, 0)
課税価格はゼロ。贈与税はかからないが、余った非課税枠を翌年以降に繰り越すことはできない
ほかの贈与の制度との関係
| 組み合わせ | 内容 |
|---|---|
| 暦年課税の基礎控除110万円 | 併用できます。このページの計算式のとおり、非課税枠に加えて110万円を差し引けます。 |
| 相続時精算課税 | あわせて選ぶこともできます。その場合、非課税枠を超えた部分は相続時精算課税のルールで別途計算します。 |
| 相続開始前7年以内の生前贈与加算 | 非課税の適用を受けた金額は、相続財産に足し戻す生前贈与加算の対象から除かれます。 |
| 贈与税の配偶者控除(おしどり贈与) | 別の制度なので、要件を満たせば同じ年にどちらも使うことができます。ただし対象になる財産の種類が異なります。 |
特に最後の項目は見落とされがちです。通常の贈与は相続開始前7年以内に受けたものが相続財産に加算されますが、この非課税制度の対象になった金額はその対象から外れます。相続開始が近いタイミングでの住宅資金援助でも、非課税枠の範囲内であれば相続財産に影響しません。祖父母から孫へ住宅資金を贈与するケースでは、相続税と贈与税の両方を見据えた資金計画の選択肢のひとつとして検討されることがあります。
ここを間違えやすい
1|対象になるのは直系尊属からの贈与だけです
非課税になるのは、父母や祖父母など直系尊属からの贈与に限られます。配偶者の父母(義理の親)からの贈与や、おじ・おばからの贈与は、この制度の対象になりません。夫婦がそれぞれの実家から資金援助を受ける場合は、それぞれが自分の直系尊属からの贈与についてこの制度を使うことになります。
2|受贈者の所得要件があります
贈与を受ける人(子や孫)のその年の所得が2,000万円を超える場合は、この非課税制度を使えません。取得する住宅の床面積が40平方メートル台の場合は、さらに所得要件が厳しくなることがあります。共働き夫婦で収入が多い場合は、この所得要件にあてはまるかどうかを事前に確認しておく必要があります。
3|居住の期限を過ぎると非課税にならないことがあります
贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その資金で住宅を取得・新築し、実際に住み始める(またはその見込みがある)ことが要件です。工事の遅れなどで期限までに住み始められないと、非課税の適用を受けられない場合があるため、贈与を受けるタイミングと工期の見通しをあわせて確認しておく必要があります。
4|非課税の申告を忘れると適用されません
課税価格がゼロになる場合でも、この非課税制度の適用を受けるためには贈与税の申告が必要です。「税額がゼロだから申告しなくてよい」と考えて放置すると、非課税制度そのものが使えなくなるおそれがあります。
よくある質問
- 父と母、両方の親から資金援助を受けた場合、非課税枠は2倍になりますか。
- なりません。非課税枠は受贈者(もらう側)1人につき決まる金額です。父からも母からも祖父母からも受け取った場合でも、その合計額に対して非課税枠を1回だけ使います。誰から受け取った分をいくらとするかを分けて計算する必要はありません。
- 中古住宅の購入や増改築でも対象になりますか。
- 対象になります。新築だけでなく、一定の要件を満たす中古住宅の取得や、増改築の費用も、この非課税制度の対象に含まれます。中古住宅の場合は、新耐震基準に適合しているかどうかなど、新築とは別の要件が設けられている点に注意してください。建売住宅やマンションの購入も、要件を満たせば対象になります。
- 省エネ等住宅かどうかは、どうやって証明しますか。
- 住宅性能証明書や建設住宅性能評価書など、所定の書類で証明します。証明書を取得できない場合は、実際の性能にかかわらず、その他の住宅として500万円の非課税枠しか使えません。
- この制度の適用期限はいつまでですか。
- 期限が定められた時限的な制度であり、これまでも延長や非課税枠の見直しが繰り返されてきました。非課税枠の金額や要件も改正のたびに変更される可能性があるため、贈与を実行する前に、その時点での最新の適用期限と内容をあわせて確認してください。契約のタイミングによっては、適用される非課税枠が年度をまたいで変わることもあります。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 租税特別措置法第70条の2(直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税)
- 国税庁タックスアンサー No.4508「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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