- カテゴリ:消費税
- 根拠:消法37
- 入力2項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
消費税の納付税額は、本来は実際に支払った消費税額を1つずつ集計して計算しますが、それでは事務負担が大きくなります。そこで、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者は、実際の仕入税額を集計しなくても、売上にかかる消費税額から一定の割合を差し引くだけで計算できる簡易課税制度を選べます。この一定の割合を「みなし仕入率」といい、営んでいる事業の種類によって決まります。
この計算式を3行でいうと
- 納付税額は「売上の消費税額×(1-みなし仕入率)」で計算します。仕入の実額を集計する必要がありません。
- みなし仕入率は事業区分によって決まり、卸売業(1種)90%から不動産業等(6種)40%まで幅があります。
- 簡易課税を選べるのは、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者に限られます。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
簡易課税(単一事業)
消法37★結果コピーリンク基準期間の課税売上5,000万円以下なら、みなし仕入率で仕入税額控除を計算できます。
| 課税売上の消費税額 | ¥5,000,000 |
| ×(1−みなし仕入率70%) | ¥1,500,000 |
こんなときに使います
- 基準期間(原則2年前)の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税を使えるかどうかを確認したいとき
- 本則課税との比較で、簡易課税を選んだ場合の納付税額をおおまかに知りたいとき
- 仕入や経費の集計に手間がかかるため、簡便な方法で消費税額を試算したいとき
- 自分の事業がどのみなし仕入率の区分にあたるかを確認したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 課税売上に係る消費税額 | その課税期間の課税売上高にかかる消費税額です。税抜の課税売上高に税率を掛けて求めます。 | 売上帳、消費税の申告書の「課税標準額に対する消費税額」欄で確認します。 |
| みなし仕入率 | 営んでいる事業の種類ごとに決められた、仕入率とみなす割合です。 | 下の事業区分の早見表で、自分の事業がどこにあたるかを確認します。 |
事業区分とみなし仕入率の早見表
| 区分 | みなし仕入率 | 該当する事業のイメージ |
|---|---|---|
| 第1種事業 | 90% | 卸売業(他から仕入れたものをそのまま他の事業者に販売する事業) |
| 第2種事業 | 80% | 小売業(他から仕入れたものをそのまま消費者に販売する事業) |
| 第3種事業 | 70% | 製造業、建設業、農林漁業など |
| 第4種事業 | 60% | 飲食店業など、1・2・3・5・6種にあてはまらない事業 |
| 第5種事業 | 50% | サービス業、運輸通信業、金融・保険業 |
| 第6種事業 | 40% | 不動産業 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 課税売上にかかる消費税額を集計する:税抜の課税売上高に消費税率を掛けて、その課税期間の消費税額を求めます。
- 自分の事業のみなし仕入率を確認する:営んでいる事業が第1種から第6種のどれにあたるかを確認し、対応するみなし仕入率を使います。
- 納付税額を計算する:売上の消費税額に、(1-みなし仕入率)を掛けます。みなし仕入率が高いほど、控除される金額が大きくなり、納付税額は少なくなります。
具体例で確かめる
例1 製造業(第3種、みなし仕入率70%)で消費税額500万円のケース
納付税額 = 5,000,000円 ×(1-70%) = 5,000,000円 × 30%
納付税額は150万円
例2 サービス業(第5種、みなし仕入率50%)で消費税額300万円のケース
納付税額 = 3,000,000円 ×(1-50%) = 3,000,000円 × 50%
納付税額は150万円。売上の消費税額は少ないのに、製造業の例1と同じ納付税額になる
例3 卸売業(第1種、みなし仕入率90%)で消費税額200万円のケース
納付税額 = 2,000,000円 ×(1-90%) = 2,000,000円 × 10%
納付税額は20万円。みなし仕入率が高い事業ほど、納付額は小さくなる
ここを間違えやすい
1|適用には事前の届出が必要です
簡易課税制度を使うには、原則として適用を受けたい課税期間が始まる前に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出しておく必要があります。期首をすぎてから思い出しても、その課税期間には間に合いません。
2|一度選ぶと、原則2年間は継続適用になります
簡易課税を選択すると、事業を廃止した場合などを除き、原則として2年間は本則課税に戻すことができません。翌期に大きな設備投資を予定している場合などは、本則課税のほうが有利になることもあるため、事前に比較が必要です。
3|基準期間の課税売上高で毎期判定し直します
基準期間(原則として2年前の課税期間)の課税売上高が5,000万円を超えると、その課税期間は簡易課税を使えず、自動的に本則課税に戻ります。届出書を出したままでも、毎期その年の適用可否を確認する必要があります。
4|事業区分を誤ると納付税額がずれます
同じ会社でも、卸売・製造・サービスなど複数の事業を行っている場合は、取引ごとに区分を判定する必要があります。区分を1つにまとめて計算すると、本来より不利な、または有利すぎる納付税額になってしまうことがあります。
よくある質問
- 簡易課税と本則課税は、どちらが得ですか。
- 実際の仕入や経費が多い事業者は本則課税、少ない事業者は簡易課税が有利になる傾向があります。みなし仕入率と実際の仕入率を見比べて、両方を試算して比べることをおすすめします。
- 複数の事業を行っている場合はどうなりますか。
- 2種類以上の事業を行っている場合は、それぞれの事業の消費税額でみなし仕入率を加重平均して計算します。単一事業のみを行っている場合にこのページの計算方法を使います。
- 届出を出し忘れた場合はどうなりますか。
- 原則として、その課税期間は簡易課税を使えず、本則課税で計算することになります。災害など、やむを得ない事情がある場合の救済規定はありますが、個別の判断が必要です。
- 簡易課税をやめたいときはどうすればよいですか。
- 「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出します。ただし、選択してから2年間は原則として提出できません。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 消費税法第37条(中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例)
- 消費税法施行令第57条(事業区分及びみなし仕入率)
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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