- カテゴリ:相続税・贈与税
- 根拠:評基通26
- 入力4項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
自分の土地に建てたアパートやマンションを人に貸している場合、その土地は自分で使う場合よりも評価額が低くなります。これが貸家建付地の評価です。借りている人にも一定の権利があるため、その分だけ自由に使えない土地として評価が下がるしくみです。
この計算式を3行でいうと
- 評価額は「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」で計算します。借家権割合は全国一律30%です。
- 空室があると賃貸割合が下がり、評価減も小さくなります。全室が賃貸中なら賃貸割合は100%です。
- 自分が住んでいる部分や、家賃を取らずに貸している部分は貸家建付地の対象になりません。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
貸家建付地
評基通26★結果コピーリンク自分の土地にアパート等を建てて貸している場合の評価減。借地権割合・借家権割合・賃貸割合で減額します。
| 減額割合 | 18% |
| 評価額 | ¥41,000,000 |
こんなときに使います
- 自分の土地にアパートやマンションを建てて人に貸しているとき、相続税の評価額を確認したいとき
- 賃貸経営をしている土地を将来相続する場合に、評価額がどのくらい下がるか知りたいとき
- 入居者の一部が退去して空室が出ている物件の評価額を確認したいとき
- 更地のまま相続対策として賃貸物件を建てるかどうかを検討しているとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 自用地評価額 | その土地を自分で使うと仮定した場合の評価額です。貸家建付地の計算はこの金額が出発点になります。 | 路線価方式または倍率方式で計算した金額です。路線価図・評価倍率表(国税庁)で確認できます。 |
| 借地権割合 | その地域ごとに定められている割合で、地価の高い地域ほど高くなる傾向があります。 | 路線価図に記載されたアルファベット(AからGなど)で確認します。 |
| 借家権割合 | 建物を借りている人の権利の強さを示す割合です。 | 財産評価基本通達で定められており、現在は全国一律30%です。 |
| 賃貸割合 | 建物の中で実際に人に貸している部分の床面積の割合です。 | 各部屋(各独立部分)の床面積をもとに、賃貸中の床面積を全体の床面積で割って求めます。 |
借地権割合の記号早見表
| 路線価図の記号 | 借地権割合 |
|---|---|
| A | 90% |
| B | 80% |
| C | 70% |
| D | 60% |
| E | 50% |
| F | 40% |
| G | 30% |
路線価図では、道路に面して記載された路線価の数字のうしろに、このアルファベットが添えられています。地価の高い都心部ほどA・Bなど高い割合になり、郊外や地方ほどF・Gなど低い割合になる傾向があります。倍率方式の地域(路線価が定められていない地域)では、評価倍率表に借地権割合が別途示されています。
計算のしくみ(3ステップ)
- 自用地評価額を求める:路線価方式または倍率方式で、まずその土地を自分で使う場合の評価額を計算します。
- 減額の割合を求める:借地権割合×借家権割合×賃貸割合を計算します。この数字が、賃貸していることによって評価が下がる割合です。
- 評価額を計算する:自用地評価額から「自用地評価額×減額の割合」を差し引きます。残った金額が貸家建付地としての評価額です。
同じ土地でも、自分で住む場合より賃貸している場合のほうが評価額は低くなります。これは、賃借人の権利がある分だけ、所有者が自由に使ったり売ったりしにくくなることを反映した考え方です。逆に言えば、賃貸をやめて更地に戻したり自分で使い始めたりすると、評価額はもとの自用地評価額に戻ります。
具体例で確かめる
例1 全室が満室のアパートのケース
評価額 = 50,000,000円 ×(1 - 60% × 30% × 100%) = 50,000,000円 ×(1 - 0.18)
評価額は41,000,000円(自用地より900万円の評価減)
例2 4部屋のうち1部屋が空室のケース
賃貸割合 = 賃貸中の床面積 ÷ 全体の床面積 = 80% 評価額 = 50,000,000円 ×(1 - 60% × 30% × 80%)
評価額は42,800,000円(満室の場合より評価減が小さくなる)
例3 借地権割合が高い都心部のケース
自用地評価額100,000,000円、借地権割合70%、満室のケース 評価額 = 100,000,000円 ×(1 - 70% × 30% × 100%)
評価額は79,000,000円
ここを間違えやすい
1|賃貸割合は「部屋数」ではなく「床面積」で計算します
4部屋のうち1部屋が空室でも、単純に4分の3にはなりません。空室部分の床面積が建物全体の床面積の何パーセントを占めるかで計算するのが正しい方法です。
2|一時的な空室は賃貸中として扱える場合があります
相続開始の時点でたまたま空室でも、入居者の退去後すぐに次の入居者を募集していたなど一定の要件を満たせば、継続的に賃貸されていたものとして賃貸割合の計算に含められることがあります。
3|家賃を取らずに貸している部分は対象になりません
親族などに無償で使わせている場合は、貸家建付地としての評価減が認められないのが原則です。相当な金額の家賃を受け取っている賃貸借であることが前提になります。
4|自分が住んでいる部分は自用地のまま評価します
一棟の建物のうち1階を店舗として貸し、2階に自分が住んでいるような場合、貸している部分だけが貸家建付地の対象で、住んでいる部分は自用地として評価します。
よくある質問
- 更地にアパートを建てただけで評価額は下がりますか。
- 建物を建てて実際に人に貸し出している状態になって初めて評価減の対象になります。建築中や、完成後も空室のままの状態では対象になりません。
- 借地権割合はどこで確認できますか。
- 国税庁の路線価図で確認できます。道路ごとにAからGまでのアルファベットが記載されており、それぞれ90%から30%までの割合が対応しています。
- 青空駐車場として貸している土地も同じ計算ですか。
- 建物のない青空駐車場は貸家建付地にはあたりません。構築物のある駐車場などは扱いが異なる場合があるため、個別の判断が必要です。
- アパートローンの残債がある場合、評価額はさらに下がりますか。
- 土地の評価額そのものの計算には影響しません。ただし、亡くなった方に借入金の残高がある場合は、相続財産全体から債務として差し引くことができます。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 財産評価基本通達26(貸家建付地の評価)、財産評価基本通達94(借家権の評価)
- 国税庁タックスアンサー No.4614「貸家建付地の評価」
- 国税庁 路線価図・評価倍率表
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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