- カテゴリ:相続税・贈与税
- 根拠:評基通180
- 入力9項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
同族会社などの非上場株式は、証券取引所の値段がないため、独自の方法で評価します。そのひとつが類似業種比準価額です。業種が似ている上場企業の株価をもとに、配当・利益・純資産の3つの要素でどれだけ差があるかを比較して、評価会社の株価を計算します。おもに規模の大きな会社ほど、この方式の比重が高くなります。
この計算式を3行でいうと
- 類似業種の株価に、配当・利益・純資産の比率を平均した数値と斟酌率を掛けて1株あたりの比準価額を求めます。
- 斟酌率は会社の規模によって決まっており、大会社0.7・中会社0.6・小会社0.5です。
- 配当・利益・純資産の数値は、いったん1株の額面を50円とした金額に置き換えてから比較します。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
類似業種比準価額
評基通180★結果コピーリンク非上場株式を、類似業種の株価に配当・利益・純資産の比率と斟酌率を掛けて評価します。
| 比準割合 | 1.2167 |
| A×比準割合 | ¥365 |
| ×斟酌率 | ¥255 |
| ×(資本金等/50円) | ¥2,555 |
こんなときに使います
- 同族会社の株式を相続や贈与で移転する前に、評価額の見当をつけたいとき
- 自社株の評価額が高くなりすぎていないか、事業承継の準備段階で確認したいとき
- 類似業種比準価額と純資産価額のどちらが低くなるか比較したいとき
- 業績が変動した年に、評価額がどう変わるか試算したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 類似業種の株価A | 評価会社と同じ業種に分類される上場企業グループの平均株価です。 | 国税庁が毎月公表する「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等」で確認します。 |
| 類似 配当B | 類似業種の1株(50円額面換算)当たりの年配当金額です。 | 同じ国税庁の公表資料に記載されています。 |
| 類似 利益C | 類似業種の1株(50円額面換算)当たりの年利益金額です。 | 同じ公表資料に記載されています。 |
| 類似 純資産D | 類似業種の1株(50円額面換算)当たりの純資産価額(簿価)です。 | 同じ公表資料に記載されています。 |
| 評価会社 配当ⓑ | 評価会社の直前期以前2年間の平均配当金額を、50円額面に換算した金額です。 | 決算書の配当実績をもとに、取引相場のない株式の評価明細書で計算します。 |
| 評価会社 利益ⓒ | 評価会社の1株(50円換算)当たりの年利益金額です。 | 法人税申告書の所得金額をもとに、加算・減算の調整をして計算します。 |
| 評価会社 純資産ⓓ | 評価会社の1株(50円換算)当たりの帳簿価額による純資産価額です。 | 直前期末の貸借対照表の純資産の部をもとに計算します。 |
| 斟酌率 | 会社の規模によって決まる、評価を割り引くための係数です。 | 大会社0.7・中会社0.6・小会社0.5。会社規模の判定結果から決まります。 |
| 1株当たり資本金等 | 評価会社の資本金等の額を、実際の発行済株式数で割った金額です。 | 決算書の資本金等の額と発行済株式数から計算します。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 比準割合を求める:評価会社の配当・利益・純資産(ⓑⓒⓓ)を、それぞれ類似業種の配当・利益・純資産(BCD)で割り、3つを足して3で割ります。
- 類似業種の株価に掛ける:類似業種の株価Aに比準割合を掛け、さらに会社規模ごとの斟酌率(大会社0.7・中会社0.6・小会社0.5)を掛けます。
- 資本金等の差を調整する:ここまでの金額は1株の額面を50円としたときの価額なので、評価会社の実際の1株当たり資本金等を50円で割った数字を掛けて、実際の株式数ベースの金額に直します。
具体例で確かめる
例1 配当・利益・純資産のいずれも類似業種を上回るケース(大会社)
評価会社の配当6円・利益30円・純資産350円、類似業種は株価300円・配当5円・利益25円・純資産280円、斟酌率0.7、資本金等500円 比準割合 = (6÷5 + 30÷25 + 350÷280) ÷ 3 = (1.2 + 1.2 + 1.25) ÷ 3 = 約1.217 比準価額 = 300円 × 1.217 × 0.7 × (500円÷50円)
1株当たりの比準価額は2,555円(実際の申告では各段階に端数処理のルールがあります)
例2 中会社で利益が類似業種を下回るケース
評価会社の配当5円・利益15円・純資産300円、類似業種は株価300円・配当5円・利益25円・純資産280円、斟酌率0.6、資本金等500円 比準割合 = (5÷5 + 15÷25 + 300÷280) ÷ 3 = (1.0 + 0.6 + 約1.071) ÷ 3 = 約0.890
比準価額 = 300円 × 0.890 × 0.6 × 10 = 約1,603円
例3 利益が赤字だったケース(小会社)
評価会社の配当4円・利益0円(赤字)・純資産200円、類似業種は株価300円・配当5円・利益25円・純資産280円、斟酌率0.5、資本金等250円 比準割合 = (4÷5 + 0÷25 + 200÷280) ÷ 3 = (0.8 + 0 + 約0.714) ÷ 3 = 約0.505
比準価額は約379円 → 赤字の年でも比準割合はマイナスにならず、利益の比準割合は0として計算する
ここを間違えやすい
1|配当・利益・純資産はすべて50円額面に換算した金額を使います
評価会社の実際の1株当たり配当・利益・純資産をそのまま使うのではなく、いったん1株の額面が50円だったと仮定した金額に置き換えてから、類似業種の数値と比較します。
2|利益は直前期だけでなく2年平均を使うことがあります
年によって利益が大きく変動する会社では、直前期の利益と、直前期・直前々期の平均額のいずれか低いほうを選べる場合があります。どちらが有利かは実際の数値で比較する必要があります。
3|斟酌率は会社規模の判定を間違えると変わってしまいます
斟酌率は従業員数・総資産額・取引金額をもとにした会社規模の判定(大会社・中会社・小会社)で決まります。規模の判定を誤ると比準価額全体がずれてしまうため、判定は慎重に行う必要があります。
4|類似業種の株価は毎月更新されます
国税庁が公表する類似業種の株価等は毎月改定されます。課税時期(相続開始日や贈与日)が属する月と、その前後2か月分のうち、最も低い株価を選べるしくみになっています。
よくある質問
- 類似業種比準価額と純資産価額はどちらを使えばよいですか。
- 会社規模に応じて、両方式を組み合わせた金額や、いずれか低いほうを選べる場合があります。会社規模が大きいほど、類似業種比準価額の比重が高くなるのが一般的な傾向です。
- 業種はどうやって決まりますか。
- 評価会社の事業内容に応じて、日本標準産業分類に準じた区分から最も近い業種目を選びます。複数の事業を営んでいる場合は、取引金額の割合が大きい業種によることが原則です。
- 開業したばかりの会社でも使えますか。
- 直前期・直前々期の実績がない会社や、比準要素のほとんどがゼロの会社は、類似業種比準価額ではなく別の評価方法による扱いになる場合があります。
- 非上場株式の評価はどこで計算しますか。
- 「取引相場のない株式(出資)の評価明細書」という国税庁の様式に沿って計算します。判断が分かれやすい要素が多いため、税理士への相談をおすすめします。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 財産評価基本通達179(取引相場のない株式の評価の原則)、180(類似業種比準価額)
- 国税庁タックスアンサー No.4638「取引相場のない株式の評価」
- 国税庁「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等」(毎月公表)
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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