- カテゴリ:法人税
- 根拠:措法42の12の4
- 入力4項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
中小企業が生産性を上げる設備を導入するとき、一定の条件を満たせば大きな税制優遇を受けられます。それが中小企業経営強化税制です。設備の取得価額をその年に全額経費にする「即時償却」と、取得価額の一部を税額から直接差し引く「税額控除」のどちらかを選べるのが特徴で、会社の状況によってどちらが得かが変わります。
この計算式を3行でいうと
- 即時償却を選ぶと、設備の取得価額の全額をその事業年度の経費にできます。将来の減価償却費を先取りするだけで、総負担額は変わりません。
- 税額控除を選ぶと、取得価額の10%(資本金3,000万円超は7%)を法人税額から直接差し引けます。減価償却は通常どおり続けられます。
- この税制を使うには、事前に経営力向上計画の認定を受けておく必要があります。取得してから慌てて申請しても間に合わないことがあります。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
中小企業経営強化税制
措法42の12の4★結果コピーリンク経営力向上計画の認定を受けて対象設備を取得すると、即時償却か税額控除(資本金3,000万以下10%・超7%)を選択できます。
| 取得価額×10% | ¥2,000,000 |
| 上限(法人税×20%) | ¥1,600,000 |
| 税額控除額 | ¥1,600,000 |
こんなときに使います
- 生産性を高める機械や設備の導入を検討していて、税制優遇が使えるか確認したいとき
- 即時償却と税額控除のどちらを選ぶべきか、実際の金額で比較してみたいとき
- 資本金の金額によって税額控除の割合が変わることを知り、自社がどちらに該当するか確認したいとき
- 設備投資の稟議を作るために、税負担がどれくらい軽くなるかの目安を出したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 設備の取得価額 | 対象設備を購入した金額(付随費用を含む取得原価)です。 | 設備の見積書・請求書・固定資産台帳で確認します。 |
| 即時償却/税額控除の選択 | その事業年度に取得価額の全額を経費にする「即時償却」を選ぶか、法人税額から一部を直接差し引く「税額控除」を選ぶかです。 | 会社の利益水準や資金繰りの方針にあわせて選びます。両方は併用できません。 |
| 資本金3,000万円以下かどうか | 税額控除を選んだ場合の控除率を左右します。資本金3,000万円以下なら10%、超えると7%です。 | 登記簿謄本や決算書の資本金の額で確認します。 |
| 法人税額 | その事業年度の法人税額の見込みです。税額控除には、この金額の一定割合を上限とする制限があります。 | 決算の見込み、または前期の確定申告書の法人税額を目安にします。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 対象になる設備かどうかを確認する:経営力向上計画の認定を受けたうえで取得した、生産性向上に資する設備であることが前提です。
- 即時償却か税額控除かを選ぶ:即時償却なら取得価額の全額をその年の償却費にできます。税額控除なら、資本金3,000万円以下は取得価額の10%、超える場合は7%を法人税額から直接差し引きます。
- 税額控除の場合は上限を確認する:税額控除には、その事業年度の法人税額の一定割合を上限とする制限があります。上限を超える部分は、一定の要件のもとで翌期に繰り越せる場合があります。
具体例で確かめる
例1 資本金3,000万円以下の会社が2,000万円の設備を取得し、税額控除を選ぶケース
税額控除額 = 20,000,000円 × 10%
税額控除額200万円 → その年の法人税額から直接200万円を差し引ける
例2 同じ設備でも、資本金3,000万円超の会社が税額控除を選ぶケース
税額控除額 = 20,000,000円 × 7%
税額控除額140万円 → 資本金の規模だけで控除額に60万円の差が出る
例3 同じ設備で即時償却を選んだ場合との比較
即時償却額 = 取得価額の全額 = 20,000,000円が、その年の経費になる (税額控除200万円と比べ、その年の課税所得を大きく圧縮できる)
即時償却は「その年の税負担を大きく減らす」効果、税額控除は「税額そのものを直接減らす」効果というちがいがある
即時償却と税額控除、どちらが向いているか
| 比較の視点 | 即時償却 | 税額控除 |
|---|---|---|
| その年の効果 | 取得価額の全額が経費になり、その年の税負担を大きく圧縮できます。 | 取得価額の一部(10%または7%)を、法人税額から直接差し引きます。 |
| その後の減価償却 | すでに全額を経費にしているため、その後の減価償却費は原則としてありません。 | 通常どおりの減価償却を続けられます。 |
| 生涯の税負担総額 | 変わりません。将来の減価償却費を先取りしているだけです。 | 控除した分だけ、生涯の税負担総額が実質的に軽くなります。 |
| 向いているケース | その年の利益が特に大きく、今期の税負担を抑えたい場合 | 安定して利益が出ており、長期的な節税効果を重視する場合 |
ここを間違えやすい
1|経営力向上計画の認定は、原則として設備の取得前に必要です
計画の認定を受ける前に設備を取得してしまうと、この税制の適用を受けられないおそれがあります。取得の時期と認定手続きのタイミングについては、事前に専門家へ確認することをおすすめします。
2|即時償却は「非課税」ではなく「税負担の先送り」です
その年の税金は大きく減りますが、将来にわたって受けられたはずの減価償却費を先取りしているだけなので、会社が生涯に払う税金の総額そのものが減るわけではありません。
3|税額控除には上限があります
税額控除額は、その事業年度の法人税額の一定割合が上限です。上限を超える部分は、要件を満たせば翌期に繰り越せる場合がありますが、控除額の全額をその年に使い切れないこともあります。
4|似たしくみの設備投資減税との選択適用です
設備投資に関する税制優遇は複数あり、対象設備が重なることがあります。どちらも使える場合はより有利なほうを選びますが、重ねて適用することはできません。
よくある質問
- どんな設備でも対象になりますか。
- 生産性向上に資する設備として、経営力向上計画の認定を受けた設備が対象です。機械装置や器具備品、建物附属設備などが対象になり得ますが、業種や設備の種類によって細かい要件があります。
- 資本金3,000万円という金額は、何を基準にした区分ですか。
- 税額控除の割合を決める区分で、資本金(または出資金)の額が3,000万円以下かどうかで判定します。設備の取得価額そのものの基準ではありません。
- 即時償却と税額控除は、設備ごとに選び分けられますか。
- 対象設備ごとに、即時償却か税額控除かを選択できます。同じ事業年度内でも、設備Aは即時償却、設備Bは税額控除とすることも可能です。
- 個人事業主でも使えますか。
- 個人事業主も対象になり得ます。その場合は法人税ではなく所得税の計算上、同様の即時償却または税額控除を選択します。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 租税特別措置法第42条の12の4(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
- 中小企業等経営強化法(経営力向上計画の認定制度)
- 中小企業庁ホームページ「経営力向上計画」の概要
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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