圧縮記帳(国庫補助金)の計算方法|自動計算ツール

  • カテゴリ:法人税
  • 根拠:法法42
  • 入力2項目・その場で自動計算
  • 令和8年度の数値に対応

国や地方公共団体から補助金を受け取って機械や建物などの固定資産を買うと、補助金の額がそのまま利益として税金の対象になってしまいます。これでは補助金の効果が薄れてしまうため、圧縮記帳という制度で、その年の課税を将来に先送りできます。免税になるわけではなく、あくまで「今払う税金」を「あとで払う税金」に置き換える制度である点がポイントです。

この計算式を3行でいうと

  1. 圧縮できる金額(圧縮限度額)は、「補助金の額」と「固定資産の取得価額」のうち低いほうです。
  2. 圧縮した分だけ帳簿価額が下がり、その年の税金は減りますが、免除ではなく将来への繰り延べです。
  3. 圧縮後の帳簿価額をもとに、その後の減価償却費を計算します。将来の減価償却費はその分だけ少なくなります。

まずは計算してみる(自動計算ツール)

圧縮記帳(国庫補助金)

法法42結果コピーリンク

国等の補助金で固定資産を取得した場合、補助金相当額まで帳簿価額を圧縮して課税を繰り延べられます。

圧縮限度額 = min(補助金の額, 取得価額)
圧縮限度額 ¥10,000,000
圧縮限度額¥10,000,000
圧縮後帳簿価額¥5,000,000
返還不要が確定していること。圧縮後の帳簿価額で以後の減価償却。
目次

こんなときに使います

  • ものづくり補助金や省エネ関連の補助金などを受け取り、機械や設備を購入したとき
  • 補助金を受け取った年に利益が急に増え、法人税の負担が重くなりそうなとき
  • 圧縮記帳をした場合、その後の減価償却費がどれくらい減るのかを確認したいとき
  • 補助金の交付決定を受ける前に、税務上どんな処理になるのかを事前に把握しておきたいとき

入力する項目のかんたん解説

入力する項目どんな数字かどこを見ればよいか
国庫補助金の額国や地方公共団体などから交付を受けた補助金・助成金の金額です。補助金の交付決定通知書、または実際の入金額で確認します。
固定資産の取得価額補助金を使って取得した機械・建物などの資産の購入代金(付随費用を含む)です。設備の見積書・請求書、固定資産台帳で確認します。

計算のしくみ(3ステップ)

  1. 圧縮限度額を計算する:国庫補助金の額と、固定資産の取得価額とを比べて、低いほうの金額が圧縮限度額です。
  2. 帳簿価額を圧縮する:取得価額から圧縮限度額を差し引いた金額を、その資産の新しい帳簿価額とします。この差し引いた金額は、圧縮損としてその年の損金に算入できます。
  3. 圧縮後の帳簿価額で以後の減価償却を行う:翌期以降の減価償却費は、圧縮後の(小さくなった)帳簿価額をもとに計算します。

具体例で確かめる

例1 補助金1,000万円で1,500万円の機械を購入したケース

圧縮限度額 = min(10,000,000円, 15,000,000円) = 10,000,000円 圧縮後の帳簿価額 = 15,000,000円 - 10,000,000円 = 5,000,000円

1,000万円を損金(圧縮損)にでき、その年の課税所得をその分だけ減らせる

例2 補助金500万円で1,200万円の設備を購入したケース

圧縮限度額 = min(5,000,000円, 12,000,000円) = 5,000,000円 圧縮後の帳簿価額 = 12,000,000円 - 5,000,000円 = 7,000,000円

補助金の全額である500万円を圧縮損にできる

例3 補助金の額が取得価額に近いケース(上限の考え方)

補助金1,000万円で950万円の設備を購入した場合 圧縮限度額 = min(10,000,000円, 9,500,000円) = 9,500,000円

圧縮限度額は取得価額の950万円が上限。帳簿価額をマイナスにすることはできず、補助金の残り50万円は益金として課税される

ここを間違えやすい

1|圧縮記帳は「非課税」ではなく「課税の繰り延べ」です

その年の税金は軽くなりますが、圧縮した分だけ将来の減価償却費が少なくなるため、その資産を使い続ける期間全体で見ると、結局は同じ金額の利益に課税されます。トータルの税負担が減るわけではありません。

2|補助金の返還義務がないことが確定している必要があります

交付決定を受けただけで、まだ返還の可能性が残っている段階では圧縮記帳はできません。返還を要しないことが確定した事業年度で適用します。期末までに確定していない場合は、いったん「特別勘定」を設けて損金算入し(法人税法第43条)、確定した年に特別勘定を取り崩して圧縮記帳をする方法があります(第44条)。

3|圧縮記帳をするかどうかは選択制です

圧縮記帳は必ず行わなければならない処理ではありません。その年の業績によっては、あえて圧縮記帳をせず、補助金を丸ごと益金に計上したほうが有利な場合もあります(繰越欠損金がある年など)。

4|消費税の計算には圧縮記帳の影響はありません

圧縮記帳はあくまで法人税・所得税の計算上の処理です。消費税の課税標準額や仕入税額控除の計算は、圧縮記帳をする前の取引金額をもとに行います。

よくある質問

圧縮記帳をすると、会計上の利益にも影響しますか。
会計上も圧縮損を計上する方法(直接減額方式)と、積立金として処理する方法(積立金方式)があります。どちらを選ぶかによって、決算書の見え方が変わります。
補助金を受け取った年と、設備を取得した年がずれる場合はどうなりますか。
補助金を先に受け取り、期末までに返還不要かどうかが確定していない場合は、いったん「特別勘定」を設けて損金算入し(法人税法第43条)、返還不要が確定した事業年度に特別勘定を取り崩して圧縮記帳をします(第44条)。逆に設備を先に自己資金で取得し、翌期以降に補助金を受け取った場合は、補助金を受けた事業年度でその資産の帳簿価額を圧縮できますが、すでに減価償却した分に応じて限度額の調整が必要になります。時期によって適用条文や計算が変わるため、注意が必要です。
圧縮記帳をした資産を売却したらどうなりますか。
圧縮後の(小さくなった)帳簿価額をもとに売却損益を計算します。圧縮記帳をしていない場合に比べて、売却時の利益(譲渡益)が大きく出やすくなります。
都道府県や市区町村からの補助金にも使えますか。
使えます。都道府県や市区町村が交付する補助金も「国庫補助金等」に含まれ(法人税法施行令第79条)、一定の独立行政法人等からの補助金も対象です。ただし、固定資産の取得や改良に充てるために交付されるものに限られ、運転資金や人件費を補う補助金・助成金(雇用調整助成金など)は圧縮記帳の対象になりません。

根拠となる法令・出典

本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。

  • 法人税法第42条(国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮記帳)
  • 法人税法第43条(国庫補助金等に係る特別勘定の金額の損金算入)・第44条(特別勘定を設けている場合の国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)、法人税法施行令第79条(国庫補助金等の範囲)
  • 国税庁ホームページ「国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮記帳」関連情報

税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。

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