- カテゴリ:法人税
- 根拠:所基通36-40
- 入力4項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
役員に社宅を貸すと、通常の家賃を受け取っていないとみなされて、給与として課税されることがあります。ただし一定の賃貸料相当額を役員から実際に受け取っていれば、給与課税を避けられます。このページで扱うのは、床面積が小規模住宅の基準を超える、通常サイズの社宅の場合の計算方法です。
この計算式を3行でいうと
- 自社所有の社宅は、建物と敷地の固定資産税評価額をもとにした算式で、月ごとの賃貸料相当額を計算します。
- 借り上げ社宅は、その算式で計算した金額と、実際に会社が払っている家賃の50%を比べて、高いほうが賃貸料相当額になります。
- 床面積が小規模住宅の基準以下なら、もっと安い別の算式を使います。240平方メートル超の豪華な社宅は、実際の家賃相場で計算します。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
役員社宅(小規模以外・通常)
所基通36-40★結果コピーリンク床面積が小規模基準(木造132㎡・他99㎡)を超える役員社宅の賃貸料相当額。借上社宅は「計算額と支払家賃50%の高い方」です。
| 計算式による額 | ¥55,000 |
| (自社所有) | — |
| 徴収すべき賃貸料相当額 | ¥55,000 |
| 年額 | ¥660,000 |
こんなときに使います
- 役員に社宅を貸与することになり、役員から毎月いくら家賃を受け取ればよいかを決めたいとき
- 会社が所有する社宅と、会社が借り上げて役員に貸す社宅とで、計算方法のちがいを確認したいとき
- 床面積が広めの社宅で、小規模住宅の基準を超えていないかを確認したいとき
- 受け取る家賃が低すぎて、差額が役員給与として課税されていないかを点検したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 木造かどうか(耐用年数30年以下) | 社宅の建物が木造(耐用年数30年以下の構造)かどうかです。木造以外(鉄筋コンクリート造など)かで税率が変わります。 | 建物の登記簿謄本の構造欄、固定資産税の課税明細書で確認します。 |
| 建物の固定資産税課税標準額 | その社宅の建物にかかる固定資産税の計算のもとになっている評価額です。実際の購入価格や時価ではありません。 | 毎年市区町村から届く固定資産税の課税明細書(建物の欄)で確認します。 |
| 敷地の固定資産税課税標準額 | 社宅が建っている土地にかかる固定資産税の課税標準額です。 | 固定資産税の課税明細書(土地の欄)で確認します。借り上げ社宅で敷地の情報が分からない場合は、貸主に確認します。 |
| 借り上げの支払家賃(自社所有は0) | 会社が家主(第三者)に毎月支払っている家賃です。会社が所有する社宅の場合は0を入力します。 | 賃貸借契約書、家賃の振込明細で確認します。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 建物の分を計算する:建物の固定資産税課税標準額に、木造(耐用年数30年以下)なら12%、それ以外なら10%を掛けます。
- 敷地の分を足して月額に直す:敷地の固定資産税課税標準額に6%を掛けた金額を建物の分に足し、12で割って1か月あたりの金額にします。これが自社所有の場合の賃貸料相当額です。
- 借り上げ社宅なら、支払家賃の50%と比べる:会社が家主に支払っている家賃の50%を計算し、ステップ2で出した金額と比べて、高いほうを賃貸料相当額とします。
具体例で確かめる
例1 自社所有の木造社宅のケース
賃貸料相当額(月額) = (3,000,000円×12% + 5,000,000円×6%) ÷ 12 = (360,000円 + 300,000円) ÷ 12
月額55,000円 → 役員からこの金額以上を受け取っていれば給与課税されない
例2 同じ建物・敷地の評価額で、会社が家主から借り上げているケース(支払家賃15万円)
自社所有と同じ計算式の金額 = 55,000円 支払家賃の50% = 150,000円 × 50% = 75,000円 高いほうを取るので、賃貸料相当額 = max(55,000円, 75,000円)
月額75,000円 → 借り上げ社宅では、支払家賃の半額のほうが高くなることが多い
例3 木造以外(鉄筋コンクリート造など)の自社所有社宅のケース
賃貸料相当額(月額) = (6,000,000円×10% + 8,000,000円×6%) ÷ 12 = (600,000円 + 480,000円) ÷ 12
月額90,000円 → 木造かどうかで、建物部分の税率(12%か10%)が変わる
社宅の規模による計算方法のちがい
| 社宅の規模 | 床面積の目安 | 計算方法 |
|---|---|---|
| 小規模住宅 | 木造132平方メートル以下、木造以外99平方メートル以下 | このページとは別の、より安い算式を使います。 |
| 通常の社宅(このページの対象) | 小規模住宅の基準を超え、豪華社宅にも該当しない | 建物・敷地の固定資産税評価額をもとにした、このページの算式を使います。 |
| 豪華社宅 | 床面積がおおむね240平方メートルを超えるなど | このページの算式は使えません。実際に近隣で成立する家賃(時価)で計算します。 |
ここを間違えやすい
1|床面積が小規模住宅の基準以下なら、もっと安い算式を使います
木造なら132平方メートル以下、木造以外なら99平方メートル以下の社宅は、このページの算式ではなく、より低い金額になる小規模住宅用の算式を使います。区分を間違えると、必要以上に高い賃貸料相当額で計算してしまいます。
2|「固定資産税評価額」であって「時価」ではありません
計算のもとになるのは、あくまで固定資産税の課税標準額です。実際の売買価格や近隣の家賃相場とは一致しません。評価額が低い(古い)建物ほど、賃貸料相当額も低く出る傾向があります。
3|豪華社宅は、この算式そのものが使えません
床面積がおおむね240平方メートルを超える場合や、プールなど高額な設備があるなど、社会通念上「豪華」と判断される社宅は、この算式ではなく実際に成立する家賃(時価)で賃貸料相当額を計算します。
4|役員から家賃をまったく受け取っていないと、全額が給与課税されます
賃貸料相当額の一部を受け取っていれば、その差額だけが給与とみなされますが、家賃をまったく受け取っていない場合は、賃貸料相当額の全額が給与として課税対象になります。
よくある質問
- 役員から受け取る家賃を、賃貸料相当額よりわざと低く設定したらどうなりますか。
- 実際に受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額が、役員に対する給与(現物給与)として課税されます。会社側では、その差額分の源泉徴収も必要になります。
- 複数の役員が同じ社宅を交代で使う場合はどうなりますか。
- その社宅を実際に使用している役員について、使用期間に応じて賃貸料相当額を計算するのが基本的な考え方です。個別の事情によって取り扱いが変わることがあります。
- 固定資産税の課税標準額は、毎年変わりますか。
- 評価替えのタイミングなどで変わることがあります。課税明細書は毎年送られてくるため、年度が変わったら最新の評価額で確認しなおすことをおすすめします。
- 敷地を借地(会社が地代を払っている)している場合はどうなりますか。
- 敷地についても、会社が地主に地代を払っている場合は、建物と同様に自社所有分と借り上げ分の考え方を組み合わせて計算する必要があります。個別の確認をおすすめします。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 所得税基本通達36-40(自社所有の社宅等を貸与した場合の通常の賃貸料の額の計算)ほか役員社宅に関する一連の通達
- 国税庁タックスアンサー「役員に社宅などを貸したとき」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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