経営セーフティ共済の節税効果の計算方法|自動計算ツール

  • カテゴリ:法人税
  • 根拠:措法66の11
  • 入力3項目・その場で自動計算
  • 令和8年度の数値に対応

取引先の倒産に備える経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、掛金がそのまま損金(経費)になる、数少ない「支払いながら節税できる」制度です。しかし解約して戻ってきたお金には税金がかかるため、入り口だけでなく出口まで考えておく必要があります。この記事では、当期の節税額の目安と、出口で気をつけたいポイントをやさしく解説します。

この計算式を3行でいうと

  1. 掛金は月20万円・累計800万円まで全額損金。当期の節税額の目安は「掛金年額×実効税率」です。
  2. 40か月(3年4か月)以上納めていれば、任意解約でも掛金の100%が解約手当金として戻ります。
  3. 解約手当金は受け取った年に全額が益金(収入)になるため、受け取るタイミングを考えておく必要があります。

まずは計算してみる(自動計算ツール)

経営セーフティ共済(倒産防止共済)の節税効果

措法66の11結果コピーリンク

掛金は月20万円・累計800万円まで全額損金。40か月以上で解約手当金100%。課税の繰延べ効果と出口の注意点を計算します。

当期節税 = 掛金年額 × 実効税率 解約時: 解約手当金が全額益金(出口対策とセット)
当期の節税(繰延)効果 ¥816,000
損金算入額¥2,400,000
当期の税負担減¥816,000
累計残り枠¥5,600,000 / 800万
40か月以上の解約解約手当金100%(全額益金)
出口の定石赤字期・退職金支給期に解約をぶつける
R6.10以後の解約→再加入は2年間損金算入不可に。取引先倒産時は掛金10倍(上限8,000万)まで無利子借入可。
目次

こんなときに使います

  • 決算が近づき、今期の利益を見ながら節税策を検討しているとき
  • 取引先の倒産リスクに備えつつ、掛金を経費にできる制度を探しているとき
  • すでに加入していて、掛金をあといくら積み増せるか、解約したらいくら戻るかを知りたいとき
  • 解約のタイミングと、そのときの税負担をあらかじめ試算しておきたいとき

入力する項目のかんたん解説

入力する項目どんな数字かどこを見ればよいか
掛金年額(月20万まで)1年間に支払う掛金の合計額です。月額は5,000円から20万円の範囲で選べ、加入後に増額・減額もできます。中小機構との掛金振替の口座明細、共済契約締結証書に記載の月額から計算します。
掛金累計(800万上限)これまでに積み立てた掛金の総額です。累計が800万円に達すると、それ以上は積み立てられません。中小機構から届く「共済契約締結証書」や、加入後に送付される払込状況のお知らせで確認できます。
実効税率法人税・地方法人税・法人住民税・事業税などを合わせた、会社の利益にかかる税負担の割合です。会社の規模や所得水準によって変わります。前期の申告書で確認するか、顧問税理士に確認するのが確実です。

計算のしくみ(3ステップ)

  1. 年間の掛金額を確認する:月額(5,000円〜20万円)×12か月、または加入後に変更した月額をもとに年間の掛金合計を出します。
  2. 当期の節税額を試算する:掛金は全額を損金に算入できるため、掛金年額に実効税率をかけた金額が、その期に軽減される税額の目安になります。
  3. 累計額と上限を確認する:掛金の累計が800万円に達していないか、あと何年積み立てられるかを確認します。40か月以上納めていれば、任意解約でも掛金の全額が戻ります。

ここで計算しているのはあくまで「当期にどれだけ税負担が軽くなるか」という入り口の効果です。将来解約したときには、受け取った解約手当金がまるごと益金になるため、税金を将来に先送りしているだけともいえます。出口まで含めて考えることが大切です。

具体例で確かめる

例1 月20万円を1年間積み立てたケース

掛金年額 = 200,000円 × 12か月 = 2,400,000円 当期節税額 = 2,400,000円 × 34%(実効税率)

当期の節税額の目安は約81.6万円

例2 累計800万円に近づいてきたケース

掛金累計がすでに750万円まで積み上がっている場合、上限800万円まであと50万円 月20万円のペースだと、あと3か月弱で上限に到達する

上限到達後は追加で積み立てられないため、その後の節税策を別途検討する必要がある

例3 40か月未満で解約してしまうケース

加入から24か月(2年)で任意解約した場合 40か月以上という条件を満たしていない

掛金全額は戻らず、解約手当金は掛金合計より少ない金額になる(掛け捨て部分が生じる)

ここを間違えやすい

1|節税ではなく「課税の繰延べ」であることを忘れない

掛金を払うときに損金にできても、解約して受け取るときには全額が益金になります。トータルで税金が減るわけではなく、税金を払うタイミングを先送りしているのがこの制度の本質です。

2|解約手当金を受け取る年の利益計画を立てておく

大規模な設備投資や役員退職金の支給など、まとまった損金が出る年に合わせて解約すると、益金と損金が相殺されて税負担を抑えられます。何も対策のない年に解約すると、その年の利益が大きく膨らんでしまいます。

3|R6.10以後は、解約してすぐの再加入に制限があります

2024年10月以後に解約した場合、再加入から2年間は掛金を損金に算入できなくなりました。解約と再加入を繰り返して毎期損金を作る、という使い方はできなくなっている点に注意してください。

4|40か月未満の解約は元本割れします

加入期間が短いうちに解約すると、解約手当金は掛金合計より少なくなります。100%戻るのは40か月以上納めた場合です。短期間での解約を前提にした加入は避けてください。

よくある質問

個人事業主でも加入できますか。
加入できます。個人事業主の場合は必要経費に算入する形になり、法人とは適用される条文が異なりますが、掛金の上限や解約手当金のルールは同じです。
取引先が倒産していなくても、自由に解約して使えますか。
使えます。取引先の倒産時に共済金の貸付を受けられるのがこの制度の本来の目的ですが、倒産がなくても任意解約はいつでもでき、40か月以上納めていれば掛金全額が戻ります。
取引先が倒産した場合はどうなりますか。
無担保・無保証人で、掛金の10倍(上限8,000万円)まで無利子の貸付を受けられます。積み立てた掛金を取り崩すのではなく、別枠の貸付というかたちになります。
掛金はいつでも増額・減額できますか。
月5,000円から20万円の範囲で、増額・減額どちらも可能です。ただし減額には取引先の経営状況の悪化など一定の要件が必要になる場合があるため、中小機構に確認してください。

根拠となる法令・出典

本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。

  • 租税特別措置法第66条の11(中小企業倒産防止共済契約に係る掛金の必要経費算入等)
  • 中小企業基盤整備機構「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)」制度概要
  • 国税庁ホームページ 法人税関係質疑応答事例(共済契約の掛金の取扱い)

税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。

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