役員退職金(功績倍率法)の計算方法|自動計算ツール

  • カテゴリ:法人税
  • 根拠:法基通9-2-27の3
  • 入力3項目・その場で自動計算
  • 令和8年度の数値に対応

役員が退職するときに支払う退職金は、いくらでも会社の経費(損金)にできるわけではありません。税務上「不相当に高額」と判断された部分は損金不算入になります。適正額の目安を求める代表的な方法が功績倍率法で、最終報酬月額・勤続年数・功績倍率の3つを掛け合わせて計算します。この計算機では、その目安額をかんたんに試算できます。

この計算式を3行でいうと

  1. 適正額の目安は「最終報酬月額×勤続年数×功績倍率」で計算します。功績倍率は社長で3.0前後が実務上の目安です。
  2. 目安額を超える部分は損金不算入となり、法人税の負担が増えることがあります。
  3. 功績倍率は業種・規模・在任中の実績によって変わるため、個別の判断が必要です。

まずは計算してみる(自動計算ツール)

役員退職金(功績倍率法)

法基通9-2-27の3結果コピーリンク

役員退職金の損金算入の上限目安。最終報酬月額に勤続年数と功績倍率(社長は3.0前後が目安)を掛けて適正額を算定します。

適正額 = 最終報酬月額 × 勤続年数 × 功績倍率
適正退職金の目安 ¥90,000,000
計算1,000,000円 × 30年 × 3倍
適正額¥90,000,000
功績倍率は判例・実態で判断。過大部分は損金不算入。
目次

こんなときに使います

  • 社長や役員が勇退するにあたり、退職金の金額をいくらにするか検討しているとき
  • 功績倍率法で計算した適正額と、実際に支払う予定の退職金を比べて妥当かどうか確認したいとき
  • 死亡退職金や分掌変更にともなう退職金の、おおまかな目安を知りたいとき
  • 退職金規程を作る前に、損金算入できる範囲の目安をつかんでおきたいとき

入力する項目のかんたん解説

入力する項目どんな数字かどこを見ればよいか
最終報酬月額退職直前の役員報酬の月額です。退職の直前に不自然に増額・減額していた場合は、実質的な最終報酬月額で判断すべきとされることがあります。株主総会議事録、役員報酬台帳、直近の役員給与明細で確認します。
勤続年数役員として在任した年数です。1年未満の端数は切り上げて計算するのが一般的です。就任時期がわかる登記簿謄本や株主総会議事録で確認します。
功績倍率会社への貢献度を反映する倍率です。社長の場合は3.0前後が実務上の目安とされています。役職によって水準は変わります。過去の裁判例や同業他社の支給状況などを参考に、個別に判断します。

計算のしくみ(3ステップ)

  1. 最終報酬月額を確認する:退職直前の役員報酬の月額を確認します。
  2. 勤続年数を確認する:役員として在任した年数を確認します。端数は切り上げるのが一般的です。
  3. 3つを掛け合わせる:最終報酬月額×勤続年数×功績倍率で、損金算入できる目安の上限額を求めます。

具体例で確かめる

例1 最終報酬月額100万円・勤続30年・功績倍率3.0のケース

適正額の目安 = 1,000,000円 × 30年 × 3.0

適正額の目安は9,000万円

例2 最終報酬月額150万円・勤続20年・功績倍率3.0のケース

適正額の目安 = 1,500,000円 × 20年 × 3.0

適正額の目安は9,000万円(月額と年数の組み合わせが違っても同じ水準になることがある)

例3 目安額を超える退職金を支払ったケース(例1の条件で、実際の支給額が1億2,000万円)

適正額の目安 = 1,000,000円 × 30年 × 3.0 = 9,000万円 実際の支給額120,000,000円 - 適正額90,000,000円 = 30,000,000円

超えた3,000万円は損金不算入になる可能性がある

ここを間違えやすい

1|功績倍率3.0は絶対的な基準ではありません

社長で3.0前後という水準はあくまで実務上の目安であり、法令で定められた数字ではありません。税務調査では、業種・規模・同業他社の支給状況などから個別に判断されます。

2|退職直前の報酬増額は否認されやすい傾向があります

退職金の額を大きくする目的で、退職の直前だけ役員報酬を大幅に増額すると、実質的な最終報酬月額として認められない場合があります。報酬改定の経緯や理由を説明できるようにしておく必要があります。

3|分掌変更による退職金には別のルールがあります

実際には退職していなくても、代表権のない役員への変更など実質的な地位や職務内容の大幅な変化があった場合に、退職金として損金算入できる制度があります。ただし要件は厳しく、個別の判断が必要です。

4|功績倍率法だけで適正額が確定するわけではありません

功績倍率法は適正額を見積もる代表的な方法の一つですが、実際の税務判断では同業種・同規模法人の支給実績など、ほかの要素も含めて総合的に検討されます。

よくある質問

功績倍率3.0は、どんな役員にも当てはまりますか。
社長で3.0前後が目安とされていますが、専務・常務・平取締役など役職によって水準は異なり、一律ではありません。会社への貢献度や在任中の実績も加味して検討されます。
勤続年数の端数はどう扱いますか。
1年未満の端数は切り上げて計算するのが一般的な取り扱いです。たとえば29年6か月の在任なら30年として計算します。
適正額を超える退職金を支払ったらどうなりますか。
超えた部分は法人税の計算上、損金に算入できません。会社の税負担が増えるほか、受け取る役員側の所得区分にも影響することがあります。
退職金規程を作っておけば、その金額どおりに認められますか。
退職金規程があること自体は重要ですが、それだけで適正額と認められるわけではありません。規程の内容も含めて、実態に照らした総合的な判断が行われます。

根拠となる法令・出典

本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。

  • 法人税法施行令第70条(過大な役員給与の額)、法人税基本通達9-2-27の3(分掌変更等の場合の退職給与)
  • 国税庁タックスアンサー No.5208「役員が退職したときの退職金の損金算入時期」

税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。

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