- カテゴリ:相続税・贈与税
- 根拠:相法15
- 入力1項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
相続税には「ここまでの財産なら税金はかかりません」という非課税ラインがあります。それが基礎控除です。亡くなった方の財産の合計がこの金額以下なら、相続税はかからず、申告も原則として不要になります。金額は法定相続人が何人いるかだけで決まるので、いちばん最初に確認すべき数字です。
この計算式を3行でいうと
- 基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。人数が1人増えるごとに600万円ずつ非課税ラインが上がります。
- 財産の合計が基礎控除以下なら相続税はゼロ。超えた部分にだけ税金がかかります。
- 数えるのは「実際に相続した人」ではなく「法律上の相続人」。相続を放棄した人も人数に入れます。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
相続税の基礎控除
相法15★結果コピーリンク相続税がかかるかどうかの分岐点。法定相続人の数で決まります。
| 3,000万+600万×3人 | 4,800万円 |
こんなときに使います
- 親が亡くなり、そもそも相続税がかかるのかどうかを最初に確かめたいとき
- 元気なうちに、自分の財産だと将来いくらまで無税で渡せるのかを知りたいとき
- 生命保険に入る、生前贈与を始めるなど、相続対策を始めるかどうかを判断したいとき
- 養子縁組を検討していて、基礎控除がいくら増えるのかを確かめたいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 法定相続人の数 | 民法で相続人と決められている人の人数です。実際に財産を受け取ったかどうかは関係ありません。 | 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本をたどると確定できます。役所または法務局(法定相続情報一覧図)で取得します。 |
入力するのはこの1項目だけです。むずかしいのは金額ではなく「人数の数え方」のほうなので、次の表で確認してください。
法定相続人はこう数えます
| ケース | 人数に入るか | ひとこと解説 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 必ず入る | 夫または妻は、常に相続人になります。順位はありません。 |
| 子(第1順位) | 入る | 子がいれば、親や兄弟姉妹は相続人になりません。 |
| 父母(第2順位) | 子がいないときだけ入る | 子も孫もいない場合に相続人になります。 |
| 兄弟姉妹(第3順位) | 子も父母もいないときだけ入る | この場合、甥や姪への代襲は1代限りです。 |
| 相続を放棄した人 | 入る | 基礎控除の計算では「放棄はなかったもの」として数えます。放棄で人数が減ることはありません。 |
| 亡くなった子の子(孫) | 入る(代襲相続) | 子が先に亡くなっている場合、その子(孫)が代わりに相続人になります。孫が2人なら2人と数えます。 |
| 養子 | 人数制限あり | 実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までしか数えられません。 |
| 内縁の配偶者・事実婚の相手 | 入らない | 法律上の婚姻関係がないため、相続人になりません。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 法定相続人を確定する:戸籍をたどって、配偶者と第1順位から順に相続人を確定します。放棄した人も数に入れます。
- 基礎控除を計算する:3,000万円に、600万円×人数を足します。人数1人なら3,600万円、2人なら4,200万円です。
- 財産の合計と比べる:預貯金・不動産・株式・生命保険金などを合計した課税価格が基礎控除以下なら相続税はゼロ、超えた部分が課税の対象になります。
具体例で確かめる
例1 夫が亡くなり、妻と子2人が相続人のケース
法定相続人 = 妻1人 + 子2人 = 3人 基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 3人
基礎控除 = 4,800万円 → 財産が4,800万円以下なら相続税はかからない
例2 子のうち1人が相続を放棄したケース
放棄はなかったものとして数えるため、法定相続人はやはり3人 基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 3人
基礎控除 = 4,800万円(放棄しても金額は変わらない)
例3 実子2人に加えて、孫2人と養子縁組していたケース
実子がいるので、養子は1人までしか数えられない 法定相続人 = 配偶者1人 + 実子2人 + 養子1人 = 4人 基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 4人
基礎控除 = 5,400万円(養子2人でも1人分しか増えない)
ここを間違えやすい
1|基礎控除以下でも申告が必要なことがあります
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使った結果、税額がゼロになる場合は、申告書の提出が特例を受けるための条件です。「税金がゼロだから申告しなくてよい」と考えて放置すると、特例そのものが使えなくなります。
2|比べる相手は「財産の総額」ではありません
基礎控除と比べるのは、生命保険金の非課税枠や借入金・葬式費用を差し引いたあとの課税価格です。生命保険金には別に「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。
3|節税目的だけの養子縁組は否認されることがあります
養子を増やせば基礎控除は増えますが、税務上の人数制限に加え、不当に相続税を減らす結果になると認められる場合は人数に算入されないことがあります(相続税法第63条)。
4|期限は10か月。過ぎると特例が使えません
申告と納付の期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。遺産分割がまとまらないままでも、いったん法定相続分で申告しておく必要があります。
よくある質問
- 財産が基礎控除以下なら、本当に何もしなくてよいのですか。
- 特例を使わずに税額がゼロになるのであれば、相続税の申告は不要です。ただし、不動産の名義変更(相続登記)は2024年4月から義務化されており、相続税とは別に3年以内の手続きが必要です。
- 生命保険金は財産に含めるのですか。
- 含めます。ただし「500万円×法定相続人の数」までは非課税です。たとえば相続人3人なら1,500万円まで非課税で、これを超えた部分だけを財産に加えて基礎控除と比べます。
- 借入金や葬式費用は差し引けますか。
- 差し引けます。住宅ローンなどの債務と、通夜・告別式にかかった費用は財産から控除できます。ただし香典返しや初七日以降の法要の費用は控除できません。
- 相続人が誰もいない場合はどうなりますか。
- 法定相続人がゼロなら基礎控除は3,000万円です。財産は最終的に国庫に帰属しますが、特別縁故者への分与が認められる場合もあります。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 相続税法第15条(遺産に係る基礎控除)、第12条(相続税の非課税財産)、第63条
- 国税庁タックスアンサー No.4152「相続税の計算」/No.4132「相続人の範囲と法定相続分」
- 国税庁タックスアンサー No.4114「相続税の課税対象になる死亡保険金」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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