- カテゴリ:所得税
- 根拠:所法28
- 入力1項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
毎月の給料や賞与からそのまま税金が計算されるわけではありません。所得税を計算するときの土台になるのは、給与所得という金額です。給与収入から「給与所得控除額」という一定の金額を差し引いたもので、いわば会社員の必要経費にあたるものがあらかじめ差し引かれるしくみになっています。源泉徴収票を見ながら、この金額がどう決まるのかを確認していきましょう。
この計算式を3行でいうと
- 給与所得は「給与収入-給与所得控除額」。控除額は収入に応じて自動計算され、上限は195万円です。
- 給与所得は総合課税の土台になる金額で、事業所得や雑所得など他の所得と合算して所得税額を計算します。
- 源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄がそのまま給与所得です。配偶者控除などの判定にも使われます。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
給与所得
所法28★結果コピーリンク給与収入から給与所得控除を引いた額が給与所得です(令和2年以後の控除額)。
| 給与収入 | ¥6,000,000 |
| 給与所得控除 | ¥1,640,000 |
| 給与所得 | ¥4,360,000 |
こんなときに使います
- 源泉徴収票を見て、自分の「給与所得」がいくらになるのか確認したいとき
- 昇給や転職で年収が変わり、課税のベースになる金額がどう変わるか知りたいとき
- 配偶者控除・扶養控除の判定や、副業の所得と合算した総所得を計算したいとき
- 住宅ローンの審査や保育料の算定など、税務以外の手続きで所得金額の提出を求められたとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 給与収入(年) | 1月から12月までの1年間に、会社から支払われた給与・残業手当・賞与などの合計額です。税金や社会保険料を引かれる前の総支給額を指します。 | 源泉徴収票の「支払金額」欄。年の途中で転職した場合は、前職分と合算した金額を使います。 |
入力するのは給与収入の1項目だけです。そこから先の給与所得控除額の計算は、所得税法で定められた基準にもとづいてツールが自動的に行います。収入が多いほど控除額も大きくなりますが、一定額を超えると控除額は195万円で頭打ちになり、それ以上収入が増えても控除額は増えません。
計算のしくみ(3ステップ)
- 給与収入を確定する:1年間の給与・賞与の総支給額を合計します。通勤手当など非課税のものは含めません。
- 給与所得控除額を自動計算する:所得税法が定める基準にもとづき、収入額に応じた控除額が決まります。控除額の上限は195万円です。
- 給与所得を求める:給与収入から給与所得控除額を引いた金額が給与所得です。ここに他の所得を合算し、さらに基礎控除などの所得控除を引いたものが、実際に税率をかける課税所得になります。
具体例で確かめる
例1 給与収入1,200万円の管理職のケース
給与収入が高いため、給与所得控除額は上限の195万円が適用される 給与所得 = 12,000,000円 - 1,950,000円
給与所得は1,005万円。これ以上収入が増えても控除額は195万円のまま変わらない
例2 賞与を含めて給与収入を求めるケース
月給35万円×12か月=420万円、賞与120万円 給与収入 = 4,200,000円 + 1,200,000円
入力する給与収入は540万円。毎月の給与だけでなく賞与も忘れずに合算する
例3 通勤手当を除いて給与収入を求めるケース
給与明細の総支給額が600万円で、このうち非課税の通勤手当が15万円含まれている場合 入力する給与収入 = 6,000,000円 - 150,000円
入力する給与収入は585万円。非課税の通勤手当は給与収入に含めない
給与所得に含まれるもの・含まれないもの
| 区分 | 含まれる(給与収入に入れる) | 含まれない(除く) |
|---|---|---|
| 手当 | 残業手当、住宅手当、役職手当、家族手当など、課税対象の諸手当 | 一定額までの非課税の通勤手当 |
| 賞与 | 夏季・冬季賞与、決算賞与など、支給されたボーナス | 給与から天引きされる社会保険料の会社負担分 |
| 経費精算 | 手当として上乗せされる出張日当のうち課税対象部分 | 実費精算の出張旅費、業務に使った経費の立替精算分 |
| 現物給与 | 社宅の貸与や食事の提供などで、経済的利益として課税される部分 | 業務に必要な制服の貸与など、課税されないと整理されるもの |
ここを間違えやすい
1|手取り額を給与収入と勘違いしない
給与収入は、税金や社会保険料が引かれる前の総支給額です。銀行口座に振り込まれる手取り額を入力すると、実際より低い金額で計算してしまいます。
2|年の途中で転職した場合は前職分も合算する
給与所得は1年間の給与収入をもとに計算します。転職した年は、前の会社の源泉徴収票を新しい勤務先に提出して年末調整で合算するか、確定申告で自分で合算する必要があります。
3|「給与所得控除後の金額」と「課税所得」は別のものです
源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」はあくまで給与所得です。ここからさらに基礎控除・社会保険料控除・扶養控除などの所得控除を引いた金額が、実際に税率をかける課税所得になります。
4|副業がある場合は、給与所得だけで判断しない
副業による雑所得や事業所得がある場合は、給与所得と合算して総所得金額を計算し、確定申告が必要かどうかを判断します。給与以外の所得が一定額を超える会社員は、原則として確定申告が必要になる場合があります。
よくある質問
- アルバイト・パートの収入も給与所得になりますか。
- なります。雇用契約にもとづいて支払われる収入であれば、正社員・パート・アルバイトを問わず給与所得として扱われ、同じ給与所得控除の計算が適用されます。
- 2か所以上から給与をもらっている場合はどう計算しますか。
- すべての勤務先からの給与収入を合計してから、給与所得控除額を計算します。年末調整は主たる勤務先1か所でしか受けられないため、通常は確定申告で合算精算します。
- 給与所得控除額はどのように決まるのですか。
- 所得税法が定める基準により、給与収入の額に応じて自動的に決まります。収入が多いほど控除額も大きくなりますが、一定額を超えると195万円で頭打ちになります。
- 役員報酬も同じ計算方法ですか。
- 役員報酬も給与所得として扱われ、基本的に同じ計算方法です。ただし過大な役員報酬は法人税の計算上、損金にできない場合があるなど、法人側の取扱いには別の論点があります。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 所得税法第28条(給与所得)
- 国税庁タックスアンサー No.1400「給与所得」
- 国税庁タックスアンサー No.2508「給与所得となるもの」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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