退職所得の計算方法|自動計算ツール

  • カテゴリ:所得税
  • 根拠:所法30
  • 入力3項目・その場で自動計算
  • 令和8年度の数値に対応

長年勤めた会社を退職するときに受け取る退職金は、給与とは別の計算方法で税金が決まります。それが退職所得です。勤続年数が長いほど税負担が軽くなるように設計されており、通常は退職金の半分程度にしか税金がかからないやさしい制度です。ただし、役員等の短期勤続や、勤続年数が短い人の退職金には例外があります。この記事では、控除額の考え方と例外のルールをやさしく解説します。

この計算式を3行でいうと

  1. 退職所得は「(退職金-退職所得控除額)×2分の1」。控除額は勤続年数が長いほど大きくなります。
  2. 役員等としての勤続年数が5年以下の「特定役員退職手当等」は、2分の1課税が適用されません。
  3. 一般従業員でも勤続5年以下の短期退職手当等は、300万円を超える部分に2分の1課税が適用されません。

まずは計算してみる(自動計算ツール)

退職所得

所法30結果コピーリンク

退職金から退職所得控除を引き、原則2分の1にした額が退職所得。役員等勤続5年以下等は1/2の例外があります。

退職所得 = (退職金 − 退職所得控除額) × 1/2
退職所得(課税) ¥5,000,000
退職所得控除¥15,000,000
控除後¥10,000,000
退職所得¥5,000,000
1=特定役員(1/2なし)・2=短期(300万超1/2なし)・0=通常。
目次

こんなときに使います

  • 退職金の支給が決まり、手取りでいくら受け取れるかを確認したいとき
  • 役員を退任するにあたり、退職金にどのくらい税金がかかるかを事前に試算したいとき
  • 転職が多く勤続年数が短い場合、退職金の税負担がどう変わるかを知りたいとき
  • 退職所得の源泉徴収票を見て、天引きされた税額が正しいか確認したいとき

入力する項目のかんたん解説

入力する項目どんな数字かどこを見ればよいか
退職金会社の退職金規程や役員退職慰労金規程にもとづいて支給される金額の総額です。退職金の支給決定通知書、株主総会・取締役会の議事録(役員の場合)で確認できます。
勤続年数入社日から退職日までの年数です。1年未満の端数がある場合は、1年に切り上げて数えます。雇用契約書、辞令、人事部が発行する在籍証明書などで確認します。
区分(0通常/1特定役員/2短期)退職所得控除後の2分の1課税が使えるかどうかを分ける区分です。通常は0、役員等で勤続5年以下なら1、一般従業員で勤続5年以下なら2を選びます。自分がどの区分にあたるかは、勤続年数と、退職時の役職(取締役・執行役等かどうか)から判断します。

計算のしくみ(3ステップ)

  1. 退職所得控除額を求める:勤続年数が20年以下の部分は1年あたり40万円(最低80万円)、20年を超える部分は1年あたり70万円として計算します。勤続年数の長さが、そのまま非課税枠の大きさになります。
  2. 退職金から控除額を差し引く:退職金の総額から、1で求めた退職所得控除額を差し引きます。マイナスになる場合は退職所得はゼロです。
  3. 区分に応じて2分の1を掛ける:区分が「通常」なら差額に2分の1を掛けます。「特定役員」は2分の1を掛けずそのまま、「短期」は300万円以下の部分だけ2分の1を掛け、300万円を超える部分はそのままの金額を合算します。

具体例で確かめる

例1 勤続30年、退職金2,500万円(通常)のケース

退職所得控除額 = 800万円 + 70万円 ×(30年-20年)= 1,500万円 退職所得 =(25,000,000円 - 15,000,000円)× 1/2

退職所得は500万円。2,500万円のうち、税金の対象になるのは500万円だけ

例2 勤続4年の取締役、退職金800万円(特定役員)のケース

退職所得控除額 = 40万円 × 4年 = 160万円 退職所得 = 8,000,000円 - 1,600,000円(2分の1を掛けない)

退職所得は640万円。役員等で勤続5年以下のため、2分の1課税は使えない

例3 勤続3年の一般従業員、退職金500万円(短期)のケース

退職所得控除額 = 40万円 × 3年 = 120万円(最低80万円を上回るのでそのまま) 控除後の金額 = 5,000,000円 - 1,200,000円 = 3,800,000円 300万円以下部分300万円×1/2=150万円、300万円超部分80万円はそのまま

退職所得は230万円(150万円+80万円)。全額に2分の1を掛けた場合より高くなる

区分(通常・特定役員・短期)の違い

区分該当する人2分の1課税の扱い
0 通常勤続5年を超える一般の退職者(役員・従業員とも)控除後の金額全体に2分の1を掛ける
1 特定役員取締役・執行役・監査役など役員等としての勤続年数が5年以下の人2分の1を掛けない(控除後の金額がそのまま退職所得)
2 短期役員等ではない一般従業員で、勤続年数が5年以下の人控除後の金額のうち300万円以下の部分だけ2分の1を掛け、300万円を超える部分はそのまま

ここを間違えやすい

1|勤続年数の1年未満の端数は切り上げる

勤続9年6か月であれば10年として控除額を計算します。切り捨てではなく切り上げである点を間違えないようにしてください。

2|「役員だから特定役員」とは限りません

特定役員に該当するかどうかは、勤続年数のうち役員等であった期間が5年以下かどうかで判定します。従業員から役員に昇格して長く勤めている場合は、通常の区分になることもあります。

3|同じ年に複数の退職金を受け取ると調整が必要です

会社の退職金とiDeCo・確定拠出年金の一時金を同じ年、または近い年に受け取ると、退職所得控除額の計算で調整が必要になる場合があります。受け取る順番やタイミングによって税負担が変わるため、個別の確認をおすすめします。

4|「退職所得の受給に関する申告書」を出し忘れると税額が変わる

この申告書を退職金の支払者に提出していれば、退職所得控除を織り込んだうえで源泉徴収されます。提出していないと一律の税率で源泉徴収され、確定申告で精算することになります。

よくある質問

退職所得は他の所得と合算して税率が決まりますか。
合算しません。退職所得は給与所得や事業所得などとは別に税額を計算する「分離課税」です。他の所得がいくら多くても、退職所得の税率には影響しません。
退職所得控除額より退職金が少ない場合はどうなりますか。
退職所得はゼロになり、所得税・住民税ともにかかりません。控除額を使い切れなかった分を他の所得に回すことはできません。
会社都合と自己都合で控除額は変わりますか。
退職所得控除額の計算式そのものは、退職理由によって変わりません。ただし失業給付などの別の制度では退職理由が影響することがあります。
勤続年数に休職期間は含まれますか。
原則として、在籍していた期間として勤続年数に含めます。ただし出向期間の扱いなど、個別の事情によって判断が分かれる場合があるため、勤務先の人事・経理担当者に確認してください。

根拠となる法令・出典

本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。

  • 所得税法第30条(退職所得)、第201条(源泉徴収)
  • 国税庁タックスアンサー No.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」
  • 国税庁タックスアンサー No.2725「退職所得の源泉徴収」

税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。

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