- カテゴリ:所得税
- 根拠:所法35
- 入力3項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
老齢基礎年金や老齢厚生年金などの公的年金等を受け取っている方は、年金の収入にそのまま税金がかかるわけではありません。年齢や収入額に応じて決まる「公的年金等控除」を差し引いた金額が、税金の計算のもとになる雑所得です。ここでは、公的年金等以外の合計所得金額が1,000万円以下の方を中心に、雑所得の計算方法を確認します(1,000万円超・2,000万円超の方は控除額が縮小されるため、ツールでは区分を選んで計算できます)。
この計算式を3行でいうと
- 雑所得は「公的年金等の収入-公的年金等控除」で計算します。控除額は年金収入の金額帯によって段階的に分かれています。
- 65歳以上か65歳未満かで最低控除額が変わります。65歳以上のほうが控除額は大きく設定されています。
- 下の速算表は公的年金等以外の合計所得金額が1,000万円以下の方のものです。1,000万円超の方は控除額が10万円、2,000万円超の方は20万円少なくなります(ツールでは区分を選べます)。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
公的年金等の雑所得
所法35★結果コピーリンク公的年金等の収入から、年齢区分と「公的年金等以外の合計所得金額」に応じた公的年金等控除を引いて雑所得を計算します。
| 公的年金等の収入 | ¥3,000,000 |
| 公的年金等控除額 | ¥1,100,000 |
| 年齢区分 | 65歳以上 |
| 年金以外の合計所得 | 1,000万円以下 |
| 雑所得 | ¥1,900,000 |
こんなときに使います
- 老齢年金の受給が始まり、確定申告や住民税申告のために雑所得を計算したいとき
- 年金収入だけで暮らしていて、確定申告が必要かどうかを判断する材料にしたいとき
- 年金と給与、年金と個人年金など、複数の収入がある年に所得の内訳を確認したいとき
- 65歳の誕生日を迎える年に、控除額がどう変わるか把握しておきたいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 公的年金等の収入 | 老齢基礎年金・老齢厚生年金・確定給付企業年金など、公的年金等に当たる年間の受給額の合計です。遺族年金・障害年金など非課税の年金は含めません。 | 日本年金機構などから届く「公的年金等の源泉徴収票」の支払金額欄で確認します。 |
| 65歳以上かどうか | その年の12月31日時点で65歳以上かどうかです。65歳以上と65歳未満で控除額の表が異なります。 | 生年月日から判定します。 |
| 年金以外の合計所得(0/1/2) | 公的年金等の雑所得を除いた合計所得金額の区分です。1,000万円以下なら0、1,000万円超2,000万円以下なら1、2,000万円超なら2を入れます。1は控除額が10万円、2は20万円少なくなります。 | 給与所得・事業所得・不動産所得などの合計。給与だけなら給与所得控除後の金額で判定します。年金以外に大きな所得がなければ0のままで構いません。 |
公的年金等控除額の速算表(公的年金等以外の合計所得金額1,000万円以下)
65歳未満の場合
| 公的年金等の収入金額 | 雑所得の金額 |
|---|---|
| 60万円以下 | 0円 |
| 60万円超 130万円未満 | 収入金額-60万円 |
| 130万円以上 410万円未満 | 収入金額×0.75-27万5千円 |
| 410万円以上 770万円未満 | 収入金額×0.85-68万5千円 |
| 770万円以上 1,000万円未満 | 収入金額×0.95-145万5千円 |
| 1,000万円以上 | 収入金額-195万5千円 |
65歳以上の場合
| 公的年金等の収入金額 | 雑所得の金額 |
|---|---|
| 110万円以下 | 0円 |
| 110万円超 330万円未満 | 収入金額-110万円 |
| 330万円以上 410万円未満 | 収入金額×0.75-27万5千円 |
| 410万円以上 770万円未満 | 収入金額×0.85-68万5千円 |
| 770万円以上 1,000万円未満 | 収入金額×0.95-145万5千円 |
| 1,000万円以上 | 収入金額-195万5千円 |
公的年金等以外の合計所得金額が1,000万円超2,000万円以下の方は上の表の控除額から10万円(たとえば65歳以上の最低控除額は100万円、上限は185万5千円)、2,000万円超の方は20万円(同90万円・175万5千円)をそれぞれ差し引いた額が控除額になります。
計算のしくみ(3ステップ)
- 年齢を確認する:その年の12月31日時点で65歳以上かどうかを確認します。65歳以上のほうが控除額は大きくなります。
- 収入金額がどの段階かを確認する:年齢ごとの速算表で、公的年金等の収入金額がどの範囲に入るかを確認します。
- 速算表の式に当てはめる:その段階の式(収入金額×割合-控除額、または収入金額-一定額)に当てはめて、雑所得の金額を求めます。公的年金等以外の合計所得金額が1,000万円を超える方は控除額を10万円(2,000万円超なら20万円)減らして計算します。
具体例で確かめる
例1 この計算機の初期値:65歳以上、年金収入300万円(年金以外の所得1,000万円以下)のケース
110万円超330万円未満の段階(公的年金等控除は110万円) 雑所得 = 3,000,000円 - 1,100,000円
雑所得1,900,000円。年金収入200万円なら同じ段階で雑所得900,000円
例2 65歳未満、企業年金もあわせて年金収入350万円のケース
130万円以上410万円未満の段階 雑所得 = 3,500,000円 × 0.75 - 275,000円
雑所得2,350,000円
例3 65歳以上、厚生年金と企業年金をあわせて年金収入500万円のケース
410万円以上770万円未満の段階 雑所得 = 5,000,000円 × 0.85 - 685,000円
雑所得3,565,000円
ここを間違えやすい
1|年金収入がそのまま所得になるわけではありません
年金の支給額(振込額ではなく額面)から公的年金等控除を差し引いた金額が所得です。控除額は収入が多いほど大きくなりますが、控除される割合は段階的に下がっていきます。
2|65歳に達する年は12月31日時点で判定します
年の途中で65歳になった場合でも、控除額の判定はその年の12月31日時点の年齢で行います。誕生日が年末に近くても、その年は65歳以上の表を使います。
3|遺族年金・障害年金は非課税で、この計算には含めません
遺族年金や障害年金は非課税所得のため、公的年金等の収入には含めません。老齢年金だけを対象に計算してください。
4|年金収入が少なくても確定申告が必要な場合があります
公的年金等の収入が400万円以下かつ、それ以外の所得が20万円以下であれば確定申告不要制度が使えますが、医療費控除など還付を受けたい場合は申告したほうが有利なことがあります。
よくある質問
- 企業年金や個人年金も公的年金等に含まれますか。
- 厚生年金基金や確定給付企業年金など、制度としての企業年金の多くは公的年金等に含まれます。一方、生命保険会社と個人で契約した個人年金保険は公的年金等ではなく別の雑所得として扱われ、控除の計算方法も異なります。
- 公的年金等の収入が60万円(65歳以上は110万円)以下なら申告不要ですか。
- 雑所得はゼロになりますが、他に所得がある場合はその所得について申告が必要です。年金以外に所得がなければ、税額が発生せず申告不要となるケースが多いです。
- 年金からすでに所得税が源泉徴収されています。それでも申告は必要ですか。
- 公的年金等の収入が400万円以下で、かつ年金以外の所得が20万円以下であれば、確定申告不要制度により申告を省略できます。ただし源泉徴収された税金の還付を受けたい場合は、申告したほうが有利なことがあります。
- 合計所得金額が1,000万円を超える場合はどうなりますか。
- 公的年金等以外の合計所得金額が1,000万円超2,000万円以下の方は控除額が10万円、2,000万円超の方は20万円、このページの速算表より少なくなります(たとえば65歳以上・年金収入300万円なら雑所得は190万円ではなく200万円・210万円)。ツールでは「年金以外の合計所得」の区分を1または2にすると自動で反映されます。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 所得税法第35条(雑所得・第4項の公的年金等控除額)
- 租税特別措置法第41条の15の3(公的年金等以外の合計所得金額が1,000万円を超える場合の公的年金等控除額の特例)
- 国税庁タックスアンサー No.1600「公的年金等の課税関係」
- 国税庁タックスアンサー No.1155「公的年金等を受給されている方の確定申告」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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