- カテゴリ:所得税
- 根拠:所法32・89
- 入力2項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
長年育てた山林を伐採して売ったり、山林そのものを譲渡したりして得た利益は山林所得として、給与や事業の所得とは別の方法で税額を計算します。山林は育つまでに長い年月がかかるため、利益をまとめて1年で受け取っても税負担が急に重くならないよう「5分5乗方式」という特別な計算方法が使われます。
この計算式を3行でいうと
- 山林所得は「総収入金額-必要経費-特別控除(最大50万円)」で計算します。所有期間が5年を超える山林が対象です。
- 税額は、山林所得を5分の1にしてから速算表で税額を出し、それを5倍に戻す「5分5乗方式」で計算します。
- 伐採費の実額計算が難しい場合、収入金額の50%に伐採費等を足す「概算経費控除」の特例を使うこともできます。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
山林所得(五分五乗)
所法32・89★結果コピーリンク所有5年超の山林の伐採・譲渡。特別控除50万円後、5分5乗方式で税額を計算します。
| 山林所得(−特別控除50万) | ¥4,500,000 |
| 五分五乗税額 | ¥225,000 |
| +復興2.1% | ¥229,725 |
こんなときに使います
- 所有していた山林を伐採して、立木や木材を売却したとき
- 山林(立木を含む)そのものを他人に譲渡したとき
- 相続で受け継いだ山林を、一定期間所有したあとに伐採・譲渡することを検討しているとき
- 実際の必要経費の記録が乏しく、概算での経費計算ができるか確認したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 総収入金額 | 山林の伐採・譲渡によって得た収入の合計です。立木の販売代金や譲渡代金が該当します。 | 木材業者との取引明細、売買契約書などで確認します。 |
| 必要経費 | 植林費、下刈り費、伐採費、管理費など、山林の育成・譲渡にかかった費用の合計です。概算経費控除の特例を使う場合は、収入金額×50%+伐採費等で計算することもできます。 | 造林・伐採にかかった費用の領収書、管理記録から集計します。 |
計算のしくみ(4ステップ)
- 山林所得の金額を求める:総収入金額から必要経費を差し引き、さらに特別控除(最大50万円)を差し引きます。
- 5分の1にする:求めた山林所得を5で割ります。長期間かけて生じた利益を1年分に薄めるイメージです。
- 速算表で税額を求める:5分の1にした金額に所得税の速算表を当てはめて税額を計算します。
- 5倍に戻して復興税を加える:3で求めた税額を5倍に戻し、そこに復興特別所得税2.1%を上乗せした金額が最終的な税額です。
具体例で確かめる
例1 総収入800万円、必要経費300万円のケース
山林所得 = 8,000,000円 - 3,000,000円 - 500,000円(特別控除) = 4,500,000円 5分の1 = 900,000円 → 税率5%・控除額0円 → 45,000円 45,000円 × 5 = 225,000円
復興特別所得税を加えた税額は約229,725円
例2 総収入2,000万円、必要経費600万円の大口のケース
山林所得 = 20,000,000円 - 6,000,000円 - 500,000円 = 13,500,000円 5分の1 = 2,700,000円 → 税率10%・控除額97,500円 → 172,500円 172,500円 × 5 = 862,500円
復興特別所得税を加えた税額は約880,613円
例3 概算経費控除の特例を使うケース(総収入1,000万円、伐採費100万円)
概算経費 = 10,000,000円 × 50% + 1,000,000円 = 6,000,000円 山林所得 = 10,000,000円 - 6,000,000円 - 500,000円 = 3,500,000円 5分の1 = 700,000円 → 税率5%・控除額0円 → 35,000円 35,000円 × 5 = 175,000円
復興特別所得税を加えた税額は約178,675円
ここを間違えやすい
1|所有期間5年以下の伐採・譲渡は山林所得になりません
取得してから5年以内に伐採・譲渡した場合は、山林所得ではなく事業所得や雑所得として扱われ、5分5乗方式は使えません。取得日と伐採・譲渡日の間隔を必ず確認してください。
2|山ごと土地を売った場合は分けて考えます
山林(立木部分)の譲渡は山林所得ですが、土地そのものの譲渡は譲渡所得(分離課税)として別に計算します。売買代金を立木分と土地分に分ける必要があります。
3|5分5乗方式は所得税だけの計算です
住民税は山林所得についても別の計算方法が定められています。所得税の5分5乗方式をそのまま住民税に当てはめないよう注意してください。
4|特別控除は50万円が上限です
総収入から必要経費を引いた金額が50万円に満たない場合、特別控除はその金額が上限になります。控除によって所得がマイナスになることはありません。
よくある質問
- 自分で山の手入れをしていて、経費の領収書があまり残っていません。それでも申告できますか。
- 概算経費控除の特例を使えば、実額の記録が乏しくても、収入金額の50%に伐採費等を加えた金額を必要経費として計算できます。実額計算と概算計算のどちらか有利なほうを選べます。
- 山林所得と林業を営む事業所得は何が違いますか。
- 山林の伐採・譲渡による利益そのものは山林所得ですが、苗木の植栽から一貫して行う林業経営など、事業として反復継続的に行っている部分の所得は事業所得として扱われることがあります。
- 相続で取得した山林の場合、所有期間はいつから数えますか。
- 相続や贈与で取得した場合は、亡くなった方や贈与した方が取得した日から通算して所有期間を数えます。相続してすぐに伐採しても、被相続人の所有期間と合算して5年を超えていれば山林所得の対象になります。
- 災害で山林が被害を受けた場合の売却も同じ計算ですか。
- 基本的な計算方法は同じですが、災害を受けた山林については被害の程度に応じた特例が別途設けられている場合があります。個別の事情に応じて確認が必要です。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 所得税法第32条(山林所得)、第89条(税率)
- 国税庁タックスアンサー No.1480「山林所得」
- 国税庁タックスアンサー No.2260「所得税の税率」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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