労災の休業(補償)給付の計算方法|自動計算ツール

  • カテゴリ:社会保険
  • 根拠:労災法14
  • 入力3項目・その場で自動計算
  • 令和8年度の数値に対応

仕事中や通勤中のケガ・病気で会社を休み、給料をもらえないときは、労災保険から休業中の生活を支える給付が支給されます。金額のベースになるのは、休む直前3か月間の賃金から計算する給付基礎日額です。休業4日目からは、この日額の80%(休業(補償)給付60%+休業特別支給金20%)が支給されます。

この計算式を3行でいうと

  1. 給付基礎日額は、休業直前3か月間の賃金総額を、その期間の暦日数で割って計算します。
  2. 休業4日目から、給付基礎日額の80%(休業給付60%+特別支給金20%)が休業日数分だけ支給されます。
  3. 労災の休業給付は非課税です。通勤災害でも同じ水準の給付が受けられますが、最初の3日間は会社の補償がありません。

まずは計算してみる(自動計算ツール)

労災の休業(補償)給付

労災法14結果コピーリンク

業務災害・通勤災害で休業した場合、休業4日目から給付基礎日額の60%(休業補償給付)+20%(休業特別支給金)=80%が支給されます。給付基礎日額は平均賃金(1円未満切上げ)です。

給付基礎日額 = 直前3か月の賃金総額 ÷ 暦日数(1円未満切上げ) 支給額 = 給付基礎日額 × (60%+20%) × (休業日数 − 待期3日)
支給見込み ¥237,384
平均賃金(賃金総額÷暦日数)¥9,890
給付基礎日額(1円未満切上げ・労災法8条の5)¥9,891
対象日数(待期3日除く)30日
休業(補償)給付(60%)¥178,038
休業特別支給金(20%)¥59,346
合計(80%)¥237,384
待期3日分業務災害は会社が平均賃金の60%を補償(通勤災害は補償なし)
非課税。待期3日間は業務災害なら会社が平均賃金の60%を補償(通勤災害は補償なし)。賞与は算定から除き特別給与として年金給付に反映。給付基礎日額には年齢階層別の最低・最高限度額あり(療養開始後1年6か月〜)。
目次

こんなときに使います

  • 従業員が仕事中や通勤中にケガをして会社を休むことになり、労災からいくら支給されるか知りたいとき
  • 休業が4日以上になりそうで、待期期間の3日を除いた支給額の目安を計算したいとき
  • 休職中の生活費の見通しを立てるために、休業補償のおおよその金額を知りたいとき
  • 会社側で、労災にあった従業員に支給の仕組みを説明する資料を準備したいとき

入力する項目のかんたん解説

入力する項目どんな数字かどこを見ればよいか
直前3か月の賃金総額労災にあった日の直前3か月間に支払われた賃金の合計です。基本給や諸手当を含み、賞与は含めません。給与明細や賃金台帳の、直近3か月分の支給額を確認します。
3か月の暦日数賃金総額を計算した3か月間の、実際のカレンダー上の日数です。対象になる3か月分のカレンダーを数えます。おおむね90日前後になるのが一般的です。
休業日数仕事や通勤のケガで、実際に会社を休んだ日数です。会社の出勤簿や休業期間の記録から確認します。

給付基礎日額は、労働基準法上の平均賃金の考え方とほぼ同じしくみで計算します。直前3か月間にたまたま欠勤が多かった、逆に残業が多く賃金が普段より高かった、というような月が含まれていると、日額もその影響を受けます。

計算のしくみ(4ステップ)

  1. 給付基礎日額を計算する:労災にあった日の直前3か月間に支払われた賃金総額を、その期間の暦日数で割ります(1円未満は切上げ)。日給・時給制などで低くなる場合は「賃金総額÷労働日数×60%」との比較や最低保障額(毎年8月改定)があります。
  2. 待期期間の3日を差し引く:休業日数から、支給の対象にならない最初の3日間(待期期間)を引きます。
  3. 支給額を計算する:給付基礎日額に80%(休業(補償)給付60%+休業特別支給金20%)をかけ、待期期間を除いた休業日数をかけます。
  4. 支給開始日を確認する:支給が始まるのは休業4日目からです。最初の3日間は、業務災害の場合に会社が休業補償を行うことがあります。

休業(補償)給付と休業特別支給金は、それぞれ請求書の様式が分かれていますが、通常はまとめて労働基準監督署に提出します。医師の証明や会社の証明が必要になるため、休業が長引きそうな場合は早めに準備しておくとよいでしょう。

具体例で確かめる

例1 直前3か月の賃金90万円(暦日数91日)、33日間休業したケース(この計算機の初期値)

平均賃金 = 900,000円 ÷ 91日 = 9,890.10円 → 給付基礎日額は1円未満を切り上げて9,891円(労災保険法8条の5) 支給対象日数 = 33日 - 3日(待期期間)= 30日 休業(補償)給付 = 9,891円 × 60% × 30日 = 178,038円 休業特別支給金 = 9,891円 × 20% × 30日 = 59,346円

支給額はあわせて237,384円。一部休業日の有無や賃金総額の範囲によって、実際の支給決定額とわずかにずれることがあります

例2 同じ条件で、休業が5日間と短かったケース

給付基礎日額 = 900,000円 ÷ 91日 → 1円未満切上げで9,891円 支給対象日数 = 5日 - 3日(待期期間)= 2日 休業(補償)給付 = 9,891円 × 60% × 2日 = 11,869円 休業特別支給金 = 9,891円 × 20% × 2日 = 3,956円

支給額はあわせて15,825円。休業日数が短いと、待期期間3日の影響が大きくなります

例3 直前3か月の賃金120万円(暦日数92日)、95日間休業したケース

給付基礎日額 = 1,200,000円 ÷ 92日 = 13,043.47円 → 1円未満切上げで13,044円 支給対象日数 = 95日 - 3日(待期期間)= 92日 休業(補償)給付 = 13,044円 × 60% × 92日 = 720,028円 休業特別支給金 = 13,044円 × 20% × 92日 = 240,009円(各1円未満切捨て)

支給額はあわせて960,037円(暦日数と支給対象日数がどちらも92日なので、賃金総額の80%=960,000円に切上げ分が上乗せされた金額)。休業が長くなるほど、賃金総額に対する給付の割合が80%に近づきます

80%の内訳

名称給付率性質
休業(補償)給付給付基礎日額の60%労災保険の本来の給付です。
休業特別支給金給付基礎日額の20%本来の給付に上乗せされる支給金です。
合計給付基礎日額の80%休業4日目から、支給対象の休業日数分だけ支給されます。

休業(補償)給付と休業特別支給金は、根拠になる制度も請求書の様式も別々ですが、実務ではまとめて「休業給付」と呼ばれることが多く、あわせて80%という水準で語られます。この計算機でも、2つを合計した金額を一度に試算します。

ここを間違えやすい

1|支給は休業4日目から。最初の3日間は待期期間です

休業初日から3日間は「待期期間」として、労災保険からの休業(補償)給付は支給されません。業務災害の場合はこの間、会社が休業補償を行う義務がありますが、通勤災害の場合は会社に補償の義務がありません。待期期間の3日は、必ずしも連続している必要はなく、通算して3日になれば足りるとされています。

2|賃金総額には賞与を含めません

給付基礎日額を計算する賃金総額には、直前3か月間の基本給や諸手当は含めますが、賞与(ボーナス)は含めません。賞与は特別給与として、休業給付とは別に年金給付の算定などで扱われます。3か月の賃金総額を入力するときは、賞与の支給月をまたいでいても、賞与分を混ぜて計算しないよう注意してください。

3|通勤災害でも給付の水準は同じです

通勤中のケガも、仕事中のケガ(業務災害)と同じ80%の水準で休業給付が支給されます。ただし、通勤災害には会社の休業補償の義務がないため、待期期間の3日間は無給になることがあります。また、通勤の経路や方法によっては、そもそも通勤災害と認められるかどうかの判断が必要になる場合もあります。

4|休業(補償)給付そのものは非課税です

労災保険から支給される休業(補償)給付・休業特別支給金は非課税です。所得税や住民税の対象にはなりませんが、会社から給料の一部が別途支払われている場合は、その部分には通常どおり税金がかかります。年末調整や確定申告の際に、休業給付を収入として記載する必要はありません。

よくある質問

休業が3日以内で終わった場合はどうなりますか。
休業日数が3日以内の場合、すべて待期期間にあたるため、労災保険からの休業(補償)給付は支給されません。
賃金総額を計算する3か月は、いつからいつまでですか。
労災にあった日、またはその原因となった病気やケガが発生した日の直前3か月間です。賃金の締め日に応じて、実務上の数え方が細かく決まっているため、正確な期間は労働基準監督署や社会保険労務士に確認すると安心です。給与が月末締め・翌月払いなどの会社では、直近の給与明細をそのまま3か月分足すだけでは期間がずれることもあります。
休業中に会社から給料の一部が支払われている場合はどうなりますか。
休業(補償)給付が支給されるのは「賃金を受けない日」で、会社から支払われた賃金が給付基礎日額の60%未満であれば「賃金を受けない日」として給付の対象になり、60%以上なら支給されません。1日の一部だけ休業した日は「(給付基礎日額 − その日に支払われた賃金額)× 60%」で計算します。無給の休業を前提にした計算と実際の金額が異なる場合があるため、給料の一部を支払う予定がある会社は、事前に労働基準監督署へ相談しておくと手続きがスムーズです。
休業が長引くと金額は変わりますか。
療養を始めてから1年6か月を経過すると、給付基礎日額に年齢階層ごとの最低・最高限度額が適用され、日額が調整されることがあります。また、1年6か月を経過しても治らず傷病等級1〜3級に該当する場合は、休業(補償)給付から傷病(補償)年金に切り替わります。
通院のためだけに半日休んだ場合も対象になりますか。
所定労働時間の一部について労働できず賃金が支払われなかった日は、「(給付基礎日額 − その日に支払われた賃金額)× 60%」(休業特別支給金は同じ差額の20%)が支給されます。1日の一部だけ休んだ場合の扱いは個別の判断が必要なため、労働基準監督署に確認することをおすすめします。通院だけで済んだ日が続く場合は、休業というより療養(補償)給付の対象として扱われることもあります。

根拠となる法令・出典

本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。

  • 労働者災害補償保険法第8条(給付基礎日額)・第8条の5(端数処理)・第14条(休業補償給付)・第22条の2(休業給付)、労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条(休業特別支給金)
  • 厚生労働省「休業(補償)給付の請求手続き」
  • 厚生労働省「労災保険給付の概要」

税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。

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