労働保険の年度更新(概算保険料)の計算方法|自動計算ツール

  • カテゴリ:社会保険
  • 根拠:労保徴収法15
  • 入力4項目・その場で自動計算
  • 令和8年度の数値に対応

労働保険(労災保険と雇用保険をあわせた呼び方)は、毎年6月から7月にかけて「年度更新」という手続きで保険料を精算します。前の年度の確定保険料と、これから1年分の概算保険料をあわせて申告し、差額を納めるしくみです。この計算機では、年間の賃金総額と保険料率から、概算保険料を試算します。

この計算式を3行でいうと

  1. 労働保険の年度更新では、年間の賃金総額に労災保険率と雇用保険率をかけて概算保険料を計算します。
  2. 労災保険料は全額を会社が負担します。雇用保険料は本人負担分と会社負担分で料率が異なります。
  3. 保険率は業種によって大きく異なります。申告と納付の期限は原則として毎年6月1日から7月10日までです。

まずは計算してみる(自動計算ツール)

労働保険の年度更新(概算保険料)

労保徴収法15結果コピーリンク

年間賃金総額に労災保険率と雇用保険率を掛けて、年度更新で納付する概算保険料を計算します。

労災 = 賃金総額×労災率(全額会社負担) 雇用 = 賃金総額×(本人率+会社率)
概算保険料 ¥495,000
労災保険(会社全額)¥90,000
雇用保険(本人)¥150,000
雇用保険(会社)¥255,000
合計(年)¥495,000
うち会社負担¥345,000
労災率は事業種類で2.5〜88/1000。建設業は請負金額×労務費率の特例。6/1〜7/10に申告納付。
目次

こんなときに使います

  • 毎年6月に届く「年度更新」の申告書を書く前に、概算保険料がいくらになるか事前に試算したいとき
  • 従業員を増やす予定があり、賃金総額が増えると労働保険料がどれくらい上がるか知りたいとき
  • 労働保険事務組合や社会保険労務士から届いた金額が、大まかに合っているか検算したいとき
  • 自分の業種の労災保険率だと、実際どれくらいの負担になるのか概算で把握したいとき

入力する項目のかんたん解説

入力する項目どんな数字かどこを見ればよいか
年間賃金総額(見込)これから1年間に、全従業員に支払う見込みの賃金の合計です。基本給だけでなく、賞与や諸手当も含みます。前年度の賃金台帳の実績や、今年度の給与・賞与の支給予定から見積もります。
労災保険率労災保険の保険料率です。1000分のいくつという形で示され、事業の種類によって2.5から88まで幅があります。厚生労働省が公表する労災保険率表で、営んでいる事業の種類にあたる率を確認します。
雇用保険率(本人)雇用保険料のうち、給料や賞与から天引きされる本人負担分の料率です。厚生労働省が公表する雇用保険料率表で確認できます。
雇用保険率(会社)雇用保険料のうち、会社が負担する分の料率で、本人負担分より高く設定されています。同じ雇用保険料率表の「事業主負担」欄です。

労災保険率は、業種によって料率が大きく異なるだけでなく、法改正のタイミングで見直されることもあります。前年度に使った率をそのまま使い続けるのではなく、その年度の最新の率表で自分の事業の種類にあたる率を確認することが大切です。

計算のしくみ(3ステップ)

  1. 賃金総額を見積もる:これから1年間に全従業員へ支払う賃金の総額(賞与・諸手当を含む)を見積もります。実際の金額は翌年度の年度更新で確定するため、今回はあくまで見込み額です。
  2. 労災保険料を計算する:賃金総額に、事業の種類に応じた労災保険率(1000分のいくつ)をかけます。労災保険料は全額を会社が負担し、従業員の給料からは天引きしません。
  3. 雇用保険料を計算する:同じ賃金総額に、雇用保険率の本人負担分・会社負担分をそれぞれかけます。本人負担分は毎月の給料から天引きし、会社負担分はそれとは別に会社が負担します。
  4. 概算保険料を合計する:労災保険料と雇用保険料(本人負担分+会社負担分)を合計した金額が、今年度分として申告・納付する概算保険料です。

今回計算した概算保険料は、あくまで見込みの金額です。翌年度の年度更新では、実際に支払った賃金総額をもとに確定保険料を計算し直し、今回納めた概算保険料と比べて多く払っていれば還付や充当を受けられ、不足していれば追加で納めることになります。

具体例で確かめる

例1 年間賃金総額3,000万円、労災保険率1000分の3のケース

労災保険料 = 30,000,000円 × 3 / 1000 = 90,000円(全額会社負担) 雇用保険料(本人) = 30,000,000円 × 0.5% = 150,000円 雇用保険料(会社) = 30,000,000円 × 0.85% = 255,000円

今年度の概算保険料は合計495,000円。このうち150,000円は毎月の給料から少しずつ天引きされます

例2 同じ賃金総額でも、労災保険率が高い業種(1000分の20と仮定)だったケース

労災保険料 = 30,000,000円 × 20 / 1000 = 600,000円(全額会社負担) 雇用保険料の計算方法は例1と同じです

労災保険率が1000分の3から1000分の20に上がるだけで、労災保険料は90,000円から600,000円へと大きく増えます

例3 従業員数が少ない小規模企業(年間賃金総額800万円)のケース

労災保険料 = 8,000,000円 × 3 / 1000 = 24,000円 雇用保険料(本人) = 8,000,000円 × 0.5% = 40,000円 雇用保険料(会社) = 8,000,000円 × 0.85% = 68,000円

概算保険料の合計は132,000円。賃金総額が小さくなれば、保険料も同じ比率で小さくなります

労災保険と雇用保険の負担の違い

保険の種類本人負担会社負担備考
労災保険負担なし賃金総額 × 労災保険率の全額業種によって1000分の2.5から1000分の88まで幅があります
雇用保険賃金総額 × 本人負担分の料率賃金総額 × 会社負担分の料率会社負担分の料率は、本人負担分よりも高く設定されています

ここを間違えやすい

1|労災保険率は業種によって大きく異なります

1000分の2.5から1000分の88まで、業種によって30倍以上の差があります。他の会社の情報や去年の数字をそのまま使わず、自分の事業の種類にあたる率を労災保険率表で確認してください。

2|労災保険料は全額会社負担、雇用保険とは扱いが違います

労災保険料は、雇用保険とは違って本人負担がなく、会社が全額を負担します。給料から労災保険料を天引きすることはできません。

3|建設業などは賃金総額の出し方に特例があります

建設業は、現場ごとに下請けや日雇いの人の出入りが多く、実際の賃金総額を正確に把握しにくい業種です。そこで、請負金額に工事の種類ごとに定められた一定の労務費率をかけた金額を、賃金総額とみなして保険料を計算する特例が設けられています。この計算機の基本の式は、通常の賃金総額から計算する事業を前提にしているため、建設業に該当する場合は特例の考え方にあてはめて計算し直す必要があります。

4|申告・納付には期限があります

労働保険の年度更新の申告と納付は、原則として毎年6月1日から7月10日までの間に行います。期限を過ぎると延滞金がかかるなどの不利益が生じることがあるため、余裕を持って準備しましょう。

よくある質問

概算保険料と確定保険料はどう違うのですか。
概算保険料は、これから1年間の賃金総額の見込みをもとに、先に納める保険料です。翌年度の年度更新で実際の賃金総額が確定したら、確定保険料を計算し直し、概算保険料との差額を精算します。賃金が見込みより増えた会社は追加で納め、減った会社は還付か翌年度分への充当を選べます。
労災保険率はどこで確認できますか。
厚生労働省が公表している労災保険率表で確認できます。事業の種類ごとに1000分のいくつという形で定められており、危険度の高い業種ほど率が高くなります。
建設業ですが、賃金総額はどう計算すればよいですか。
建設業には、請負金額に労務費率をかけた金額を賃金総額とみなす特例があります。実際の賃金を集計しにくい工事現場向けの仕組みで、通常の賃金総額とは計算方法が異なります。
役員も雇用保険の対象になりますか。
原則として、代表取締役など経営者としての立場が強い役員は雇用保険の対象になりません。ただし、部長や工場長などを兼務し、労働者としての実態が強い場合は対象になることがあります。個別の判断が必要です。

根拠となる法令・出典

本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。

  • 労働保険の保険料の徴収等に関する法律第15条(概算保険料の申告・納付)
  • 厚生労働省「労災保険率表」「雇用保険料率表」
  • 厚生労働省・都道府県労働局「労働保険年度更新に関する申告書の書き方」

税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。

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