類似業種比準価額の完全計算の計算方法|自動計算ツール

  • カテゴリ:相続税・贈与税
  • 根拠:評基通180〜183
  • 入力12項目・その場で自動計算
  • 令和8年度の数値に対応

非上場株式を相続税で評価する方式の一つに、類似業種比準価額方式があります。業種が似ている上場企業の株価を基準にして、配当・利益・純資産の3つの要素でその会社らしさを反映させる考え方です。細かい端数処理のルールまで含めて、1株あたりの評価額を計算します。

この計算式を3行でいうと

  1. 配当・利益・純資産のそれぞれについて、類似業種の実際の数値と比べた比率を出し、その平均に類似業種の株価Aを掛けて比準価額の土台を作ります。
  2. 利益は、直前期の金額と2期平均のどちらか低い方を使います。低い方を選ぶことで、一時的に利益が増えた期の影響を抑える仕組みです。
  3. 最後に会社規模ごとの斟酌率(大0.7・中0.6・小0.5)と、実際の1株あたり資本金額を掛けて、最終的な比準価額を求めます。

まずは計算してみる(自動計算ツール)

類似業種比準価額の完全計算(2期データ・端数処理)

評基通180〜183結果コピーリンク

直前期・直前々期の配当・利益・純資産から、規定どおりの端数処理(ⓑ10銭未満切捨・ⓒⓓ円未満切捨・各比率と比準割合は小数2位未満切捨・価額10銭未満切捨)で1株あたりの類似業種比準価額を計算します。

ⓑ=2期平均配当÷50円株数 / ⓒ=min(直前期, 2期平均)利益÷株数 / ⓓ=純資産÷株数 価額 = A×{(ⓑ/B+ⓒ/C+ⓓ/D)÷3}×斟酌率×(1株資本金等÷50円)
類似業種比準価額 ¥2,415/株
50円換算株式数1,000,000株
ⓑ配当(10銭未満切捨)5.0円 / 比 1.00
ⓒ利益(有利選択・円未満切捨)30円 / 比 1.20
ⓓ純資産(円未満切捨)350円 / 比 1.25
比準割合(2位未満切捨)1.15
50円ベース価額241.5円
1株あたり資本金等¥500
類似業種比準価額¥2,415/株
Aは課税時期の月以前3か月・前年平均・前2年平均の最低値(国税庁の類似業種比準価額計算上の業種目及び株価等)。利益は繰越欠損金控除前・非経常利益除外後。
目次

こんなときに使います

  • 会社規模が大会社・中会社に区分され、類似業種比準価額方式で自社株を評価するとき
  • 決算が2期分そろい、配当・利益・純資産の実績をもとに正確な比準価額を計算したいとき
  • 直前期に一時的な利益や欠損があり、2期平均を使うべきか迷っているとき
  • 税理士から出された比準価額の計算根拠を、自分でも検算してみたいとき

入力する項目のかんたん解説

入力する項目どんな数字かどこを見ればよいか
資本金等の額税務上の資本金等の額です。会計上の資本金そのものとは異なる場合があります。直前期の法人税申告書別表五(一)などで確認します。
発行済株式数(自己株控除後)自己株式(自社が保有する自社株)を除いた、実際に発行されている株式の数です。株主名簿や決算書の注記から確認します。
年配当(直前期・非経常除く)直前期に支払った配当金額のうち、記念配当・特別配当など一時的なものを除いた金額です。株主総会議事録や配当の支払調書で確認します。
年配当(直前々期)直前々期(2期前)に支払った配当金額です。考え方は直前期と同じです。同じく2期前の株主総会議事録などで確認します。
法人税の課税所得ベース利益(直前期)直前期の法人税申告書に記載された所得金額をもとにした利益です。会計上の利益とは異なります。法人税申告書別表四などで確認します。
同(直前々期)直前々期について、同じ考え方で計算した利益です。2期前の法人税申告書別表四で確認します。
帳簿純資産(資本金等+利益積立金)直前期末の、税務上の資本金等の額と利益積立金額を合計した金額です。法人税申告書別表五(一)の合計欄で確認します。
類似業種の株価A国税庁が公表する、業種目ごとの類似業種の株価です。課税時期の月以前3か月間の各月の株価、前年平均株価、前々年からの2年間平均株価のうち、もっとも低い金額を使います。国税庁ホームページの「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等」で確認します。
類似 配当B類似業種の、1株(50円)当たりの年配当金額です。同じ国税庁の公表資料の、該当する業種目の欄で確認します。
類似 利益C類似業種の、1株(50円)当たりの年利益金額です。同上の資料で確認します。
類似 純資産D類似業種の、1株(50円)当たりの純資産価額です。同上の資料で確認します。
斟酌率(大0.7/中0.6/小0.5)会社規模による調整率です。大会社は0.7、中会社は0.6、小会社は0.5を使います。評価する会社が大会社・中会社・小会社のどれに区分されるかで決まります。

計算のしくみ(3ステップ)

  1. 50円株数を出す:資本金等の額を50円で割ります。これは実際の発行済株式数ではなく、1株を50円とみなした場合の株数で、ⓑⓒⓓすべての計算で共通して使います。
  2. ⓑ配当・ⓒ利益・ⓓ純資産を計算する:ⓑは直前期と直前々期の配当の平均を50円株数で割ります(10銭未満切捨)。ⓒは直前期の利益と2期平均利益のうち低い方を50円株数で割ります(円未満切捨)。ⓓは帳簿純資産を50円株数で割ります(円未満切捨)。
  3. 類似業種と比べた比準割合を出す:ⓑ/B、ⓒ/C、ⓓ/Dのそれぞれを小数第2位未満切り捨てで計算し、3つを平均したものが比準割合です(これも小数第2位未満切捨)。
  4. 斟酌率と実際の資本金額を反映する:類似業種の株価Aに比準割合と斟酌率を掛け、さらに実際の1株あたり資本金額を50円で割った倍率を掛けて、最終的な比準価額を求めます(10銭未満切捨)。

端数処理のルールは各段階で細かく決まっています。電卓で概算するだけでも計算の流れはつかめますが、正式な評価では、それぞれの段階で切り捨てを行ったうえで次の計算に進む必要があります。

具体例で確かめる

例1 標準的な数値例(この計算機の初期値)のケース

50円株数 = 50,000,000円 ÷ 50円 = 1,000,000株 ⓑ =(500万円+500万円)÷2÷1,000,000株 = 5円00銭 ⓒ = min(3,000万円、3,300万円)÷1,000,000株 = 30円(直前期の利益を採用) ⓓ = 3億5,000万円÷1,000,000株 = 350円 比準割合 =(5/5+30/25+350/280)÷3 =(1.00+1.20+1.25)÷3 = 1.15 比準価額 = 300円×1.15×0.7×(500円÷50円)

実際の1株資本金額500円(5,000万円÷100,000株)を反映し、1株あたりの比準価額は2,415円

例2 直前期に利益が伸びた会社(2期平均を使うケース)

50円株数 = 30,000,000円÷50円 = 600,000株 ⓑ =(300万円+180万円)÷2÷600,000株 = 4円00銭 ⓒ = min(1,800万円、1,200万円)÷600,000株 = 20円(2期平均のほうが低いので採用) ⓓ = 2億円÷600,000株 = 333円(円未満切捨) 比準割合 =(4/4.5+20/22+333/260)÷3 =(0.88+0.90+1.28)÷3 = 1.02 比準価額 = 250円×1.02×0.6×(500円÷50円)

実際の1株資本金額500円(3,000万円÷60,000株)を反映し、1株あたりの比準価額は1,530円。直前期の利益だけで計算すると数値がもっと高くなってしまう点に注意

ここを間違えやすい

1|ⓑⓒⓓはすべて「50円株数」で割ります

実際の発行済株式数(自己株式控除後の株数)で割ってしまう誤りがよくあります。50円株数と実際の株式数は、資本金の1株あたり金額がちょうど50円でない限り一致しません。

2|配当がゼロの期があっても、平均の計算から除外しません

無配の期があっても、2期の平均を出す際にはゼロとして合計に含めます。配当がずっとゼロの会社ではⓑそのものがゼロになり、比準割合を押し下げます。

3|利益は「会計上の当期純利益」ではありません

法人税の課税所得ベースの金額を使います。交際費や役員報酬の損金不算入額などの税務調整を反映し、繰越欠損金を控除する前、かつ固定資産の売却益のような非経常的な利益を除いた金額です。決算書の当期純利益をそのまま使うと金額がずれます。

4|端数処理は各段階で行います。最後にまとめて処理するのは誤りです

ⓑⓒⓓの計算段階、比率の計算段階、最終価額の段階と、それぞれのタイミングで切り捨てを行うのが正式なルールです。まとめて最後に一度だけ端数処理すると、結果が本来の金額とずれることがあります。

よくある質問

類似業種の株価Aや配当B・利益C・純資産Dはどこで確認できますか。
国税庁のホームページで、課税時期の属する月ごとに「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等」として公表されています。該当する業種目の欄を確認してください。
直前期が赤字の場合、ⓒはどうなりますか。
その期の利益はゼロとして扱われるのが原則です。2期平均を計算する際もマイナスをそのまま使うのではなく、扱いに注意が必要なため、赤字の期がある場合は個別に確認してください。
この方式だけで株価が決まりますか。
会社規模によって扱いが変わります。大会社は原則としてこの方式のみで評価しますが、中会社は純資産価額方式との併用、小会社は純資産価額方式が原則で、この方式は限定的にしか使えません。
比準価額が純資産価額より高くなることはありますか。
あります。業績のよい会社では比準価額のほうが高くなることも珍しくありません。会社規模や評価方式の選び方によって結果が変わるため、あわせて純資産価額も計算して比較することをおすすめします。

根拠となる法令・出典

本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。

  • 財産評価基本通達180(類似業種比準価額)
  • 財産評価基本通達182(類似業種の株価)、183(評価会社の1株当たりの配当金額等の計算)
  • 国税庁「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等」

税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。

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