- カテゴリ:相続税・贈与税
- 根拠:相法21の9〜
- 入力2項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
相続時精算課税は、贈与税を軽くする代わりに、その贈与財産を将来の相続財産に足し戻して相続税で精算するしくみです。2024年(令和6年)分の贈与からは、毎年110万円の基礎控除が新たに設けられ、さらに贈与者ごとに一生涯で2,500万円までの特別控除を使えます。この2つの控除を使い切るまでは贈与税がかかりません。
この計算式を3行でいうと
- 毎年110万円の基礎控除を引いたあと、残っている特別控除の枠(累計2,500万円まで)を差し引き、超えた分に20%課税します。
- 基礎控除110万円は相続財産に足し戻されませんが、特別控除を使った分は将来の相続財産に加算されます。
- 一度この制度を選ぶと、同じ贈与者からの贈与は生涯、暦年課税に戻すことができません。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
相続時精算課税
相法21の9〜★結果コピーリンク毎年110万円の基礎控除後、累計2,500万円の特別控除を超えた部分に一律20%課税します。
| 基礎控除110万後 | 2,890万円 |
| 特別控除(残枠2,500万) | 2,500万円 |
| 課税対象 | 390万円 |
| 税額(20%) | 78万円 |
こんなときに使います
- まとまった財産を早めに子や孫に渡したいが、贈与税の負担をできるだけ抑えたいとき
- 値上がりが見込まれる株式や不動産を、評価額が低いうちに贈与しておきたいとき
- 暦年課税と相続時精算課税のどちらを選ぶか、税額を比較して検討したいとき
- すでに相続時精算課税を選んでいる贈与者から、追加で贈与を受けたとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| その年の贈与額 | その年に、相続時精算課税を選んだ贈与者から受け取った贈与財産の合計額です。 | 現金の額のほか、不動産や株式は贈与時点の評価額で合計します。 |
| 特別控除の使用累計 | これまでの年で、その贈与者からの贈与について使ってきた特別控除(上限2,500万円)の合計額です。 | 過去に提出した贈与税の申告書の控えで確認できます。初めて選ぶ年は0円です。 |
基礎控除と特別控除のちがい
| 項目 | 基礎控除 | 特別控除 |
|---|---|---|
| 金額 | 毎年110万円 | 贈与者ごとに生涯累計2,500万円 |
| 使い方 | 毎年自動的に使える | 残り枠がなくなるまで、複数年に分けて使える |
| 相続財産への足し戻し | 足し戻されない | 使った分は相続財産に加算される |
計算のしくみ(3ステップ)
- 基礎控除を引く:その年の贈与額から、毎年使える基礎控除110万円を差し引きます。
- 特別控除の残り枠を確認する:2,500万円から、これまでの使用累計を引いて、その年に使える特別控除の残り枠を求めます。
- 残り枠を超えた分に課税する:基礎控除後の金額から特別控除の残り枠を差し引き、残った金額(マイナスなら0円)に一律20%を掛けます。
具体例で確かめる
例1 初めて3,000万円の贈与を受けたケース
基礎控除後 = 3,000万円 - 110万円 = 2,890万円 特別控除の残り枠 = 2,500万円 - 0円 = 2,500万円 課税対象額 = 2,890万円 - 2,500万円 = 390万円
贈与税額 = 390万円 × 20% = 78万円
例2 特別控除の枠内におさまるケース
その年の贈与額500万円、特別控除の使用累計0円のケース 基礎控除後 = 500万円 - 110万円 = 390万円 特別控除の残り枠2,500万円の範囲内なので、課税対象額は0円
贈与税額は0円。この年に使った特別控除390万円分は、翌年以降の残り枠から差し引かれる
例3 特別控除をすでに使い切っているケース
その年の贈与額1,000万円、特別控除の使用累計2,500万円(残り枠0円)のケース 基礎控除後 = 1,000万円 - 110万円 = 890万円 課税対象額 = 890万円 - 0円 = 890万円
贈与税額 = 890万円 × 20% = 178万円
ここを間違えやすい
1|一度選ぶと暦年課税には戻れません
相続時精算課税は贈与者・受贈者の組み合わせごとに選択する制度で、いったん選ぶとその贈与者からの贈与については、生涯にわたって暦年課税に戻すことができません。
2|基礎控除と特別控除は将来の扱いが異なります
毎年の基礎控除110万円までの部分は将来の相続財産に足し戻されません。一方、特別控除を使って贈与税がかからなかった部分は、贈与者が亡くなったときの相続財産に加算して相続税を計算します。
3|複数の贈与者から精算課税で贈与を受ける場合は按分が必要です
同じ年に2人以上の贈与者から相続時精算課税で贈与を受けた場合、毎年の基礎控除110万円は贈与者ごとに按分して使います。一方、2,500万円の特別控除枠は贈与者ごとに別々に管理します。
4|少額でも届出や申告が必要な年があります
基礎控除110万円を超える贈与を受けた年は、贈与税額が0円であっても、相続時精算課税を選ぶための届出書や贈与税の申告書の提出が必要です。基礎控除の範囲内におさまる年は、贈与税の申告は不要とされています。
よくある質問
- 相続時精算課税を選べるのは誰ですか。
- 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の子や孫などが、60歳以上の父母や祖父母から贈与を受ける場合に選べます。年齢要件は贈与者・受贈者の両方で満たす必要があります。
- 暦年課税とどちらが得ですか。
- 財産の種類や将来の値上がり見込み、相続財産全体の規模によって変わります。将来値上がりしそうな財産は、評価額が低いうちに精算課税で贈与しておくと有利になる場合があります。
- 贈与者が亡くなったとき、この贈与はどう扱われますか。
- 基礎控除を除いた贈与財産の価額(贈与時点の評価額)を、贈与者の相続財産に加算して相続税を計算し、すでに納めた贈与税額があれば相続税額から差し引きます。
- 一度に2,500万円を超える贈与を受けても大丈夫ですか。
- 超えた金額に一律20%の贈与税がかかるだけで、制度が使えなくなるわけではありません。納めた贈与税は、将来の相続税額から差し引くことができます。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 相続税法第21条の9から第21条の18まで(相続時精算課税)
- 国税庁タックスアンサー No.4103「相続時精算課税の選択」
- 国税庁タックスアンサー No.4301「相続時精算課税の選択と相続税の申告義務」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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