- カテゴリ:所得税
- 根拠:所法21・89
- 入力7項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
給与だけでなく、副業の事業所得や不動産収入、配当、年金の雑所得など複数の所得がある方は、それぞれを合算してから税額を計算する必要があります。この総合課税の考え方にもとづいて、各種所得の合計から所得控除を引き、速算表で所得税額を求めるまでを一括で計算する方法を確認しましょう。
この計算式を3行でいうと
- 給与・事業・不動産・配当(総合課税分)・雑・一時の6種類の所得を合算し、そこから所得控除を引いた金額が課税総所得金額です。
- 事業所得や不動産所得が赤字の年は、マイナスの数字として入力すると他の所得と相殺する損益通算の概算ができます。
- 課税総所得に速算表を当てはめ、配当控除を引き、最後に復興特別所得税2.1%を上乗せした金額が所得税の合計額です。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
総合課税の所得税額(フルセット)
所法21・89★結果コピーリンク各種所得を合算した総所得金額から所得控除を引き、速算表で所得税を求め、配当控除・復興特別所得税まで一括計算します。赤字は負の数で入力すると損益通算の概算になります。
| 総所得金額 | ¥4,360,000 |
| 課税総所得金額 | ¥3,360,000 |
| 所得税(速算) | ¥244,500 |
| 配当控除 | ¥0 |
| 差引所得税 | ¥244,500 |
| 復興特別所得税2.1% | ¥5,135 |
| 合計 | ¥249,634 |
こんなときに使います
- 給与のほかに副業の事業所得や不動産収入があり、確定申告の前に税額のおおよそを把握したいとき
- 個人事業を始めたばかりで赤字が出ており、給与所得と相殺したらどのくらい税金が変わるか確かめたいとき
- 年金の雑所得や生命保険の満期金(一時所得)が重なる年に、税額の見当をつけたいとき
- 医療費控除やふるさと納税で所得控除が増えたとき、最終的な所得税額がいくら変わるか試算したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 給与所得 | 給与収入から給与所得控除を引いたあとの金額です。年収そのものではありません。 | 源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄で確認します。 |
| 事業所得 | 個人事業の総収入から必要経費と青色申告特別控除を引いた金額です。赤字の年はマイナスで入力します。 | 青色申告決算書・収支内訳書の所得金額欄で確認します。 |
| 不動産所得 | 家賃収入などから必要経費を引いた金額です。こちらも赤字の年はマイナスで入力できます。 | 不動産所得用の青色申告決算書・収支内訳書で確認します。 |
| 総合課税の配当所得 | 上場株式等の配当のうち、申告分離課税ではなく総合課税を選んだ分の金額です。 | 証券会社の特定口座年間取引報告書、配当金の支払通知書で確認します。 |
| 雑所得 | 公的年金等以外の雑所得(原稿料、副業収入など)や、公的年金等の雑所得の合計です。 | 支払通知書や、副業の帳簿・請求書の合計から求めます。 |
| 一時所得(1/2後) | 生命保険の満期返戻金や懸賞金などから、支払った掛金と特別控除を引き、さらに2分の1にしたあとの金額です。 | 保険会社からの支払通知書をもとに計算します。 |
| 所得控除の合計 | 基礎控除・社会保険料控除・扶養控除・医療費控除など、適用できるすべての所得控除の合計額です。 | 確定申告書第一表・第二表の所得控除の各欄を合計します。 |
計算のしくみ(4ステップ)
- 各所得を合算する:給与・事業・不動産・配当(総合課税分)・雑・一時の所得を合計して総所得金額を求めます。事業や不動産が赤字の場合はマイナスとして通算します。
- 所得控除を引く:総所得金額から所得控除の合計を引き、課税総所得金額を求めます。
- 速算表で所得税を計算する:課税総所得金額に応じた税率を掛けて控除額を引き、配当控除があればそこからさらに差し引きます。
- 復興特別所得税を上乗せする:3で求めた税額に2.1%を掛けた金額を足すと、最終的な所得税の合計額になります。
具体例で確かめる
例1 給与所得436万円のみ、所得控除100万円のケース
課税総所得 = 4,360,000円 - 1,000,000円 = 3,360,000円 所得税 = 3,360,000円 × 20% - 427,500円 = 244,500円
復興特別所得税を加えた合計は約249,635円
例2 開業初年度で事業所得が赤字のケース
給与所得400万円、事業所得-150万円、所得控除100万円 総所得金額 = 4,000,000円 +(-1,500,000円)= 2,500,000円 課税総所得 = 2,500,000円 - 1,000,000円 = 1,500,000円 所得税 = 1,500,000円 × 5% - 0円 = 75,000円
事業の赤字を給与所得と相殺した結果、税額は約76,575円まで下がる
例3 給与・年金の雑所得・一時所得が重なるケース
給与所得550万円、雑所得(年金)80万円、一時所得(1/2後)20万円、所得控除180万円 総所得金額 = 5,500,000円 + 800,000円 + 200,000円 = 6,500,000円 課税総所得 = 6,500,000円 - 1,800,000円 = 4,700,000円 所得税 = 4,700,000円 × 20% - 427,500円 = 512,500円
復興特別所得税を加えた合計は約523,300円
ここを間違えやすい
1|すべての損失が他の所得と相殺できるわけではありません
事業所得や不動産所得の赤字は給与所得などと損益通算できますが、不動産所得のうち土地の取得にかかる借入金の利子に相当する部分など、一部の損失は通算の対象外です。実際の申告では個別の確認が必要です。
2|株式や不動産の譲渡所得は含めません
上場株式等の譲渡益や不動産の譲渡益は、この計算とは別の「分離課税」で税額を求めます。総合課税の所得と合算しないよう注意してください。
3|配当所得は課税方式の選択によって扱いが変わります
上場株式の配当は、総合課税・申告分離課税・申告不要のいずれかを選べます。総合課税を選んだ場合だけこの計算に含め、配当控除の対象にもなります。どの方式が有利かは所得水準によって異なります。
4|あくまで概算です
このページの計算は所得税額の見当をつけるための概算です。所得控除の適用要件、損益通算の可否、税額控除の詳細な計算などは個別の事情によって変わるため、実際の申告では確定申告書またはe-Taxで正式に計算してください。
よくある質問
- 住民税もこの計算で分かりますか。
- このページで計算しているのは所得税だけです。住民税は所得割・均等割からなり、所得税とは控除額や税率が異なるため、別途計算する必要があります。
- 配当控除はどのように入力すればよいですか。
- この計算では、総合課税を選んだ配当所得の金額を入力すると、配当控除が織り込まれた税額になります。配当控除は課税総所得の水準に応じて控除率が変わる税額控除で、詳しい算出方法は配当控除の解説ページで確認できます。
- 事業所得と不動産所得の両方が赤字の場合はどうなりますか。
- どちらもマイナスの金額として入力すれば、給与所得など他の黒字の所得と合算されて総所得金額が計算されます。ただし赤字の金額や種類によっては通算できない部分もあるため、大きな赤字が出た年は専門家に確認することをおすすめします。
- 青色申告の特典(純損失の繰越控除など)は反映されますか。
- 反映されません。このページは単年分の所得を合算する計算にとどまります。前年以前から繰り越した純損失がある場合は、その金額もあわせて所得から差し引く必要があります。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 所得税法第21条(課税標準)、第22条(課税総所得金額等)、第89条(税率)
- 国税庁タックスアンサー No.2220「総合課税制度」/No.2260「所得税の税率」
- 国税庁タックスアンサー No.2250「損益通算」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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