法人成りシミュレーションの計算方法|自動計算ツール

  • カテゴリ:シミュレーション
  • 根拠:所法27・法法22ほか
  • 入力1項目・その場で自動計算
  • 令和8年度の数値に対応

個人事業主のままでいくか、法人を設立するか。多くの経営者が一度は迷う分かれ道です。この法人成りシミュレーションは、いまの事業利益をそのまま個人で受け取った場合と、法人化して利益を全額役員報酬にした場合の税・社会保険の負担を並べて計算します。事業利益を1つ入れるだけで、法人化を検討する最初の目安がつかめます。

この計算式を3行でいうと

  1. 個人のままなら所得税・住民税・個人事業税・国保・国民年金、法人化なら均等割・役員報酬課税・社会保険で比べます。
  2. 国民健康保険は上限109万円・率10%で概算し、国民年金は令和8年度の月17,920円で計算しています。
  3. 法人側は役員報酬の最適化でさらに負担を圧縮できる余地があり、消費税の免税メリットは別に検討します。

まずは計算してみる(自動計算ツール)

法人成りシミュレーションSIM

所法27・法法22ほか結果コピーリンク

個人事業のままの税・社会保険負担と、法人化して利益を全額役員報酬で受け取った場合の負担を比較します。法人化検討の第一歩に。

個人: 所得税+住民税+個人事業税+国保+国民年金 法人: 均等割+給与課税(役員報酬)+社会保険(労使計)
個人のままが有利(差 ¥716,815)
個人事業の総負担¥3,455,311
法人化(全額報酬)の総負担¥4,172,126
差額¥716,815
国保は上限109万・率10%概算、国民年金は令和8年度17,920円/月、青色65万控除前提。法人側は報酬最適化(上の計算機)でさらに圧縮余地あり。消費税の免税メリットは別途。
目次

こんなときに使います

  • 個人事業が軌道に乗り、そろそろ法人化(法人成り)すべきか迷っているとき
  • 利益が増えてきて、所得税や社会保険料の負担の重さを実感し始めたとき
  • 顧問税理士に相談する前に、法人化のメリットがどれくらいあるのか自分で概算したいとき
  • 法人化したときの役員報酬をいくらにすればよいか、検討の出発点を知りたいとき

入力する項目のかんたん解説

入力する項目どんな数字かどこを見ればよいか
事業利益(青色控除前)1年間の売上から経費を差し引いた、青色申告特別控除を引く前の事業所得です。青色申告決算書の「所得金額」欄に、65万円の青色申告特別控除を足し戻した金額です。

入力はこの1項目だけです。あとはツールが、個人事業のままの場合と、法人化して利益を全額役員報酬で受け取った場合の2つのパターンを自動で計算し、並べて表示します。

比較する負担の内訳

ルート負担の内訳
個人事業のまま所得税・住民税・個人事業税・国民健康保険料・国民年金保険料の合計です。
法人化(全額を役員報酬に)法人住民税の均等割・役員報酬にかかる所得税と住民税・健康保険と厚生年金の会社と個人の負担分の合計です。

計算のしくみ(3ステップ)

  1. 個人事業のままの負担を計算する:事業利益をもとに所得税・住民税・個人事業税を計算し、国民健康保険料と国民年金保険料を足します。所得税は所得が大きいほど税率が上がる累進課税、住民税はおおむね一律10%です。
  2. 法人化した場合の負担を計算する:利益を全額役員報酬として受け取ったと仮定し、赤字でも発生する均等割、役員報酬にかかる所得税・住民税、会社と本人が折半する社会保険料を合計します。
  3. 2つを比べる:個人のままの合計負担と、法人化した場合の合計負担を並べて表示し、どちらが軽いか、その差額はいくらかを示します。

国民健康保険料は上限109万円・率10%程度で概算し、国民年金保険料は令和8年度の月額17,920円で計算しています。個人側は青色申告特別控除65万円を受けている前提です。

具体例で確かめる

例1 事業利益1,000万円(初期値)のケース

個人事業のまま = 所得税+住民税+個人事業税+国保+国民年金 法人化 = 均等割+役員報酬への課税+社会保険(労使計)

利益が大きいほど個人側は累進課税で税率が上がっていくため、法人化との差が開きやすくなります

例2 国民年金・国民健康保険の負担を確認するケース

国民年金 = 17,920円 × 12か月 = 215,040円(年額) 国民健康保険 = 所得に応じて計算(上限109万円)

個人事業のままだと、この2つだけで年20万円以上の固定負担があります

例3 法人化しても社会保険がゼロにはならないケース

役員報酬を受け取ると、会社と本人がそれぞれ社会保険料を負担する 国民健康保険・国民年金から、健康保険・厚生年金(労使折半)に切り替わる

法人化で税負担が下がっても、社会保険料の負担はむしろ増えることがあるため、両方を合わせて比較することが大切です

ここを間違えやすい

1|利益をすべて役員報酬にするとは限りません

このシミュレーションは比較のために、利益を全額役員報酬で受け取った場合を仮定しています。実際には利益の一部を法人に残す選択肢もあり、その場合は法人税と役員報酬への課税のバランスが変わります。

2|法人化には維持コストがかかります

法人住民税の均等割は、利益が出ていない赤字の年でも発生します。決算・申告を税理士に依頼する費用、社会保険への加入義務なども、個人事業にはなかったコストとして考える必要があります。

3|消費税の免税メリットは別に考えます

資本金や売上高などの要件を満たせば、法人化のタイミングで消費税の免税期間を活用できる場合があります。この計算機では反映していないため、該当しそうな場合は別途確認してください。

4|役員報酬の金額そのものにも最適な水準があります

法人化したあとの役員報酬は、多すぎても少なすぎても損になることがあります。報酬の水準そのものを最適化したい場合は、別の計算機であわせて試算することをおすすめします。

よくある質問

法人化すると必ず税金は安くなりますか。
必ずではありません。利益の水準や家族構成、社会保険の入り方によって結果は変わります。一般的には利益が一定の水準を超えてくると法人化が有利になりやすいといわれますが、個別の試算が必要です。
個人事業税はどう計算されていますか。
個人事業税は、事業所得から事業主控除を差し引いた金額に、業種ごとに定められた税率をかけて計算する地方税です。業種によって税率や非課税の扱いが異なるため、詳しくは税理士に確認してください。
社会保険は国民健康保険・国民年金のままではだめですか。
法人化して役員報酬を受け取ると、原則として健康保険・厚生年金への加入義務が生じます。保険料は会社と個人の折半になりますが、将来受け取る年金額が増えるといった違いもあります。
法人化はどのタイミングで検討すればよいですか。
決算期や消費税の免税期間、翌年以降の利益の見込みなどによって有利なタイミングが変わります。この計算機はあくまで目安であり、実際の設立時期は個別の状況をふまえて検討する必要があります。

根拠となる法令・出典

本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。

  • 所得税法第27条(事業所得)、法人税法第22条(各事業年度の所得の金額の計算)
  • 国税庁タックスアンサー No.5205「新設法人の届出書類等」
  • 日本年金機構「国民年金保険料」、全国健康保険協会・市区町村の国民健康保険に関する公表資料

税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。

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