- カテゴリ:所得税
- 根拠:所法84の2
- 入力2項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
大学生くらいの年齢の子がアルバイトなどで所得58万円(令和8年分からは62万円)を超えて稼ぐと、以前は親の扶養控除が急になくなり、家計全体の手取りがかえって減ってしまうことがありました。特定親族特別控除は、この「年収の壁」を緩和するために、令和7年分から新しくできた制度です。子の所得が58万円(令和8年分は62万円)を超えても、123万円までは段階的に控除を受けられます。控除額は親族本人の所得金額によって変わるため、まずは所得金額がいくらになるかを確認するところから始めます。
この計算式を3行でいうと
- 19歳から22歳までの親族の所得が58万円(令和8年分は62万円)を超え85万円以下なら、63万円の特定親族特別控除が受けられます
- 親族の所得が85万円を超えると、所得が増えるごとに控除額が段階的に少なくなっていく仕組みです
- 親族の所得が120万円を超え123万円以下になると控除額は3万円まで下がり、123万円を超えると控除はなくなります
まずは計算してみる(自動計算ツール)
特定親族特別控除(令和7年新設)
所法84の2★結果コピーリンク19歳以上23歳未満の子などの所得が扶養控除の上限(令和7年分58万円・令和8年分62万円)を超えても、123万円までは親側で段階的に控除が受けられる制度です。
| 親族(19歳以上23歳未満)の合計所得 | ¥1,000,000 |
| 控除額(親側・所得税) | ¥410,000 |
| (参考)住民税の控除額 | ¥410,000 |
| 給与収入換算(給与のみの場合) | ¥1,740,000程度 |
こんなときに使います
- 大学生や専門学校生の子がアルバイトで稼ぎすぎて、扶養から外れてしまいそうなとき
- 子の年収をいくらに抑えるべきか、以前の基準のままで悩んでいたとき
- 子のアルバイト収入が増えても、家計全体の手取りが急に減らないか心配なとき
- 年末調整や確定申告で、子の所得を正しく伝えて控除額を計算したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 親族(19〜22歳)の合計所得金額 | その年の12月31日時点で19歳から22歳の子など親族本人の、給与所得や事業所得などを合計した所得金額です。年収そのものではありません。 | 親族本人の源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄や、確定申告書の所得金額の合計欄。 |
| 年分(7=令和7年分/8=令和8年分) | どの年分で判定するかの区分です。扶養控除(特定扶養親族)の所得上限が令和7年分は58万円、令和8年分は62万円で、その上限を超えたところから特定親族特別控除が始まります。85万円超の逓減表は両年分で共通です。 | 令和8年12月の年末調整・令和9年3月の確定申告は「8」、令和7年分の確認は「7」を選びます。 |
入力するのは親族の所得金額と年分の2項目だけですが、判定の基準になるのは「所得金額」であって「年収」ではない点に注意してください。アルバイトなど給与収入だけの親族であれば、年収から給与所得控除(令和8年分は最低74万円、令和7年分は65万円)を差し引いた残りが所得金額になります。令和8年分なら年収136万円で所得62万円、年収197万円で所得123万円です。
計算のしくみ(3ステップ)
- 対象になる親族かどうかを確認する:その年の12月31日時点で19歳から22歳であること、生計を一にしていることなど、要件を満たす親族かどうかを確認します。
- 親族の合計所得金額を確認する:アルバイト代などから計算した、親族本人のその年の合計所得金額を求めます。
- 所得金額に応じた控除額をあてはめる:所得が58万円(令和8年分は62万円)超85万円以下なら63万円、90万円以下61万円、95万円以下51万円、100万円以下41万円、105万円以下31万円、110万円以下21万円、115万円以下11万円、120万円以下6万円、123万円以下3万円と段階的に少なくなります。123万円を超えると控除はなくなります。住民税の控除額は上限45万円(所得95万円以下は45万円、95万円超は所得税と同額)です。控除額は58万円を境に急になくなるのではなく、少しずつ減っていくため、アルバイト収入が基準の近くにある場合でも、家計全体の手取りが一気に減りにくいように工夫されています。
具体例で確かめる
例1 この計算機の初期値:親族の所得が100万円(令和8年分)のケース
親族(20歳、大学生)の合計所得金額が100万円(給与だけなら年収174万円程度) 100万円は「95万円超100万円以下」にあたる
特定親族特別控除は41万円(住民税も41万円)
例2 アルバイト収入が多く、所得が70万円になったケース
親族(20歳、大学生)の合計所得金額が70万円 70万円は「62万円(令和7年分は58万円)超85万円以下」にあたる
特定親族特別控除は63万円
例3 所得が123万円のぎりぎりのケース
親族(21歳)の合計所得金額が122万円 122万円は「120万円超123万円以下」にあたる
特定親族特別控除は3万円
例4 所得が62万円以下で、この制度の対象にならないケース
親族(19歳)の合計所得金額が50万円 50万円は62万円以下(令和7年分は58万円以下)なので、特定親族特別控除の対象外
この場合は、通常の扶養控除(特定扶養親族としての扱い)で控除を受けます
ここを間違えやすい
1|「年収」ではなく「所得金額」で判定します
アルバイトなど給与だけの場合、年収(収入金額)から給与所得控除を差し引いた金額が所得金額になります。年収の金額をそのまま基準にあてはめないよう注意してください。
2|123万円を1円でも超えると、控除はゼロになります
控除額は所得が増えるほど段階的に減っていきますが、123万円を超えた瞬間にゼロになります。アルバイトのシフトを増やしすぎると、家計全体では手取りが減ってしまうこともあります。
3|親族自身の税負担にも上限があります
親族本人の基礎控除は令和7年分95万円・令和8年分104万円(所得の低い人の場合)なので、給与収入だけなら令和8年分は年収178万円(所得104万円)までは本人に所得税がかかりません。それを超えて所得123万円(年収197万円)までは、親側の特定親族特別控除は残りますが、親族本人にも少額の所得税がかかります(住民税は別の基準で判定します)。親の控除の範囲と本人の非課税の範囲は別物として確認してください。
4|この制度と、通常の扶養控除は別物です
所得62万円以下(令和7年分は58万円以下)の親族は、これまでどおり通常の扶養控除(特定扶養親族・63万円)の対象です。特定親族特別控除は、その上限を超えてしまった場合の新しい受け皿という位置づけです。
よくある質問
- この制度はいつから使えますか。
- 令和7年分の所得税から適用されています。年末調整や確定申告で、扶養控除等申告書などに記載して申告します。
- 何歳から何歳までの親族が対象ですか。
- その年の12月31日時点で19歳から22歳の親族が対象です。配偶者は対象になりません。
- 控除額の途中の金額(85万円超120万円以下の部分)はどうなりますか。
- 所得が増えるにつれて、63万円(85万円以下)→61万円(90万円以下)→51万円(95万円以下)→41万円(100万円以下)→31万円(105万円以下)→21万円(110万円以下)→11万円(115万円以下)→6万円(120万円以下)→3万円(123万円以下)と5万円刻みで少なくなっていきます。
- 特定親族特別控除と扶養控除は同時に使えますか。
- 同じ親族について、特定親族特別控除と扶養控除を重ねて使うことはできません。所得62万円以下(令和7年分は58万円以下)なら扶養控除、それを超え123万円以下ならこの特定親族特別控除の対象になります。どちらに該当するかは、その年の親族の所得金額が確定してから判断することになります。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 所得税法第84条の2(特定親族特別控除)
- 国税庁タックスアンサー No.1177「特定親族特別控除」
- 地方税法第34条・第314条の2(個人住民税の特定親族特別控除・上限45万円)
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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