- カテゴリ:所得税
- 根拠:国送法5・6の2
- 入力4項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
一定以上の所得や財産がある人には、毎年の確定申告とは別に、保有している財産の内訳を税務署に報告する義務があります。これが財産債務調書と国外財産調書です。提出が必要かどうかは、その年の所得金額と財産の金額によって決まり、期限内に正しく提出すると、申告漏れがあったときの加算税が軽くなる特典もあります。
この計算式を3行でいうと
- 財産債務調書は、所得が2,000万円を超え、かつ財産3億円以上(または国外転出特例対象財産1億円以上)の場合などに提出が必要です
- 財産の合計が10億円以上ある人は、所得の金額にかかわらず財産債務調書の提出が必要になります
- 国外財産調書は、その年の12月31日時点の国外財産が5,000万円を超える場合に提出が必要です
まずは計算してみる(自動計算ツール)
財産債務調書・国外財産調書の提出判定
国送法5・6の2★結果コピーリンク所得と財産の規模から、財産債務調書・国外財産調書の提出義務を判定します(未提出・記載漏れは加算税加重)。
| 財産債務調書 | 提出必要(翌年6/30まで) |
| 国外財産調書 | 不要 |
| 提出インセンティブ | 記載ありの申告漏れ→過少申告加算税5%軽減 |
| 未提出ペナルティ | 加算税5%加重 |
こんなときに使います
- 株式や不動産など資産の運用がうまくいき、財産の合計額が数億円規模になってきたとき
- 海外に不動産や証券口座を持っていて、国外財産調書の提出が必要かどうか確認したいとき
- 事業を売却するなどして、その年だけ所得が大きくなり、提出義務があるか心配になったとき
- 前年は財産債務調書を出したが、今年も引き続き提出が必要かどうかを毎年チェックしたいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| その年の所得金額 | その年の退職所得を除く各種所得金額の合計です。年収そのものではありません。 | 確定申告書の所得金額の合計欄。 |
| 財産の合計 | その年の12月31日時点で保有している財産の価額の合計です。債務を差し引く前の総額で判断します。 | 預貯金・有価証券・不動産・貴金属などをすべて時価で合計します。 |
| うち有価証券等(国外転出特例対象) | 財産の合計のうち、有価証券や未決済デリバティブ取引など「国外転出時課税」の対象になる財産の金額です。 | 保有する上場株式・投資信託・未決済の信用取引やデリバティブ取引などの時価評価額。 |
| うち国外財産 | 財産の合計のうち、日本国外にある財産の金額です。 | 海外の不動産、海外の証券口座にある株式・預金など。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 財産債務調書の要否を判定する:その年の所得金額が2,000万円を超え、かつ財産の合計が3億円以上、または有価証券等(国外転出特例対象財産)が1億円以上であれば提出が必要です。所得にかかわらず、財産の合計が10億円以上であれば、この条件だけでも提出が必要になります。
- 国外財産調書の要否を判定する:その年の12月31日時点の国外財産の合計が5,000万円を超えていれば提出が必要です。
- 両方に該当する場合の記載方法を確認する:財産債務調書と国外財産調書の両方を提出する場合、国外財産については国外財産調書のほうに記載し、財産債務調書には記載しません。
具体例で確かめる
例1 所得も財産も基準を超えているケース
所得金額2,500万円、財産の合計3億5,000万円、うち有価証券等(国外転出特例対象)1億2,000万円 所得2,500万円は2,000万円超、財産3億5,000万円は3億円以上の条件を満たす
財産債務調書の提出が必要(有価証券等が1億円以上の条件も満たしている)
例2 所得は少ないが財産が10億円以上あるケース
所得金額800万円、財産の合計12億円 所得は2,000万円以下だが、財産の合計が10億円以上にあたる
所得の基準を満たさなくても、財産債務調書の提出が必要
例3 国外財産が基準に届かないケース
国外財産が3,000万円 国外財産5,000万円超の基準に届かない
国外財産調書の提出は不要(財産債務調書は別途、上記の基準で判定)
ここを間違えやすい
1|「財産の価額」は債務を引く前の金額で判定します
基礎控除などとは違い、提出義務の判定では、借入金などの債務を差し引く前の財産の総額で基準に当てはまるかどうかを見ます。
2|未提出・記載漏れは、あとで不利になることがあります
期限内に正しく提出していれば、申告漏れが見つかった場合の過少申告加算税等が軽減されます。逆に、提出がない、または記載すべき財産の記載がないと、加算税が重くなります。
3|相続があった年は、相続財産を除いて判定できます
相続や遺贈で財産を取得した年分は、その相続財産・債務を記載しないで提出することができ、提出義務の判定でもその相続財産の価額を除いて考えることができます。
4|提出先・期限は確定申告と異なります
財産債務調書・国外財産調書は、いずれもその年の翌年6月30日までに提出します。3月15日ごろの確定申告の期限とは別に管理しておく必要があります。
よくある質問
- 財産債務調書と国外財産調書の両方が必要な場合、2通提出するのですか。
- はい、それぞれ別の様式で提出します。ただし国外財産については、国外財産調書のほうにまとめて記載し、財産債務調書には記載しません。
- 提出しないとどうなりますか。
- 罰則の対象になる場合があるほか、あとで申告漏れが見つかったときに、過少申告加算税等が軽減されず、逆に加重される可能性があります。
- 財産の評価額は、購入したときの価格でよいですか。
- 原則として、その年の12月31日時点の時価(時価が分からない場合は見積価額)で評価します。購入時の価格のままではありません。
- 会社員でも提出が必要になることはありますか。
- あります。給与所得者であっても、副業や資産運用などで所得や財産の金額が基準を超えれば、提出義務が生じます。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第5条・第6条の2・第6条の3
- 国税庁タックスアンサー No.7457「財産債務調書の提出義務」
- 国税庁タックスアンサー No.7456「国外財産調書の提出義務」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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