北海道で事業承継を考え始めると、後継者の選定・株式の評価・相続税の試算・取引先や従業員への説明など、論点が広すぎてどこから手をつければよいか分からない——という声をよく聞きます。
結論から言うと、AIは事業承継の「論点の見える化」「情報の整理」「検討リストの作成」に使えます。ただし、株式評価の計算・税務申告・法的手続き・後継者との合意形成は、税理士・弁護士・司法書士など有資格者の判断が必要です。
この記事では、事業承継の支援実績を持つ札幌の税理士・公認会計士事務所が、AIで論点を整理する方法と専門家の役割を解説します。
この記事は、こんな方に役立ちます
- AIを会計・税務や業務効率化に使いたい札幌の経営者
- 何から始めればよいか知りたい方
- 情報の取り扱いに不安がある方
- AIは事業承継の論点一覧化・選択肢の比較・工程表の仮案作成に使える
- 株価の評価・事業承継税制の適用・法的書類の作成は有資格者の判断が必要
- 事業承継税制(特例措置)の特例承継計画の提出期限は令和9年9月30日
- 道内では後継者不在による廃業が多い。選択肢の把握と早期の相談が鍵
- 論点が見えると後継者との対話が具体的に進む。AIはその入り口になる
事業承継でAIが担える範囲
事業承継は「誰に」「どのように」「いつまでに」引き継ぐかという3つの軸で論点が複雑に絡み合います。AIに渡せるのは、この論点を「整理する」作業です。
具体的には、自社の状況から検討すべき論点の一覧化、各選択肢(親族内承継・従業員承継・M&A)の比較表の作成、承継スケジュールの仮の工程表の作成などです。
一方、自社株の評価(税務上の評価額の計算)・事業承継税制の適用可否・後継者との法的な合意文書の作成は、有資格者の判断と実務が必要です。AIは地図を広げる道具であり、道の選択と走行は人が担います。
情報が整理されることで、経営者と後継者の対話が「何を話せばよいか分からない」状態から「この論点について話す」という具体的なものになります。
AIで論点を見える化する:3シナリオとプロンプト例

シナリオ1(論点の一覧化):「中小企業の事業承継を検討しています。状況は〔業種・従業員数・後継者の有無・オーナーの年齢〕です。検討すべき論点を、税務・法務・経営・人事・取引先対応の観点で一覧にしてください」。
プロンプト例:「建設業・従業員20名・後継者は息子(30代)・社長は60代。事業承継に向けて今後5年で準備すべき論点を、優先度の高い順に整理してください」。網羅されていない論点が浮かび上がる場合があります。
シナリオ2(選択肢の比較表):「親族内承継・従業員承継・M&Aの3択を比較する表を作ってください。比較軸:後継者の意向反映、従業員の雇用確保、税務負担、準備期間、取引先への影響」。
選択肢ごとの特徴が一目で見え、どの選択肢をさらに深掘りするかの判断材料になります。シナリオ3(スケジュールの仮案):「事業承継を5年後に完了させたい。逆算して年単位でやるべきことを工程表にしてください」。
仮案をもとに税理士と相談するたたき台として使います。いずれも、会社固有の数値・取引先名・後継者の個人情報は入力しないことが原則です。
北海道の事業承継の実情
道内では後継者不在を理由とした廃業が多く、農業・建設・運送・食品製造など地域産業の承継が課題になっています。
従業員承継・M&Aの選択肢が広がっている一方、「後継者はいるが、自社株の評価が高くて贈与・相続の税負担が重い」という問題も頻繁に起きます。
事業承継税制(特例措置)は、特例承継計画の提出期限が令和9年9月30日、贈与・相続の適用期限が令和9年12月31日です。
税制適用の検討は早期に始めることが重要です(適用を受けるかどうかは税理士と要件を確認してから決めてください)。承継を成功させた事例と失敗した事例の違いについては、こちらの記事と失敗事例の記事が参考になります。
有資格者の判断が必要な論点
事業承継では、AIによる情報整理では補えない専門的な判断が複数あります。第一に、自社株の税務上の評価(類似業種比準価額・純資産価額の計算)は税理士が行います。
株価が想定より高く出る場合は対策(株価引き下げの合法的な手法)の検討が必要です。第二に、事業承継税制の適用要件の確認と計画書の作成(税理士・認定支援機関)。
第三に、株式の贈与・売買・相続に伴う契約書・議事録の作成(司法書士・弁護士)。第四に、後継者育成の中身と引き継ぎ計画の設計(後継者育成の記事も参考に)。
AIはこれらの「何をするか」の整理は手伝えますが、「どう計算するか」「どう書くか」の実務は有資格者が担います。資産管理会社の活用(資産管理会社の記事)が承継と組み合わさる場合もあります。
当事務所は税務顧問にとどまらず、事業承継の論点整理から株価試算・承継計画の策定まで実務で伴走しています。
当事務所での実例
実例:札幌近郊の製造業(従業員25名・息子への親族内承継)で、承継準備を支援しました。AIで論点の一覧化と5年工程表の仮案を作成し、オーナーと後継者が「何から話せばよいか」を整理するたたき台にしました。
自社株の評価と事業承継税制の適用検討・特例承継計画の作成は当事務所が担当。株価が想定より高かったため、数年かけた株価引き下げの対策も並行して実施しています。論点が見えたことで、後継者との対話が具体的に進み始めました。
早期に着手したことで、税制の期限に余裕を持って対応できています。
事業承継の論点整理から具体的な準備まで、まとめてご相談いただける方はお問い合わせからご連絡ください。状況を伺ったうえで、対応範囲と概算をご提示します。
よくある質問
後継者がまだ決まっていません。それでも相談できますか?
後継者未定の段階での相談も多くあります。まず「選択肢を整理する」ところから始められます。親族内・従業員・M&Aの各選択肢の特徴を把握し、オーナーの意向を整理することが第一歩です。選択肢が見えると、後継者探しの方向性も定まってきます。
事業承継税制の期限が迫っています
事業承継税制(特例措置)の特例承継計画の提出期限は令和9年9月30日です。適用を受けるには要件確認と計画書作成に一定の時間がかかります。期限を確認したうえで、できるだけ早く税理士に相談してください。
AIを使えば費用が安くなりますか?
AIは情報の整理を効率化しますが、株価の計算・税務申告・法的書類の作成は有資格者の実務です。AIの活用で論点整理の時間は短縮できますが、専門家の費用そのものが代替されるわけではありません。むしろ整理された状態で相談することで、専門家との面談時間を有効に使えます。
相談はどう進めればよいですか?
業種・従業員数・後継者の状況・時期の目安をお知らせください。お問い合わせフォームから「事業承継の相談」とご連絡ください。料金・契約・業務フローはこちらです。
まとめ
当事務所(札幌市)は、事業承継の論点整理・株価試算・承継計画の策定・税務顧問を一体で支援しています。料金・契約・業務フローをご確認のうえお問い合わせください。
関連記事:事業承継を成功させる方法/事業承継の失敗事例から学ぶ/後継者育成の進め方/資産管理会社の活用
AIを業務に使う前に決めておくこと
- AIに渡してよい情報・禁止する情報の線引き
- 学習に使われない設定の確認
- 使う業務(下書き・整理・調べ物)の限定
- 最終確認は人が行う運用ルール
- 成果の測り方(時間短縮など)
※本記事は2026年6月時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。
出典・参考情報(公的機関)
本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の税務判断・アドバイスを行うものではありません。税制・法令は改正される場合があります。実際の申告・手続の際は、上記の公的機関が公表する最新情報をご確認のうえ、税理士など専門家へご相談ください。
