「経理を外注したいが、いくらかかるのか見当がつかない」。経理代行(経理アウトソーシング)の費用は事業者ごとに料金体系が違い、比較が難しいのが実情です。結論から言うと、経理代行の費用は「業務範囲×業務量」で決まります。この構造を知っていれば、見積もりの妥当性は自分で判断できます。この記事では、業務範囲別の料金の内訳、料金が変わる要因、自分でやる・人を雇う・外注するの分かれ目、見積もりで確認すべきポイントを、経理支援を実務で行う札幌の会計事務所が解説します。
費用は「範囲×量」で決まる

範囲とは「記帳だけ」か「請求・支払・給与・月次資料まで」かという守備範囲のことです。量とは月の仕訳数・請求書の枚数・給与計算の人数です。見積もりが高い・安いと感じたら、まずこの2軸のどこが違うのかを確認すると、比較がかみ合います。
業務範囲別に見る料金の内訳
| 業務 | 料金の決まり方 | 月額の目安帯 |
|---|---|---|
| 記帳代行 | 仕訳数に応じた従量制が主流 | 1〜3万円程度(仕訳100〜200本規模) |
| 請求・支払管理 | 件数ベース | 数千円〜数万円 |
| 給与計算 | 人数×単価 | 1人あたり1,000〜2,000円程度 |
| 月次資料・レポート | 固定額または顧問契約に内包 | 事業者により幅が大きい |
| 年次(年末調整・法定調書等) | 年1回の固定額 | 人数・件数による |
※2026年6月12日時点で公表されている一般的な料金情報の整理です。事業者・地域・業務の状態により幅があります。
注意したいのは、記帳代行の「仕訳数」の数え方が事業者ごとに違うことです。通帳1行を1仕訳と数えるのか、複合仕訳をどう数えるのかで、同じ「月100仕訳まで」でも実質量が変わります。見積もり時に数え方まで確認してください。
料金を下げる最大の要因はデータ化
同じ業務量でも、紙の領収書を郵送でやり取りする運用と、クラウド会計+銀行・カード自動連携+スキャンデータの運用では、作業時間がまったく違います。費用を抑えたいなら、値引き交渉よりデータ化への協力が近道です。当事務所でも、AI(Claude)による請求書読み取りや自動連携を組み合わせることで、従来の記帳代行より少ない人手で同じ品質を出す設計をしています。その分は料金や対応範囲に還元できます。クラウド化がまだの方はクラウド会計の導入支援の記事を先にご覧ください。
自分でやる・雇う・外注するの分かれ目
| 選択肢 | 向くケース | 月のコスト感 |
|---|---|---|
| 自分でやる | 取引量が少ない創業期。クラウド会計+自動連携で十分 | ソフト代のみ(時間コストは別) |
| パート・社員を雇う | 経理以外の事務も任せたい。社内に常駐が必要 | 給与+社会保険料+採用・教育コスト |
| 経理代行 | 専任を置くほどではないが、社長の時間を解放したい | 業務範囲×量で変動。固定費にならない |
雇用との比較では、人件費そのものより「採用できるか・辞めないか」のリスクが論点になります。属人化した経理は退職と同時に止まるため、外注(または外注+最小限の社内作業)は事業継続の保険としての価値もあります。
見積もりで確認したい3つのポイント
①範囲の明細:どの業務が含まれ、何が別料金か(年末調整・償却資産・イレギュラー対応)。②量の定義:仕訳数の数え方、超過時の単価。③税務との接続:記帳代行のみの業者か、税理士事務所として申告・税務判断まで一気通貫か。経理代行と税務顧問が分離していると、決算時に二重のやり取りが発生しがちです。当事務所は税務顧問にとどまらず、経理代行・クラウド会計・AI活用を一体で設計し、記帳から申告までを一気通貫で支援しています。
当事務所での実例
実例:サービス業の法人(社長が経理を兼任)で、記帳・支払一覧・月次資料を当事務所が引き受ける設計にしました。請求書データの読み取りと一覧化はAI(Claude)が担い、仕訳の確定と月次検証は有資格者が担当。社長の経理時間がほぼゼロになり、空いた時間を営業に充てられるようになりました。費用は固定の人件費より小さく、繁閑に応じて範囲を調整できる点も評価いただいています。
自社の業務量での概算を知りたい方は、お問い合わせからご相談ください。状況を伺ったうえで、対応範囲と概算をご提示します。
モデルケース:パート採用と経理代行の比較
経理のために週3日のパートを採用するモデルケースを考えます。給与のほかに社会保険の適用可否の管理、募集・面接の手間、教育期間(戦力化まで数カ月)、そして退職リスクがセットでついてきます。一方、経理代行で記帳と月次資料だけを外注すれば、費用は業務量に応じた変動費で、教育も退職リスクもありません。両者の差は単純な月額比較ではなく、「採用・教育・退職のコストとリスクを誰が持つか」の差です。なお、経理以外の庶務も任せたい・社内に常駐が必要という場合は雇用に分があります。自社の業務一覧を書き出して、外注向きの業務と雇用向きの業務に色分けするところから始めると、答えが出やすくなります。※2026年6月12日時点の一般的な整理です。
契約書で確認する4つの条項
経理代行の契約書では、①業務範囲(別紙で具体的に列挙されているか)、②超過時の取り扱い(仕訳数が増えた場合の単価)、③解約条件(予告期間と引き継ぎ協力義務)、④機密保持と再委託の可否、の4条項を確認してください。とくに④は、自社の取引データがどこで処理されるかに直結します。口頭の説明だけで契約書に書かれていない事項は、ないものとして判断するのが安全です。
「仕訳数」の数え方を見積もり前に揃える
記帳代行の見積もり比較で最も差が出るのが仕訳数の定義です。一般に、通帳の1行=1仕訳、レシート・領収書1枚=1仕訳と数えますが、売上と手数料が相殺された入金を分解する場合(1行から2〜3仕訳が生まれる)、給与の仕訳(総額・控除・振込で複数行)など、実際の仕訳数は元データの行数より多くなります。見積もり時には「通帳○行・カード明細○行・レシート月○枚・給与○人」という元データの量を伝え、先方の数え方で月何仕訳になるか、超過時の単価はいくらかを確認してください。あわせて、銀行・カードの自動連携を入れると手入力対象が減り、同じ業務量でも請求対象の仕訳数を減らせます。費用を下げる王道は、値引き交渉ではなくこのデータ化です。※2026年6月12日時点の一般的な実務に基づく整理です。
よくある質問
個人事業主でも経理代行は頼めますか?
頼めます。確定申告とセットで、記帳部分だけを月数千円〜の従量で設計するのが一般的です。事業が伸びて法人化する際も、同じ体制のまま移行できます。
最低限だけ外注して費用を抑えることはできますか?
できます。たとえば記帳と月次チェックだけ外注し、請求・支払は社内に残す設計が典型です。範囲は後から広げられるので、小さく始めるのが合理的です。
経理代行を頼めば税理士は不要になりますか?
なりません。申告書の作成・税務相談は税理士の独占業務です。記帳代行のみの業者に頼む場合も、申告は別途税理士が必要になります。一体型のほうが連携の手間は省けます。
繁忙期だけのスポット依頼はできますか?
事業者によりますが、決算前の整理や担当者退職時の引き継ぎ支援など、期間限定の設計は可能です。当事務所も状況に応じて対応しています。
見積もりには何が必要ですか?
月の仕訳数の目安(通帳・カードの行数でも可)・給与人数・請求書の枚数・使用ソフトの4点です。お問い合わせフォームからお知らせください。料金・契約・業務フローもご覧ください。
まとめ
- 費用は「業務範囲×業務量」。見積もり比較はこの2軸を揃えてから
- 記帳は仕訳数の従量制が主流。数え方の定義まで確認する
- 費用を下げる近道は値引きよりデータ化(クラウド会計+自動連携+AI)
- 雇用との比較では採用・退職リスクも織り込む
- 申告まで見据えるなら、税理士事務所の一気通貫型が二度手間を防ぐ
当事務所は札幌市内・近郊の法人・個人事業主に、経理代行・クラウド会計・AI活用・税務顧問を一体で提供しています。貴社の状況を伺ったうえで対応範囲と概算をご提示しますので、料金・契約・業務フローをご確認のうえお問い合わせください。
関連記事:経理代行(経理アウトソーシング):依頼から完了までの流れと所要日数/クラウド会計の導入支援:費用はいくら?料金の内訳と相場/札幌の経理をClaudeとGeminiで自動化する最初の一歩/会計・税務顧問サービスのご案内
※本記事は2026年6月時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。
