M&Aで会社を売却する、あるいは金融機関に再生計画を説明する。こうした場面で財務デューデリジェンス(財務DD)を受けると、必ずと言ってよいほど論点になるのが「関連当事者取引」と「オーナー個人費用」です。
この記事は、こんな方に役立ちます
- 税理士の顧問料や費用の相場を知りたい方
- スポット相談か顧問契約か迷っている方
- 依頼の流れと範囲を把握したい方
本記事では、財務DDにおける関連当事者取引と個人費用の正常化について、その意味と進め方を札幌の経営者向けに解説します。関連当事者取引や個人費用の正常化は、会社の評価額や交渉に直結する重要な論点です。何が問題視され、どう調整されるのかを理解しておけば、売却や再生の場面で慌てずに対応できます。
- 正常化は、オーナー固有の事情を取り除き、第三者目線の収益力に引き直す作業です。
- 関連当事者取引は独立企業間価格に引き直され、利益が増減します。
- 過大な役員報酬や私的支出は利益に足し戻され、評価額に影響します。
- 何を個人費用とみなすかは見解が分かれやすく、交渉の争点になります。
- 契約書の整備と事前の論点整理が、売り手の交渉力を高めます。
なぜ正常化が必要なのか
会社の価値は、しばしば実質的な利益を表すEBITDA(利払い・税金・減価償却前の利益)などをもとに評価されます。ところが、決算書の利益にはオーナー特有の事情が混ざっていることが多く、そのままでは「この会社が第三者の手に渡ったとき、いくら稼げるのか」を正しく示せません。そこで、オーナー固有の要素を取り除き、第三者目線の収益力に引き直すのが正常化です。
たとえば、社長個人が市場相場より高い役員報酬を取っていれば、買い手にとってはその分が削減可能な費用です。逆に、社長の親族が無償で働いていれば、第三者なら人件費がかかる、と調整されます。正常化は、こうしたプラス・マイナス両面の調整を積み上げて、実態の利益に近づける作業です。
関連当事者取引で見られる典型例
関連当事者取引とは、オーナーやその親族、あるいはオーナーが支配する別会社との取引を指します。これらは第三者との取引と条件が異なることが多く、財務DDで重点的にチェックされます。よくあるのは次のようなケースです。
- 社長個人が所有する不動産を会社が相場より高い(または安い)賃料で借りている。
- オーナーの別会社へ外注費や業務委託費を支払っているが、取引条件が不明確。
- 役員や親族への貸付金が回収されないまま残っている。
- グループ会社間で原価や手数料の付け替えが行われている。
これらは違法というわけではありませんが、第三者間の取引(独立企業間価格)に引き直すと利益が増減します。買い手は、取引条件が変わったり関連当事者がいなくなったりした後の姿で会社を評価するため、正常化後の数字が交渉の土台になります。
オーナー個人費用の調整
もう一つの大きな論点が、経費に含まれるオーナー個人の支出です。事業との関連が薄い支出が損金として計上されていると、見かけの利益は実態より小さくなります。財務DDでは、これらを利益に足し戻す調整(アドバック)が行われます。代表的なものを整理すると次のとおりです。
| 項目 | 調整の方向 | 考え方 |
|---|---|---|
| 過大な役員報酬 | 利益に加算 | 適正水準との差額を戻す |
| 私的な交際費・旅費 | 利益に加算 | 事業性の薄い支出を除外 |
| 社長の社用車・保険 | 個別判断 | 事業利用分との切り分け |
| 親族の名目的な人件費 | 利益に加算 | 実態のない給与を除外 |
たとえば、社長の役員報酬が年3,000万円で、後継者や雇われ社長なら1,500万円が妥当という場合、差額の1,500万円が利益に足し戻されます。これにより会社の収益力は大きく見え、評価額の押し上げにつながることもあります。ただし、何を私的支出とみなすかは判断が分かれるため、買い手と売り手で見解が対立しやすい部分でもあります。
正常化を有利に進めるための準備
正常化は、売り手にとって会社の本当の稼ぐ力をアピールする好機でもあります。日頃から関連当事者取引の契約書を整え、取引条件の根拠を残しておけば、調整の妥当性を説明しやすくなります。逆に、個人費用と事業費用が曖昧なままだと、買い手から保守的に見積もられ、評価が下がるおそれがあります。
そのため、M&Aや再生を見据える段階で、第三者である専門家に財務の実態を整理してもらうことをおすすめします。当事務所が売り手側の立場で正常化の論点を先回りして洗い出しておけば、買い手の財務DDで一方的に不利な調整をされるのを防げます。札幌・北海道で事業承継型のM&Aを検討する企業にとって、この準備は交渉力に直結します。
まとめ
関連当事者取引と個人費用の正常化は、財務DDの核心であり、会社の評価額を左右します。自社にどんな調整論点があるかは、財務の中身を見なければわかりません。
札幌でM&Aや事業承継をお考えの方は、当事務所のお問い合わせからご相談ください。費用の目安は料金プランをご覧ください。公認会計士・税理士として、売り手側の財務DD準備を支援します。
当事務所でもAIを活用した資料の下準備と税理士による最終確認を組み合わせて、こうしたテーマの実務を支援しています。
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※本記事は2026年9月時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。税制・法令・制度は改正されることがあり、実際の適用にあたっては公認会計士・税理士等の専門家にご相談ください。
出典・参考情報(公的機関)
本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の税務判断・アドバイスを行うものではありません。税制・法令は改正される場合があります。実際の申告・手続の際は、上記の公的機関が公表する最新情報をご確認のうえ、税理士など専門家へご相談ください。
