ClaudeやGeminiに強い税理士は、「事務所自身が業務でAIを使い、その場で実演できるか」と「機密情報の扱いのルールに即答できるか」で見分けます。顧問料は金額ではなく、同じ金額で作業を買うのか、判断と対話を買うのかという中身で比べるのが有効な考え方です。
この記事の結論
「AI対応」の看板ではなく、発信の確認→面談での実演→小さく試すの3段階で見極めます。顧問料は、含まれる業務・別料金・データ共有・解約条件を契約前に書面で確かめ、年間総額と中身で比べましょう。
- 面談で聞く7つの質問のうち、実演(質問2)と機密情報の扱い(質問5)は妥協しない
- 顧問料は「作業を買うか、判断と対話を買うか」で比べる
- 料金表は記帳込み型・自計化前提型・コンサル型の3類型で読み分ける
- AIの答えを国税庁などの一次情報で人が確かめる運用になっているかを確認する
- 最初の3か月を試運転期間として、レスポンス・報告の質・提案の有無で評価する
見極めは3段階:広告ではなく実演で判断する
「ClaudeやGeminiに強い税理士に頼みたいが、何を基準に選べばいいのか分からない」「AI対応をうたう事務所は増えたけれど、顧問料はどう考えればいいのか」。こうした疑問には、看板より実際の仕事ぶりを見る3つの段階で答えを出すのが近道です。

第1段階は発信の確認です。事務所のサイトやブログで、AIの具体的な業務活用(何に・どう使い・人が何を確認するか)まで書けているかを見ます。一般論の紹介記事しかない場合は注意が必要です。第2段階は面談での実演です。実際の画面で、議事録の整理や資料の読解などを見せてもらいます。
第3段階は小さく試すことです。初回の相談で自社の具体的な困りごとを1つ持ち込んで答え方を確かめ、契約するなら最初の3か月を試運転期間として合意しておくと、ミスマッチのリスクを抑えやすくなります。試運転の設計は、この記事の後半で説明します。
| 面談で聞く7つの質問 | 合格ラインの目安 |
|---|---|
| 1. 事務所業務でAIを何に使っていますか | 具体的な業務名が複数出てくる |
| 2. いま実演してもらえますか | その場で見せられる |
| 3. ClaudeとGeminiをどう使い分けていますか | 根拠つきで説明できる |
| 4. 顧問先への導入支援の経験はありますか | 業種・規模の傾向を語れる(守秘の範囲で) |
| 5. 機密情報の扱いはどうしていますか | 学習設定・入力禁止のルールに即答できる |
| 6. AIの誤りはどう防いでいますか | 人の確認工程を仕組みで説明できる |
| 7. AIで浮いた時間を何に使っていますか | 月次の対話・提案など、顧客側の価値で答える |
7問すべてに完璧な答えを求める必要はありません。ただし、質問2(実演)と質問5(機密)の2つは妥協しないことをおすすめします。税理士には税理士法で守秘義務が課されており、顧問先の情報をAIにどう扱うかは、その義務を守る仕組みそのものだからです。
AIを業務に使う前に決めておくこと(事務所にも自社にも共通)
- AIに渡してよい情報・禁止する情報の線引き(顧客の氏名・マイナンバー・口座番号などの個人情報は入れない、または匿名化する)
- 入力した内容が学習に使われない設定になっているかの確認
- 使う業務(下書き・整理・調べ物)の限定
- 最終確認は人が行う運用ルール
- 成果の測り方(作業時間の短縮など)
ClaudeとGeminiの向き・不向きを知っておく
依頼する側も2つのAIの大まかな違いを知っておくと、面談での会話の解像度が上がります。Claudeは、契約書・決算資料など長い文書の読解と、正確さが求められる文章の作成に強みがあるとされています。Geminiは、Gmail・スプレッドシートなどGoogle Workspaceとの連携と、検索を絡めた下調べが得意とされています。
| 経理・税務の業務 | 使われやすいAI | 人が確かめること |
|---|---|---|
| 契約書・決算資料・通知文の読解と要約 | Claude | 原本と照らして、金額・期日・条件の読み落としがないか |
| 月次報告のコメントや説明文の下書き | Claude | 数字の検算と、経営者に伝えるべき論点が入っているか |
| スプレッドシートでの集計・グラフ作成 | Gemini | 集計の範囲と計算式、会計データとの一致 |
| Gmailの問い合わせ整理、検索を絡めた下調べ | Gemini | 出典が公的機関の一次情報か、情報が古くないか |
経理実務では、この2つを業務ごとに使い分けるのが一つの現実解です。詳細はClaudeとGeminiどっちがいい?経理・税務での使い分け、Claudeを経理に組み込む具体的な手順はClaude Cowork 経理活用ガイドで解説しています。
税額・期限・要件は、一次情報で裏を取る
AIは、改正前の古い情報や誤った数字をもっともらしく答えることがあります。たとえば、少額減価償却資産の特例は2026年4月1日以後の取得から40万円未満に広がり、免税事業者からの仕入れの経過措置は2026年10月1日から70%になりました。こうした改正を、古い内容のまま答える場合があります。税額・期限・制度の要件は、国税庁のタックスアンサーなどの一次情報で人が確かめる運用になっているかを、面談で確認しましょう。
AI時代の顧問料:金額より「中身の交換比率」で考える
税理士の顧問料は、規模・業務範囲で変わり、事務所ごとに設定が異なります(当事務所では目安の金額を掲載せず、範囲をうかがって個別にお見積りしています)。AIの普及で「安くなる」と期待されがちですが、実際に起きやすいのは価格の低下より中身の入れ替えです。
| 顧問料の使われ方 | 従来型 | AI活用型 |
|---|---|---|
| 作業(記帳・資料作成) | 人手で大半を消費 | AI・自動連携で圧縮 |
| 判断(税務・会計の検討) | 残り時間で対応 | 時間を厚く確保 |
| 対話(月次レポート・相談) | 年数回 | 月次で継続 |
| 付加価値(AI導入・DX支援) | 対象外 | 顧問の範囲に組み込み可能 |
つまり比較すべきは「月額がいくらか」ではなく、「その金額で作業を買うのか、判断と対話を買うのか」です。安くても記帳と申告だけなら、経営への貢献は限定的になりやすい面があります。逆に月額が高めでも、月次の対話とAI活用の支援が含まれるなら、投資対効果は変わってくることがあります。
契約前に確認したいこと
最後に、契約書や見積書をもとに次の点を確認してください。口頭の説明だけで済ませず、書面で残しておくことがミスマッチを防ぎます。
- 月額に含まれる業務の一覧(月次面談の頻度・方法)
- 別料金になる業務(年末調整・償却資産申告・税務調査の立会い・AI導入支援など)
- クラウド会計・データ共有の方法(どちらが入力し、誰が検証するか)
- 自社のデータをAIで扱う範囲と、学習設定・入力禁止のルール
- 解約の条件と、預けた資料・データの返却方法
ここまで確認してから契約すると、「思っていた関係と違う」というミスマッチのリスクを抑えやすくなります。なお、候補を探して面談を組むところまではご自身でできます。専門家の力量が問われるのは、貴社の業務フローを見て「どこをAI・自動化し、どこに人の時間を使うか」を設計する部分です。
当事務所の面談で確かめていただけること
当事務所は、ClaudeとGeminiを日常業務に組み込んだ税務顧問として、その設計と運用まで実務で伴走しています。面談では、7つの質問にそのままお答えし、ご希望に応じて次の内容を実際の画面でお見せしています。
- サンプルデータを使った、Claudeでの資料の読解と月次報告文の下書き
- Geminiでのスプレッドシートの集計と、その結果を人が検算する手順
- AIを導入するときの機密情報ルールの案(入力してよい情報・禁止する情報・確認の工程)
- 顧問契約の範囲での助言と、本格的な導入プロジェクトの支援の分け方
ご支援は継続的な顧問契約の中で行い、月次の対話の中でAI活用の定着までお手伝いします。決算・申告だけのスポットのご依頼はお受けしていません。顧問サービスの範囲は会計・税務顧問のご案内でご確認いただけます。
どの業務をAIに任せ、どこに人の時間を使うかは、業種と経理の体制で変わります。実演ベースで比較したい方も、初回無料でご相談いただけます。
無料で相談する料金表の読み方:同じ月額でも中身は3類型
事務所の料金表は、同じ月額でも前提が違うことがあります。大きく分けると、次の3つの類型があります。
| 類型 | 中身 | 向いている会社 | 確認したい点 |
|---|---|---|---|
| 類型1:記帳込み型 | 領収書を渡せば記帳まで事務所が行う。その分、月額か記帳料が上乗せされる | 経理の担当者がいない、記帳の時間を取れない | 仕訳の量が増えたときの料金、資料を渡す締め日 |
| 類型2:自計化前提型 | クラウド会計に自社で入力(または自動連携)する前提で月額を抑え、事務所は検証と申告に集中する | 社内で入力でき、数字を早く見たい | 誰が・いつ検証するか、修正の依頼の方法 |
| 類型3:コンサル型 | 記帳・申告に加え、月次面談や経営数値の分析、AI・DX支援まで含む。月額は高めでも範囲が広い | 経営判断の相談相手がほしい、AI活用を進めたい | 面談の頻度と、提案として何が出てくるか |
比較するときは、年間総額(月額×12か月分+決算料+オプション)に直したうえで、「自社が欲しいのはどの型か」を先に決めてから見ると迷いにくくなります。AIを使いこなす事務所は、類型2の価格帯で類型3に近い中身を出せるようになってきている、というのが当事務所の見方です(2026年10月時点の一般的な傾向の整理)。
ミスマッチを防ぐ「試運転3か月」の設計
どれだけ面談で見極めても、実際の相性は仕事をしてみないと分からない部分があります。おすすめは、最初の3か月を試運転期間として双方で合意しておくことです。判定の基準は3つあれば足ります。
- レスポンス:質問への一次回答が、約束した日数内に返ってくるか
- 報告の質:月次資料が「読める」形で出てくるか(数字の羅列でなく、変動の説明がつくか)
- 提案の有無:3か月の間に、こちらが聞かなくても1つでも改善の提案があったか
契約の時点で、回答までの日数、月次資料の形式、面談の頻度を書面に残し、3か月後に振り返りの面談を入れておくと、評価があいまいになりません。3つすべてがそろわなければ、見直しを検討してよい水準です。「3か月後にこの基準で評価してください」と自分から言える事務所は、品質に自信がある一つの目安と見てよいでしょう。
よくある質問
面談で実演をお願いしたら断られました。どう判断すべきですか?
守秘義務を理由に顧問先のデータを見せられないのは当然ですが、サンプルデータでの実演すら出てこない場合は、日常的に使っていない可能性が考えられます。発信の内容と面談での説明に具体性があるかで、補完的に見極めてください。
AIに強い=若い税理士、ということですか?
年齢は関係ありません。判断の基準は、あくまで「業務で実際に使い、仕組みとして回しているか」です。実演を見ることで判断しやすくなります。
顧問料の値引き交渉はすべきですか?
金額の交渉より、含まれる業務の調整(記帳を自社化して月額を下げる等)のほうが建設的な場合があります。単純な値引きは、サービスの中身も削られがちです。
自社にAIを導入する支援も顧問料に含められますか?
事務所によります。当事務所では、顧問契約の範囲での助言と、本格導入のプロジェクト支援を分けて設計しています。範囲の線引きは見積もりの時に明示します。
まず何から相談すればよいですか?
現在の顧問契約の状況(有無・内容)と、経理の体制・困りごとをお知らせください。お問い合わせフォームとLINEで受け付けています。料金・契約の流れのページに、当事務所の考え方をまとめています。
まとめ
ClaudeやGeminiに強い税理士は、発信の確認→面談での実演→小さく試すの3段階で見極め、実演と機密情報のルールの2点は妥協しないことが大切です。顧問料は金額ではなく「作業を買うか、判断と対話を買うか」で比べ、含まれる業務・別料金・データ共有・解約条件を契約前に書面で確認しましょう。最初の3か月を試運転期間にすれば、相性も確かめられます。
札幌の公認会計士・税理士事務所
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出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂
