整骨院・接骨院でGeminiが役立つのは、予約・キャンセルの案内文、回数券の残数管理表の設計、口コミへの返信文のように、繰り返し発生する文章と記録の整理です。患者さんの氏名・症状・施術内容は入力しないという線引きを先に決め、送信や投稿の前に人が確認する運用にすれば、事務の負担を減らしやすくなります。
この記事の結論
Geminiに任せるのは、院内運営の文章の型と、匿名化した記録の設計までです。患者情報は入力せず、送信・投稿・金額の確定は人が行います。
- 患者さんの氏名・症状・施術内容・保険請求の情報は入力しない
- すぐ効くのは、予約案内・回数券管理表の設計・口コミ返信の3つ
- 北海道の季節(除雪・路面の凍結・スポーツの再開)に合わせた案内文の型を先に作っておく
- 保険施術は消費税が非課税、自費施術は課税。回数券は施術した時点で売上に計上する
- 入力ルールは「そのまま可・匿名化すれば可・入力禁止」の3区分で院内に共有する
大前提:患者情報・施術情報は入力しない
整骨院・接骨院には、患者さんの個人情報と施術の記録が集まります。AIに入力しないのは、患者さんの氏名・連絡先・症状・施術内容・施術録・保険請求の情報です。負傷の状況や施術を受けた事実などの健康に関する情報は、個人情報保護法の「要配慮個人情報」に当たり得るため、特に慎重に扱います。
柔道整復師には法律上の守秘義務もあります。AIに渡すのは「院内運営の文章の型」と「匿名化した業務の流れ」だけにすると決めておけば、患者さんの信頼を損なわずに事務の負担だけを軽くしやすくなります。
| 区分 | 情報の例 |
|---|---|
| そのまま入力してよい | 公開している営業時間・休診日・料金表、案内文の下書きの依頼、管理表の列の設計 |
| 匿名化すれば入力してよい | 顧客番号だけの回数券の集計、投稿者名を除いた口コミの要点、月別の来院数の合計 |
| 入力しない | 氏名・電話番号・住所、症状・施術内容・施術録、保険証の情報・療養費の請求内容、スタッフの個人情報 |
利用するプランと設定も確認します。プランや設定によっては、入力した内容がサービスの改善に使われる場合があります。院の業務では、データの取扱いが契約で明示されたビジネス向けのプラン(Google Workspaceのプランなど)を選びます。あわせて、スタッフ向けの院内ルールを文書にします。
士業がAIを使うときの守秘義務の考え方は、AIを使うときの守秘義務と実務で整理しています。医療に近い情報を扱う整骨院でも、同じ枠組みがそのまま使えます。
即効3シナリオ:今日から使える型
患者情報を使わない範囲でも、整骨院の事務には文章を作る仕事が多くあります。効果が出やすいのは、次の3つの場面です。

シナリオ一:予約・キャンセルの案内文
「本日ご予約の方に、施術開始5分前のリマインドを送るSMSを、丁寧かつ短く3パターン作って」「無断キャンセルが続く方への次回の確認文を、角が立たない形で」といった使い方です。言いにくい文面ほど、下書きの価値が出ます。
「前日のリマインド」「雪や悪天候の日の来院確認」「しばらく来院がない方への案内」など、場面を絞って型を作れば、スタッフは選んで使うだけになります。氏名や日時は送信時に予約システム側で差し込むことにして、Geminiには「〇〇様」のような置き換え用の記号で文面を作らせます。
頼み方の型(5つの要素)
- 目的:リマインド、キャンセルの確認、休診のお知らせなど
- 相手:初めての方か、通院中の方か
- 長さ:SMSなら短く、LINEやメールなら少し丁寧に
- 入れたい情報:日時の差込み位置、連絡先、キャンセルの受付期限
- 避けたいこと:施術の効果を約束する表現、症状への言及
シナリオ二:回数券の残数管理表の設計
「10回券・20回券の残数を一覧できるスプレッドシートの設計案を作って。列は顧客番号・券種・購入日・使用回数・残数・有効期限」といった依頼です。顧客番号で管理し、氏名は予約システムや別の台帳で紐づける設計にすれば、AIに渡す情報から個人情報を切り離せます。
残数が3回以下になった顧客番号に自動で色がつく条件付き書式や、有効期限が近い券を抽出する数式の作り方もGeminiに聞けます。回数券の収入は継続的な来院につながるストック型の売上で、院の経営を安定させる柱になります。考え方は売上を安定させる方法で紹介しています。
シナリオ三:口コミへの返信文
「Googleマップに寄せられた5段階評価で4のレビューへの返信を、感謝→具体的な共感→再来院へのお誘い、の流れで3パターン作成して」といった依頼です。プロンプト例は「当院は札幌市北区の整骨院です。口コミに対して丁寧で温かみのある返信を200字以内で3案作成してください。口コミの要点:〔投稿者名を除いた要点〕」です。
返信文には、来院の有無や症状など、患者さんが特定される内容を書きません。投稿者が患者さん本人であっても、院の側から施術の内容に触れると守秘義務の面で問題になるおそれがあります。低評価(1〜2)への返信は特に慎重に、院長が内容を確認してから投稿します。
北海道の整骨院ならではの季節の文章仕事
道内の整骨院では、季節によって相談の中身が変わることがあります。冬の路面の凍結による転倒やスリップ事故、除雪作業による腰や肩の痛み、春先のスポーツの再開、夏のマラソンや登山の後のケアなどです。繁忙期は予約案内と問い合わせへの返信の型でさばき、落ち着いた時期に翌シーズンの発信カレンダーと回数券の案内文を仕込みます。
| 季節 | 増えやすい相談の例 | 先に作っておく文章 |
|---|---|---|
| 冬(除雪・路面の凍結) | 除雪後の腰痛、転倒、スリップ事故 | 除雪シーズン前の腰痛ケアの案内、雪の日の来院確認、交通事故後の来院の案内(保険の手続きの説明) |
| 春(スポーツの再開) | 部活動や草野球などの再開に伴う痛み | ランニング・スポーツ再開前のメンテナンスの案内 |
| 夏(大会・登山) | マラソン大会や登山の後のケア | 大会前後のケアの案内、予約枠のお知らせ |
| 落ち着いた時期 | 来院が少ない時期 | 翌シーズンの発信カレンダー、回数券の案内文、スタッフ向けのテンプレート集 |
季節別のテンプレートを一度Geminiで作っておけば、翌年からは手直しだけで使い回せます。交通事故の案内文は特に注意が必要です。自賠責保険の取扱いは保険会社とのやり取りを伴うため、「保険会社へのご連絡をお願いします」などの手続きの案内にとどめ、補償の内容や金額を断定する表現は避けます。
院のSNS(Instagram・LINE公式アカウント)向けの投稿案も、季節のテーマを渡すだけで複数の案が出ます。ホームページやSNSでの発信が広告に当たる場合は、柔道整復師法で広告できる事項が限られている点に注意し、投稿前に院長が確認します。閑散期にこそ翌シーズンの文書を仕込んでおく習慣が、繁忙期の院長の余裕につながります。
GeminiとGoogleツールの連携で事務をつなぐ
Geminiは、GmailやGoogleスプレッドシートなどのGoogleのツールと組み合わせて使えます。院内でGoogleのツールを使っているなら、普段の画面のままAIを活用できます。使える機能はプランによって異なるため、2026年10月時点でも導入前に公式の情報で確認してください。
予約リマインドの文面をGeminiで作り、GmailやLINE公式アカウントの定型文に登録する。回数券の残数のスプレッドシートを、月末にGeminiで集計しやすい形に整える。このように、文章づくりと集計を普段の道具の中でつなげるのが自然な使い方です。月末の集計は、次の流れにすると個人情報を切り離したまま進められます。
- 顧客番号だけを書き出す予約・受付システムから、顧客番号・券種・使用回数・残数だけを書き出します。
- 集計表の形を整えるスプレッドシートに貼り付け、券種別の販売枚数・使用回数・残数の合計を出す表の作り方をGeminiに聞きます。
- 原本と照合する集計した残数と金額を、レジの記録や台帳と突き合わせます。
- 院長が確認して経理に回す確認済みの数字を、月次の売上・前受金の金額として経理に渡します。
患者さんの個人情報が含まれるファイルはAIに直接渡さず、顧客番号だけのファイルを別に用意します。共有ドライブの共有範囲(リンクを知っている社外の人も見られる設定になっていないか)や、退職したスタッフのアカウントの停止もあわせて点検します。Geminiの始め方は北海道の中小企業のためのGemini導入ガイドにまとめています。
整骨院の経理・税務とAIの連動
整骨院・接骨院の売上には、保険施術(健康保険・労災・自賠責)と自費施術が混在します。消費税では、保険施術は非課税、自費施術(マッサージ・整体・美容目的の施術など)は課税になるため、会計ソフトの売上の区分と消費税の申告を最初から分けて設計します。
| 売上・入金 | 消費税 | 計上の時期と注意点 |
|---|---|---|
| 保険施術(健康保険の療養費) | 非課税 | 施術した月の売上として未収計上し、入金で消し込む。返戻・減額の差額を管理する |
| 労災・自賠責の施術 | 非課税 | 請求先ごとに未収金を管理する |
| 窓口の一部負担金 | 非課税 | 日々のレジ締めで現金と照合する |
| 自費施術・物販 | 課税 | 物販は品目ごとに税率を確認する |
| 回数券(自費) | 施術した時点で課税 | 販売時は前受金とし、施術した時点で売上に振り替える |
消費税の納税義務は、基準期間(個人は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えるかで判定します。非課税の保険施術の収入は、この課税売上高に含めません。自費施術や物販の割合が増えてきたら、判定を一度確認しておきます。
回数券の代金は、販売した時点では前受金で、施術を行った時点で売上に計上するのが原則です。有効期限が過ぎて使われなかった回数券の代金は、その時点で収益に計上するのが一般的です。期末の前受金の残高が回数券の残数の一覧と一致しているかを確かめ、処理の方法は税理士と確認してください。
経理の作業にもGeminiは使えます。例えば、月末の売上の内訳(保険・自費・物販・回数券)を集計する表の設計、勘定科目のルール表の下書き、決算前のチェックリストづくりです。AIが示した税務の説明は、国税庁のタックスアンサーなどの一次情報で裏付けを取ってから使います。
人件費も見直しの対象です。受付スタッフなどの時給は、2026年10月1日から北海道最低賃金の1,131円以上が必要です(前年は1,075円)。院長が経営判断に集中するには、文書の型化だけでなく数字の見える化がセットです。月次の数字の使い方は管理会計とは:月次で数字を経営に使う方法で、開業時の届出と税務の基本は整骨院・接骨院の開業時の税務手続きと届出一覧で紹介しています。
保険と自費の売上の区分、回数券の前受金の処理、消費税の判定は、院の売上の構成で変わります。初回無料で一緒に確認できます。
無料で相談する人が確認する4つのポイント
Geminiの文章は丁寧でも、そのまま使うと「院のらしさ」が薄れたり、事実と違う内容が混ざったりすることがあります。次の4点は、人が確認する工程として固定します。
- 送信前に読む患者さんに送る文面は、送信前に院長かスタッフが読みます。最後のひと手間が接客の延長です。
- 口コミ返信は院の言葉に直す投稿前に院の言葉・方針に合わせて修正し、低評価への返信は院長が確認してから投稿します。
- 残数・金額は原本と照合する回数券の残数と金額は、台帳・レジの原本と照合します。AIが設計した集計表も、入力ミスがあれば数字は狂います。
- 院のルールの外での利用を放置しないスタッフの個人的な利用を見えないまま放置すると、情報漏えいの原因になります。院として公式に導入し、ルールを全員で共有します。
「下書きはGemini、確定は人」
文章の型づくりと表の設計はGeminiに任せ、送信・投稿・金額の確定・税務の判断は人が行う。この分担が、すべての使い方に共通する基本です。
スタッフへの展開と院内ルールの整備
Geminiを院全体で使うには、スタッフ一人ひとりへの説明と院内ルールの明文化が必要です。まず「入力してよい情報・入力しない情報」を紙1枚にまとめ、スタッフルームに貼るところから始めます。「患者さんの名前・症状・施術の記録・保険請求の内容はAIに入力しない」という一文を全員が把握していることが、最低限の出発点です。
- AIに渡してよい情報と、入力しない情報の線引き
- 入力した内容の扱い(学習への利用・保存)に関するプランと設定の確認
- 使う業務の限定(下書き・整理・調べ物)
- 最終確認は人が行うという運用ルール
- 成果の測り方(電話対応や文章づくりにかかる時間の変化など)
次に、Geminiを使った文章づくりの権限を整理します。役割を分けておくと、新しいスタッフが入っても同じ品質で運用できます。
| 業務 | スタッフに任せる範囲 | 院長が確認する範囲 |
|---|---|---|
| 予約リマインド・キャンセルの連絡 | 登録済みのテンプレートを選んで送る | 新しいテンプレートの追加 |
| 口コミへの返信 | 返信の下書きを作る | 内容の確認と投稿 |
| 回数券の集計 | 顧客番号での集計 | 金額の確定と経理への受け渡し |
| SNSの投稿 | 季節の投稿案を作る | 広告の制限を含めた最終確認 |
個人のスマートフォンで患者情報を入力してしまうリスクを防ぐため、「院のGoogleアカウントからのみGeminiを使う」というルールも決めておきます。ルールは作るだけでなく、月に一度のスタッフミーティングで確認する習慣が定着につながります。
導入の進め方と当事務所の支援範囲
導入は、効果が見えやすく、患者情報に触れない業務から始めます。次の順番で進めると、院内のルールと経理の仕組みを同時に整えられます。
- 時間を取られている事務を洗い出す電話対応、案内文、口コミ返信、回数券の確認など、毎週くり返している作業を書き出します。
- 入力ルールと権限を決める入力の3区分と、スタッフと院長の役割を文書にします。
- 型を作って試す予約リマインドと口コミ返信のテンプレートを作り、スタッフで試して直します。
- 経理につなげる回数券の管理表とレジの売上の集計を、月次の経理の流れに組み込みます。
- 月に一度見直すルールが守られているかと、時間がどれだけ減ったかを確認します。
当事務所は、継続的な顧問契約の中で、保険と自費の売上区分・消費税の判定、回数券の前受金の処理、月次の数字の見える化、AIを使う際の院内ルールの整備を支援します。ご相談の際は、施術ベッド数・スタッフ数・使っているツール(Google・予約システム)と、時間を取られている事務の内容をお知らせください。状況に合った進め方をご提案しやすくなります。
よくある質問
予約システムがすでにあります。それでも活用できますか?
できます。予約システムの操作はそのままに、患者さんへの案内文・口コミ返信・スタッフへの連絡文など「文章を作る仕事」にGeminiを使う設計が現実的です。予約システムを切り替える必要はなく、文章を作る手間だけを軽くするのが最初のステップです。
回数券の管理はどのツールでやるのがよいですか?
既存の予約・受付システムや院のレセコンで管理するのが基本です。Geminiは管理表の設計案づくりや集計メモの整理を補助する役割で、金額と残数の確定は人が原本と照合して行います。Googleスプレッドシートを補助的に使う場合は、顧客番号での管理と氏名の別管理を徹底します。
Geminiの費用はどれくらいかかりますか?
無料で使える範囲と有料のプランがあり、個人向けの有料プランは2026年6月時点で月20〜30ドル前後でした。院の業務で使う場合は、データの取扱いが明示されたビジネス向けのプランも比較します。プラン名や料金は変更されることがあるため、契約前にGoogleの公式情報で確認してください。
自費施術が増えたら、インボイスの登録は必要ですか?
患者さんは一般の消費者のため、インボイスを求められる場面は多くありません。ただし、企業と契約して従業員向けの施術を行うなど、事業者から仕入税額控除のためにインボイスを求められる取引がある場合は検討します。登録すると、課税売上高にかかわらず消費税の申告が必要になる点も踏まえて判断します。
まとめ
整骨院・接骨院のGemini活用は、患者情報・施術情報を入力しないという線引きが大前提で、すぐ効くのは予約案内・回数券管理表の設計・口コミ返信の3つです。北海道の除雪・スポーツ再開・交通事故の時期に合わせた季節のテンプレートを仕込み、送信前の確認と金額の照合は人が行います。保険と自費の売上区分や回数券の前受金など経理の月次化を同時に進めると、院長が判断に使える数字と施策の効果がそろいます。
札幌の公認会計士・税理士事務所
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出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年6月 公開/2026年10月 改訂(入力ルールの3区分、消費税と回数券の処理、北海道最低賃金を追記)
