Gemini導入は、GmailやスプレッドシートなどGoogle Workspaceを使っている北海道の中小企業なら、追加投資をほぼかけずに試せる有力な選択肢です。最初の2週間はメールの下書きなど決まった業務に絞って型を作り、入力禁止情報・学習設定・人の確認の3つのルールを導入前に決めておきます。
この記事の結論
Google Workspace中心の会社なら、Geminiは普段の画面のまま試せるAIです。小さく始めて型を作り、社内ルールと会社アカウントの設計を先に決めてから全社に広げます。
- Gmail・スプレッドシート中心の会社に向く。Microsoft 365中心ならCopilot、長文資料の読み込みが主ならClaudeの併用も検討する
- 最初の2週間は「メールの下書き」など決まった業務だけに使い、指示文(プロンプト)の型を作る
- マイナンバー・口座情報・個人名入りの給与データなどは入力しないと、導入前に決めておく
- 金額・税率・期限を含む出力は、国税庁などの一次情報か専門家の確認を通してから使う
- 業務での利用は、社員の個人アカウントではなく会社ドメインのアカウントで管理する
Geminiが向く会社・向かない会社
Geminiは、Googleのサービスと組み合わせて使うときに強みが出るAIです。普段からGmailやスプレッドシートで仕事をしている会社なら、新しい画面に慣れる手間が小さく、試す負担も軽くなります。一方、社内の標準がMicrosoft 365なら、別の選択肢を先に検討するほうが自然です。
| 状況 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| Gmail・スプレッドシート・Googleカレンダー中心 | とても向く | 普段の画面にAIが入り、移行のコストが小さい |
| 検索しながらの下調べが多い | 向く | 検索との連携の強さがそのまま効く |
| Microsoft 365中心 | Copilotを先に検討 | Officeとの連携はCopilotが自然 |
| 契約書・長文資料の読み込みが主な目的 | Claudeの併用を検討 | 長文の読解と文章の精度はClaudeに分がある |
3社のAIの詳しい比較は、Claude・Gemini・CopilotのAI3社比較で整理しています。どれを選ぶかより、最初の業務を決めて小さく始めることのほうが、成果を左右します。
最初に試したい3つの使い方

最初は、毎日発生し、出来の良し悪しを自分で判断できる業務から始めます。次の3つは、多くの会社ですぐに試せる使い方です。
| 使い方 | 具体例 | 効果の出方 |
|---|---|---|
| 1. メールの下書き | 「この問い合わせへの返信案を丁寧な調子で」と依頼する | 1通に10分かかっていた作業が数分に。表現の質も安定する |
| 2. スプレッドシートの集計補助 | 「店舗別の売上を月別に集計する関数を作って」と依頼する | 関数を覚えなくても集計表が組める |
| 3. 調べ物の一次整理 | 補助金・制度・取引先の公開情報の要点を整理する | 検索結果を読む時間を大幅に短くできる |
コツは、最初の2週間を「決まった業務だけに使う」ことです。あれこれ試すより、メールの下書きなら毎回それに使うほうが、品質の判断と指示文の改善が進みやすくなります。そのうえで、次の3段階で広げます。
- 無料版でメールの下書きから試す担当者1〜2人で、決まった業務だけに使います。入力してよい情報の範囲は、この段階から決めておきます。
- スプレッドシートの業務に広げる売上の集計や関数づくりなど、結果を数字で確かめられる業務に広げます。出力した数字は、元のデータと突き合わせて確認します。
- 有料版でチームに展開する会社のアカウントと社内ルールを整えてから、利用する人を増やします。データの取扱いの設定も、この段階で管理者が確認します。
北海道の業務での活用シーン
冬季に移動の制約が出やすい北海道では、文書とオンラインのやり取りの質を上げる効果が大きくなりやすいと考えられます。いずれも「下書きと整理はAI、最終確認と判断は人」という分担が前提です。
| シーン | AIに任せる部分 | 人が確認すること |
|---|---|---|
| 遠方の取引先への提案文・案内文 | 構成案と下書き、言い回しの調整 | 金額・納期・条件が社内の決定どおりか |
| 季節要因を踏まえた売上の説明資料 | 除雪費・暖房費・観光の繁閑など、変動の理由を説明する文章の下書き | 数字が試算表・月次の実績と一致しているか |
| 求人票や採用面接の質問の作成 | 仕事内容の説明文、面接の質問案 | 賃金が最低賃金を下回っていないか、法令に反する質問がないか |
| 補助金の公募要領の要点の抽出 | 対象者・対象経費・スケジュールの要約 | 締切・補助率・対象経費を公募要領の原文で確認したか |
北海道で使うときに確認したい数字の例
- 求人票の時給は、北海道の最低賃金(2026年10月1日から1,131円)を下回らないかを人が確認する。AIが古い金額で文章を作ることがあるため、改定の時期は特に注意する
- AIツールの導入に補助金を使えるかは、デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)などの公募要領と、対象として登録されたツールで確認する。2026年10月3日時点で、第6次の締切は2026年10月30日17時
最低賃金や社会保険の改定は、人事労務・最低賃金・社会保険の最新情報で確認できます。補助金を使ってAIを導入する手順は、北海道のDX補助金でClaude・Geminiを導入する手順にまとめています。
導入前に決める3つのルール
第一に入力禁止の情報です。マイナンバー・口座情報・個人名入りの給与データなどは入力しないと決めます。第二に学習設定の確認です。入力した内容がAIの学習に使われない設定・プランを選び、とくに無料版を業務に使う場合は設定の確認が欠かせません。
第三に人の確認です。金額・税率・期限を含む出力は、国税庁などの一次情報か専門家の確認を通してから使います。AIはもっともらしい誤りを出すことがあるためです。顧客データを扱う場合の注意点は、顧客データをClaude・Geminiに入れる前の注意点も参考にしてください。
ルールは口頭で伝えるより、1枚の文書にまとめて社内で共有するほうが守られます。最低限、次の項目を決めておきましょう。
- AIに渡してよい情報と、禁止する情報の線引き
- 入力した内容が学習に使われない設定になっているかの確認
- AIを使う業務の限定(下書き・整理・調べ物など)
- 最終確認は人が行うという運用のルール
- 成果の測り方(作業時間の短縮など)
経理・税務でGeminiを使うときの手順と注意
経理・税務でもAIは役に立ちますが、数字の正確さと情報の管理に責任が伴う分野です。AIに任せやすい作業と、任せない作業をはっきり分けて使います。
AIに任せやすい作業
- 取引の摘要の表記をそろえる
- 勘定科目の候補と、判断に迷う点の洗い出し
- 経理規程や業務マニュアルの文章化
- 月次の数字を説明する文章の下書き
- 制度の概要の一次整理(原文の確認が前提)
AIに任せない作業
- 税額の最終的な計算と申告書の作成
- 経費になるか・課税になるかなど、税務上の判断の確定
- マイナンバーや口座番号を含む書類の処理
- 出典を確認していない数字の、そのままの利用
- 使う業務を決める下書き・整理・調べ物のどれに使うかを決め、申告や税額の計算には使わないと決めておきます。
- 入力するデータを加工する個人名・口座情報・マイナンバーを除き、取引先名は必要に応じて記号に置き換えます。
- 出力の形を指定する表の項目、字数、判断に迷う点を分けて書くことなどを指示します。
- 一次情報で裏を取る税率・期限・金額は、国税庁のタックスアンサーや公式の手引きで確認します。
- 人が最終確認し、記録を残す誰が何を確認したかを残しておくと、後から判断の根拠を説明できます。
AIの答えが古い制度のままのことがある
例えば「免税事業者からの仕入れは何%控除できるか」をAIに聞くと、古い情報のまま80%と答えることがあります。実際には、2026年10月1日〜2028年9月30日の仕入れは70%、2028年10月1日〜2030年9月30日は50%です。税制は毎年のように改正されるため、AIの回答は国税庁の一次情報で確かめてから使いましょう。
顧客や従業員の個人情報を扱う場合は、社内ルールで入力を禁止するか、個人が分からない形に加工してから使います。会計事務所である当事務所も、税理士の守秘義務を前提に、AIに入力する情報を限定し、数字の検証は有資格者が行う運用にしています。
経理のどの業務にAIを使い、どこから人が確認するかは、会社の規模や体制で変わります。経理の流れとあわせて、初回無料で整理できます。
無料で相談する段階導入の進め方と当事務所の支援
無料で試し、型を作るところまでは自社でできます。経理・税務の業務フローへの本格的な組み込みと社内ルールの整備は、数字の正確さに責任が生じる専門家の領域といえます。店舗のある小売業なら、例えば次のような順番が考えられます。
| 時期 | 使う業務 | 決めること・確認すること |
|---|---|---|
| 1か月目 | 店長向けの連絡文の下書きだけに限定する | 入力禁止の情報を文書にし、使う人を決める |
| 2か月目 | 店舗別の売上スプレッドシートの集計補助に広げる | 関数や集計の結果を、元のデータと突き合わせる |
| 3か月目以降 | 月次報告の説明文の下書きなどに広げる | 月次で利用状況を振り返り、数値を経営判断に使う場面は専門家が検証する |
当事務所は税務顧問にとどまらず、GeminiとClaudeを使った経理のAI化と社内導入の支援まで、実務で伴走しています。支援の範囲は、ツールの選定、最初の業務の型づくり、ルールの文書化、月次の利用状況のレビューです。効果は、導入前後の作業時間を記録して測ります。
コピペで使える業務プロンプト3本
指示文は、出力の形式(項目・字数・調子)を指定するのがコツです。次の3本は、そのまま貼り付けて使えます。
- 例1(メールの返信):「以下の問い合わせメールに対する返信の下書きを、丁寧ですが堅すぎない調子で200字程度で作ってください。結論を最初に書いてください」
- 例2(議事録):「以下の会議メモを、決定事項、担当と期限つきの宿題、次回への持ち越しの3項目に整理して要約してください。会議メモは次のとおりです(メモを貼り付け)」
- 例3(スプレッドシート):「店舗別・月別の売上表から、店舗ごとの前年同月比を計算する関数を作ってください。シートの構成は次のとおりです(構成を貼り付け)」
金額や取引先名を含む内容は、機密情報のルールを確認してから入力してください。
経理で使うときの応用
経理では、判断そのものではなく「判断の材料をそろえる」使い方が向いています。例えば「以下の取引の一覧(取引先名は記号に置き換え済み)について、勘定科目の候補と、判断に迷う点を表にしてください。最終的な判断は税理士が行います」と依頼すると、確認すべき取引を先に絞り込めます。
会社で使うときの管理者チェック
個人の試用から会社での利用に切り替える段階では、管理者側の設定の確認が必要です。具体的には、入力データの取扱い(学習への利用の設定)、社内の共有範囲(誰のアカウントで何を使えるか)、退職時のアカウントの処理の3点です。Google Workspaceを契約している会社なら、既存のアカウント管理の延長で設計できる点もGeminiの利点です。
アカウント設計:個人アカウントで始めない
会社で使うと決めたら、社員の個人のGoogleアカウントではなく、会社ドメインのアカウントで使う設計にすることをおすすめします。理由は次の3つです。
| 理由 | 個人アカウントの場合 | 会社アカウントの場合 |
|---|---|---|
| データの所在 | 退職時に、指示文やデータが個人と一緒に出ていく可能性がある | データは会社の管理下に残る |
| 管理 | 誰が何に使っているかを会社が把握できない | 利用状況の把握・共有範囲の制御・アカウントの停止が管理者側でできる |
| ルールの実効性 | 口頭の注意に頼ることになる | 「会社アカウントでのみ業務利用可」という線引きが機能しやすい |
すでに個人アカウントで使い始めている社員がいる場合は、責めるのではなく、会社アカウントへの引っ越しとルールの明文化をセットで案内するのが現実的です。隠れた利用を減らすことが、情報漏えいを防ぐいちばんの近道になります。
よくある質問
スマートフォンだけでも業務に使えますか?
使えます。Geminiはスマホのアプリと音声入力に対応しており、移動中のメールの下書きやメモの整理には十分対応できます。ただし、表計算や長い資料の作業はパソコンを併用するほうが効率的です。
無料版と有料版はどう違いますか?
有料版(個人向けで月20ドル前後。2026年6月時点の情報)は、利用の上限・機能・連携が広がります。試用は無料版で十分ですが、業務の柱にする段階で、有料版とデータの取扱いの設定を確認しましょう。料金やプランは改定されることがあるため、契約前に公式の案内で確かめてください。
ClaudeとGeminiは両方契約すべきですか?
最初は1本で十分な場合が多いです。Googleの環境ならGeminiから始め、契約書の読解や精度の高い文章が必要になったらClaudeの併用を検討する、という順番が自然です。経理でのClaudeとGeminiの使い分けも参考にしてください。
社員がバラバラに使い始めて、統制が取れません。
禁止ではなく、公式のルールにすることが解決の方向です。入力禁止の情報と確認の手順を1枚にまとめ、許可された使い方を明示すると、大きなリスクの一つである隠れた利用を減らしやすくなります。
導入の支援では、何をしてもらえますか?
ツールの選定、最初の業務の型づくり、ルールの文書化、月次のレビューまで対応します。お問い合わせフォームやLINEから「Gemini導入の相談」とご連絡ください。状況を伺ったうえで、対応範囲と費用の見積りをご提示します。
まとめ
Google Workspace中心の会社なら、Geminiは追加投資をほぼかけずに試せる有力な選択肢です。最初の2週間はメールの下書きなど決まった業務だけに使って型を作り、入力禁止情報・学習設定・人の確認の3ルールと会社アカウントの設計を導入前に決めましょう。北海道では文書とオンライン対応の質を上げる効果が期待でき、経理・税務への本格的な組み込みは、一次情報での裏取りを前提に専門家と設計するのが安全です。
札幌の公認会計士・税理士事務所
Gemini・Claudeの経理への導入のご相談は、ジェイスタート会計事務所へ
- 初回相談は無料(オンライン対応可)
- フォーム・LINEは24時間受付、翌営業日までにご返信
- その場でご契約を迫ることはありません
対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り
出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂
