持続化補助金の特別枠はどうなった?賃上げ特例・創業型の上限と要件

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持続化補助金の「特別枠」は、2026年10月時点では、一般型(通常枠)に上乗せする「賃金引上げ特例」「インボイス特例」と、独立した「創業型」に整理されています。通常枠の上限50万円は賃金引上げ特例で200万円に広がり、創業型は上限200万円です。補助率は原則3分の2です。

執筆:ジェイスタート会計事務所 編集部(札幌の公認会計士・税理士事務所)2026年10月時点の法令に基づき作成

この記事の結論

従業員の賃上げを予定しているなら「一般型(通常枠)+賃金引上げ特例」、開業して間もないなら「創業型」が基本の選択肢です。どちらも後払いのため、入金までの資金繰りと税務処理まで含めて計画します。

  • 通常枠は上限50万円。賃金引上げ特例で+150万円、インボイス特例で+50万円(両方で最大250万円)
  • 創業型は上限200万円(インボイス特例で+50万円)。市区町村の特定創業支援等事業の支援を受けたことが要件
  • 一般型・通常枠の第20回と創業型の第4回は、2026年11月5日〜12月15日17時に受付(様式4は12月4日まで)
  • 交付決定より前に発注・契約した経費は対象外。採択されても、入金は実績報告の後
目次

持続化補助金の「特別枠」は今どうなっている?

以前の持続化補助金には、賃上げに取り組む事業者向けの「賃金引上げ枠」や、創業間もない事業者向けの「創業枠」など、目的別の特別枠が並んでいました。2026年10月時点の公募では、賃上げとインボイス登録は一般型(通常枠)への上乗せ(特例)として、創業は独立した「創業型」として扱われています。

古い解説の「〇〇枠」の上限額や要件は、そのままでは使えません。制度の基本は変わらず、小規模事業者が商工会・商工会議所の助言を受けながら経営計画を作り、販路開拓や業務効率化の取り組みにかかる経費の一部を補助してもらう仕組みです。対象は、常時使用する従業員の数が業種ごとの基準以下の法人・個人事業主です。

型・特例補助上限額補助率向いている事業者
一般型(通常枠)50万円3分の2チラシ・ホームページ・展示会などで販路を広げたい小規模事業者
通常枠+賃金引上げ特例200万円(+150万円)原則3分の2従業員の賃上げと販路開拓を両立したい事業者
通常枠+インボイス特例100万円(+50万円)3分の2免税事業者からインボイス発行事業者になった事業者
通常枠+両方の特例250万円原則3分の2上の二つの要件をどちらも満たす事業者
創業型200万円(インボイス特例で+50万円)3分の2特定創業支援等事業の支援を受けた、開業間もない事業者
2026年10月3日時点で公表されている一般型・通常枠第20回、創業型第4回の内容。要件の詳細は申請する回の公募要領で確認

選び方の軸は「いま何に取り組むか」です。開業から間もなく、これから集客の土台を作る段階なら創業型、従業員を雇っていて賃上げを予定しているなら通常枠+賃金引上げ特例が候補になります。特例はあくまで上乗せなので、計画の中心は販路開拓の取り組みそのものです。

計算例:上限額と補助額・自己負担の関係

例えば、通常枠で補助対象経費(税抜)が90万円の場合、90万円×2/3=60万円ですが、上限の50万円で頭打ちになり、補助額は50万円です。上限まで使い切れる経費の目安は、75万円×2/3=50万円から逆算して75万円です。

例えば、創業型で補助対象経費(税抜)が300万円の場合、300万円×2/3=200万円で上限どおりです。自己負担は300万円−200万円=100万円ですが、300万円はいったん全額を自社で支払う必要があります。

持続化補助金以外の補助金・助成金と比べながら検討したい場合は、補助金・助成金・資金調達の最新情報もあわせて確認してください。

賃金引上げ特例は誰に向く?要件と続けられる賃上げ水準

賃金引上げ特例は、販路開拓の取り組みとあわせて従業員の賃金を引き上げる事業者向けの上乗せです。補助事業の終了時点で、事業場内最低賃金(その事業場で働く人の中で最も低い時間給)を、地域別最低賃金を基準に一定額以上上回る水準にしていることが要件とされています。引上げ幅や判定の時点は、申請する回の公募要領で確認します。

北海道の地域別最低賃金は、2026年10月1日から1,131円(改定前は1,075円)です。第20回の受付は改定後に始まるため、旧額を前提に賃上げ計画を作らないよう注意してください。月給制の従業員も時間給に換算し、最も低い人の水準を確認します。

上乗せは一度きり、賃上げは毎年続く

上乗せ分(最大150万円)は一度きりの補助ですが、賃上げによる人件費の増加は補助事業が終わった後も毎年続きます。販路開拓でどれだけ売上・粗利が増えれば賃上げ分をまかなえるのかを、資金繰りの面から確かめてから申請することが大切です。賃上げの計画と、それを支える売上拡大の取り組みをセットで描けると、計画書の一貫性も高まります。

採用や入れ替えで要件を外れることがある

要件は「最も低い時間給」で判定されるため、補助事業の途中で低い時給の人を新しく採用すると、それだけで水準を下回ることがあります。要件を満たせなかった場合の扱い(補助金の減額・不交付など)は公募要領に定められているので、採用時の時給設定も計画に含めておきます。

賃上げをすると、持続化補助金とは別に、中小企業向けの賃上げ促進税制(給与等の支給額が前年より増えた場合の税額控除)の対象になることがあります。給与等の総額が前年比1.5%以上増えれば増加額の15%、2.5%以上なら30%を税額から差し引けます(上限は税額の20%、控除しきれない分は要件を満たせば5年繰越し)。対象は、法人が2024年4月1日から2027年3月31日までに開始する事業年度、個人が令和7年分から令和9年分で、その後の延長は2026年10月時点で決まっていません。

補助金の要件は「最も低い時間給」、税制の要件は「給与等の総額」で判定するため、片方を満たしてももう片方を満たすとは限りません。賃上げ後の人件費を含めた資金繰りの見通しは、中小企業の財務コンサルティングの考え方も参考になります。

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賃上げ促進税制の税額控除を試算する給与等の支給額の前年比から、中小企業向けの税額控除額の目安を計算できます。計算する

創業型を使うには?特定創業支援等事業の証明が入り口

創業型は、開業して間もない事業者が集客や販路の土台を作るための型です。上限は200万円(インボイス特例で+50万円)、補助率は3分の2で、通常枠より上限が高い分、要件が加わります。中心になる要件が、市区町村の「特定創業支援等事業」による支援を受けたことです。開業からの期間などの要件もあるため、自社が対象になるかを早めに確かめます。

特定創業支援等事業は、産業競争力強化法にもとづいて市区町村が行う創業支援で、経営・財務・人材育成・販路開拓の4分野の知識を一定期間かけて身につけるものです。修了すると市区町村から証明書が発行され、創業型の申請に使えるほか、会社設立時の登録免許税の軽減や融資の条件の優遇にもつながります。

札幌市で特定創業支援等事業の証明を受ける場合

札幌市では、札幌中小企業支援センターまたは札幌商工会議所で、1か月以上・4回以上の支援を受けて4分野を学ぶと証明書が発行されます。証明書の有効期限は2027年3月31日とされています。

証明書があると、市内で会社を設立する場合の登録免許税が0.7%から0.35%に下がります(最低額は株式会社15万円→7.5万円、合同会社6万円→3万円)。日本政策金融公庫の融資の利率引下げや、創業関連保証を開業6か月前から使える点も効果です。法人を設立した場合は、市の「さっぽろ新規創業促進補助金」(株式会社75,000円・合同会社30,000円、設立から90日以内か2027年3月31日の早い日までに申請)も確認しておきます。

創業の相談窓口(2025年12月25日現在)は、さっぽろ創業支援プラザ(011-200-5511)と商工会議所(011-231-1768)です。市外の道内市町村で開業する場合は、その市町村の特定創業支援等事業を確認してください。

締切から逆算して受講を始める

証明書を受けるまでには1か月以上かかります。創業型第4回(2026年12月15日締切、様式4は12月4日まで)に申請するなら、まず支援の受講開始が間に合うかを確認します。日程が合わない場合は、内容の薄い計画で急いで申請するより、次回以降の公募(実施の有無は公表を確認)に向けて計画を練るほうが、結果的に近道になることがあります。

創業型の補助金を開業直後の集客に充てる場合でも、補助金が入るのは事業が終わった後です。開業資金と運転資金の手当てとは切り離して、自己資金と融資で一度立て替えられるかを先に確かめます。

第20回・創業型第4回の締切はいつ?申請までの流れ

11/52026年の受付開始日
12/4様式4(事業支援計画書)の受付締切
12/15申請締切(17時)

日程は2026年10月3日時点の公表内容で、一般型・通常枠の第20回と創業型の第4回で共通です。変更される場合もあるため、申請前に公式サイトと申請する回の公募要領を確認してください。事業所の所在地によって窓口が商工会議所か商工会かに分かれ、道内の町村部など商工会の地区では、問い合わせ先が商工会議所の地区と異なります。

  1. GビズIDプライムを取得する電子申請に使うアカウントです。取得方法によっては発行まで日数がかかるため、最初に手配します。
  2. 公募要領で型・特例と対象経費を確かめる自社がどの型・特例の要件に当てはまるか、使いたい経費が対象になるかを確認します。
  3. 経営計画書・補助事業計画書を作る自社の現状、顧客、強み、取り組みの内容、経費の内訳と期待する効果を一つの流れで書きます。
  4. 商工会議所・商工会で様式4の発行を受ける計画書をもとに助言を受け、事業支援計画書(様式4)を発行してもらいます。受付締切は2026年12月4日です。
  5. 電子申請する締切は2026年12月15日17時です。直前は手続きが集中しやすいため、余裕を持って提出します。
  6. 採択・交付決定を待ってから発注する交付決定の日より前に発注・契約・支払いをした経費は、補助の対象になりません。
  7. 補助事業を実施し、実績報告を出す見積書・発注書・納品書・請求書・振込の記録をそろえ、期限までに報告します。
  8. 補助金額の確定後に請求し、入金を受ける報告内容の確認を経て補助金額が確定し、その後に入金されます。事業の効果についての報告も後日求められます。

審査で伝わる計画書にするために

公募要領では、自社の経営状況の分析が妥当か、経営方針と今後のプランが適切か、補助事業の計画が有効か、経費の積算が適切か、といった観点で審査するとされています。特例や創業型を使う場合は、その趣旨と取り組みのつながりも読み手に伝わるように書きます。

  • 誰に何を売るのか、顧客像と自社の強みを具体的に書いている
  • 課題→取り組み→期待する効果(客数・売上)が一本の線でつながっている
  • 賃金引上げ特例なら、賃上げの原資を販路開拓の成果でどう生むかを示している
  • 創業型なら、開業直後の集客の課題と取り組みの優先順位を示している
  • 経費ごとに見積書などの根拠があり、必要以上に膨らませていない

計画書は、事業者自身が内容を説明できることが前提です。外部の支援を受ける場合も、数字の根拠や取り組みの狙いを自分の言葉で語れるようにしておきます。

どんな経費が対象になる?対象外になりやすい支出

対象になるのは、計画した販路開拓などの取り組みに直接必要な経費です。経費の区分や区分ごとの制限は公募要領で定められているため、使いたい経費がどれに当たるかを申請前に確認します。

使い道対象になりやすいものの例注意点
広告・販促チラシ、パンフレット、看板、新聞・雑誌広告補助事業の販路開拓に使うものに限る。配布・掲示の記録も残す
ホームページ・ネット集客ホームページやECサイトの制作、関連するネット広告ウェブサイト関連の経費だけでは申請できず、補助金額に占める割合にも上限がある
展示会・商談会出展料、出展のための旅費販路開拓の目的と出展先の関係を説明できるようにする
新商品の開発試作品の原材料、デザイン、パッケージ量産・販売用の仕入れは対象外になりやすい
機械・設備取り組みに必要な専用の機械・設備パソコン・タブレット・車両など、他の用途にも使える汎用品は対象外
店舗の改装集客のための内装・外装工事補助事業の目的と直接関係する範囲に限る
経費区分の正式名称・制限は申請する回の公募要領で確認

対象外になりやすい支出

  • 交付決定より前に発注・契約・支払いをした経費
  • 事務所の家賃、人件費、光熱費など通常の事業活動の経費
  • 消費税(補助対象経費は原則として税抜で計算する)
  • 現金払いなど支払いの記録が残りにくい支出(振込が原則)
  • 一定額以上の発注で、求められる相見積もりを取っていない経費

北海道では、冬季は屋外の看板工事や外装工事の工期が天候に左右されやすくなります。補助事業の期間内に工事と支払いを終えられるよう、業者の日程を早めに押さえておきます。

補助金はいつ入る?後払いの資金繰りと会計・税務

持続化補助金は後払いです。採択されても、経費はいったん全額を自社で支払い、実績報告と補助金額の確定を経てから入金されます。報告の内容によっては、対象外と判断された経費の分だけ補助金が減ることもあり、採択されたことは満額の入金を意味しません。

自己資金でまかなえない場合は、金融機関の融資を早めに相談します。札幌市の制度融資(マル札資金・特別資金)は、2026年10月1日以降に実行される分から利率が0.3%上乗せされているため、借入れのコストも含めて計画します。融資の種類と準備の順番は融資・資金調達ガイドにまとめています。

補助金は課税される?会計処理の流れ

持続化補助金は、法人では益金(雑収入など)、個人事業主では事業所得の総収入金額になり、課税の対象です。収入に計上する時期は補助金の額が確定した時とするのが一般的で、経費を支払った年と補助金を計上する年がずれることがあります。

時点会計・税務での扱い
経費の支払い通常どおり経費に計上(固定資産は資産に計上して減価償却)。消費税は課税仕入れとして扱う
補助金額の確定未収入金と雑収入を計上する(ここで収益になる)
補助金の入金未収入金の回収として処理する
補助金そのもの対価のない収入のため、消費税は不課税
一般的な処理の流れ。個別の取引により異なる場合がある

具体例:決算期をまたぐ場合

例えば、12月決算の法人が補助事業の経費を年内に支払い、補助金額の確定が翌年になった場合、経費を払った期は利益が小さくなり、翌期は補助金の分だけ利益が増えます。翌期の納税資金も、補助金の入金とは別に見込んでおきます。

機械・設備などの固定資産を補助金で取得した場合、法人は圧縮記帳、個人は総収入金額に算入しない特例を使える場合があります。補助金の収入に一度に課税されるのを避け、減価償却を通じて課税を繰り延べる仕組みですが、要件や手続きがあるため決算前に確認します。

ネット広告の請求書など電子で受け取った書類は、電子取引データとして保存します(2024年1月1日以後は義務)。実績報告で求められる証憑と、税務上保存する書類を同じ流れで整理しておくと、二度手間を防げます。

補助金の入金時期と決算期の関係や、入金までの資金の手当ては事業ごとに変わります。資金計画と税務の影響を初回無料で確認できます。

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よくある質問

個人事業主や開業前でも申請できますか?

個人事業主も、従業員数などの要件を満たせば対象です。申請時点で事業を始めていることが前提のため、開業前の方はまず開業の手続きを済ませます。業種や法人の形態によっては対象外になる場合もあるため、公募要領で確認してください。

同じ経費を他の補助金と重ねて申請できますか?

同じ経費について、国の他の補助金と重ねて補助を受けることはできません。別の取り組み・別の経費であれば並行して使える場合がありますが、公募要領の重複に関する定めと、それぞれの事業期間を確認します。

不採択だった場合、次の公募回に再申請できますか?

再申請はできます。顧客像や取り組みの効果の書き方、経費の根拠を補強したうえで、商工会議所・商工会に改めて相談し、その回に必要な書類をそろえ直して申請します。

採択後に計画や経費の内容を変更できますか?

経費の内容や配分を変える場合は、事前に変更の手続きが必要になるのが一般的です。手続きをせずに計画と違う支出をすると、その経費が対象外になるおそれがあるため、変更が見込まれた時点で事務局や商工会議所・商工会に相談します。

賃上げに使える助成金はほかにありますか?

厚生労働省の業務改善助成金は、事業場内最低賃金の引上げと設備投資などをあわせて支援する制度です。令和8年度は50円・70円・90円の各コースで、申請期限は「地域別最低賃金の発効日の前日」か11月30日の早い日です。北海道は最低賃金が2026年10月1日に改定されたため、令和8年度の受付は計算上2026年9月30日で終わっています。

まとめ

持続化補助金の旧「特別枠」は、2026年10月時点では賃金引上げ特例・インボイス特例と創業型に整理されています。賃上げを予定する事業者は続けられる賃上げ水準かを資金繰りで確かめ、開業直後の事業者は特定創業支援等事業の証明から逆算して準備します。どちらも後払いのため、交付決定後の発注、入金までの資金、補助金の税務処理まで含めて計画しましょう。

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出典・参考(公的機関)

本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。

更新履歴:2026年10月 全面改訂(2026年10月時点の公募内容を反映)

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