札幌・北海道で事業資金を借りたい方のための融資ガイドです。日本政策金融公庫、札幌市・北海道の制度融資、銀行融資の選び方から、創業計画書の書き方、返済・条件変更まで、公認会計士・税理士の事務所が2026年9月25日時点の公式情報で整理しました。
SAPPORO FINANCING GUIDE 2026
創業資金、運転資金、設備資金。札幌・北海道で事業資金を借りるときに知っておきたいことを、公認会計士・税理士の事務所が7ページにまとめました。制度の条件は2026年9月25日時点の公式情報で確認しています。
30秒診断:いまのあなたに合う借り方
7つの質問に答えると、まず検討したい融資のルートと、このガイドのどこを読めばよいかが分かります。答えはこのページの中だけで計算され、どこにも送信されません。
Q1 いまの状況
Q2 事業所の場所
Q3 形態
Q4 必要な金額
Q5 融資取引のある金融機関
Q6 いちばん重視すること
Q7 業種
すべての質問に答えると結果が表示されます。
簡易的な目安です。実際に使える制度は、審査や各制度の要件で決まります。金利・限度額などの条件は改定されることがあるため、最新の内容は各金融機関・相談窓口で確認してください。
このガイドの6つの詳しいページ
このページは全体の地図です。制度の条件や手続きの細かい点は、テーマごとの6つのページで詳しく解説しています。気になるところから読んでください。
融資の全体像:公庫・保証協会付き・プロパーの3つのルート
事業資金を借りる道は、大きく3つです。日本政策金融公庫(以下、公庫)から直接借りる方法、信用保証協会の保証を付けて銀行・信用金庫などから借りる方法(札幌市・北海道の制度融資を含む)、保証を付けずに銀行などから借りるプロパー融資です。創業期や実績の少ないうちは前の2つを中心に、決算の実績を積むにつれてプロパー融資を加えていくのが一般的な流れです。
3つのルートのしくみ
違いの根本は、「誰がお金を貸し、返せなくなったときのリスクを誰が負うか」にあります。
- 日本政策金融公庫
- 政府系の金融機関である公庫が、自ら審査して直接貸します。個人企業・小規模企業や創業する方への融資を担う国民生活事業は、融資先が114万先、1先あたりの平均融資残高が787万円で、融資実績の約8割が1,000万円以下、9割以上が無担保融資です(令和7年度末)。令和7年度には、創業前と創業後1年以内の企業29,320先に融資しています。
- 保証協会付き融資
- 銀行・信用金庫などの民間金融機関が貸し、信用保証協会が保証人の役割を担います。一般的なしくみとして、返済が滞ると協会が借り手に代わって金融機関に返済し(代位弁済)、借り手はその後、協会に返していきます。信用保証料は、この保証の対価です。
- 制度融資
- 札幌市や北海道が上限利率や保証料の補給などの条件を定め、金融機関が貸す融資です。信用保証協会の保証が必須の資金と、必要に応じて付ける資金があります。札幌市は取扱金融機関に直接、北海道は商工会議所などのあっせん機関を通じて申し込むのが基本です。
- プロパー融資
- 金融機関が保証協会の保証を付けず、自らリスクを負って貸す融資です。そのぶん金融機関は、決算書や取引の実績をもとに慎重に判断します。
3つのルートを9つの項目で比べる
どのルートが優れているというより、事業の段階と必要な金額によって向き・不向きがあります。まずは全体像を表でつかんでください。
| 項目 | 日本政策金融公庫 | 保証協会付き融資(制度融資を含む) | プロパー融資 |
|---|---|---|---|
| 窓口 | 公庫の支店(札幌市内は札幌支店・札幌北支店)。相談は電話・支店・オンラインでもできる | 銀行・信用金庫・信用組合。札幌市の制度融資は市の取扱金融機関へ直接、北海道の制度融資は商工会議所などのあっせん機関経由が基本 | 取引している銀行・信用金庫など |
| お金の出し手 | 公庫が直接貸す | 金融機関が貸し、北海道信用保証協会が返済を保証する。負担は協会80%・金融機関20%が原則(創業関連保証などは協会の100%保証) | 金融機関が自らのリスクで貸す |
| 限度額の目安 | 主な制度は7,200万円。一般貸付は運転資金・設備資金とも4,800万円 | 保証の枠は普通保証2億円・無担保保証8,000万円。制度ごとにも上限があり、札幌市の創業・雇用創出支援資金は5,000万円、北海道の創業貸付は3,500万円 | 決まった上限はなく、業績・担保・取引実績をもとに金融機関が判断 |
| 返済期間の目安 | 制度ごとに決まる。新規開業・スタートアップ支援資金は設備資金20年以内・運転資金10年以内(据置5年以内)、一般貸付は運転資金5年以内(特に必要な場合7年以内)・設備資金10年以内 | 制度ごとに決まる。札幌市の創業・雇用創出支援資金は10年以内(据置2年以内)、北海道の創業貸付は1年超10年以内(据置2年以内) | 金融機関と相談して決める |
| 金利の決まり方 | 固定金利。融資制度・返済期間・担保の有無で決まり、業種・規模・営業年数では変わらない。2026年9月1日現在、無担保・税務申告2期終了の基準利率は3.80〜5.40% | 金融機関が決める。制度融資は自治体が上限利率を定める(札幌市の創業・雇用創出支援資金は、令和8年10月1日以降の実行分で年2.0%以内) | 金融機関が決める。変動金利なら、短期プライムレートなど基準となる金利の動きに合わせて見直される |
| 保証料 | かからない | 信用保証料がかかる。一般保証は年0.45〜1.90%の9区分(責任共有対象)、創業関連保証は年0.86%。札幌市の一部の資金は保証料の一部を市が補給 | かからない |
| 担保と保証人 | 希望を聞きながら相談。創業期(税務申告2期未了)は原則として無担保・無保証人。個人営業は原則無保証人 | 法人代表者以外の連帯保証人は原則不要。経営者保証を付けない保証制度もある | 金融機関との交渉。経営者保証や担保を求められることがある |
| 審査期間の目安 | 申込みから融資決定まで平均2〜3週間程度(創業は平均3週間程度) | 金融機関と保証協会の両方が審査する。日数の公式な目安は公表されていない | 金融機関によって異なる |
| 向いている人 | 創業前・創業期の人、はじめて事業資金を借りる人、長期の固定金利で借りたい人 | 地元の金融機関と取引を始めたい人、制度融資の上限利率や保証料の補給を使いたい人、公庫と合わせて必要額をそろえたい人 | 決算の実績があり業績が安定している会社、金融機関と継続して取引している会社 |
金利・保証料率は2026年9月25日時点で確認した値です(北海道信用保証協会の保証料率は令和8年6月1日現在)。いずれも改定されます。
最新の条件は、公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」、公庫の金利一覧、札幌市中小企業融資制度、北海道中小企業総合振興資金、北海道信用保証協会の保証内容の案内で確認できます。
それぞれの長所と短所
日本政策金融公庫
長所
- 創業前や開業直後でも申し込める制度がある(新規開業・スタートアップ支援資金は事業開始後おおむね7年以内まで)
- 固定金利なので、返済額の見通しが立てやすい
- 保証料がかからない。税務申告を2期終えていない方などは、創業支援貸付利率特例制度で表の利率から原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)下がる(実際の利率は申込み時に支店で確認)
短所
- 金利は借りた時点の水準で決まり、2024年以降は上昇が続いている
- 表示の金利は制度融資の上限利率より高いことがある(保証料を含めた総額で比べる)
- 地元の金融機関との取引実績にはならない
保証協会付き融資
長所
- 地元の金融機関と取引を始めるきっかけになり、将来のプロパー融資への足がかりになる
- 制度融資は上限利率が決められ、札幌市の創業・雇用創出支援資金のように保証料の4分の1以内を市が補給する資金もある
- 保証の枠が大きく、公庫と合わせて使える
短所
- 信用保証料がかかる
- 金融機関と保証協会の両方が審査するので、日程に余裕が必要
- 申込み方法が制度ごとに違う(札幌市は取扱金融機関へ直接、北海道はあっせん機関経由が基本)
プロパー融資
長所
- 保証料がかからない
- 金額・期間・返済方法を金融機関と個別に相談できる
- 借りられること自体が、金融機関から信頼されている証になる
短所
- 一般に、決算の実績や取引の積み重ねが前提になる
- 経営者保証や担保を求められることがある
- 変動金利の場合は、金利上昇の影響を受ける
組み合わせて使う:併用と協調融資
3つのルートは、どれか1つを選ぶものではありません。必要な金額や事業の段階に合わせて組み合わせるのが実務です。
公庫と保証協会付き融資の併用
創業時に必要な金額が大きいときは、公庫の新規開業・スタートアップ支援資金と、札幌市の創業・雇用創出支援資金などの制度融資を並行して申し込む方法があります。公庫の創業計画書には「他の金融機関等からの借入」を書く欄があり、もう一方の申込み状況は隠さず伝えるのが前提です。審査では、借入の合計に対して無理なく返済できる計画かどうかが見られます。両方の審査に日数がかかるので、開業日から逆算して早めに動き出します。
プロパー融資との協調
保証協会付き融資とプロパー融資を同時に受ける形もあります。たとえばスタートアップ創出促進保証は、プロパー融資を同時に実行するなどの場合、据置期間を3年以内まで延ばせます。北海道信用保証協会には、業歴2年以上で2期以上申告している事業者向けに、保証額の5割以上のプロパー融資を同時に実行する協調融資型の保証(スクラム5000)もあります。
決算を重ねて業績と財務の実績ができると、金融機関はプロパー融資を検討しやすくなります。上の流れはあくまで目安で、進み方は業績や金融機関の方針によって変わります。詳しい比べ方は創業融資の3つの選択肢と公庫と制度融資の比較・併用のしかたで解説しています。
借入以外の資金調達と注意点
- 補助金・助成金
- 原則として返済は不要ですが、後払い(精算払い)です。事業を実施して支払いを済ませた後に交付されるため、それまでの資金を自己資金や融資で用意しておく必要があります。補助金と融資の組み合わせ方
- リース
- 設備を買わずに借りる方法で、初期費用を抑えられます。一般に途中で解約できない契約が多く、リース料は毎月の固定費になります。借入で購入する場合と、支払いの総額で比べて選びます。
- 親族・知人からの借入
- 金銭消費貸借契約書を作り、金額・返済期間・利息を決めて、返済の記録を残します。公庫の創業計画書では、自己資金とは別の「親・兄弟・知人・友人等からの借入」の欄に書きます。返さないお金として受け取る場合は贈与となり、その年の贈与の合計が基礎控除110万円を超えると贈与税がかかります(暦年課税の場合)。
- 出資
- 株式と引き換えにお金を受け入れる方法です。返済は不要ですが、議決権の一部を渡すことになります。日本ベンチャーキャピタル協会の会員(賛助会員を除く)などのベンチャーキャピタルから出資を受けている(見込みを含む)場合は、公庫の新規開業・スタートアップ支援資金で特別利率Bの対象になります。
- ファクタリング
- 売掛金を業者に売り、入金日より前に現金にする方法です。借入ではありませんが、手数料が割高になりやすく、続けて使うと利益を圧迫します。契約の条件をよく確かめ、先に金融機関や公的な制度で調達できないかを検討してください。
会計事務所の視点
どのルートでも、審査で確かめられることの根本は同じです。公庫の冊子「創業の手引+」は、審査のポイントとして、計画の実現可能性と、お金をきちんと管理できる人かどうかを挙げています。ルート選びに迷う前に、資金計画と毎月の数字を整えておくことが、どの窓口でも話を早く進める近道です。
ステージ別:いまのあなたに合う借り方
同じ事業資金の融資でも、創業前と業況が悪化したときとでは、最初に検討すべき制度がまったく違います。ここでは5つの場面ごとに、最初に検討する制度、併用の定番、注意点、詳しい解説ページをまとめました。自分に近い場面から読んでください。
どの場面に当たるか迷うときは、30秒診断で目安を確かめてから読むと早く進みます。
場面1 創業前〜創業期(税務申告2期未満)
まず公庫の新規開業・スタートアップ支援資金を検討し、必要な金額が大きいときや地元の金融機関と取引を始めたいときに、札幌市・北海道の創業向け制度融資を組み合わせます。創業期は決算書の実績がないため、創業計画書の中身と、自己資金の貯め方などのお金の管理が重視されます。
- 最初に検討する制度
- 公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」:新たに事業を始める方と、事業開始後おおむね7年以内の方が対象です。限度額7,200万円、設備資金20年以内・運転資金10年以内(据置はいずれも5年以内)。新たに事業を始める方や税務申告を2期終えていない方は原則として無担保・無保証人で利用でき、創業支援貸付利率特例制度により利率も表の利率から原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)下がります(実際に適用される利率は申込み時に支店で確認)。女性・35歳未満・55歳以上の方や、中小会計要領などを適用して自ら事業計画書を作り、認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けている方は、特別利率Aの対象です。
- 併用の定番
- 札幌市内で創業するなら札幌市「創業・雇用創出支援資金」(限度額5,000万円。創業する方は必要額の9割以内。令和8年10月1日以降の実行分は年2.0%以内で、信用保証料の4分の1以内を市が補給)。北海道の「創業貸付」(限度額3,500万円、あっせん機関経由)は道内の事業者が対象で、札幌市内の方も使えます。札幌市外で創業する方は、この創業貸付や、開業地の市町村の制度融資を確認します。法人で経営者保証を付けたくない場合は、「スタートアップ創出促進保証」を付けた融資(保証の限度額3,500万円、保証料率年1.06%)。
- 注意点
- 公庫は、出店地・予定地を決めてから申し込むよう求めています。法人の場合、公庫の融資の対象は設立登記を済ませた法人です。公庫の新規開業・スタートアップ支援資金に自己資金の要件はありませんが、スタートアップ創出促進保証は、創業予定の方や税務申告を1期終えていない方に、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を求めています。
- 詳しいページ
- 創業融資 完全ガイド/新規開業・スタートアップ支援資金の解説/創業計画書の書き方/札幌市の創業・雇用創出支援資金
札幌で創業するなら、特定創業支援等事業の証明書を
さっぽろ創業支援プラザ(札幌中小企業支援センター・札幌商工会議所)で、1か月以上にわたり4回以上の相談などを受け、経営・財務・人材育成・販路開拓の知識を身につけると、特定創業支援等事業の証明書が発行されます(発行まで1〜2週間)。証明書があると、次の特典を受けられます。
- 公庫の新規開業・スタートアップ支援資金で特別利率の対象になる
- 会社設立の登録免許税が資本金の0.7%から0.35%になる(札幌市内での設立に限る)
- 信用保証協会の創業関連保証を、事業開始の6か月前から使える
手続きは札幌市のさっぽろ創業支援プラザの案内で確認できます。
場面2 成長期・運転資金の増加
売上が伸びると、仕入や人件費の支払いが先に出ていき、売掛金の入金は後になるため、手元の資金が足りなくなることがあります。この場面では、取引金融機関の保証付き融資と公庫の一般貸付が基本です。決算を重ねて実績ができたら、プロパー融資を相談し始める時期でもあります。
- 最初に検討する制度
- 取引金融機関を通じた札幌市の「小規模事業資金」(限度額1,500万円、7年以内、原則無担保)や「産業振興資金」(限度額2億円、運転資金7年以内)。令和8年10月1日以降の実行分の上限利率は、それぞれ年1.9%以内・年2.9%以内です。公庫なら公庫「一般貸付」(運転資金4,800万円、5年以内〔特に必要な場合は7年以内〕、据置1年以内)。
- 併用の定番
- 商工会議所の経営指導を受けている小規模事業者は「マル経融資」(限度額2,000万円、無担保・無保証人、特別利率F=2026年9月1日現在2.90%)。推薦を受けるには、原則6か月以上の経営指導を受けていることなどが必要です。雇用者給与等支給額を最近の決算期より2.5%以上増やす見込みなら、公庫の賃上げ貸付利率特例制度で利率が2年間0.5%下がります。季節的な運転資金には、札幌市の「短期サポート特別枠」(1年以内、限度額5,000万円、令和8年10月1日以降の実行分は年2.6%以内)もあります。
- 注意点
- 運転資金を短い返済期間で借りると、毎月の返済額を返済の原資(税引後の利益に減価償却費を足した額)でまかなえなくなりがちです。必要な運転資金の目安(売掛金と在庫の合計から買掛金を差し引いた額)をつかみ、資金の性質に合った返済期間で借ります。
- 詳しいページ
- 銀行融資の種類と使い分け/公庫の一般貸付/マル経融資/返済原資の考え方
場面3 設備投資
設備資金は、その設備が生み出す利益で、長い期間をかけて返していくお金です。返済期間を設備の使用可能な期間(耐用年数)に近づけ、毎年の返済額を利益の範囲に収めるのが基本です。
- 最初に検討する制度
- 公庫の一般貸付(設備資金4,800万円・10年以内、特定設備資金7,200万円・20年以内)。開業からおおむね7年以内なら、新規開業・スタートアップ支援資金(設備資金20年以内)も対象です。札幌市には、設備投資額5,000万円以上の大型投資が対象の「大型設備投資支援資金」(限度額5億円、15年以内、令和8年10月1日以降の実行分は年2.0%以内)があります。省エネ・再エネ設備や次世代自動車の導入などが対象の「カーボンニュートラル推進資金」(限度額1億円、15年以内、令和8年10月1日以降の実行分は年1.9%以内)もあります。
- 併用の定番
- 補助金を使う設備投資では、補助金が入るまでの支払いを融資で手当てします。公庫には、中小企業省力化投資補助金で交付決定を受けた方などが使える「企業活力強化資金」もあります。飲食店・美容室などの生活衛生関係の事業は公庫の「生活衛生貸付」(飲食店・美容業などは設備資金7,200万円まで、13年以内)が使え、500万円を超える設備資金には北海道生活衛生営業指導センターが出す推せん書が必要です。
- 注意点
- 設備資金の申込みには見積書が必要です。融資を受けたら見積書どおりに支払い、領収書や振込の記録を残します。リースを使う場合と、借りて購入する場合の支払総額も比べておきます。
- 詳しいページ
- 公庫の融資制度一覧/札幌市中小企業融資制度/設備投資の事業計画と資金繰り表
場面4 業況悪化・資金繰りが苦しい
売上の減少やコストの上昇で資金繰りが苦しくなったら、手元のお金が尽きる前に、取引金融機関と公庫に相談するのが大原則です。新しい融資で乗り切れるのか、既存の借入の返済条件を見直すべきなのかは、資金繰り表で何か月先に資金が足りなくなるかを把握してから判断します。
- 最初に検討する制度
- 公庫「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」:最近の決算期の売上高が前期または前々期より5%以上減少したなど、8つの要件のいずれかに当てはまる方が対象です。限度額7,200万円、設備資金20年以内・運転資金10年以内(据置3年以内)。原材料・エネルギーコストの上昇や中東・ウクライナ情勢などの影響を受け、売上高や利益率が前期より5%以上下がった方は特別利率Qになります。
- 併用の定番
- セーフティネット保証(5号は、指定業種で最近3か月の売上高等が前年同期比5%以上減少した場合など。2026年7〜9月期は583業種を指定。10月以降の指定業種は中小企業庁の最新の公表で確認)を使う札幌市の「景気対策支援資金」(限度額5,000万円、保証料の4分の1以内を市が補給)。北海道の「経営環境変化対応貸付(中東情勢対策特別枠)」(運転資金1億円以内、取扱いは2027年1月5日まで)。既存の借入の条件変更(リスケジュール)や借換えも、あわせて検討します。コロナ特別貸付など過去の災害・感染症関連の借入の返済が重い方には、公庫の「危機対応後経営安定資金」(既往債務の返済負担を軽くする運転資金、別枠7,200万円、20年以内)もあります。
- 注意点
- セーフティネット保証の認定は市町村が行い、札幌市では札幌中小企業支援センターが受け付けます(売上高などを確認できる資料の添付が必須)。税金や社会保険料をすぐに払えないときは、要件を満たせば、納期限から6か月以内の申請で換価の猶予を受けられる場合があります。
- 詳しいページ
- 条件変更(リスケジュール)の進め方/資金繰りが厳しいときの緊急対応/公庫のセーフティネット貸付/セーフティネット保証の認定申請
一人で抱え込まない
2025年11月と2026年3月には、政府・金融庁が金融機関に対し、資金繰り相談への丁寧な対応や、既存の借入の条件変更・借換えへの迅速で柔軟な対応を要請しています。延滞が始まってからよりも、その前に相談したほうが取れる手段は多くなります。北海道中小企業活性化協議会(相談無料・秘密厳守)など、公的な相談窓口も早めに使ってください。
場面5 事業承継
事業承継では、株式や事業用資産の買取り、相続税・贈与税の納税などで、まとまった資金が必要になることがあります。あわせて、先代の経営者保証を後継者がどう引き継ぐか(引き継がないか)を、金融機関と整理しておくことが大切です。
- 最初に検討する制度
- 公庫「事業承継・集約・活性化支援資金」:おおむね10年以内の事業承継を計画している方、事業の承継・集約を行う方など5つの類型が対象です。限度額は別枠7,200万円、設備資金20年以内・運転資金10年以内(据置5年以内)。この資金を使う方は、経営者保証免除特例制度の対象になります。
- 併用の定番
- 北海道の「事業承継貸付」(限度額1億円、10年以内)や、札幌市の「事業革新支援資金」の事業承継の区分(限度額2億円、令和8年10月1日以降の実行分は年1.9%以内)。信用保証協会には、3年以内に事業承継を予定する法人などを対象に、経営者保証を取らない事業承継特別保証もあります(財務の要件あり)。承継を機に財務を厚くしたい場合は、公庫の資本性ローン(挑戦支援資本強化特別貸付。別枠7,200万円、期限一括返済で、金融機関の資産査定上は自己資本とみなすことができる)も選択肢です。利用には、事業承継・集約・活性化支援資金など特定の制度の要件を満たす必要があります。
- 注意点
- 事業承継時の経営者保証は、ガイドラインの特則(2020年4月適用)で、前経営者と後継者の両方から保証を取る「二重徴求」を原則として行わないこととされています。株価の評価や税金の試算とあわせて、数年前から準備を始めます。
- 詳しいページ
- 事業承継の資金と資本性ローン/経営者保証を外す・付けない方法/事業承継と税金
どの場面でも共通すること
- 使える制度は、要件と審査で決まります。1つに決めつけず、窓口で条件を確かめます
- 金利だけでなく、保証料と返済期間を含めた総額と、毎月の返済額で比べます
- 申込みの前に、信用情報・納税・決算書などの事前準備を済ませておきます
この章の金利・保証料率・限度額は、2026年9月25日時点で確認した内容です。金利は改定され、制度の条件も見直されることがあるので、申込みの前に各機関の最新の案内を確認してください。
2026年の融資環境:「金利のある時代」の借り方
日本銀行は2026年9月18日に政策金利を1.25%程度へ引き上げ(9月24日から適用)、2024年3月のマイナス金利解除から段階的な引上げが続いています。公庫の金利は2024年以降上昇が続き、札幌市の制度融資の利率も令和8年10月1日以降の実行分から引き上げられます。これからは「金利は上がり得る」ことを前提に、借り方と返済計画を組み立てる必要があります。
政策金利とプライムレートの動き
日本銀行の政策金利(無担保コールレートの誘導目標)は、2024年3月から2026年9月までに次のように変わりました。約2年半で、0%近辺から1.25%程度まで上がっています。
| 決定 | 政策金利 | 適用開始 |
|---|---|---|
| 2024年3月 | 0〜0.1%程度(マイナス金利を解除) | 2024年3月21日 |
| 2024年7月 | 0.25%程度 | 2024年8月1日 |
| 2025年1月 | 0.5%程度 | 2025年1月27日 |
| 2025年12月 | 0.75%程度 | 2025年12月22日 |
| 2026年6月 | 1.0%程度 | 2026年6月17日 |
| 2026年9月 | 1.25%程度 | 2026年9月24日 |
出典:日本銀行の金融政策決定会合の公表資料をもとに作成。
銀行の融資金利の目安になる短期プライムレート(主要行の最頻値)も、2024年9月に1.625%、2025年3月に1.875%、2026年2月に2.125%、2026年8月に2.375%へと、政策金利の引上げからおおむね1〜2か月後に引き上げられてきました。2026年9月の引上げを受けた改定は、9月25日時点では日本銀行のプライムレートの公表値にまだ反映されていません。長期プライムレートは2026年9月10日から3.40%です。
公庫と制度融資の金利も上昇
公庫の金利は毎月のように改定され、2024年以降は上昇が続いています。2026年9月1日現在、無担保で税務申告を2期終えている方の基準利率は3.80〜5.40%、マル経融資の特別利率Fは2.90%です(公庫の金利一覧)。公庫は固定金利なので、借りた時点の金利が完済まで変わりません。
札幌市中小企業融資制度は、基準金利の上昇を受けて、令和8年10月1日以降に実行される融資の利率が各資金0.3%ずつ引き上げられます。利率は、基準金利(道内の地方銀行の新長期プライムレートの最低値)から資金ごとに一定の率を差し引いて決まり、原則として4月1日と10月1日に改定されます。すでに申し込んでいる方は、実行日が9月30日以前か10月1日以降かで利率が変わるので、金融機関に確認してください。
| 借入 | 金利 | 時点・条件 |
|---|---|---|
| 公庫 基準利率 | 3.80〜5.40% | 2026年9月1日現在。無担保・税務申告2期終了 |
| 公庫 基準利率 | 3.75〜5.35% | 2026年9月1日現在。無担保・税務申告2期未了 |
| 公庫 マル経融資 | 2.90% | 2026年9月1日現在(特別利率F) |
| 札幌市 創業・雇用創出支援資金 | 年2.0%以内 | 令和8年10月1日以降の実行分(9月30日までは年1.70%以内) |
| 札幌市 小規模事業資金 | 年1.9%以内 | 令和8年10月1日以降の実行分(9月30日までは年1.60%以内) |
| 札幌市 産業振興資金 | 年2.9%以内 | 令和8年10月1日以降の実行分(9月30日までは年2.60%以内) |
| 北海道 創業貸付 | 年1.6〜2.2% | 令和8年度(2026年度)の固定金利。期間3年以内1.6%〜10年以内2.2% |
公庫の金利は融資制度・返済期間・担保の有無で決まり、公表は範囲です。税務申告を2期終えていない方などは、創業支援貸付利率特例制度により表の利率から原則0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)引き下げられます(実際の利率は申込み時に支店で確認)。札幌市の制度融資の金利は上限利率です。制度融資で信用保証協会の保証を付ける場合は、別に保証料がかかります。
原材料・エネルギー高への支援策
2026年は中東情勢などを背景に、原材料やエネルギーのコスト上昇に対する支援策が相次いで拡充されています。冬の暖房費や燃料費がかさむ事業では、使える制度を知っておくと安心です。
- 公庫:経営環境変化対応資金で、原材料・エネルギーコストの上昇や中東・ウクライナ情勢などの影響を受け、売上高や利益率が前期より5%以上下がった方は特別利率Qになります。全国152支店の特別相談窓口は、2026年3月23日に「中東・ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口」に拡充されました
- 北海道:経営環境変化対応貸付に「中東情勢対策特別枠」(運転資金1億円以内、10年以内、固定金利は5年以内1.4%・10年以内1.6%、取扱いは2026年7月6日〜2027年1月5日)ができました
- 国:セーフティネット保証5号は、中東情勢を踏まえた臨時の業況調査を反映し、2026年7〜9月期に583業種を指定しています(10月以降の指定業種は中小企業庁の公表で確認してください)
申込みの要件や使い方は、業況悪化・資金繰りが苦しいときにまとめています。
金利以外の3つの変化
金利だけでなく、融資の条件や決済のしくみも、この数年で大きく変わっています。
経営者保証に頼らない融資が広がる
民間金融機関の新規融資のうち、経営者保証に依存しない融資の割合は2025年度に55.7%(暫定値)になりました。2023年4月からは、金融機関が保証を求める場合、どこが不十分で保証が必要か、どう改善すれば外せる可能性が高まるかを具体的に説明し、記録することが求められています。2026年4月適用の監督指針の改正では、2023年3月以前の既存の保証契約にも同じ説明を求める方向が、案の段階で示されていました。
企業価値担保権が始まる
2026年5月25日に事業性融資の推進等に関する法律が施行され、将来のキャッシュフローやのれんなどの無形資産を含む事業全体を担保にする「企業価値担保権」が使えるようになりました。対象は株式会社と持分会社で、個人事業主は使えません。この担保権を使う融資では、粉飾などの例外を除き、経営者保証の利用が制限されます。
紙の手形・小切手の廃止が迫る
全国銀行協会は、電子交換所での手形・小切手の最終交換日を2027年3月31日と明確にしました。紙の手形・小切手の最終振出期限を2026年9月30日とする金融機関が多く、期限は目前です。2027年4月以降も直ちに使えなくなるわけではありませんが、扱いが変わる可能性があります。代わりの手段は、でんさいなどの電子記録債権や振込です。
なお、2026年1月1日に施行された取適法(改正下請法)では、対象となる取引で手形による代金の支払いが禁止されました。手形で受け取っていた売上の入金時期が変わる会社は、資金繰り表を見直しておきましょう。
金利のある時代にやっておく4つのこと
まず、固定金利と変動金利の特徴を押さえておきます。
固定金利
- 借りた時点の金利が完済まで続き、返済額の見通しが立つ
- 金利が上がっても利息は増えない
- 一般に、期間が長いほど金利は高めになる
- 例:公庫の融資、北海道の制度融資で固定を選んだ場合
変動金利
- 基準となる金利の改定に合わせて見直される
- 金利が上がると、利息と返済額が増える
- 借りる時点では、固定金利より低いことがある
- 例:北海道の制度融資の変動金利は毎年4月1日・10月1日に見直し(3年を超える融資のみ選べる)
- 固定金利か変動金利かを決める
どちらを選ぶかは、返済期間の長さと、金利が上がったときに耐えられる余裕で考えます。返済期間が長い設備資金ほど、金利が動いたときの影響は大きくなります。たとえば北海道の創業貸付では、固定金利が3年以内1.6%から10年以内2.2%まで期間で異なり、変動金利(3年を超える融資のみ)は年1.6%です。借りる時点の金利差と、将来の金利上昇のリスクを比べて選びます。
- 必要な時期が決まっている資金は早めに相談する
融資は申込みから実行まで日数がかかります(公庫は融資決定まで平均2〜3週間程度)。設備の発注や開業の日程が決まっているなら、金利の改定日も意識して、余裕をもって相談を始めます。ただし、金利が上がる前にと必要以上に借りると、利息の負担が増えます。借入額は、必要な資金を積み上げて決めます。
- 返済計画に金利上昇を織り込む
変動金利の借入は、金利が1%上がると利息がいくら増えるかを試算しておきます。単純計算で、残高2,000万円なら年間の利息は約20万円増えます(2,000万円×1%)。その増加分を利益と手元資金で吸収できるかを確かめます。返済額の試算は返済方法の基本と返済シミュレーター、金利の見直しの交渉は金利上昇局面での借入の見直しで解説しています。
- 決算書と月次の数字を整える
民間の融資では、金利や保証の条件は業績や財務内容によって変わります。月次の試算表や資金繰り表を早く出せる会社は、金融機関との話し合いを進めやすくなります。経営者保証ガイドラインでも、保証を求めない可能性を検討する要件の一つとして、財務状況を正確に把握し、適時適切に情報を開示することが挙げられています。
数値の時点について
この章の金利は、2026年9月25日時点で確認した値です。公庫の金利は毎月のように改定され、札幌市の制度融資の利率は原則として4月と10月に改定されます。申込みの際は、各機関の最新の金利を確認してください。
融資を申し込む前にやっておく8つの準備
融資の審査では、計画の中身だけでなく、日ごろの支払いやお金の管理の記録も確かめられます。どれも申込みの直前には整えにくいものばかりなので、借りる予定が決まったら、できれば数か月前から次の8つを進めておきましょう。
8つのうち1〜5は、創業前の方を含む全員に関係します。6〜8は、主にすでに事業をしている方の準備です。
8つの準備と、それぞれの理由
- 売上や取引の実績を積み上げる
返済の元手は、事業が生む利益です。すでに事業をしている方は、売上や取引先が増えている事実が何よりの説明材料になります。売上の入金は事業用の口座に集め、現金で受け取る売上もこまめに入金して、通帳で取引の流れを追えるようにしておきます。
創業前の方も、計画の裏付けになる「実績」を集めておきます。たとえば前の勤務先での実績(役職・担当業務・個人の売上など)、予約や見込み客の数、取引予定先との契約書や注文書です。公庫の冊子も、勤務経験は年数だけでなく残した実績が評価のポイントだとしています。
- 個人の信用情報(CIC・JICC)を確認する
クレジットカードやローンの契約・支払いの状況は、個人信用情報機関に登録されています。公庫の事業資金の申込みで同意する事項には、公庫が加盟する機関としてCIC、提携機関として全国銀行個人信用情報センター(KSC)と日本信用情報機構(JICC)が記され、申込みをした事実はCICに6か月間登録されます(法人は代表者も対象)。
CICでは、支払状況などのクレジット情報が契約期間中と契約終了後5年以内の間、保有されます。CICの会員には携帯電話会社も含まれるので、スマートフォン本体の分割払いの遅れにも注意が必要です。自分の記録は本人開示で確かめられるので、延滞の記録や、完済したはずの借入が残っていないかを申込み前に見ておきます。
- 延滞の記録がある:いまは解消して、きちんと払い続けていることを説明できるようにする
- 完済したはずの借入が残っている:契約先の会社に登録内容を確認する
- 身に覚えのない契約がある:契約先の会社と信用情報機関に問い合わせる
- 税金・社会保険料の滞納をなくす
納税は、多くの制度で条件や確認事項になっています。たとえばマル経融資の推薦には税金の原則完納が必要で、無担保・無保証人の特別小口保険でも税の完納が要件です。札幌市の制度融資では、市民税の納税証明書を提出します。
滞納がある場合は、税務署・市区町村・年金事務所に早めに相談して納付の計画を立て、申込みの時点で状況を説明できるようにしておきます。国税や社会保険料には、要件を満たせば、納期限から6か月以内の申請で分割して納められる換価の猶予の制度もあります(資金繰りが厳しいときの緊急対応)。
- 公共料金・家賃・カードの支払いを遅らせない
公庫の冊子「創業の手引+」は、公庫が公共料金・家賃・住宅ローンなどの日ごろの支払い状況を確認していると明記し、支払いの遅れは信用力の低下につながるとしています。支払いは口座引落しにして通帳に記録を残すと、きちんと払っていることを目に見える形で示せます。
- 自己資金は通帳に積み立てる
公庫の新規開業・スタートアップ支援資金には自己資金の要件はありませんが、公庫は計画全体の確かさが重要だとしており、公庫の調査では開業時の資金調達に占める自己資金の割合は平均22.9%です。同じ調査(2025年度新規開業実態調査、公庫の融資先が対象)では、資金調達額の平均1,219万円のうち、自己資金が279万円、金融機関等からの借入が827万円でした。一方、スタートアップ創出促進保証のように、創業予定の方や税務申告を1期終えていない方に、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を求める制度もあります。
大切なのは、少しずつでも継続して貯めた記録が通帳に残っていることです。まとめて入金したお金は、出所を説明できる資料を用意します。一時的に借りたお金を自己資金に見せる「見せ金」は、出所を説明できないため、かえって信用を損なうおそれがあります。親族から援助を受ける場合は、贈与か借入かをはっきりさせます。借入なら借用書を作り、創業計画書では自己資金とは別の「親・兄弟・知人・友人等からの借入」の欄に書きます。贈与なら贈与契約書を作り、出所を説明できるようにしておきます。
- 個人と事業のお金を分け、役員貸付金を解消する
法人で、会社のお金を社長個人が使うと、決算書に「役員貸付金」として残ります。金融機関は一般に、融資したお金が事業以外に使われることを警戒するため、役員貸付金が多いと、その使いみちや回収の見込みを確認されることがあります。会社の口座から生活費を引き出す、会社のカードで私的な買い物をする、使いみちの分からない仮払金を放置する、といったことが残高の原因になります。
事業用の口座・カードを分け、私的な支払いを会社の経費にせず、生活費は役員報酬の範囲でまかなう形に整えます。すでに残高がある場合は、返済の計画を立てて減らしていきます。
この区分は、経営者保証を外す場面でも前提になります。公庫の経営者保証免除特例制度は法人と代表者の一体性の解消が進んでいることを、信用保証協会の事業者選択型経営者保証非提供制度は代表者への貸付金がないことなどを要件にしています。個人事業の方も、事業用と生活用の口座を分けておくと、売上や経費の流れを説明しやすくなります。
- 月次の試算表と資金繰り表を整える
すでに事業をしている方は、毎月の試算表を早めに出せる体制にしておきます。公庫でも、法人で決算から6か月以上たっている場合は、試算表の提出が必要です。資金繰り表(月ごとの入金と支払いの予定表)があれば、いつ・いくら足りなくなるのかを示して相談できます。公庫の書式ページには、月別収支計画書や資金繰り表の様式もあります。
冬期に売上が落ちる、除雪や暖房の費用がかさむなど季節の波がある事業では、月ごとの資金繰り表で不足する月と金額を示すと、必要な運転資金の説明に説得力が出ます。
- 決算書(勘定科目内訳書を含む)を見直す
すでに事業をしている方が公庫にはじめて申し込むときは、直近2期分の確定申告書・決算書一式を提出します。決算書の数字の中身は、勘定科目内訳書で売掛金・在庫・借入金・役員との貸し借りなどまで確認されることがあります。回収できない売掛金や実際にはない在庫が残っていないか、借入金の残高が返済予定表と合っているか、減価償却を計上しているかを見直しておきます。
決算の内容は、経営者保証を外す制度の要件にも関わります。たとえば公庫の経営者保証免除特例制度(税務申告2期以上の方)では、減価償却前経常利益が2期連続の赤字でないこと、または直近の決算で債務超過でないことが要件の一つです。また、中小会計要領などに沿った決算は、公庫の新規開業・スタートアップ支援資金で特別利率Aを受ける要件の一部にもなっています(自ら事業計画書を作り、認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けることも必要)。
個人事業と法人で異なる準備
個人事業の方
- 直近2期分の確定申告書一式をそろえる(公庫にはじめて申し込む場合)
- 事業用と生活用の口座を分ける
- 毎月の家計費を把握する(公庫の冊子は、利益から借入金の返済元金と家計費を差し引いた額を「手元に残るお金」として示しています)
- 住宅ローンやカードなど個人の借入も、創業計画書の「お借入の状況」に正直に書く
法人の方
- 直近2期分の確定申告書・決算書一式をそろえる。決算から6か月以上たっていれば試算表も
- 履歴事項全部証明書は、最近6か月以内に取得したものを用意する
- 役員貸付金・仮払金の残高を確認し、解消の計画を立てる
- 生活費は役員報酬でまかない、会社の利益とのバランスを考えて役員報酬を決める
時間がかかる準備の目安
| 準備 | かかる時間の目安 |
|---|---|
| 自己資金の積立て | 継続して貯めた記録そのものが大切なので、短期間では作れない |
| 特定創業支援等事業の証明(札幌市) | 1か月以上にわたる4回以上の相談などのあと、発行まで1〜2週間 |
| 信用情報の本人開示 | CICのインターネット開示はその場で、JICCのスマートフォン開示は1〜3日程度。郵送はおおむね1週間〜10日ほど |
| 役員貸付金の解消 | 残高によっては、複数の決算期にわたって計画的に減らす |
| 公庫の審査 | 申込みから融資決定まで平均2〜3週間程度(創業は平均3週間程度) |
申込みの前後に避けたいこと
- 短い期間に、カードやローンの申込みを重ねること(CICでは、申込みの記録が照会日から6か月保有されます)
- 一時的に借りたお金を入金して、自己資金を多く見せること
- 事業と関係のない大きな買い物や、使いみちを説明できない出金
- 税金・社会保険料・公共料金の支払いを後回しにすること
信用情報の本人開示の方法
本人開示は、インターネット・スマートフォンや郵送で申し込めます。窓口での開示は、CIC・KSCとも受け付けていません。
| 機関 | 開示の方法 | 手数料 | 結果が分かるまで |
|---|---|---|---|
| CIC | インターネット(スマートフォン) | 500円 | その場で報告書をダウンロード |
| CIC | 郵送 | 1,500円 | 申込みから1週間〜10日ほどで発送 |
| JICC | スマートフォン | 700円 | 1〜3日程度(土日祝・年末年始を除く) |
| KSC | インターネット | 800円 | 最短3〜5営業日 |
2026年9月25日時点。インターネット・スマートフォンでの開示には、マイナンバーカードなどが必要です。手数料や方法は改定されることがあるので、CIC・JICC・KSCの公式ページで確認してください。
会計事務所の視点
役員貸付金や仮払金は、立替えの精算漏れや、私的な支出の混入から生じることがあります。解消のしかた(返済・精算・役員報酬の見直しなど)によって税務上の扱いが変わるので、決算の前に顧問税理士と相談して進めるのが安全です。また、月次の数字を早く正確に出せる体制は、認定経営革新等支援機関と連携して月次の財務・資金繰りを報告する事業者向けの「モニタリング強化型特別保証」(2026年3月16日開始)のような制度を使うときにも生きてきます。
申込み前のセルフチェック
当てはまる項目にチェックを入れてください。チェックの状態は、このブラウザに保存されます。
全員
創業前の方
すでに事業をしている方
必要書類の一覧は公庫の必要書類チェックリスト、自己資金の考え方は自己資金はいくら必要?、決算書の見られ方は銀行は決算書のどこを見るかで詳しく解説しています。公庫の様式は公庫の書式ダウンロードページから入手できます。
札幌で融資を相談できる窓口
札幌には、融資の申込み先だけでなく、計画書づくりや返済の悩みを相談できる公的な窓口がそろっています。主な窓口の多くは、中央区北1条西2丁目の北海道経済センターに集まっています。目的に合った窓口を選べば、準備から申込みまでを効率よく進められます。
主な窓口の一覧
| 窓口 | 所在地・連絡先 | できること | こんな人に |
|---|---|---|---|
| 日本政策金融公庫 札幌支店(国民生活事業) | 中央区北一条西2-2-2 北海道経済センタービル3階 | 公庫の融資の相談・申込み。担当は中央・白石・豊平・南・西・厚別・手稲・清田の8区と、千歳市・恵庭市・北広島市 | 担当区域で開業する個人、担当区域に本店がある法人 |
| 日本政策金融公庫 札幌北支店(国民生活事業) | 北区北七条西4-5-1 伊藤110ビル5階 | 公庫の融資の相談・申込み。担当は北区・東区と、江別市・石狩市・岩見沢市など11市11町村 | 北区・東区などで開業する個人、そこに本店がある法人 |
| 北海道創業支援センター(日本政策金融公庫) | 中央区北一条西2-2-2 北海道経済センタービル 011-231-9260 | 公庫が札幌に置く創業支援の拠点 | 創業について公庫に相談したい人 |
| 事業資金相談ダイヤル(日本政策金融公庫) | 0120-154-505 創業・個人企業・小規模企業は平日9時〜19時、中小企業・農林漁業者は平日9時〜17時 | 融資制度や申込みの方法の電話相談 | まず電話で聞きたい人、どの支店に申し込むか確かめたい人 |
| 北海道信用保証協会 本店 | 中央区大通西14丁目1番地(札幌市内の窓口は本店のみ) 創業相談:企業支援課 011-241-5605(平日8:55〜17:10) 経営金融相談ダイヤル 0120-279-540 | 保証付き融資の相談。創業相談は無料で、予約なしでも受け付ける。取引金融機関がない場合は、協会が金融機関にあっせんする「あっせん保証」もある | 制度融資・保証付き融資を使いたい人、取引金融機関がない人 |
| 札幌中小企業支援センター(さっぽろ創業支援プラザ) | 中央区北1条西2丁目 北海道経済センタービル2階 011-200-5511 | 特定創業支援等事業の相談と証明書の発行、札幌市の融資制度と信用保証の相談、事業計画書の作成サポート(予約制)、セーフティネット保証の認定申請の受付 | 札幌市の制度融資を使いたい人、特定創業支援等事業の証明を取りたい人、売上が減った人 |
| 札幌商工会議所 | 中央区北1条西2丁目 北海道経済センター1階 中小企業・創業支援課 011-231-1768 | 公庫の融資申込みに使う創業計画書の作成指導(無料)。市内5支所(中央・西・札幌駅北口・豊平・白石)でマル経融資の推薦。北海道の制度融資のあっせん・受付 | 小規模事業者、計画書づくりを相談したい人 |
| 北海道よろず支援拠点 | 中央区北1条西2丁目 北海道経済センタービル9階 011-232-2407 | 販路開拓・生産性向上・事業承継など、経営課題の相談(何度でも無料) | 融資の前に、売上づくりや経営の課題を相談したい人 |
| 北海道中小企業活性化協議会 | 中央区北1条西2丁目 北海道経済センター6階(札幌本部) 011-222-2829 | 収益力改善・再生・再チャレンジの支援、経営改善計画の策定支援の受付(相談無料・秘密厳守) | 返済が苦しい人、条件変更(リスケジュール)を考えている人 |
| 北海道生活衛生営業指導センター | 中央区大通西16丁目(錦興産大通ビル) 011-615-2112 | 公庫の生活衛生貸付で、500万円を超える設備資金に必要な推せん書の事務 | 飲食店・美容室・理容室などで、500万円を超える設備資金を借りたい人 |
| 札幌市 経済観光局 経営雇用支援部 商業・経営支援課 | 中央区北1条西2丁目 札幌市役所本庁舎15階 011-211-2372 | 札幌市中小企業融資制度の担当課 | 制度の内容を確かめたい人(融資の相談は札幌中小企業支援センターへ) |
| 北海道 経済部地域経済局 中小企業課 金融係 | 中央区北3条西6丁目 011-204-5346 | 北海道中小企業総合振興資金(道の制度融資)の担当 | 道の制度融資の内容を確かめたい人 |
2026年9月25日時点で、各機関の公式サイトなどで確認した情報です。公庫の電話での相談先として、ここでは事業資金相談ダイヤルを案内しています。受付時間や相談の方法は変わることがあるので、訪問の前に確認してください。
各窓口の最新の情報は、公庫の問い合わせ窓口の案内、北海道信用保証協会の創業相談の案内、札幌中小企業支援センター、札幌商工会議所の創業支援の案内、北海道中小企業活性化協議会で確認できます。
北海道経済センターに入っている主な窓口
中央区北1条西2丁目の北海道経済センター(北海道経済センタービル)には、融資に関わる窓口が階ごとに入っています。
| 階 | 窓口 |
|---|---|
| 1階 | 札幌商工会議所 |
| 2階 | 札幌中小企業支援センター(さっぽろ創業支援プラザ) |
| 3階 | 日本政策金融公庫 札幌支店(国民生活事業) |
| 6階 | 北海道中小企業活性化協議会(札幌本部) |
| 9階 | 北海道よろず支援拠点 |
公庫の北海道創業支援センターと、公庫の中小企業事業・農林水産事業の札幌支店も同じビルにあります。
札幌商工会議所の5支所と担当区
マル経融資の推薦や、創業・経営改善・制度融資の相談は、市内5つの支所(中小企業相談所)でも受け付けています。窓口での相談のほか巡回相談もあり、Webで予約できます。
| 支所 | 担当区 |
|---|---|
| 中央支所 | 中央区 |
| 西支所 | 西区・手稲区 |
| 札幌駅北口支所 | 北区・東区 |
| 豊平支所 | 豊平区・南区・清田区 |
| 白石支所 | 白石区・厚別区 |
公庫への相談は4つの方法から
- 電話:事業資金相談ダイヤル(0120-154-505)
- 支店の窓口:予約相談。来店は希望日の前営業日14時まで、オンラインは2営業日前16時までに予約
- オンライン:Microsoft Teamsのビデオ通話。オンライン創業相談は約60分で、相談料は無料(通信料は自己負担)
- チャット:公庫サイトの事業資金お問合せチャット
公庫の申込み先は「場所」で決まる
公庫への申込みは、個人は創業予定地(事業所)を、法人は登記上の本店所在地を担当する支店に行います。たとえば東区で開業する個人は札幌北支店、中央区で開業する個人は札幌支店です。申込み前の相談は、どの支店でもできます。
札幌市の近隣で開業する方へ
- 公庫は、千歳市・恵庭市・北広島市を札幌支店が、江別市・石狩市・岩見沢市などを札幌北支店が担当しています
- 札幌市の制度融資は、札幌市内で事業を営んでいることが条件です。市外で開業する場合は、北海道の制度融資(創業貸付など)や、開業地の市町村の制度融資を確認します
- 札幌市の特定創業支援等事業の証明による登録免許税の軽減は、札幌市内での設立に限られます。一方、創業関連保証を事業開始の6か月前から使える特例は、札幌市以外で開業する場合にも使えます
目的別:どこに相談すればよいか
| こんなとき | まず相談する窓口 | 次の一歩 |
|---|---|---|
| 創業を考え始めた | 札幌商工会議所、さっぽろ創業支援プラザ | 計画書を固め、特定創業支援等事業の証明を取る |
| 公庫に申し込みたい | 事業資金相談ダイヤル、担当区域の支店 | インターネットで申し込む(24時間365日受付) |
| 札幌市の制度融資を使いたい | 札幌中小企業支援センター | 取扱金融機関(原則として市内の店舗)に申し込む |
| 取引している金融機関がない | 北海道信用保証協会(企業支援課) | あっせん保証(協会が金融機関にあっせん)を相談する |
| 無担保・無保証人で小口の資金がほしい小規模事業者 | 札幌商工会議所の各支所 | 経営指導を受け、マル経融資の推薦を受ける |
| 飲食店・美容室で500万円を超える設備資金を借りたい | 北海道生活衛生営業指導センター | 推せん書を受けてから公庫に申し込む |
| 売上が大きく減った | 取引金融機関、公庫の支店 | セーフティネット保証の認定は札幌中小企業支援センターに申請する |
| 返済が苦しい | 取引金融機関、公庫の取引支店 | 北海道中小企業活性化協議会で経営改善を相談する |
創業前は、この順番で回ると効率的です
- 計画書のたたき台をつくる
札幌商工会議所(創業計画書の作成指導は無料)や、さっぽろ創業支援プラザで、事業の内容と数字を整理します。特定創業支援等事業の証明を取るなら、1か月以上にわたる4回以上の相談などが必要なので、早めに通い始めます。
- 公庫に相談する
事業資金相談ダイヤルか、開業予定地を担当する支店で、使える制度と必要書類を確かめます。公庫は全国152支店に創業サポートデスクを置き、申込み前から計画書の立て方や融資制度の相談に応じています。
- 制度融資も使うなら並行して進める
札幌市の制度融資は札幌中小企業支援センターで相談し、取扱金融機関に申し込みます。北海道信用保証協会の企業支援課でも、創業前から相談できます。
公的機関の名前をかたる勧誘に注意
公庫は、公庫の名前や似た名前を使った融資の勧誘や手数料の要求、預金残高を聞き出す行為に注意を呼びかけています。相談先は、この一覧にある公式の窓口から選び、連絡先は各機関の公式サイトで確かめてください(よくある質問も参照)。
相談の前に用意しておくもの
- 事業の概要(何を・誰に・どこで売るか)を1枚にまとめたメモ
- 必要な金額と使いみち(設備資金・運転資金の内訳)
- 設備を買う予定があれば見積書
- すでに事業をしている方は、直近の決算書と試算表
申込み前の準備は融資を申し込む前にやっておく8つの準備、札幌の支援機関の詳しい使い方は札幌で創業するときの支援機関の使い方で解説しています。
計算ツール・チェックリスト一覧
このガイドには、数字を入れるだけで使える計算ツールとチェックリストがあります。計算はお使いの端末の中だけで行われ、入力した数字が送信されることはありません。
融資・資金調達のよくある質問
融資の相談でよく聞かれる質問に、2026年9月25日時点の制度にもとづいて答えます。制度の条件は改正されることがあるので、申込みの前には各機関の最新の案内を確認してください。
はじめて借りる前に
公庫と銀行、どちらに先に相談すればよいですか?
創業前でも融資を受けられますか?
受けられる制度があります。公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は「新たに事業を始める方」も対象で、札幌市の創業・雇用創出支援資金も市内で創業する方が対象です。
ただし公庫は、売上や経費の見込みを立てるために、出店地・予定地を決めてから申し込むよう求めています。法人で創業する場合、公庫の融資の対象は設立登記を済ませた法人です。特定創業支援等事業の証明を取るなら1か月以上の相談期間が必要なので、開業日から逆算して準備を始めます。
自己資金がなくても借りられますか?
公庫は2024年4月に、創業期の無担保・無保証人の融資にあった自己資金の要件(自己資金が創業資金総額の10分の1以上)をなくしました。ただし公庫は計画全体の確かさが重要だとしており、公庫の調査では開業時の資金調達に占める自己資金の割合は平均22.9%です。
また、北海道信用保証協会のスタートアップ創出促進保証は、創業予定の方や税務申告を1期終えていない方に、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を求めています。金額の大小より、少しずつでも継続して貯めてきた記録が大切です。
関連:自己資金はいくら必要?
個人事業と法人で、借りやすさに違いはありますか?
公庫は、融資の申込みで個人と法人に大きな違いはなく、どちらが有利ということもないと説明しています。違いが出るのは、手続きと保証の扱いです。
申込み先の支店は、個人は創業予定地、法人は登記上の本店所在地で決まり、法人は履歴事項全部証明書が必要です。保証人は、公庫では個人営業なら原則として無保証人で、法人は経営者保証免除特例制度などで代表者の保証を不要にできる場合があります。信用保証協会のスタートアップ創出促進保証や事業者選択型経営者保証非提供制度は、法人だけが対象です。
審査で見られること
赤字でも融資を受けられますか?
赤字というだけで、一律に断られるわけではありません。たとえば公庫の経営環境変化対応資金は、外的な要因で一時的に業況が悪化しているものの、中長期的には回復が見込まれる方が対象です。要件の中には、最近の決算で赤字幅は縮小したものの損失が出ている場合なども含まれます。
大切なのは、赤字の原因と、いつ・どう改善するかを、試算表や資金繰り表、改善計画で説明できることです。なお、債務超過や減価償却前経常利益の2期連続赤字は、経営者保証を外す制度の要件に関わります。
税金や社会保険料を滞納していると、借りられませんか?
多くの制度で、納税は条件や確認事項になっています。マル経融資の推薦には税金の原則完納が必要で、札幌市の制度融資では市民税の納税証明書を提出します。公庫の資本性ローンも、税務申告を1期以上している場合は、原則として所得税などの完納が要件です。
滞納があるときは、税務署・市区町村・年金事務所に早めに相談して、納付の計画を立てましょう。国税や社会保険料には、要件を満たせば、納期限から6か月以内の申請で分割して納められる換価の猶予の制度もあります。
クレジットカードの延滞歴は、融資に影響しますか?
影響する可能性があります。公庫の事業資金の申込みで同意する事項には、公庫が加盟する個人信用情報機関(CIC)と提携機関(KSC・JICC)が記されています。CICでは、支払状況などのクレジット情報が、契約期間中と契約終了後5年以内の間、保有されます。公庫の冊子は、公共料金や家賃などの日ごろの支払い状況も確認しているとしています。
心配な方は、本人開示(CICのインターネット開示は500円、JICCのスマートフォン開示は700円)で記録を確かめましょう。延滞があった場合は、その事情と、いまはきちんと払っていることを説明できるようにしておきます。
関連:申込み前の8つの準備
融資を断られたり、減額されたりしたら、どうすればよいですか?
まず、原因になりそうな点を自分で点検します。信用情報や支払いの状況、自己資金の貯め方、売上の見込みの根拠、事業の経験、資金の使いみちと見積りの5つが、見直しの出発点です。
そのうえで、借入額を減らす、自己資金を積み増す、売上や取引の実績をつくる、制度融資など別のルートを検討する、といった対策を取ります。同じ内容のまま申し込み直すのではなく、何を改善したかを説明できる状態にしてから相談するのが基本です。
条件と手続き
公庫と制度融資は併用できますか?
併用できます。創業時に、公庫の新規開業・スタートアップ支援資金と札幌市の創業・雇用創出支援資金を同時に進めるなど、組み合わせて必要額をそろえる方法があります。
注意点は2つです。1つは、それぞれの窓口に、もう一方の申込み状況を正直に伝えること。公庫の創業計画書にも「他の金融機関等からの借入」を書く欄があります。もう1つは、借入の合計に対して、毎月の返済を利益で無理なくまかなえる計画にすることです。
申し込んでから融資までどのくらいかかりますか?
公庫は、申込みから融資決定までの平均が2〜3週間程度(土日・祝日を含む)、創業の場合は平均3週間程度です。融資の条件や支店の混雑によっては、さらに日数がかかります。決定後は電子契約で手続きし(期限は原則として融資予定日の4営業日前まで)、指定の口座に送金されます。申込みから入金までの合計日数は公式には示されていないので、急ぐ事情があるときは取扱支店に確認してください。
保証協会付きの制度融資は、金融機関と保証協会の両方が審査します。日数の公式な目安は公表されていないので、日程に余裕をもって申し込みます。
金利は固定ですか、変動ですか?
公庫の融資は固定金利で、契約したときの金利が最後まで変わりません。2026年9月1日現在、無担保で税務申告を2期終えている方の基準利率は3.80〜5.40%で、金利は毎月のように改定されています。
北海道の制度融資には、完済まで変わらない固定金利と、融資期間が3年を超える場合に選べる変動金利(毎年4月1日・10月1日に見直し)があります。民間の融資には固定と変動の両方があり、変動金利は基準となる金利の改定に合わせて見直されます。
保証人は必要ですか?
制度によって異なります。公庫は、担保・保証人は希望を聞きながら相談して決めるとしており、創業期(税務申告2期未了)は原則として無担保・無保証人、個人営業の方は原則として無保証人です。法人は、要件を満たせば経営者保証免除特例制度で代表者の保証を外せ、上乗せの利率もありません。
信用保証協会付きの融資では、法人代表者以外の連帯保証人は原則不要です。民間の金融機関は2023年4月から、保証を求める場合に、その理由と、外すための改善点を具体的に説明することが求められています。
冬に売上が落ちるなど、季節で売上が大きく変わる場合はどう借りればよいですか?
まず資金繰り表で月ごとの入金と支払いを並べ、資金が足りなくなる月と金額をつかみます。冬期に売上が落ちる、除雪や暖房の費用がかさむといった季節の波がある事業では、その月の支払いに備える運転資金を、前もって計画的に用意しておくことが大切です。
公庫は返済方法として季節変動返済も案内しており、札幌市には1年以内の運転資金向けの「短期サポート特別枠」(令和8年10月1日以降の実行分は年2.6%以内)があります。公庫の企業概要書にも売上の季節変動を書く欄があるので、数字で説明できるようにしておきましょう。
注意点と相談先
返済が苦しくなりそうなときは、まず何をすればよいですか?
延滞する前に、借入先に相談することが最優先です。公庫の場合は取引している支店に相談し、税務申告書・決算書、資金繰り表、経営改善計画書などを求められることがあります。民間の金融機関から借りている場合は、取引しているすべての金融機関に同じ説明をします。
2025年11月と2026年3月には、政府・金融庁が金融機関に、既存の借入の条件変更や借換えへの迅速で柔軟な対応を要請しています。計画づくりに迷うときは、北海道中小企業活性化協議会(相談無料・秘密厳守)も使えます。
融資の代行業者やコンサルタントに頼んでも大丈夫ですか?
慎重に見きわめてください。公庫は、公庫の名前や似た名前(日本金融政策機構、日本政策金融国庫、公庫サポートセンターなど)を使った融資の勧誘、手数料の要求、預金残高を聞き出す行為などに注意を呼びかけており、公式SNSから融資を勧誘することもないとしています。「融資を約束する」「審査に通してあげる」とうたって高額な報酬を求める業者にも注意が必要です。
計画書づくりの相談は、札幌商工会議所の無料の作成指導など、公的な窓口でも受けられます。面談で事業を説明するのは、あくまで経営者本人です。
借りたお金を申込みの目的以外に使うとどうなりますか?
融資は、申込みのときに説明した使いみち(設備資金・運転資金)を前提に審査され、契約されます。目的と違う使い方は契約に反し、契約の内容によっては一括での返済を求められたり、その後の融資を受けにくくなったりするおそれがあります。
設備資金は見積書どおりに支払い、領収書や振込の記録を残しておきます。見積りから内容や金額が変わる場合は、支払う前に金融機関に相談してください。
税理士や会計事務所に相談するメリットはありますか?
審査で見られる数字(計画・決算書・試算表・資金繰り表)を、根拠のある形に整えられる点が大きな利点です。制度の面でも、公庫の新規開業・スタートアップ支援資金では、中小会計要領などを適用し、自ら事業計画書を作り、認定経営革新等支援機関(税理士・公認会計士・中小企業診断士など)の指導・助言を受けている方は、特別利率Aの対象になります。信用保証協会の経営力強化保証や、経営改善計画の策定支援(405事業など)も、認定支援機関の関与が要件です。
すべての税理士が認定を受けているわけではないので、認定の有無は中小企業庁の認定経営革新等支援機関の案内で確認できます。なお、専門家が関わっても、融資が約束されるわけではありません。
創業融資・運転資金の調達から、補助金の申請サポート、その後の資金繰りまで。日本政策金融公庫への融資のご紹介・申請サポートの実績があります。
- 金融機関のご紹介
- 融資申請業務の提携先のご紹介
- 申請サポート
- 事業計画・資金繰り表の整備
- 金融機関向け財務資料の整備
- 複数行への説明体制づくり
顧問契約中のお客様は、月次の数字をそのまま金融機関への説明資料に活かせます。
出典・参考資料(129件・2026年9月25日確認)
- 日本政策金融公庫 お問い合わせ(事業資金相談ダイヤル)
- 日本政策金融公庫 はじめての方へ(国民生活事業の返済方法)
- 日本政策金融公庫 よくある質問(返済の相談)
- 日本政策金融公庫 オンライン創業相談
- 日本政策金融公庫 スタートアップ向け融資制度の拡充(2024年4月1日)
- 日本政策金融公庫 事業資金の申込みにかかる同意事項
- 日本政策金融公庫 公庫の名前をかたる業者への注意喚起
- 日本政策金融公庫 冊子「創業の手引」(2026年5月版)
- 日本政策金融公庫 冊子「創業の手引+」美容版(2025年9月)
- 日本政策金融公庫 冊子「創業の手引+」(2025年9月)
- 日本政策金融公庫 創業に関するよくある質問
- 日本政策金融公庫 創業サポートデスク
- 日本政策金融公庫 創業時の融資のよくある質問(固定金利)
- 日本政策金融公庫 創業期の融資(無担保・無保証人と利率の引下げ)
- 日本政策金融公庫 北海道創業支援センター
- 日本政策金融公庫 国民生活事業のご案内2026(事業規模)
- 日本政策金融公庫 国民生活事業のご案内2026(創業融資の実績)
- 日本政策金融公庫 国民生活事業のよくある質問(金利・融資までの期間)
- 日本政策金融公庫 国民生活事業の店舗と業務区域
- 日本政策金融公庫 国民生活事業の手続きと必要書類
- 日本政策金融公庫 国民生活事業の金利一覧(2026年9月1日現在)
- 日本政策金融公庫 支店での予約相談
- 日本政策金融公庫 日本公庫電子契約サービスのよくある質問
- 日本政策金融公庫 書式ダウンロード(創業計画書)
- 日本政策金融公庫 札幌北支店の案内
- 日本政策金融公庫 特別相談窓口の拡充(2026年3月23日)
- 日本政策金融公庫 生活衛生貸付「一般貸付」
- 日本政策金融公庫 融資のご案内(令和8年度版)
- 日本政策金融公庫「一般貸付」
- 日本政策金融公庫「事業承継・集約・活性化支援資金」
- 日本政策金融公庫「企業活力強化資金」
- 日本政策金融公庫「創業支援貸付利率特例制度」
- 日本政策金融公庫「危機対応後経営安定資金」
- 日本政策金融公庫「小規模事業者経営改善資金(マル経融資)」
- 日本政策金融公庫「挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)」
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
- 日本政策金融公庫「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」
- 日本政策金融公庫「経営者保証免除特例制度」
- 日本政策金融公庫「賃上げ貸付利率特例制度」
- 日本政策金融公庫総合研究所 2025年度新規開業実態調査
- 札幌市 さっぽろ創業支援プラザ(特定創業支援等事業)
- 札幌市 セーフティネット保証の認定申請
- 札幌市 中小企業融資制度のご利用について(提出書類)
- 札幌市 中小企業融資制度の取扱金融機関
- 札幌市 中小企業融資制度の金利運用方針
- 札幌市 札幌中小企業支援センター
- 札幌市 札幌市中小企業融資制度
- 札幌市 特定創業支援等事業の証明に関する注意事項
- 札幌市 融資制度一覧(令和8年10月1日現在)
- 札幌市「カーボンニュートラル推進資金」
- 札幌市「事業革新支援資金」
- 札幌市「創業・雇用創出支援資金」
- 札幌市「大型設備投資支援資金」
- 札幌市「小規模事業資金」
- 札幌市「景気対策支援資金」
- 札幌市「産業振興資金」
- 札幌市「短期サポート特別枠」
- 札幌中小企業支援センター
- 札幌中小企業支援センター 事業計画書の作成サポート
- 北海道 中小企業総合振興資金 融資要領 総則(令和8年4月1日)
- 北海道 中小企業総合振興資金「事業承継貸付」
- 北海道 中小企業総合振興資金「創業貸付」
- 北海道 北海道中小企業総合振興資金
- 北海道「中東情勢対策特別枠」の創設
- 北海道信用保証協会 ご利用の流れ(金融機関経由保証・あっせん保証)
- 北海道信用保証協会 保証の内容(保証限度額・保証人)
- 北海道信用保証協会 信用保証料について
- 北海道信用保証協会 創業相談
- 北海道信用保証協会 本店・支店のご案内
- 北海道信用保証協会 責任共有制度
- 北海道信用保証協会「スタートアップ創出促進保証」
- 北海道信用保証協会「セーフティネット保証5号」
- 北海道信用保証協会「モニタリング強化型特別保証」
- 北海道信用保証協会「事業承継特別保証」
- 北海道信用保証協会「事業者選択型経営者保証非提供制度」
- 北海道信用保証協会「創業関連(再挑戦支援)保証」
- 北海道信用保証協会「協調融資型保証(スクラム5000)」
- 北海道信用保証協会「特別小口(無担保無保証人)保証」
- 北海道信用保証協会「経営力強化保証」
- 札幌商工会議所 マル経融資
- 札幌商工会議所 創業支援
- 札幌商工会議所 北海道の融資制度のあっせん
- 札幌商工会議所 所在地
- 札幌商工会議所 支所(中小企業相談所)の所在地と担当区
- 札幌商工会議所 経営相談
- 中小企業庁 セーフティネット保証5号の指定業種(最新の指定)
- 中小企業庁 中小企業活性化協議会
- 中小企業庁 事業承継時の経営者保証ガイドラインの特則
- 中小企業庁 事業者選択型経営者保証非提供制度の開始(2024年3月15日)
- 中小企業庁 登録免許税の軽減措置(特定創業支援等事業)
- 中小企業庁 経営改善計画策定支援(405事業)
- 中小企業庁 認定経営革新等支援機関
- 北海道経済産業局 よろず支援拠点
- 北海道経済産業局 北海道中小企業活性化協議会
- 経済産業省 セーフティネット保証5号の指定業種(2026年7月〜9月)
- 金融庁 「経営者保証に依存しない融資」の割合(2026年6月26日公表)
- 金融庁 中東情勢を踏まえた金融上の対応についての要請(2026年3月)
- 金融庁 事業性融資の推進等に関する法律案の概要
- 金融庁 事業者支援の促進及び金融の円滑化についての要請(2025年11月)
- 金融庁 企業価値担保権
- 金融庁 企業価値担保権のパンフレット
- 金融庁 監督指針等の一部改正(2026年2月20日公表)
- 金融庁 経営者保証改革プログラム(2022年12月)
- 日本銀行 2026年の金融政策決定会合の公表資料
- 日本銀行 金融政策決定会合の公表文(2024年3月19日)
- 日本銀行 金融政策決定会合の公表文(2024年7月31日)
- 日本銀行 金融政策決定会合の公表文(2025年12月19日)
- 日本銀行 金融政策決定会合の公表文(2025年1月24日)
- 日本銀行 金融政策決定会合の公表文(2026年6月16日)
- 日本銀行 金融政策決定会合の公表文(2026年9月18日)
- 日本銀行 長・短期プライムレート(主要行)の推移
- 全国銀行個人信用情報センター 本人開示の手続き
- 全国銀行協会 手形・小切手の最終交換日の明確化(2026年6月18日)
- 全国銀行協会 手形・小切手の電子化のリーフレット(2026年)
- 全国銀行協会 経営者保証に関するガイドライン
- 国税庁 タックスアンサー No.4402 贈与税がかかる場合(暦年課税)
- 国税庁 納税の猶予制度(換価の猶予の申請)
- 日本年金機構 厚生年金保険料等の猶予制度
- CIC インターネット開示
- CIC 会社概要(会員の範囲)
- CIC 信用情報の保有期間
- CIC 情報開示の方法
- JICC スマートフォンによる開示
- 公正取引委員会 取適法のリーフレット
- 公正取引委員会・中小企業庁 約束手形の利用廃止を踏まえた要請(2026年9月2日)
- 北海道よろず支援拠点
- 北海道中小企業活性化協議会 所在地・連絡先
- 北海道生活衛生営業指導センター 生活衛生貸付の推せん
- 日本商工会議所 マル経融資の案内
このページは、2026年9月25日時点で確認できた公式情報(日本政策金融公庫、札幌市、北海道、北海道信用保証協会、中小企業庁、金融庁、日本銀行、国税庁など)にもとづく一般的な解説です。金利や制度の内容は改定されることがあります。実際の融資条件は、各金融機関・制度の窓口で必ず確認してください。
個別の融資の可否や条件を保証するものではありません。記入例・数値例はすべて架空の設例です。
最終確認日:2026年9月25日 作成:ジェイスタート会計事務所(公認会計士・税理士)
