「会社を作りたいが、何から始めて、どれくらい日数がかかるのか分からない」。株式会社の設立は、流れを知っておけば身構えるほどの手続きではありません。
標準的なスケジュールは準備開始から設立登記まで2〜3週間、設立後の届出まで含めて1〜2カ月です。ただし、最初に決める「基本事項」(資本金・決算期・役員構成)の設計は、その後数年の税負担に影響します。
この記事では、札幌の税理士が、設立5ステップと必要日数、つまずきやすいポイント、設立後の届出までを通しで解説します。
この記事は、こんな方に役立ちます
- 札幌・北海道で会社設立・法人化を検討している方
- 設立の手順と必要なものを把握したい方
- 法人化のタイミングや費用感を相談したい方
- 標準スケジュールは登記まで2〜3週間、届出完了まで1〜2カ月
- 本丸はステップ1の基本事項。資本金・決算期・役員報酬は後から変えにくい
- 電子定款で印紙代4万円を節約できる
- 登記後の届出(2カ月・3カ月期限)と社会保険・口座開設まで一気に済ませる
- 手続きは自力でも可能。設計部分こそ専門家と決める
具体例:設立登記完了までの日数早見表
具体例:株式会社設立の標準スケジュール(2026年時点・電子定款利用の概算)
手続きが滞りなく進んだ場合の各ステップと所要日数の目安です。法務局の繁忙期や公証役場の予約状況で前後します。
| ステップ | 主な作業 | 目安日数 |
|---|---|---|
| ①定款作成 | 商号・目的・資本金・役員等を決定 | 1〜3日 |
| ②定款認証 | 公証人による認証(要予約) | 1〜7日 |
| ③資本金の払込 | 発起人口座へ振込・通帳コピー | 1日 |
| ④登記書類の作成 | 登記申請書・就任承諾書等を準備 | 1〜3日 |
| ⑤登記申請 | 申請受付日=設立日(会社成立日) | 申請日当日 |
| ⑥登記完了 | 登記事項証明書・印鑑カード取得 | 申請後5〜10日程度 |
※全体の目安:順調に進んで10〜14日前後が一般的。電子定款なら印紙代4万円が不要です。数値は概算です。
設立日として記録されるのは「法務局が登記申請を受け付けた日」です。そのため、設立日を期首(事業年度の開始日)に合わせたい場合は、定款認証・資本金払込・書類準備を逆算して済ませ、希望日に申請できるよう日程を組む必要があります。
電子定款を利用すると収入印紙代4万円が不要になるうえ、公証役場でのオンライン認証が可能なため全体の日数を短縮しやすくなります。一方で電子定款の作成には専用環境が必要なため、自力対応が難しい場合は司法書士・行政書士へ依頼する方法も選択肢です。
登記完了後も、税務署・都道府県・市区町村への届出、社会保険の新規適用、銀行口座の開設など複数の手続きが続きます。設立登記はスタート地点であり、事業開始に向けた準備はそのあとも続くことを念頭にスケジュールを立てることをおすすめします。
全体像:5ステップと必要日数

| ステップ | 内容 | 日数の目安 |
|---|---|---|
| 1. 基本事項の決定 | 商号・目的・資本金・決算期・役員構成・本店所在地 | 数日〜1週間 |
| 2. 定款の作成・認証 | 定款を作成し、公証役場で認証(電子定款なら印紙代不要) | 3日〜1週間 |
| 3. 資本金の払込み | 発起人の口座へ出資金を払い込み、証明書類を作成 | 1〜2日 |
| 4. 登記申請 | 法務局へ申請。申請日=会社設立日 | 申請から完了まで1〜2週間程度 |
| 5. 設立後の届出 | 税務署・道・市への届出、社会保険、口座開設 | 設立から1〜2カ月で一巡 |
「この日を設立日にしたい」という希望がある場合は、登記申請日から逆算して準備します。法務局の閉庁日(土日祝・年末年始)は設立日にできない点に注意してください。
ステップ1が本丸:基本事項の決め方で税負担が変わる
| 項目 | 決め方のポイント |
|---|---|
| 資本金 | 1,000万円未満なら設立1・2期目の消費税が原則免税。信用と当面の運転資金も考慮 |
| 決算期 | 繁忙期・在庫の山を避ける。設立日から最長にすると1期目を長く取れる |
| 役員報酬 | 設立後3カ月以内に決めた額は原則期中変更不可。利益計画とセットで設計 |
| 株主構成 | 後からの変更はコストが大きい。親族・共同経営者の持分は慎重に |
登記そのものは形式が整えば通りますが、ここで決めた数字は後から動かしにくいものが多くあります。とくに資本金と決算期は、消費税・インボイスの設計(2割特例は令和8年9月30日の属する課税期間で終了。国税庁公表)と直結します。
設立前のこの段階が、専門家に相談する価値の大きい場面といえます。
定款認証から登記まで:実務の注意点
定款は電子定款にすると印紙代4万円が不要になります(作成環境がない場合は専門家への依頼で対応可能です)。資本金の払込みは「定款作成日以後」に発起人個人の口座へ行い、通帳のコピー等で証明します。
登記申請は法務局窓口・郵送・オンラインのいずれでも可能です。設立費用の内訳(定款認証手数料・登録免許税など)は株式会社設立の費用の記事で詳しく解説しています。
ステップ5を忘れない:設立後の届出と体制づくり
登記が完了しても、それはスタートラインです。
税務署への法人設立届出書(2カ月以内)、青色申告の承認申請書(設立から3カ月を経過した日と第1期末のいずれか早い日の前日まで)、給与支払事務所等の開設届出書(1カ月以内)、道・市への設立届、年金事務所での社会保険の新規適用手続きが続きます。
あわせて、法人口座の開設(審査に数週間かかることがあります)と会計体制(クラウド会計の初期設定)もこの時期に整えます。届出の詳細は開業届出一覧の記事を、口座開設や創業資金は創業融資の記事をご覧ください。
書類の作成・申請は自分でも、司法書士等への依頼でも進められます。専門家(税理士)の領域は、資本金・決算期・役員報酬という「後から変えにくい設計」と、設立後の消費税・経理体制の構築です。
当事務所は税務顧問にとどまらず、設立設計から届出・融資・経理のAI化までワンストップで伴走しています。
当事務所での実例
実例:サービス業での設立を予定する創業者の支援で、資本金と決算期の設計から伴走しました。
設立スケジュール表と届出チェックリストの作成はAI(Claude)が担い、消費税の設計(インボイス登録の時期)と役員報酬は有資格者が判断。登記は司法書士と連携し、希望の設立日で登記、期限内にすべての届出を完了しました。
設立を検討中の方は、お問い合わせからご相談ください。状況を伺ったうえで、対応範囲と概算をご提示します。
逆算例:10月1日を設立日にしたい場合
設立日を狙う場合は逆算で組みます。10月1日設立なら、9月上旬までに基本事項(商号・目的・資本金・決算期・役員)を確定し、印鑑を発注。
9月中旬に定款を作成して公証役場の認証を受け、9月下旬に資本金を払い込み、払込証明を作成。そして10月1日(水曜など平日であることを確認)に法務局へ登記申請します。
申請日=設立日なので、10月1日が土日祝ならその日は設立日にできません。登記完了は申請から1〜2週間後ですが、設立日はあくまで申請日です。
完了後すぐ、登記事項証明書と印鑑証明書を取得して、税務署等への届出と口座開設に進みます。
よくあるつまずき5つ
実務でつまずきやすいのは次の五つです。①商号・本店の事前確認漏れ(同一住所・同一商号は登記不可)。②事業目的の記載不足(許認可業種は所定の文言が必要なことがあります)。
③払込みのタイミング(定款作成日より前の入金はやり直しになり得ます)。④本店所在地の制約(賃貸物件は使用目的・転貸条項を要確認。バーチャルオフィスは口座開設審査で不利になる場合があります)。
⑤代表印の未準備(オンライン申請でも実務上は作っておくのが無難です)。どれも事前に把握しておくことで避けやすくなるものです。※2026年6月12日時点の一般的な実務に基づきます。
設立前後のお金の動き:口座と経費の整理
意外と迷うのが、設立前後のお金の通り道です。資本金の払込みは発起人個人の口座で行い、法人口座は登記完了後に開設します。
法人口座の審査には数日〜数週間かかり、事業内容の説明資料を求められることもあるため、登記事項証明書が取れたらすぐ申し込むことをおすすめします。口座開設までの支払いは個人で立て替え、後から精算します。
また、設立準備にかかった費用(定款認証・登録免許税などの創立費、設立後開業までの開業費)は、法人の経費として処理でき、任意の年度で償却できます。レシート・領収書は「設立前のものこそ捨てない」と覚えておくとよいでしょう。
個人カードで払った分も精算記録があれば問題ありません。※2026年6月12日時点の一般的な実務に基づく整理です。
よくある質問
取締役1人だけでも株式会社を作れますか?
作れます。取締役1名・株主1名(本人)の株式会社は一般的です。取締役会や監査役は必須ではなく、小規模なら置かない機関設計が標準的です。
最短でどれくらいで設立できますか?
書類が揃えば、定款認証から登記申請まで数日に圧縮できる場合もあります。ただし基本事項の設計を急ぐと後悔につながりやすいため、2〜3週間の標準スケジュールをおすすめします。
合同会社のほうが早くて安いと聞きました
合同会社は定款認証が不要なため、日数・費用とも抑えられる傾向があります。対外的な信用や将来の資本政策を重視するなら株式会社です。事業の性質で選び分けます。
自分で全部やるのと専門家に頼むのはどちらがよいですか?
手続き自体は自力で可能です。差が出やすいのは資本金・決算期・役員報酬・消費税の設計部分なので、「設計だけ専門家、手続きは自分」という組み合わせも選択肢の一つです。
相談はどの段階でするのがよいですか?
商号や資本金を決める前、つまり早い段階でのご相談をおすすめします。お問い合わせフォームから「会社設立の相談」とご連絡ください。料金・契約・業務フローはこちらです。
まとめ
当事務所(札幌市)は、会社設立の設計から届出・創業融資・税務顧問・経理のAI化までワンストップで支援しています。状況を伺ったうえで対応範囲と概算をご提示しますので、料金・契約・業務フローをご確認のうえお問い合わせください。
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会社設立で先に決めておくこと
- 商号(会社名)・本店所在地・事業目的
- 資本金の額と出資者の構成
- 決算月(繁忙期を避けると申告が楽)
- 役員構成と任期
- 設立日
※本記事は2026年6月時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。
出典・参考情報(公的機関)
本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の税務判断・アドバイスを行うものではありません。税制・法令は改正される場合があります。実際の申告・手続の際は、上記の公的機関が公表する最新情報をご確認のうえ、税理士など専門家へご相談ください。
