日商簿記2級 完全合格テキスト[2026年度版]

2026年度版・完全網羅
日商簿記2級 完全合格テキスト
商業簿記+工業簿記/図解と演習で「確実に70点」

本書は、日本商工会議所が公表する2022年度適用の出題区分表(2026年度試験に適用)の全論点を、図解・比較表・T字勘定・ボックス図でひとつ残らず可視化し、論点ごとの例題と章末の確認問題、そして本試験形式の模擬試験までを1冊に収めた独学専用テキストです。

商業簿記 60点工業簿記 40点試験時間 90分合格 70点以上統一試験・ネット試験 共通
【全33章 完結】商業簿記(第0〜16章)・工業簿記(第17〜29章)の全論点と、本試験形式の模擬試験 全3回(第30〜32章)を公開しています。すべての例題・確認問題・模擬試験に、折りたたみ式の解答解説がついています。
最終更新:2026年8月6日/対応:2026年度試験(2021年度改定・2022年度適用の出題区分表)
目 次

第0章 合格戦略 ― 試験の正体を知る

簿記2級は「全部わかった人」が受かる試験ではありません。100点満点中70点を取った人が受かる試験です。この章では、何を・どの順で・どこまでやれば70点に届くのかを最初に固定します。ここを読まずに仕訳から始めると、必ず途中で迷子になります。

0-1 試験の全体像

項目内容
試験時間90分(3級は60分、1級は180分)
満点・合格基準100点満点、70点以上で合格(絶対評価。他人の出来に左右されない)
出題科目商業簿記(第1問〜第3問/60点)+工業簿記(第4問・第5問/40点)
受験資格なし。3級を持っていなくても受験できる
実施方式統一試験(ペーパー・例年6月/11月/2月の年3回)と
ネット試験(CBT・テストセンターで随時。統一試験の前後は休止期間あり)
電卓持ち込み可(関数電卓・印字機能付き・音の出るものは不可)
合格発表ネット試験は終了直後に画面で即時判定。統一試験は後日
POINT 統一試験とネット試験、どちらを受けるべきか 出題範囲・合格基準・資格としての価値はまったく同じです。違いは「受けやすさ」だけ。独学なら、まずネット試験を予約してしまうのが最強の戦略です。日付が決まると学習が終わります(人は締切がないと終わらせません)。落ちても数日後にまた受けられるので、1回目を「本気の模擬試験」として使えます。
注意 ネット試験特有の3つの罠
  1. 下書用紙はA4が2枚だけ(配布・回収)。ボックス図や勘定連絡図を大きく書く癖のある人は、必ず「A4・2枚に収まる下書き」で練習しておくこと。
  2. 金額はテンキーで入力、勘定科目はプルダウン選択。手書きなら通る「売掛金」の略字が使えない代わりに、プルダウンの選択肢が答えのヒントになる(=統一試験よりやや易しく感じる場面がある)。
  3. 画面上でしか問題が読めない。第3問のような長い資料は上下スクロールが必要。問題文に線を引けないので、下書用紙に「資料番号→処理」をメモする習慣をつける。

0-2 大問別の配点と「解く順番」

大問科目配点出題内容目標時間目標点
第1問商簿20点仕訳問題 5題(各4点)15分16点
第2問商簿20点個別論点(連結会計、株主資本等変動計算書、有価証券、固定資産、銀行勘定調整表、商品売買、外貨建など)20分8点
第3問商簿20点決算問題(財務諸表作成、精算表、決算整理後残高試算表、本支店会計)25分12点
第4問(1)工簿12点費目別計算の仕訳 3題(各4点)8分12点
第4問(2)工簿16点個別原価計算・総合原価計算・部門別計算・製造原価報告書など12分14点
第5問工簿12点標準原価計算の差異分析、直接原価計算・CVP分析10分12点
合計100点(見直し10分)90分74点
合格者の解答順序(=点の取りやすい順)
第1問
仕訳20点
第4問
工簿28点
第5問
工簿12点
第2問
個別20点
第3問
決算20点

問題番号順に解いてはいけません。第2問・第3問は「時間を吸い込むブラックホール」で、ここで詰まると満点が取れるはずの工業簿記40点に手が回らず不合格になります。工業簿記40点を先に確保する——これが2級の鉄則です。

合格ライン設計 「工簿40+第1問16=56点」を土台にする 工業簿記は範囲が狭く、パターンが固定されており、満点を取りやすい領域です。ここで40点、第1問の仕訳で16点(5問中4問正解)を積むと56点。残りは第2問・第3問の40点のうち14点=35%だけ取れば合格です。第3問の決算問題は「配点箇所を拾う」だけで十分。全部埋める必要はありません。

0-3 部分点の拾い方と「捨てる勇気」

拾える部分点の場所

  • 第3問(財務諸表・精算表):配点は3点×数か所+2点×数か所のように散らばっています。現金預金・売掛金・買掛金・資本金など「動かない項目」は資料を写すだけで得点になるので、必ず先に埋めます。
  • 第2問(連結など):連結精算表の「単純合算するだけの行」は無条件で正解できます。難所の非支配株主持分や利益剰余金を飛ばしても、売上高・売上原価・のれん償却などは取れます。
  • 当期純利益:積み上げの最後にある数値は、途中でどこか間違えると連鎖的に外れます。当期純利益から先に狙うのは最悪手。最後に時間が余ったら計算する程度で構いません。

捨ててよい論点の判断基準

状況判断
第2問が「連結第2年度+成果連結フルセット」資本連結の開始仕訳だけ作り、成果連結(未実現利益)は捨ててOK
第3問で税効果会計が絡み、法人税等調整額が読めない法人税等・繰延税金資産だけ空欄にして他を全部埋める
問題を読んで90秒考えても手が動かない即座に次へ。戻る時間は最後に確保してある

0-4 学習ロードマップ

スタート地点標準学習時間推奨ペース
3級合格済み200〜250時間1日2時間×3.5か月/1日3時間×2.5か月
簿記まったくの初学者350〜400時間先に3級範囲(本書 第1章)を2週間で通す
8週間・完全独学スケジュール(1日3時間想定)
やること到達目標
1週第1章〜第4章(土台・商品売買・現金預金・手形)第1問の仕訳が半分解ける
2週第5章〜第9章(固定資産・リース・無形固定資産・有価証券・引当金)第1問の主力論点を制圧
3週工業簿記に着手 第18章〜第22章(費目別・製造間接費・部門別)勘定連絡図が書ける
4週第23章〜第26章(個別・総合・標準・直接原価計算)第4問・第5問で30点
5週第10章〜第14章(外貨・株式会社会計・税効果・収益認識・決算)第3問の全体像がつかめる
6週第15章〜第17章(本支店・伝票・連結会計連結の開始仕訳が書ける
7週模擬試験①②を時間を計って実施 → 間違えた論点だけ本文に戻る60点前後
8週模擬試験③、第1問仕訳の総ざらい、工業簿記の反復75点前後で安定
独学で必ず守る3つのルール
  1. 読むな、手を動かせ。 簿記は「わかる」と「できる」の距離が異常に遠い科目です。例題は必ず紙に仕訳を書いてから解答を開いてください。読んだだけの論点は本番で1問も解けません。
  2. 工業簿記を後回しにするな。 3週目には必ず着手します。工簿は「わかれば満点、わからなければゼロ」の分野で、直前に詰め込むと最も損をします。
  3. 間違いノートは作らない。代わりに「解き直し」をする。 ノートを綺麗に作る時間があったら、同じ問題を3回解いてください。2級は理解より再現速度の試験です。

0-5 本書の使い方(アイコン一覧)

POINTその論点の核心。ここだけは絶対に覚える。
注意本試験で受験生が実際に落とすポイント、ひっかけ。
暗記覚え方・語呂・機械的に処理するための手順。
得点戦略本試験での時間配分・部分点の取り方。
深掘り理由・背景。急ぐ人は飛ばしてよい。

例題・確認問題は難易度を3段階で示しています。基本=必ず取る/標準=合格者は取る/応用=取れれば上位。解答は必ず自分で書いてから開いてください。

0-6 【重要】2027年度からの試験範囲の大改定について

2026年度中に受験するなら、本書の内容がそのまま試験範囲です

日本商工会議所は2025年12月25日付で、2026年度中に施行する試験には2021年度に改定した「2022年度適用の出題区分表」を引き続き適用すると公表しています。つまり2026年度(2026年4月〜2027年3月)の試験範囲に変更はありません

一方、2027年度以降に適用される出題区分表の暫定版が同時に公表されており、手形・小切手の実務廃止に伴う出題見直しやリース会計基準の改定反映、1級・3級との範囲の入れ替えなど、大きな改定が予定されています。受験を2027年度以降にずらすと、学び直しが必要になります。2級を取るなら2026年度中の受験を強くおすすめします。

なぜ手形が試験から消えるのか 全国銀行協会は、紙の約束手形と小切手を電子的な決済手段(電子記録債権など)へ移行させる方針を進めており、実務上の紙の手形は役割を終えつつあります。簿記検定は「実務で使われている会計処理」を出題する試験なので、実務から消えた論点は範囲から外れていきます。ただし2026年度の試験では手形は依然として重要論点です。本書の第4章はしっかり学習してください。

第1章 2級の土台 ― 簿記一巡と仕訳の原理

2級の学習でつまずく人の9割は、新しい論点が難しいのではなく「その仕訳が簿記一巡のどこにいるのか」を見失っているだけです。この章で全体地図を頭に入れてから個別論点へ進むと、以降の理解速度がまったく変わります。3級合格者も必ず目を通してください。

1-1 簿記一巡 ― 1年間の流れを1枚で

図1-1 簿記一巡の手続き(会計期間1年)
期首開始記入
前期B/Sの繰越
期中取引→仕訳
→総勘定元帳へ転記
決算予備試算表の作成
(決算整理前T/B)
決算本手続決算整理仕訳
→精算表
決算帳簿の締切
損益振替・資本振替
報告財務諸表
P/L・B/S・S/S
POINT 試験の大問はこの流れのどこを聞いているか
  • 第1問(仕訳)=「期中取引」+「決算整理」の入口。1取引1仕訳の世界。
  • 第2問(個別問題)=「総勘定元帳」「勘定記入」の世界。仕訳を勘定に転記できるかを問う。
  • 第3問(決算)=「決算整理〜財務諸表」の世界。前T/B+整理仕訳=後T/B=F/S、という一本道。

1-2 5つの要素とホームポジション

簿記のすべての勘定科目は、必ず次の5要素のどれかに属します。そして各要素には「増えたときに書く側(=ホームポジション)」が決まっています。これさえ体に入れば、知らない勘定科目が出てきても仕訳が組めます。

図1-2 5要素の位置と増減のルール
貸借対照表(B/S)= 期末時点の財産
借方(左)貸方(右)
資産
現金・売掛金・建物・有価証券…
負債
買掛金・借入金・引当金…
  純資産
資本金・繰越利益剰余金…
損益計算書(P/L)= 1年間のもうけ
借方(左)貸方(右)
費用
仕入・給料・減価償却費…
収益
売上・受取利息・有価証券利息…
当期純利益
(差額で計算)
 

左に居場所がある要素(資産・費用)は増えたら借方、右に居場所がある要素(負債・純資産・収益)は増えたら貸方。減ったら反対側に書く。ルールはこれだけです。

要素ホーム増加減少意味2級で新しく出る代表例
資産借方借方貸方会社が持っているプラスの財産電子記録債権、リース資産、ソフトウェア、繰延税金資産、契約資産、のれん
負債貸方貸方借方将来支払う義務電子記録債務、リース債務、退職給付引当金、繰延税金負債、契約負債、返金負債
純資産貸方貸方借方資産-負債=株主の取り分資本準備金、利益準備金、その他資本剰余金、非支配株主持分、その他有価証券評価差額金
費用借方借方貸方もうけを生むために使ったもの手形売却損、棚卸減耗損、商品評価損、支払リース料、研究開発費、支払手数料
収益貸方貸方借方もうけの源泉有価証券利息、有価証券評価益、償却債権取立益、負ののれん発生益
暗記 迷ったら「現金でチェック」 仕訳の方向がわからなくなったら、現金がどう動くかを先に書くのが最速です。現金は資産なので、入ってきたら借方・出ていったら貸方。片側が決まれば、もう片側は自動的に決まります。
例:「手数料を現金で支払った」→ 現金が減る=貸方に現金 → 相手は借方 → 支払手数料。

1-3 仕訳の作り方 ― 5ステップ

  1. 取引を2つに割る。「何が増えて/減ったか」を必ず2つ以上見つける。
  2. それぞれが5要素のどれかを判定する。(資産/負債/純資産/費用/収益)
  3. 増減とホームポジションから、左右を決める。
  4. 金額を入れる。借方合計=貸方合計を必ず確認。
  5. 勘定科目名が問題文・答案用紙の指定どおりか確認する。(本試験は指定科目以外は不正解)
注意 本試験で最も多い「もったいない失点」
  • 勘定科目の指定違反:「支払手数料」と書くべきところを「手数料」と書く、勘定科目群にない科目を使う。意味が合っていても0点です。
  • 同じ勘定科目を同じ側で2回使う:統一試験・ネット試験とも「各勘定科目は1回ずつ」が原則。同じ科目が2つ出たら合算して1行にまとめる
  • 貸借不一致:書き終えたら必ず合計を確認。ここは1秒で防げる失点です。

1-4 2級で使う主要勘定科目マップ

いま全部覚える必要はありません。「この科目はどの要素か」だけを眺めて、各章に入ったときに戻ってきてください。

分類勘定科目
流動資産現金/当座預金/普通預金/受取手形/売掛金/クレジット売掛金電子記録債権契約資産/売買目的有価証券/繰越商品/貯蔵品/前払費用/未収収益/未収還付法人税等/仮払金/仮払消費税/仮払法人税等/立替金/不渡手形営業外受取手形
固定資産建物/備品/車両運搬具/機械装置/土地/建設仮勘定/リース資産/減価償却累計額(評価勘定・貸方)/のれん特許権商標権ソフトウェアソフトウェア仮勘定/満期保有目的債券/子会社株式/関連会社株式/その他有価証券/長期貸付金/差入保証金繰延税金資産長期前払費用
流動負債支払手形/買掛金/電子記録債務/短期借入金/当座借越/未払金/未払費用/前受収益/契約負債返金負債/預り金/仮受金/仮受消費税/未払法人税等未払配当金営業外支払手形賞与引当金修繕引当金商品保証引当金
固定負債長期借入金/リース債務退職給付引当金繰延税金負債長期未払金
純資産資本金/資本準備金その他資本剰余金利益準備金新築積立金別途積立金/繰越利益剰余金/その他有価証券評価差額金非支配株主持分(連結)
収益売上/役務収益/受取手数料/受取利息/有価証券利息/受取配当金/有価証券評価益有価証券売却益/固定資産売却益/償却債権取立益為替差益負ののれん発生益/貸倒引当金戻入
費用仕入/売上原価/役務原価/給料/法定福利費/退職給付費用賞与引当金繰入/減価償却費/のれん償却ソフトウェア償却研究開発費/支払手数料/支払リース料/貸倒引当金繰入/貸倒損失/棚卸減耗損商品評価損手形売却損債権売却損電子記録債権売却損創立費開業費株式交付費為替差損/固定資産売却損/固定資産除却損火災損失法人税、住民税及び事業税法人税等調整額

太字が2級で新たに登場する科目です。数は多く見えますが、章ごとに10個ずつ出てくるだけなので恐れる必要はありません。

1-5 決算整理の全体像 ― 第3問の設計図

第3問は毎回「決算整理事項が8〜12個並ぶ」形式です。出題される整理事項の種類はほぼ固定なので、この一覧を先に頭に入れておくと、本試験で「初見の項目」に見えなくなります。

決算整理事項典型的な仕訳の骨格本書
1現金過不足の整理雑損/雑益に振り替える3章
2当座借越の振替当座預金 / 当座借越(短期借入金)3章
3売上原価の算定仕入/繰越商品、繰越商品/仕入2章
4棚卸減耗損・商品評価損棚卸減耗損・商品評価損 / 繰越商品2章
5貸倒引当金の設定(差額補充法)貸倒引当金繰入 / 貸倒引当金9章
6有価証券の評価替え売買目的=評価損益、その他=評価差額金、満期保有=償却原価法8章
7減価償却(定額法・定率法・生産高比例法)減価償却費 / 減価償却累計額5章
8無形固定資産の償却のれん償却・ソフトウェア償却 / のれん・ソフトウェア(直接控除)7章
9引当金の設定(賞与・退職給付・修繕・商品保証)○○引当金繰入 / ○○引当金9章
10費用・収益の見越し/繰延べ前払費用・未払費用・前受収益・未収収益14章
11外貨建資産負債の換算替え為替差損益 / 売掛金 など10章
12消費税の精算(税抜方式)仮受消費税 / 仮払消費税・未払消費税12章
13法人税等の計上法人税、住民税及び事業税 / 仮払法人税等・未払法人税等12章
14税効果会計繰延税金資産 / 法人税等調整額12章
得点戦略 第3問は「上から順」ではなく「独立して解ける順」 決算整理事項は互いに独立しているものがほとんどです。ただし①売上原価 ②貸倒引当金 ③減価償却 ④経過勘定の4つは毎回必ず出るうえ配点も厚い。まずこの4つだけを処理して答案用紙を埋め、残りは時間と相談——これが第3問の正しい戦い方です。税効果と法人税等は最後で構いません。

1-6 確認問題(仕訳10問)

確認問題1-1 基本仕訳の総点検基本

次の各取引について仕訳しなさい。

  1. 商品¥350,000を仕入れ、代金のうち¥100,000は現金で支払い、残額は掛けとした。
  2. 得意先に商品¥480,000を売り上げ、代金は同社振出の約束手形で受け取った。
  3. 従業員の給料¥600,000について、源泉所得税¥42,000と社会保険料の従業員負担分¥58,000を差し引き、残額を当座預金から振り込んだ。
  4. 上記の源泉所得税¥42,000を現金で納付した。
  5. 建物の修繕を行い、代金¥800,000を小切手を振り出して支払った。うち¥300,000は建物の価値を高める資本的支出と認められた。
  6. 決算にあたり、当期に発生した利息のうち未収分¥15,000を計上した。
  7. 売掛金¥200,000が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の残高は¥150,000である。
  8. 前期に貸倒処理した売掛金¥80,000を現金で回収した。
  9. 事務用の消耗品¥45,000を購入し、代金は月末払いとした(購入時に費用処理する方法による)。
  10. 決算において、上記消耗品のうち¥12,000が未使用であった。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕 入350,000現 金
買掛金
100,000
250,000
2受取手形480,000売 上480,000
3給 料600,000所得税預り金
社会保険料預り金
当座預金
42,000
58,000
500,000
4所得税預り金42,000現 金42,000
5建 物
修繕費
300,000
500,000
当座預金800,000
6未収利息(未収収益)15,000受取利息15,000
7貸倒引当金
貸倒損失
150,000
50,000
売掛金200,000
8現 金80,000償却債権取立益80,000
9消耗品費45,000未払金45,000
10貯蔵品12,000消耗品費12,000
つまずきポイント
  • 3:源泉所得税と社会保険料は会社の費用ではなく「あとで納付するために預かっているだけ」=負債(預り金)。給料の総額を費用にするのがポイントです。
  • 5:修繕のうち価値を高める・耐用年数を延ばす部分は資本的支出=資産(建物)、現状維持部分は収益的支出=費用(修繕費)。第1問頻出です。
  • 7:貸倒引当金を先に取り崩し、足りない分だけ貸倒損失。逆にすると不正解。
  • 8:前期以前に貸倒処理した債権の回収は、売掛金を戻すのではなく償却債権取立益(収益)で受けます。
  • 9・10:消耗品を購入時に費用処理した場合、決算で未使用分を貯蔵品(資産)に振り替える。切手・収入印紙も同じ扱いです。
確認問題1-2 勘定の流れを追う標準

当期の受取家賃に関する資料は次のとおりである。損益計算書に計上される受取家賃の金額と、貸借対照表に計上される前受家賃の金額を答えなさい。会計期間はX5年4月1日〜X6年3月31日である。

  • 期首の前受家賃 ¥120,000(前期末に4か月分を前受けしていた)
  • 当期の入金額 ¥900,000
  • 期末において、翌期分3か月分¥180,000を前受けしている
解答・解説を見る

受取家賃(P/L)= ¥840,000 / 前受家賃(B/S)= ¥180,000

考え方 ― T字勘定に落とす
前受家賃(負債)
受取家賃(再振替)120,000
次期繰越180,000
前期繰越120,000
受取家賃(繰延べ)180,000
受取家賃(収益)
前受家賃(繰延べ)180,000
損益(P/L)840,000
前受家賃(再振替)120,000
現金預金(入金)900,000

期首の前受分¥120,000は当期の収益になり(再振替仕訳)、期末の前受分¥180,000は翌期の収益なので当期から除きます。

120,000 + 900,000 - 180,000 = 840,000

暗記 経過勘定の公式 収益:P/L計上額 = 期首前受 + 当期入金 - 期末前受(未収がある場合は「+期末未収 -期首未収」)
費用:P/L計上額 = 期首前払 + 当期支払 - 期末前払(未払がある場合は「+期末未払 -期首未払」)

第2章 商品売買と収益認識基準

商品売買は第1問(仕訳)・第2問(総合問題)・第3問(決算)のすべてに顔を出す最重要論点です。とくに2022年度から本格出題されている収益認識基準は、3級までの常識が通用しない部分があり、ここを曖昧にしたまま進むと第1問で確実に失点します。丁寧に潰しましょう。

2-1 三分法と売上原価の算定

三分法は「仕入(費用)・売上(収益)・繰越商品(資産)」の3勘定で商品売買を記録する方法です。期中は仕入勘定に全部放り込み、決算で売上原価に作り替える——これが三分法の本質です。

図2-1 売上原価の算定(決算整理)
期首商品棚卸高
(前期の売れ残り)
当期商品仕入高
期末商品棚卸高
(今期の売れ残り)
売上原価P/L
暗記 「しくりくりし」 決算整理仕訳は必ずこの2本セットです。
仕 入 / 繰越商品(期首分を仕入に加算)… し・くり
繰越商品 / 仕 入(期末分を仕入から控除)… くり・し
これで仕入勘定の残高が「売上原価」に変身します。
例題2-1 売上原価の算定基本

期首商品棚卸高¥180,000、当期商品仕入高¥1,420,000、期末商品棚卸高¥210,000であった。決算整理仕訳を示し、売上原価の金額を答えなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
仕 入180,000繰越商品180,000
繰越商品210,000仕 入210,000

売上原価 = 180,000 + 1,420,000 - 210,000 = ¥1,390,000

仕 入(→ 売上原価)
当期仕入高1,420,000
繰越商品(期首)180,000
繰越商品(期末)210,000
損益(売上原価)1,390,000

2-2 売上原価対立法(販売のつど売上原価に振り替える方法)

2級で新たに登場する記帳方法です。商品を売るたびに、その商品の原価を「商品」勘定から「売上原価」勘定に振り替えます。決算整理が不要になるのが最大の特徴です。

三分法

仕入時
仕 入 / 買掛金
販売時
売掛金 / 売 上
決算時
しくりくりしが必要

売上原価対立法

仕入時
商 品 / 買掛金
販売時
売掛金 / 売 上
売上原価 / 商 品(2本)
決算時
仕訳不要

例題2-2 売上原価対立法基本

売上原価対立法により記帳している。次の取引を仕訳しなさい。

  1. 商品¥400,000を掛けで仕入れた。
  2. 原価¥250,000の商品を¥380,000で販売し、代金は掛けとした。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1商 品400,000買掛金400,000
2売掛金
売上原価
380,000
250,000
売 上
商 品
380,000
250,000
注意販売時の仕訳を1本にまとめてはいけません。「売掛金380,000 / 売上380,000」と「売上原価250,000 / 商品250,000」は別の事実(収益の認識と原価の払出)を記録しています。答案では2行に分けて書きます。

2-3 収益認識基準 ― 2級で問われるのはここだけ

収益認識基準は本来とても大部な基準ですが、2級で出るのは次の4つだけです。まず全体像を押さえます。

図2-2 収益認識の5ステップ(2級では③〜⑤が中心)
  1. 契約を識別する 顧客との契約を特定する
  2. 履行義務を識別する 「何を引き渡す約束か」を分解する(商品Xの引渡し/商品Yの引渡し/据付サービス…)
  3. 取引価格を算定する 値引き・リベートなど変動する部分(変動対価)を除いた金額を取引価格とする
  4. 取引価格を履行義務に配分する 複数の約束があれば独立販売価格の比で按分する
  5. 履行義務の充足時に収益を認識する 商品を引き渡した(=約束を果たした)ときに売上を計上する
POINT 2級の出題ポイントは4つ
  1. 契約資産(代金請求権がまだ確定していない売上)
  2. 契約負債(先にお金を受け取った=旧「前受金」)
  3. 返金負債(売上割戻=リベートの見込額)
  4. 売上諸掛(送料を含めて売上を計上する)

2-4 契約資産と契約負債

■ 契約資産 ― 「引き渡したが、まだ請求できない」

2つの商品を引き渡してはじめて代金を請求できる契約の場合、1つ目を引き渡した時点では法的な債権(売掛金)が発生していません。しかし履行義務は果たしているので売上は計上します。この受け皿が契約資産です。

図2-3 売掛金と契約資産の分かれ道
履行義務を充足商品を引き渡した
→ 売上を計上
請求権が確定している
売掛金
請求権が未確定(残りの引渡し待ち)
契約資産
例題2-3 契約資産標準

当社は札幌商事と、商品A(¥300,000)と商品B(¥500,000)を販売する契約を締結し、本日、商品Aを引き渡した。代金は商品Bを引き渡した後にまとめて請求する契約であり、商品Aの代金についてはまだ顧客との契約から生じた債権となっていない。なお、商品Aの引渡しと商品Bの引渡しは、それぞれ独立した履行義務として識別する。

(1) 商品Aを引き渡したときの仕訳
(2) その後、商品Bを引き渡し、代金¥800,000を請求したときの仕訳

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)契約資産300,000売 上300,000
(2)売掛金800,000売 上
契約資産
500,000
300,000

(2)では、商品Bの売上¥500,000を新たに計上すると同時に、Aのときに立てた契約資産¥300,000を売掛金に振り替えます。「契約資産が売掛金に化ける」イメージです。

注意問題文に「まだ顧客との契約から生じた債権となっていない」という一文があれば、それが契約資産を使えというサインです。逆にこの一文がなければ普通に売掛金を使います。

■ 契約負債 ― 「先にお金をもらった」

商品の引渡し前に代金を受け取った場合、まだ履行義務を果たしていないので売上にはできません。3級では「前受金」で処理しましたが、2級では契約負債という科目も使われます。

注意 前受金と契約負債、どちらを書けばいいのか 収益認識基準ではどちらの科目名も認められています。したがって本試験では、答案用紙の勘定科目欄・与えられた勘定科目群を必ず確認し、そこにある方を使ってください。これは知識ではなく「確認作業」の問題です。
例題2-4 契約負債基本

(1) 商品¥600,000の注文を受け、手付金として¥150,000を現金で受け取った(契約負債を用いる)。
(2) 上記の商品を引き渡し、残額は掛けとした。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)現 金150,000契約負債150,000
(2)契約負債
売掛金
150,000
450,000
売 上600,000

引渡し時に売上を総額¥600,000で計上し、受け取り済みの契約負債を取り崩します。売上を¥450,000としないよう注意。

2-5 変動対価と返金負債(売上割戻=リベート)

「一定数量以上買ってくれたら、あとで代金の一部を返します」という取決め(リベート、売上割戻)がある場合、返す見込みの金額は最初から売上に含めてはいけません。これが変動対価の考え方です。

図2-4 リベート付き販売の考え方
請求額(債権)その内訳
売掛金
100,000
売上(収益)
90,000
自社に残る分
返金負債
10,000
あとで返す分
例題2-5 返金負債標準

当社は函館商店へ商品200個を1個あたり¥500で掛け販売した。函館商店との間には、当期中に商品を合計300個以上購入した場合、この期間の販売額の10%をリベートとして支払う取決めがあり、この条件が達成される可能性は高いと判断した。

(1) 販売時の仕訳
(2) その後、条件が達成され、リベート¥10,000を現金で支払ったときの仕訳

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)売掛金100,000売 上
返金負債
90,000
10,000
(2)返金負債10,000現 金10,000

200個×@500=¥100,000(売掛金)。うち10%の¥10,000は返す見込みなので返金負債、残り¥90,000が売上です。

POINT 支払方法によって貸方が変わる
  • 問題文に「売掛金から直接減額する」→ 返金負債 / 売掛金
  • 問題文に「現金で支払った」→ 返金負債 / 現金
  • 支払時期の指示がなく、まだ支払っていない → 返金負債 / 未払金
注意売上割戻に使うのは「契約負債」ではなく「返金負債」です。両方とも負債ですが、契約負債は「まだ商品を渡していない」、返金負債は「商品は渡したがお金を返す」と、意味がまったく違います。ここは頻出のひっかけです。

2-6 売上諸掛 ― 「当社負担・先方負担」はもう考えない

ここが変わった 2021年度以前は「発送費が先方負担なら売掛金に含める/当社負担なら発送費」と区別していました。収益認識基準の適用後は、問題文の指示どおりに、送料を含めた合計額で売上を計上する形に変わっています。古いテキストや過去問で覚えた人ほど間違えます。
例題2-6 売上諸掛基本

商品¥300,000を旭川商店へ販売し、送料¥5,000を加えた合計額を掛けとした。また同時に配送業者へ商品を引き渡し、送料¥5,000は後日支払うこととした。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
売掛金305,000売 上305,000
発送費5,000未払金5,000
  • 「送料を加えた合計額を掛けとした」→ 売上も¥305,000(送料込み)。
  • 送料の未払いは仕入先ではなく配送業者に対するものなので「買掛金」ではなく未払金。ここは毎回間違える人がいます。

2-7 返品・値引と割引

用語意味処理(売り手側)
返品
(戻り)
売った商品が返ってくる売上を取り消す 売上 / 売掛金
値引品質不良などで代金を安くする売上を減額する 売上 / 売掛金
割戻
(リベート)
大量購入への割戻し変動対価 → 返金負債(2-5参照)
割引代金を early に支払ってくれたお礼(利息の性質)売上割引は2級の出題範囲から削除。買い手側の仕入割引は範囲内で、営業外収益として処理する
例題2-7 仕入割引標準

買掛金¥400,000を支払期日前に小切手を振り出して支払い、契約により2%の割引を受けた。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
買掛金400,000当座預金
仕入割引
392,000
8,000

400,000×2%=¥8,000。仕入を減らすのではなく「仕入割引」という収益で受けます(実質的に早期支払いによる利息の受取り)。P/Lでは営業外収益に表示されます。

暗記 4つの「もどし・ねびき・わりもどし・わりびき」を1行で 返品・値引=売上/仕入を直接減らす | 割戻=返金負債(売り手) | 割引=利息の性質、仕入割引は営業外収益(売上割引は範囲外)

2-8 クレジット売掛金

クレジットカード払いで販売した場合、代金はお客ではなく信販会社から入ってきます。この債権は通常の売掛金と区別してクレジット売掛金で処理し、信販会社に支払う手数料は支払手数料(販売費及び一般管理費)とします。

例題2-8 クレジット売掛金基本

(1) 商品¥250,000をクレジット払いの条件で販売した。信販会社への手数料(販売代金の4%)は販売時に計上する。
(2) 後日、手数料を差し引いた残額が当座預金口座に入金された。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)クレジット売掛金
支払手数料
240,000
10,000
売 上250,000
(2)当座預金240,000クレジット売掛金240,000

250,000×4%=¥10,000。売上は手数料を引く前の¥250,000、クレジット売掛金は手数料控除後の¥240,000です。

注意 手数料の計上タイミング 問題文に「入金時に計上する」と指示がある場合は、販売時は「クレジット売掛金 250,000 / 売上 250,000」とし、入金時に「当座預金240,000・支払手数料10,000 / クレジット売掛金250,000」とします。指示を読み飛ばすと満点を落とします。

2-9 期末商品の評価 ― 棚卸減耗損と商品評価損

帳簿上は100個あるはずなのに実際に数えたら95個しかない(=数量の減少)、あるいは商品が古くなって売値が原価を下回った(=単価の下落)。この2つを決算で反映させるのが本論点です。ボックス図を書けば絶対に間違えません。

図2-5 棚卸減耗損・商品評価損のボックス図
◀ 単価数量 ▶
商品評価損
(原価-正味売却価額)× 実地数量
棚卸減耗損
原価 ×
減耗数量
B/S 商品(貸借対照表価額)
正味売却価額 × 実地数量
← 実地棚卸数量 →← 減耗 →

縦軸は単価(上が原価、下が正味売却価額)、横軸は数量(左が実地、右が帳簿との差=減耗)。棚卸減耗は「原価」で計算し、右端の縦いっぱいを取る——ここが最頻出の間違いどころです。

例題2-9 棚卸減耗損・商品評価損標準

決算にあたり、商品の状況は次のとおりであった。期首商品棚卸高は¥48,000である。決算整理仕訳を示し、貸借対照表の商品の金額を答えなさい。なお、棚卸減耗損と商品評価損はともに売上原価に算入する。

  • 帳簿棚卸数量 100個  原価 @¥600
  • 実地棚卸数量  95個  正味売却価額 @¥560
解答・解説を見る
Step1 金額の計算
  • 期末商品棚卸高(帳簿)=100個 × @600 = ¥60,000
  • 棚卸減耗損 =(100個 - 95個)× @600 = ¥3,000
  • 商品評価損 =(@600 - @560)× 95個 = ¥3,800
  • B/S 商品 = 95個 × @560 = ¥53,200 (検算:60,000 - 3,000 - 3,800 = 53,200 ✔)
Step2 決算整理仕訳
借方科目金額貸方科目金額
仕 入48,000繰越商品48,000
繰越商品60,000仕 入60,000
棚卸減耗損3,000繰越商品3,000
商品評価損3,800繰越商品3,800
仕 入6,800棚卸減耗損
商品評価損
3,000
3,800

最後の1本は「売上原価に算入する」という指示があるときだけ必要です。指示がなければ書きません。

Step3 繰越商品勘定の動き
繰越商品
前期繰越48,000
仕入(期末計上)60,000
仕入(期首振替)48,000
棚卸減耗損3,000
商品評価損3,800
次期繰越53,200
得点戦略 損益計算書での表示区分
項目表示区分
商品評価損原則として売上原価の内訳として表示
棚卸減耗損原価性がある(毎期経常的に発生する程度)→ 売上原価または販売費及び一般管理費
原価性がない(異常な量)→ 営業外費用または特別損失

本試験では必ず問題文に指示があります。自分で判断せず、指示の一文を探してください。

2-10 払出単価の計算 ― 先入先出法・移動平均法・総平均法

例題2-10 先入先出法と移動平均法標準

6月の商品Xの受払は次のとおりである。(1)先入先出法、(2)移動平均法それぞれによる月末商品棚卸高と売上原価を求めなさい。

日付摘要数量単価金額
6/1前月繰越10個2002,000
6/8仕 入30個2407,200
6/12売 上25個
6/20仕 入15個2704,050
6/25売 上20個
解答・解説を見る
(1) 先入先出法 ― 古いものから先に出す
  • 6/12 売上25個= 前月繰越10個×200(2,000)+ 6/8仕入15個×240(3,600)= ¥5,600 残:6/8仕入 15個×240=3,600
  • 6/25 売上20個= 6/8仕入15個×240(3,600)+ 6/20仕入5個×270(1,350)= ¥4,950
  • 月末棚卸高=10個×270=¥2,700 / 売上原価=5,600+4,950=¥10,550

検算:2,000+7,200+4,050=13,250 - 2,700 = 10,550 ✔

(2) 移動平均法 ― 仕入のつど平均単価を計算し直す
日付計算残高数量残高金額平均単価
6/1前月繰越102,000200
6/8(2,000+7,200)÷(10+30)409,200230
6/12払出 25個×230=5,750153,450230
6/20(3,450+4,050)÷(15+15)307,500250
6/25払出 20個×250=5,000102,500250

月末棚卸高=¥2,500 / 売上原価=5,750+5,000=¥10,750 (検算:13,250 - 2,500 = 10,750 ✔)

先入先出法と比べると、月末棚卸高は¥2,700→¥2,500、売上原価は¥10,550→¥10,750。値上がり局面では先入先出法のほうが期末在庫が大きく、利益も大きくなります。

POINT どちらの方法でも「合計」は変わらない 期首+仕入の合計¥13,250は同じで、それを「期末在庫」と「売上原価」にどう配分するかだけが違います。価格上昇局面では、先入先出法のほうが期末在庫が大きく(=売上原価が小さく=利益が大きく)なります。
例題2-11 総平均法基本

期首商品20個(@¥150)、当期仕入80個(@¥165)、当期販売70個であった。総平均法による売上原価と期末商品棚卸高を求めなさい。

解答・解説を見る
  • 総平均単価 =(20個×150 + 80個×165)÷(20+80)個 =(3,000+13,200)÷100 = @¥162
  • 売上原価 = 70個 × 162 = ¥11,340
  • 期末商品 = 30個 × 162 = ¥4,860 (検算:16,200-11,340=4,860 ✔)

総平均法は期末に一度だけ平均単価を計算します。期中の払出のたびに計算する移動平均法との違いを押さえてください。

2-11 商品保証 ― 無償保証と有償保証(延長保証)

無償保証(品質保証)

販売価格に含まれている「当然の保証」。将来の修理費用を見積もって引当金を計上する。

商品保証引当金繰入 / 商品保証引当金

有償保証(延長保証)

お客が追加でお金を払って買う「別売りのサービス」。独立した履行義務なので、その分は売上にせず契約負債とする。

現 金 / 売 上
    / 契約負債

例題2-12 有償保証(延長保証)応用

商品を¥320,000で販売し、あわせて2年間の延長保証サービス¥30,000を販売して、合計額を現金で受け取った。延長保証は独立した履行義務として識別する。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
現 金350,000売 上
契約負債
320,000
30,000

延長保証はこれから2年かけて提供するサービスなので、受け取った時点では売上にできません。保証期間の経過に応じて契約負債を取り崩し、売上(役務収益)に振り替えます(例:1年経過時 契約負債15,000 / 売上15,000)。

2-12 サービス業の会計(役務収益・役務原価)

商品ではなく「サービス」を売る会社(学習塾、旅行業、コンサルティングなど)の処理です。サービスを提供し終わった時点で「役務収益」、それに対応する費用を「役務原価」とします。提供前に発生した費用は仕掛品(資産)にプールしておくのがポイントです。

図2-6 サービス業の流れ
①費用の発生給料・旅費など
いったん費用計上
②仕掛品へ振替特定案件のための
費用を資産化
③代金の受取先にもらったら
契約負債
④役務提供の完了役務収益を計上
仕掛品→役務原価
例題2-13 サービス業の一連の処理標準

次の一連の取引を仕訳しなさい。

  1. 研修サービスの提供にあたり、給料¥400,000と旅費交通費¥60,000を現金で支払った。
  2. 上記のうち、給料¥300,000と旅費交通費¥50,000が特定の顧客に対する役務提供のために直接費やされたものであることが判明したので、仕掛品勘定に振り替えた。
  3. 顧客から研修料金¥600,000を現金で受け取った(サービスはまだ提供していない)。
  4. 研修サービスの提供が完了した。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1給 料
旅費交通費
400,000
60,000
現 金460,000
2仕掛品350,000給 料
旅費交通費
300,000
50,000
3現 金600,000契約負債600,000
4契約負債
役務原価
600,000
350,000
役務収益
仕掛品
600,000
350,000
POINT 4の仕訳は必ず2本セット 収益の計上(契約負債→役務収益)と、原価の計上(仕掛品→役務原価)は同時に行います。片方だけ書いて減点される答案が非常に多い論点です。

2-13 確認問題

確認問題2-1 商品売買の仕訳12問標準
  1. 商品¥500,000を仕入れ、代金は掛けとした。なお、引取運賃¥8,000は現金で支払った(三分法)。
  2. 売上原価対立法により、原価¥180,000の商品を¥260,000で販売し、代金は掛けとした。
  3. 商品¥400,000を販売し、送料¥6,000を加えた合計額を掛けとした。同時に配送業者へ引き渡し、送料は後日支払う。
  4. 商品150個を1個あたり¥800で掛け販売した。当期中に合計250個以上購入した場合、販売額の8%をリベートとして支払う取決めがあり、達成の可能性は高い。
  5. 上記4のリベートについて条件が達成され、売掛金から直接減額した。
  6. 商品A(¥200,000)と商品B(¥350,000)を販売する契約を締結し、商品Aを引き渡した。代金は両方の引渡し後にまとめて請求する契約であり、Aの代金はまだ債権となっていない。
  7. 上記6につき、商品Bを引き渡し、代金全額を請求した。
  8. 商品¥180,000をクレジット払いの条件で販売した。手数料(販売代金の3%)は販売時に計上する。
  9. 買掛金¥250,000を期日前に当座預金から支払い、1.2%の割引を受けた。
  10. 商品¥900,000の注文を受け、内金¥200,000を現金で受け取った(契約負債を使用)。
  11. 顧客から役務提供の対価¥450,000を現金で受け取った。サービスは翌月提供する(契約負債を使用)。
  12. 上記11のサービス提供が完了した。対応する原価は仕掛品¥260,000である。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕 入508,000買掛金
現 金
500,000
8,000
2売掛金
売上原価
260,000
180,000
売 上
商 品
260,000
180,000
3売掛金
発送費
406,000
6,000
売 上
未払金
406,000
6,000
4売掛金120,000売 上
返金負債
110,400
9,600
5返金負債9,600売掛金9,600
6契約資産200,000売 上200,000
7売掛金550,000売 上
契約資産
350,000
200,000
8クレジット売掛金
支払手数料
174,600
5,400
売 上180,000
9買掛金250,000当座預金
仕入割引
247,000
3,000
10現 金200,000契約負債200,000
11現 金450,000契約負債450,000
12契約負債
役務原価
450,000
260,000
役務収益
仕掛品
450,000
260,000
計算の内訳
  • 1:引取運賃(仕入諸掛)は仕入原価に含める。500,000+8,000=508,000。
  • 4:150個×@800=120,000。リベート120,000×8%=9,600 → 売上は120,000-9,600=110,400。
  • 8:180,000×3%=5,400 → クレジット売掛金は180,000-5,400=174,600。
  • 9:250,000×1.2%=3,000 → 支払額247,000、仕入割引3,000(営業外収益)。
確認問題2-2 期末商品の評価(第3問形式)応用

決算整理前残高試算表の繰越商品は¥162,000(=期首商品棚卸高)、仕入は¥2,340,000である。期末商品に関する資料は次のとおり。決算整理仕訳を示し、損益計算書の売上原価および貸借対照表の商品の金額を求めなさい。なお、棚卸減耗損と商品評価損はいずれも売上原価の内訳項目として表示する。

商品帳簿数量実地数量原価正味売却価額
A200個190個@¥400@¥380
B150個150個@¥700@¥720
解答・解説を見る
Step1 商品ごとに計算する
商品帳簿棚卸高棚卸減耗損商品評価損B/S価額
A200×400=80,000(200-190)×400=4,000(400-380)×190=3,800190×380=72,200
B150×700=105,00000150×700=105,000
185,0004,0003,800177,200
最重要の注意商品Bは正味売却価額(@720)が原価(@700)を上回っているので、評価益は計上しません(低価法は「下がったときだけ」)。B/S価額は原価@700のままです。ここを@720で計算すると全滅します。
Step2 決算整理仕訳
借方科目金額貸方科目金額
仕 入162,000繰越商品162,000
繰越商品185,000仕 入185,000
棚卸減耗損
商品評価損
4,000
3,800
繰越商品7,800
仕 入7,800棚卸減耗損
商品評価損
4,000
3,800
Step3 解答
  • 売上原価 = 162,000 + 2,340,000 - 185,000 + 4,000 + 3,800 = ¥2,324,800
  • 貸借対照表の商品 = ¥177,200

第3章 現金・預金と銀行勘定調整表

この章の主役は銀行勘定調整表です。第2問で単独出題されることがあり、第3問の決算整理でも「未渡小切手」「連絡未通知」がしれっと混ざってきます。「修正仕訳が必要なもの/不要なもの」を分類できるかがすべてです。

3-1 簿記上の「現金」の範囲

簿記でいう現金は、財布の中のお札や硬貨だけではありません。すぐに換金できる証券(通貨代用証券)も「現金」として扱います。

現金として扱うもの現金として扱わないもの(要注意)
  • 通貨(紙幣・硬貨)
  • 他人振出の小切手
  • 送金小切手
  • 郵便為替証書
  • 配当金領収証
  • 期限到来後の公社債利札
  • 自己振出の小切手(→ 当座預金の増加として処理)
  • 先日付小切手(→ 受取手形)
  • 期限未到来の公社債利札
  • 収入印紙・郵便切手(→ 通信費・租税公課、未使用分は貯蔵品)
  • 約束手形(→ 受取手形)
注意 自己振出小切手が戻ってきたら 以前に自分が振り出した小切手を受け取った場合、現金ではなく「当座預金」の増加として処理します。
例:売掛金の回収として、かつて当社が振り出した小切手を受け取った → 当座預金 / 売掛金
暗記 配当金領収証と利札 現 金 / 受取配当金(配当金領収証を受け取ったとき)
現 金 / 有価証券利息(期限到来後の公社債利札を切り取ったとき)
どちらも「紙切れだが銀行に持ち込めばすぐ現金になる」ので現金扱いです。

3-2 現金過不足

図3-1 現金過不足の一生
①発見時帳簿残高を
実際有高に合わせる
→ 現金過不足
②原因判明時正しい勘定科目へ
振り替える
③決算時原因不明のまま
雑損/雑益
例題3-1 現金過不足基本

(1) 現金の実際有高が帳簿残高より¥8,000不足していた。
(2) 上記のうち¥5,000は通信費の記帳漏れであることが判明した。
(3) 決算日を迎えたが、残額の原因は不明であった。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)現金過不足8,000現 金8,000
(2)通信費5,000現金過不足5,000
(3)雑 損3,000現金過不足3,000

現金過不足は決算日をまたげません。必ず雑損(費用)または雑益(収益)に振り替えて消滅させます。なお、決算日当日に過不足を発見した場合は、現金過不足を経由せず直接 雑損/雑益で処理します。

3-3 当座預金と当座借越

当座預金の残高を超えて小切手を振り出すと、その分は銀行からの一時的な借入れ(当座借越)になります。期中は当座預金勘定が貸方残高になったままでも構いませんが、決算日に貸方残高(マイナス残高)のままにはできません。負債として振り替えます。

例題3-2 当座借越の振替基本

決算にあたり、当座預金勘定が¥130,000の貸方残高となっていた。これは銀行との当座借越契約によるものである。適切な決算整理仕訳を示しなさい(当座借越勘定を用いる場合と、短期借入金勘定を用いる場合)。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
当座預金130,000当座借越(または短期借入金)130,000
  • 借方に当座預金を書いて残高をゼロに戻し、貸方に負債を計上します。
  • どちらの科目を使うかは問題文の指示・答案用紙の科目欄で判断します。
  • この仕訳は翌期首に再振替仕訳(当座借越 / 当座預金)を行います。

3-4 銀行勘定調整表 ― この章の本丸

会社の帳簿の当座預金残高と、銀行が発行する残高証明書の金額は、ほぼ必ずズレます。そのズレの原因を並べて一致させる表が銀行勘定調整表です。

■ ズレの原因は6種類しかない

原因内容どちら側を
調整
加算
減算
修正仕訳覚え方
時間外預入営業時間外に夜間金庫へ入金。銀行は翌日付で処理銀行不要会社は正しい
未取立小切手受け取った小切手を銀行に預けたが、銀行がまだ取り立てていない銀行不要会社は正しい
未取付小切手振り出した小切手が、まだ銀行に呈示されていない銀行不要会社は正しい
連絡未通知振込入金・自動引落しなどの連絡が会社に届いていない企業±必要会社が知らない
未渡小切手小切手を作成して記帳したが、相手にまだ渡していない企業必要会社が先走った
誤記入会社が金額を間違えて記帳した企業±必要会社のミス
暗記 最重要の分類ルール

「銀行側を調整するもの=修正仕訳は不要」「企業側を調整するもの=修正仕訳が必要」

銀行側の3つは頭に「未取立・未取付・時間外」——「取(と)」がつくものと時間外は銀行側と覚えると一瞬で判断できます。

注意 未渡小切手の相手勘定は2種類
  • 買掛金など「債務の支払い」のために作った小切手当座預金 / 買掛金(債務を復活させる)
  • 費用の支払い(広告費など)のために作った小切手当座預金 / 未払金
    費用そのものを取り消すのではありません。費用はすでに発生しているので、未払いに戻すだけです。ここは本試験の頻出ひっかけです。

■ 調整表の3つの形式

例題3-3 銀行勘定調整表(総合)応用

決算日における当座預金勘定の残高は¥520,000、銀行残高証明書の金額は¥605,000であった。不一致の原因を調査したところ次のとおりであった。

  1. 決算日に現金¥40,000を預け入れたが、営業時間外のため銀行では翌日付の入金として処理されていた。
  2. 得意先から受け取った小切手¥85,000を銀行に預け入れたが、銀行はまだ取り立てていなかった。
  3. 買掛金支払のために振り出した小切手¥120,000が、銀行にまだ呈示されていなかった。
  4. 売掛金¥60,000が当座預金に振り込まれていたが、その通知が当社に未達であった。
  5. 仕入先への買掛金支払のために作成した小切手¥45,000が、金庫に保管されたままであった。
  6. 水道光熱費¥15,000が当座預金から自動引落しされていたが、未記帳であった。

(1) 必要な修正仕訳を示しなさい。
(2) 両者区分調整法による銀行勘定調整表を作成しなさい。

解答・解説を見る
(1) 修正仕訳 ― 企業側の4・5・6だけ
No借方科目金額貸方科目金額
4当座預金60,000売掛金60,000
5当座預金45,000買掛金45,000
6水道光熱費15,000当座預金15,000

1・2・3は銀行側の事情なので、会社の帳簿は正しく、仕訳は不要です。

(2) 両者区分調整法 ― 実務でも試験でも標準
当社の帳簿残高(企業側)銀行残高証明書(銀行側)
帳簿残高520,000残高証明書605,000
(加算)売掛金振込未通知+60,000(加算)時間外預入+40,000
(加算)未渡小切手+45,000(加算)未取立小切手+85,000
(減算)自動引落未記帳△15,000(減算)未取付小切手△120,000
調整後残高610,000調整後残高610,000

この調整後残高¥610,000が、貸借対照表に計上される当座預金の金額です。

参考 他の2形式
企業残高基準法

帳簿残高 520,000
+ 未通知60,000 + 未渡45,000
- 未記帳15,000
- 時間外40,000 - 未取立85,000
+ 未取付120,000
= 605,000(=証明書残高)

銀行残高基準法

証明書残高 605,000
+ 時間外40,000 + 未取立85,000
- 未取付120,000
- 未通知60,000 - 未渡45,000
+ 未記帳15,000
= 520,000(=帳簿残高)

得点戦略企業残高基準法・銀行残高基準法は「相手側の調整項目を符号を逆にして並べる」だけです。両者区分調整法さえ作れれば、そこから機械的に作れます。まず両者区分調整法を完璧にしてください。

3-5 小口現金(定額資金前渡制度)

3級の復習ですが、第1問でたまに顔を出します。週初(月初)に定額を前渡しし、報告を受けた分だけ補給するのがインプレスト・システムです。

例題3-4 小口現金基本

(1) 小口現金係に小切手¥50,000を振り出して前渡しした。
(2) 小口現金係から、旅費交通費¥18,000、通信費¥9,000、消耗品費¥6,000の支払報告を受けた。
(3) 同額の小切手を振り出して補給した。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)小口現金50,000当座預金50,000
(2)旅費交通費
通信費
消耗品費
18,000
9,000
6,000
小口現金33,000
(3)小口現金33,000当座預金33,000

報告と補給が同時に行われた場合は、(2)(3)をまとめて「各費用 / 当座預金 33,000」と1本で書きます(小口現金勘定を通さない)。

3-6 確認問題

確認問題3-1 現金・預金の仕訳8問標準
  1. 得意先振出の小切手¥180,000を受け取り、売掛金と相殺した。
  2. かつて当社が振り出した小切手¥95,000を、売掛金の回収として受け取った。
  3. 所有する社債の利札¥12,000の期限が到来した。
  4. 株式の配当金領収証¥7,500を受け取った。
  5. 決算日に現金の実際有高を調べたところ、帳簿残高より¥4,200多かった。原因は不明である。
  6. 決算にあたり、当座預金勘定が¥210,000の貸方残高となっていた(当座借越勘定を使用)。
  7. 広告費支払のために振り出した小切手¥68,000が、決算日現在まだ相手に渡されていなかった。
  8. 買掛金支払のために振り出した小切手¥140,000が、決算日現在まだ相手に渡されていなかった。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1現 金180,000売掛金180,000
2当座預金95,000売掛金95,000
3現 金12,000有価証券利息12,000
4現 金7,500受取配当金7,500
5現 金4,200雑 益4,200
6当座預金210,000当座借越210,000
7当座預金68,000未払金68,000
8当座預金140,000買掛金140,000
重要ポイント
  • 1と2の違い:他人振出小切手は現金、自己振出小切手は当座預金。1問で4点差がつきます。
  • 5:決算日に発見した過不足は現金過不足勘定を経由せず、直接雑益(多い場合)・雑損(不足の場合)へ。
  • 7と8の違い:未渡小切手の相手勘定は、費用の支払いなら未払金、債務の支払いなら元の債務(買掛金)。7で「広告費」を貸方に書くのは誤りです。
確認問題3-2 銀行勘定調整表(第2問形式)応用

X6年3月31日(決算日)の当座預金勘定残高は¥748,000、銀行残高証明書の残高は¥820,000であった。不一致の原因は次のとおりである。修正仕訳を示し、両者区分調整法による調整後残高を求めなさい。

  1. 得意先から売掛金¥95,000の振込みがあったが、当社に未通知であった。
  2. 仕入先へ振り出した小切手¥110,000が、決算日現在未取付けであった。
  3. 決算日の夜間金庫への預入れ¥52,000が、銀行では翌日入金として処理されていた。
  4. 受取手形¥88,000の取立てを銀行に依頼していたが、取立てが完了しておらず、当社は取立済として記帳していた。
  5. 備品購入代金の支払いのために作成した小切手¥64,000が未渡しであった。
  6. 支払手数料¥3,000が当座預金から引き落とされていたが、未記帳であった。
解答・解説を見る
分類
項目区分加減修正仕訳
1 振込未通知企業側+95,000必要
2 未取付小切手銀行側△110,000不要
3 時間外預入銀行側+52,000不要
4 未取立小切手(手形取立未完了)銀行側+88,000不要
5 未渡小切手(備品代)企業側+64,000必要
6 手数料引落未記帳企業側△3,000必要
修正仕訳
No借方科目金額貸方科目金額
1当座預金95,000売掛金95,000
5当座預金64,000未払金64,000
6支払手数料3,000当座預金3,000
調整後残高
  • 企業側:748,000 + 95,000 + 64,000 - 3,000 = ¥904,000
  • 銀行側:820,000 - 110,000 + 52,000 + 88,000 = ¥904,000 一致 ✔
5がポイント備品購入代金の未渡小切手なので、貸方は「備品」ではなく「未払金」。備品はすでに取得しており、支払いだけが未了だからです。

第4章 手形・電子記録債権債務・その他の債権債務

この章の位置づけ 手形は第1問の仕訳で最も出題頻度が高いグループのひとつです。裏書・割引・不渡り・更改の4つは必ず書けるようにしてください。なお2027年度以降は手形が出題範囲から外れる見込みですが、2026年度の試験では主力論点です。

4-1 手形取引の全体像

図4-1 約束手形の流れと、2級で学ぶ4つの応用
振出支払人が手形を
振り出す
受取受取人が
受取手形を計上
満期前の選択肢①裏書譲渡
②割引
③更改
満期決済
または④不渡り

4-2 手形の裏書譲渡

受け取った手形の裏面に署名して、仕入代金などの支払いに充てることを裏書譲渡といいます。受取手形が減るだけで、損益は発生しません。

例題4-1 裏書譲渡基本

商品¥350,000を仕入れ、代金は所有する約束手形を裏書譲渡して支払った。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
仕 入350,000受取手形350,000

支払手形ではありません。自分が振り出した手形ではなく、他人から受け取った手形を渡しているので、減るのは「受取手形」です。ここを間違える人が多い定番ポイントです。

4-3 手形の割引

満期前の手形を銀行に買い取ってもらい、現金化することを割引といいます。満期までの利息相当額(割引料)が差し引かれ、その差額は手形売却損(営業外費用)になります。

暗記 割引料の計算式

割引料 = 手形額面 × 年利率 × 割引日から満期日までの日数 ÷ 365日

例題4-2 手形の割引標準

所有する約束手形¥800,000を取引銀行で割り引き、割引料を差し引かれた手取金が当座預金に入金された。割引日から満期日までの日数は73日、年利率は5%である。

解答・解説を見る

割引料 = 800,000 × 5% × 73 ÷ 365 = ¥8,000  手取金 = 800,000 - 8,000 = ¥792,000

借方科目金額貸方科目金額
当座預金
手形売却損
792,000
8,000
受取手形800,000
深掘り 保証債務について 裏書・割引をしても、もし手形が不渡りになれば裏書人・割引依頼人が支払う義務(偶発債務)を負います。これを保証債務費用 / 保証債務として計上する処理が問われることがありますが、問題文に指示があるか、勘定科目群に「保証債務」が示されている場合だけ処理してください。指示がなければ考慮しません。

4-4 手形の不渡り

満期日に手形が決済されないことを不渡りといいます。受取手形(正常な債権)から、不渡手形(回収が危ぶまれる債権)へ振り替えるのが基本形です。償還請求にかかった諸費用も不渡手形に含めます。

ケース仕訳
①所有していた手形が不渡り不渡手形 / 受取手形・現金(諸費用)
②裏書・割引した手形が不渡りとなり、償還請求を受けて支払った不渡手形 / 当座預金(支払額=額面+延滞利息等)
③不渡手形が回収不能となった貸倒引当金・貸倒損失 / 不渡手形
④不渡手形を回収できた現金など / 不渡手形・受取利息
例題4-3 手形の不渡り標準

(1) 所有する約束手形¥400,000が不渡りとなったので、償還請求を行った。なお、償還請求費用¥6,000は現金で支払った。
(2) 以前に割り引いていた約束手形¥300,000が不渡りとなり、銀行から償還請求を受けたため、額面金額に延滞利息¥4,500を加えて小切手を振り出して支払った。
(3) (1)の不渡手形について、得意先が倒産し全額回収不能となった。貸倒引当金の残高は¥250,000である。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)不渡手形406,000受取手形
現 金
400,000
6,000
(2)不渡手形304,500当座預金304,500
(3)貸倒引当金
貸倒損失
250,000
156,000
不渡手形406,000
  • (1):償還請求費用も相手(振出人)に請求できる債権なので、不渡手形に含めます。費用にしません。
  • (2):延滞利息も含めて不渡手形。支払利息にしません(相手に請求できるため)。
  • (3):貸倒引当金を優先的に充当し、不足分を貸倒損失に。

4-5 手形の更改(書換え)

支払人が満期日に支払えず、支払期日を延ばした新しい手形と交換することを更改といいます。延長期間分の利息をどう処理するかが論点です。

利息を新手形に含める場合

【振出人(支払側)】
支払手形(旧)500,000
支払利息     12,000
 / 支払手形(新)512,000

利息を現金で受け払いする場合

【振出人(支払側)】
支払手形(旧)500,000
 / 支払手形(新)500,000
支払利息 12,000 / 現金 12,000

例題4-4 手形の更改(受取側)標準

かねて受け取っていた約束手形¥600,000について、支払人から支払期日の延期の申し出があり、これを承諾した。延期にともなう利息¥18,000は新手形の金額に含めることとした。当社(受取側)の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
受取手形(新)618,000受取手形(旧)
受取利息
600,000
18,000

受取側なので受取利息(収益)。答案では「受取手形」を借方・貸方の両方に書くことになりますが、これは同じ勘定を借方と貸方に1回ずつ書くケースで、認められます(同じ側に2回書くのがNG)。

4-6 営業外手形と手形貸付金・手形借入金

場面使う勘定理由
商品売買で手形を受け取った受取手形営業取引から生じた債権
備品・土地などを売却して手形を受け取った営業外受取手形営業外の取引。B/Sでも区別する
備品・土地などを購入して手形を振り出した営業外支払手形同上
金銭の貸付けにあたり手形を受け取った手形貸付金実質は貸付金
金銭の借入れにあたり手形を振り出した手形借入金実質は借入金
例題4-5 営業外支払手形・手形借入金基本

(1) 備品¥900,000を購入し、代金は約束手形を振り出して支払った。
(2) 取引先に¥500,000を貸し付け、同額の約束手形を受け取り、利息¥10,000を差し引いた残額を当座預金から振り込んだ。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)備 品900,000営業外支払手形900,000
(2)手形貸付金500,000当座預金
受取利息
490,000
10,000

4-7 電子記録債権・電子記録債務

紙の手形に代わる決済手段です。「電子債権記録機関に発生記録をする」と債権・債務が生まれます。手形と処理はそっくりですが、勘定科目名が違います。

図4-2 電子記録債権・債務の流れ
場面債権者(売った側)債務者(買った側)
発生記録電子記録債権 / 売掛金買掛金 / 電子記録債務
決済当座預金 / 電子記録債権電子記録債務 / 当座預金
譲渡記録
(支払いに充てる)
買掛金 / 電子記録債権
売却
(現金化)
当座預金
電子記録債権売却損 / 電子記録債権
例題4-6 電子記録債権標準

(1) 売掛金¥450,000について、取引銀行を通じて電子記録債権の発生記録を行った。
(2) 上記の電子記録債権のうち¥200,000を、買掛金の支払いのため取引先に譲渡記録した。
(3) 残額¥250,000を取引銀行に¥243,000で売却し、当座預金に入金された。
(4) 買掛金¥380,000について、取引銀行を通じて電子記録債務の発生記録が行われた。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)電子記録債権450,000売掛金450,000
(2)買掛金200,000電子記録債権200,000
(3)当座預金
電子記録債権売却損
243,000
7,000
電子記録債権250,000
(4)買掛金380,000電子記録債務380,000

売却時の差額は電子記録債権売却損。手形のときの「手形売却損」に相当します。「電子記録債権割引料」のような科目はありません。

4-8 債権の譲渡(売掛金の売却)

売掛金そのものを他社に売却して早期に資金化することがあります。額面と手取額の差は債権売却損です。

例題4-7 債権の譲渡基本

売掛金¥700,000を¥685,000で他社に譲渡し、代金は当座預金に振り込まれた。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
当座預金
債権売却損
685,000
15,000
売掛金700,000

4-9 その他の債権債務まとめ

勘定科目区分使う場面
未収入金資産商品以外(備品・有価証券など)を売却した代金の未回収額
未払金負債商品以外を購入した代金の未払額、費用の未払い(未渡小切手の相手勘定)
立替金資産従業員や取引先の代わりに一時的に支払った金額
預り金負債源泉所得税・社会保険料など、預かって後日納付するもの
仮払金資産内容・金額が未確定のまま支払った金額(出張旅費の概算払いなど)
仮受金負債内容不明の入金。判明したら正しい科目に振り替える
差入保証金資産事務所を借りる際の敷金・保証金。退去時に返還される分は資産
法定福利費費用社会保険料の会社負担分
例題4-8 差入保証金と社会保険料標準

(1) 事務所を賃借し、敷金¥300,000、不動産業者への仲介手数料¥80,000、当月分家賃¥150,000を普通預金から支払った。敷金は退去時に全額返還される契約である。
(2) 従業員から預かった社会保険料¥58,000と、会社負担分¥58,000を合わせて現金で納付した。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)差入保証金
支払手数料
支払家賃
300,000
80,000
150,000
普通預金530,000
(2)社会保険料預り金
法定福利費
58,000
58,000
現 金116,000
  • 敷金は返ってくるお金なので資産(差入保証金)。費用にしません。
  • 仲介手数料は返ってこないので費用(支払手数料)。
  • 社会保険料の会社負担分は「法定福利費」。給料から天引きした従業員負担分は預り金の減少です。

4-10 確認問題

確認問題4-1 手形・債権債務の仕訳12問標準
  1. 商品¥280,000を仕入れ、代金は所有する約束手形を裏書譲渡した。
  2. 所有する約束手形¥500,000を銀行で割り引き、割引料¥7,500を差し引かれ、残額が当座預金に入金された。
  3. 額面¥900,000の約束手形を割り引いた。割引日から満期日まで146日、年利率5%(1年365日)で計算した割引料が差し引かれ、手取金は当座預金に入金された。
  4. 裏書譲渡していた約束手形¥250,000が不渡りとなり、償還請求を受けたので、額面に延滞利息¥3,000を加えて小切手を振り出して支払った。
  5. 上記4の不渡手形が回収不能となった。貸倒引当金残高は¥180,000である。
  6. かねて振り出していた約束手形¥400,000について、支払期日の延期を申し入れて承諾された。延期にともなう利息¥9,000は現金で支払った。
  7. 土地¥3,000,000を売却し、代金は約束手形で受け取った。この土地の帳簿価額は¥2,600,000である。
  8. 売掛金¥320,000について電子記録債権の発生記録を行った。
  9. 電子記録債務¥380,000が当座預金から決済された。
  10. 電子記録債権¥500,000を¥488,000で売却し、当座預金に入金された。
  11. 従業員の出張にあたり、旅費の概算額¥80,000を現金で渡した。
  12. 上記11につき、従業員が帰社し、旅費交通費¥73,000の報告を受け、残額を現金で受け取った。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕 入280,000受取手形280,000
2当座預金
手形売却損
492,500
7,500
受取手形500,000
3当座預金
手形売却損
882,000
18,000
受取手形900,000
4不渡手形253,000当座預金253,000
5貸倒引当金
貸倒損失
180,000
73,000
不渡手形253,000
6支払手形(旧)
支払利息
400,000
9,000
支払手形(新)
現 金
400,000
9,000
7営業外受取手形3,000,000土 地
固定資産売却益
2,600,000
400,000
8電子記録債権320,000売掛金320,000
9電子記録債務380,000当座預金380,000
10当座預金
電子記録債権売却損
488,000
12,000
電子記録債権500,000
11仮払金80,000現 金80,000
12旅費交通費
現 金
73,000
7,000
仮払金80,000
計算・注意点
  • 3:割引料=900,000 × 5% × 146 ÷ 365 = ¥18,000 → 手取金882,000。
  • 4裏書・割引した手形が不渡りになった場合も「不渡手形」(資産)。支払った額を相手に請求できるからです。延滞利息も含めます。
  • 7:土地の売却なので「受取手形」ではなく「営業外受取手形」。売却益は3,000,000-2,600,000=400,000。

第5章 有形固定資産

この章の重要度 第1問(仕訳)・第2問(勘定記入の総合問題)・第3問(決算整理)のすべてで毎回のように出る最重要章です。特に期中取得・期中売却の月割計算買換えは、書けるかどうかで合否が変わります。

5-1 取得原価 ― いくらで資産に計上するか

暗記 取得原価の公式

取得原価 = 購入代価 + 付随費用

付随費用=引取運賃・据付費・試運転費・購入手数料・登記費用・整地費用など「使えるようにするまでにかかった費用」

ケース取得原価
備品¥500,000を購入、引取運賃¥12,000と据付費¥18,000を支払った500,000+12,000+18,000=¥530,000
土地¥8,000,000を購入、仲介手数料¥240,000と整地費用¥160,000を支払った8,000,000+240,000+160,000=¥8,400,000
割賦(分割払い)で機械を購入し、現金購入価額¥2,000,000、割賦総額¥2,180,000だった¥2,000,000(差額¥180,000は前払利息または支払利息
例題5-1 割賦購入標準

機械装置を割賦契約で購入した。現金購入価額は¥2,000,000、割賦代金は毎月末払いで月額¥181,000を12回(総額¥2,172,000)である。利息相当額は前払利息で処理する。購入時の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
機械装置
前払利息
2,000,000
172,000
営業外支払手形(未払金)2,172,000

資産計上額は現金購入価額の¥2,000,000。割賦総額との差¥172,000は利息であり、資産の価値ではありません。支払いのつど支払利息 / 前払利息で費用化していきます。

5-2 減価償却 ― 3つの方法

図5-1 減価償却方法の使い分け
方法計算式特徴・使う場面
定額法(取得原価-残存価額)÷ 耐用年数毎期同額。建物はこれ
定率法期首帳簿価額 × 償却率
(200%定率法の償却率 = 1÷耐用年数 × 200%)
初期に多く償却。備品・機械に多い
生産高
比例法
(取得原価-残存価額)× 当期利用量 ÷ 総利用可能量使った分だけ償却。車両・航空機など
例題5-2 3つの減価償却標準

次のそれぞれについて、当期(1年分)の減価償却費を計算しなさい。

  1. 建物:取得原価¥6,000,000、残存価額は取得原価の10%、耐用年数30年、定額法
  2. 備品:取得原価¥800,000、耐用年数5年、200%定率法。当期は取得後3年目である
  3. 車両:取得原価¥3,000,000、残存価額ゼロ、総走行可能距離200,000km、当期走行距離30,000km、生産高比例法
解答・解説を見る
1 定額法

(6,000,000 - 6,000,000×10%) ÷ 30年 = 5,400,000 ÷ 30 = ¥180,000

2 200%定率法

償却率 = 1 ÷ 5年 × 200% = 0.4

年度期首帳簿価額減価償却費期末帳簿価額
1年目800,000800,000×0.4=320,000480,000
2年目480,000480,000×0.4=192,000288,000
3年目288,000288,000×0.4=115,200172,800

¥115,200定率法は「期首帳簿価額(=取得原価-期首の減価償却累計額)」に率を掛けるのが絶対のルールです。取得原価に掛けてはいけません。

3 生産高比例法

3,000,000 × 30,000km ÷ 200,000km = ¥450,000

注意 残存価額2007年4月以降取得分は残存価額ゼロが原則ですが、試験では必ず問題文の指示に従います。「残存価額は取得原価の10%」と書いてあれば10%で計算してください。

5-3 期中取得・期中売却 ― 月割計算

暗記 月割のルール 使った月数 ÷ 12を掛けます。1か月に満たない端数は1か月として計算(=日割りしない)。取得月・売却月はどちらも1か月に数えるのが通常です(問題文に指示があればそれに従う)。
例題5-3 期中売却応用

当社(決算日3月31日)は、X8年11月30日に備品を¥350,000で売却し、代金は月末に受け取ることとした。この備品は X5年4月1日に¥900,000で取得したもので、耐用年数6年、残存価額ゼロ、定額法、間接法により記帳している。売却時の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
Step1 年間の減価償却費

900,000 ÷ 6年 = ¥150,000/年

Step2 売却時点の減価償却累計額(期首時点)

X5/4/1〜X8/3/31 = ちょうど3年経過 → 150,000 × 3 = ¥450,000

Step3 当期分(期首〜売却日)の減価償却費

X8/4/1〜X8/11/30 = 8か月 → 150,000 × 8/12 = ¥100,000

Step4 帳簿価額と売却損益

帳簿価額 = 900,000 - 450,000 - 100,000 = ¥350,000
売却価額¥350,000 - 帳簿価額¥350,000 = 損益ゼロ

借方科目金額貸方科目金額
減価償却累計額
減価償却費
未収入金
450,000
100,000
350,000
備 品900,000
最頻出のミス 期首から売却日までの減価償却費(Step3)を忘れるのが、この論点で最も多い失点です。「売った月まではきちんと減価償却する」と覚えてください。また、商品以外の売却なので売掛金ではなく未収入金です。

5-4 除却と廃棄

除却

使うのをやめて処分可能な価値が残っている場合。処分価値を貯蔵品(資産)で計上する。
差額 → 固定資産除却損

廃棄

捨ててしまい価値ゼロ。廃棄費用がかかることも。
差額 → 固定資産廃棄損

例題5-4 除却と廃棄標準

(1) 備品(取得原価¥800,000、減価償却累計額¥600,000)を当期首に除却した。処分価値は¥50,000と見積もられた。
(2) 機械装置(取得原価¥1,500,000、減価償却累計額¥1,350,000)を当期首に廃棄し、廃棄費用¥40,000を現金で支払った。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)減価償却累計額
貯蔵品
固定資産除却損
600,000
50,000
150,000
備 品800,000
(2)減価償却累計額
固定資産廃棄損
1,350,000
190,000
機械装置
現 金
1,500,000
40,000

(2)の廃棄損=帳簿価額150,000+廃棄費用40,000=190,000。廃棄費用は別建てにせず廃棄損に含めます。

5-5 買換え(下取り)

買換えは「旧資産の売却」と「新資産の購入」を同時に行う取引です。分解して考えれば必ず解けます。

  1. 旧資産を下取価額で売却したと考える → 売却損益を計算
  2. 新資産を取得原価で購入したと考える
  3. 実際の支払額 = 新資産の価額 - 下取価額
例題5-5 車両の買換え応用

当期首に、車両(取得原価¥1,200,000、減価償却累計額¥800,000)を下取りに出し、新車両¥1,500,000を購入した。下取価額は¥300,000であり、差額は現金で支払った。

解答・解説を見る
分解して考える
  • 旧車両の帳簿価額 = 1,200,000 - 800,000 = ¥400,000
  • 下取価額¥300,000で売却 → 300,000 - 400,000 = 売却損¥100,000
  • 現金支払額 = 1,500,000 - 300,000 = ¥1,200,000
借方科目金額貸方科目金額
車両運搬具(新)
減価償却累計額
固定資産売却損
1,500,000
800,000
100,000
車両運搬具(旧)
現 金
1,200,000
1,200,000
POINT 検算のコツ 借方合計 2,400,000 = 貸方合計 2,400,000。新車両は「下取価額を引く前の¥1,500,000」で計上します。ここを1,200,000にしてしまうミスが非常に多い論点です。

5-6 資本的支出と収益的支出

資本的支出 → 資産

価値を高める・耐用年数を延ばす
例:非常階段の設置、性能アップの改造
建物 / 当座預金

収益的支出 → 費用

現状を維持するだけ
例:定期的な塗装、破損部分の修理
修繕費 / 当座預金

注意 修繕引当金がある場合 修繕引当金を設定しているときの支出は、まず引当金を取り崩し、足りない分を修繕費とします。
修繕引当金 300,000 修繕費 80,000 / 当座預金 380,000

5-7 建設仮勘定

建物などを建設中に支払った手付金・中間金は、まだ「建物」ではないので建設仮勘定(資産)で受けておき、完成・引渡し時に本勘定へ振り替えます。建設仮勘定は減価償却しません(まだ使っていないため)。

例題5-6 建設仮勘定基本

(1) 建物の新築工事(請負金額¥20,000,000)を契約し、手付金¥6,000,000を小切手を振り出して支払った。
(2) 工事が完成し引渡しを受けた。残額¥14,000,000は約束手形を振り出して支払った。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)建設仮勘定6,000,000当座預金6,000,000
(2)建 物20,000,000建設仮勘定
営業外支払手形
6,000,000
14,000,000

建物の購入は商品売買ではないので支払手形ではなく営業外支払手形です。

5-8 固定資産の火災(火災未決算)

図5-2 保険を掛けていた資産が焼失したときの流れ
①焼失時帳簿価額を
火災未決算
(金額未確定)
②保険金額の確定保険会社から
通知が来る
保険金 > 未決算保険差益
保険金 < 未決算火災損失

保険を掛けていない場合は、焼失時にいきなり「火災損失」で処理します(未決算を経由しません)。

例題5-7 火災未決算標準

(1) 当期首に火災が発生し、建物(取得原価¥5,000,000、減価償却累計額¥2,000,000)が焼失した。この建物には¥4,000,000の火災保険を掛けている。
(2) 後日、保険会社より保険金¥2,800,000を支払う旨の連絡を受けた。
(3) 【別解】もし保険金が¥3,200,000であった場合の仕訳。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)減価償却累計額
火災未決算
2,000,000
3,000,000
建 物5,000,000
(2)未収入金
火災損失
2,800,000
200,000
火災未決算3,000,000
(3)未収入金3,200,000火災未決算
保険差益
3,000,000
200,000
注意火災未決算に計上するのは保険契約額(¥4,000,000)ではなく帳簿価額(¥3,000,000)です。保険をいくら掛けていたかは関係ありません。

5-9 圧縮記帳(国庫補助金・工事負担金)

国から補助金をもらって設備を買うと、補助金が収益となり税金がかかってしまいます。そこで、同額だけ資産の帳簿価額を減らして課税を将来に繰り延べるのが圧縮記帳(直接減額方式)です。

例題5-8 圧縮記帳応用

(1) X5年4月1日、国庫補助金¥1,000,000を受け取り、当座預金に入金された。
(2) 同日、この補助金を利用して機械装置¥3,000,000を購入し、代金は当座預金から支払った。
(3) 同日、直接減額方式により圧縮記帳を行った。
(4) 決算(X6年3月31日)にあたり、この機械について減価償却を行う。耐用年数5年、残存価額ゼロ、定額法、間接法。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)当座預金1,000,000国庫補助金受贈益1,000,000
(2)機械装置3,000,000当座預金3,000,000
(3)固定資産圧縮損1,000,000機械装置1,000,000
(4)減価償却費400,000減価償却累計額400,000
ポイント
  • (1)(3)で受贈益1,000,000と圧縮損1,000,000が相殺され、当期の利益への影響はゼロになります。これが圧縮記帳の目的です。
  • (4)の減価償却は圧縮後の帳簿価額 3,000,000 - 1,000,000 = ¥2,000,000 を基礎に計算します。2,000,000 ÷ 5年 = ¥400,000。取得原価3,000,000で計算すると不正解です。

5-10 確認問題

確認問題5-1 有形固定資産の仕訳10問標準

決算日は毎年3月31日、減価償却は間接法による。

  1. 備品¥600,000を購入し、引取運賃¥15,000と据付費¥25,000とともに小切手を振り出して支払った。
  2. X8年10月1日に取得した上記の備品(耐用年数8年、残存価額ゼロ、定額法)について、X9年3月31日の決算で減価償却を行う。
  3. 機械装置(取得原価¥2,400,000、耐用年数6年、残存価額ゼロ、200%定率法)の3年目の減価償却費を計上する。
  4. 建物の改修工事を行い¥3,000,000を小切手で支払った。うち¥1,800,000は耐震性能を高める資本的支出である。
  5. 建物の修繕を行い¥500,000を現金で支払った。修繕引当金の残高は¥420,000である。
  6. 備品(取得原価¥1,200,000、期首減価償却累計額¥900,000、耐用年数8年、残存価額ゼロ、定額法)をX9年7月31日に¥180,000で売却し、代金は翌月末に受け取ることとした。
  7. 車両(取得原価¥1,800,000、減価償却累計額¥1,200,000)を下取りに出し、新車両¥2,200,000を購入した。下取価額は¥500,000で、差額は翌月末払いとした。
  8. 倉庫(取得原価¥4,000,000、減価償却累計額¥1,600,000)が火災により焼失した。この倉庫には火災保険を掛けている。
  9. 上記8について、保険会社から¥2,600,000の保険金支払いの連絡があった。
  10. 国庫補助金¥800,000を受け取り、これを利用して機械装置¥2,500,000を小切手を振り出して購入し、直接減額方式により圧縮記帳を行った(3つの仕訳をまとめて示すこと)。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1備 品640,000当座預金640,000
2減価償却費40,000減価償却累計額40,000
3減価償却費355,556減価償却累計額355,556
4建 物
修繕費
1,800,000
1,200,000
当座預金3,000,000
5修繕引当金
修繕費
420,000
80,000
現 金500,000
6減価償却累計額
減価償却費
未収入金
固定資産売却損
900,000
50,000
180,000
70,000
備 品1,200,000
7車両運搬具(新)
減価償却累計額
固定資産売却損
2,200,000
1,200,000
100,000
車両運搬具(旧)
未払金
1,800,000
1,700,000
8減価償却累計額
火災未決算
1,600,000
2,400,000
建 物4,000,000
9未収入金2,600,000火災未決算
保険差益
2,400,000
200,000
10当座預金
機械装置
固定資産圧縮損
800,000
2,500,000
800,000
国庫補助金受贈益
当座預金
機械装置
800,000
2,500,000
800,000
計算の内訳
  • 1:600,000+15,000+25,000=640,000(付随費用はすべて取得原価)。
  • 2:640,000÷8年=80,000/年。10/1〜3/31の6か月なので 80,000×6/12=40,000
  • 3:償却率=1/6×200%=0.3333…(1/3)。1年目 2,400,000×1/3=800,000 → 2年目 1,600,000×1/3=533,333 → 3年目 1,066,667×1/3=355,556(円未満四捨五入)。
  • 6:年償却額=1,200,000÷8年=150,000。4/1〜7/31の4か月分=150,000×4/12=50,000。帳簿価額=1,200,000-900,000-50,000=250,000 → 売却損=250,000-180,000=70,000
  • 7:旧帳簿価額600,000、下取500,000 → 売却損100,000。支払額=2,200,000-500,000=1,700,000(商品以外なので未払金)。

第6章 リース取引

この章の攻略法 リースは覚えることが少ないのに毎回出る「おいしい論点」です。分類の判定と、利子込み法・利子抜き法の2パターンさえ押さえれば、第1問で確実に4点取れます。30分で仕上げられる章です。

6-1 リース取引の分類

図6-1 リース取引の2分類
ファイナンス・リース

実質的に「買ったのと同じ」リース。
次の2つを両方満たすもの。

  • 中途解約できない(ノンキャンセラブル)
  • 借り手がコストをほぼ全額負担し、その資産の経済的利益をほぼ享受する(フルペイアウト)

→ 資産・負債を計上する(売買処理)

オペレーティング・リース

ファイナンス・リース以外のすべて。要するに普通の「賃貸借」。

→ 資産・負債を計上しない。支払ったときに 支払リース料 / 当座預金 だけ

決算日と支払日がズレる場合は、経過勘定(前払リース料・未払リース料)で調整します。

6-2 ファイナンス・リース ― 2つの処理方法

方法リース資産・債務の計上額利息の扱い
利子込み法リース料総額で計上
(利息も資産に含めてしまう)
支払利息は計上しない。処理が簡単
利子抜き法見積現金購入価額で計上
(利息を除いた本体価格)
リース料総額との差額を支払利息として各期に配分(2級は定額法)
暗記 どちらの方法かは「計上額」で見分ける リース資産の金額=リース料総額 → 利子込み法リース資産の金額=見積現金購入価額 → 利子抜き法
問題文に「利子抜き法(利息相当額は定額法により配分)」などと必ず書いてあります。
例題6-1 利子込み法標準

X5年4月1日、次の条件で備品のリース契約(ファイナンス・リース)を結び、同日から使用を開始した。利子込み法により処理する。決算日は3月31日。

  • 年間リース料 ¥600,000(毎年3月31日に当座預金から支払い)
  • リース期間 5年  見積現金購入価額 ¥2,700,000
  • 減価償却:リース期間を耐用年数とする定額法、残存価額ゼロ、間接法

(1) 契約時 (2) X6年3月31日のリース料支払時 (3) X6年3月31日の決算時

解答・解説を見る

リース料総額 = 600,000 × 5年 = ¥3,000,000

No借方科目金額貸方科目金額
(1)リース資産3,000,000リース債務3,000,000
(2)リース債務600,000当座預金600,000
(3)減価償却費600,000リース資産減価償却累計額600,000

減価償却費 = 3,000,000 ÷ 5年 = ¥600,000。利子込み法では支払利息が一切出てきません。

例題6-2 利子抜き法応用

例題6-1と同じ条件で、利子抜き法(利息相当額は定額法により各期に配分)による場合の (1)(2)(3) の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
Step1 利息総額を出す

リース料総額 3,000,000 - 見積現金購入価額 2,700,000 = 利息総額 ¥300,000
1年あたり = 300,000 ÷ 5年 = ¥60,000

Step2 仕訳
No借方科目金額貸方科目金額
(1)リース資産2,700,000リース債務2,700,000
(2)リース債務
支払利息
540,000
60,000
当座預金600,000
(3)減価償却費540,000リース資産減価償却累計額540,000
リース債務(利子抜き法)
当座預金(元本返済)540,000
次期繰越2,160,000
リース資産(契約時)2,700,000
POINT 利子抜き法の3つの数字 ①リース資産=2,700,000(本体) ②毎年の支払利息=60,000 ③元本返済=600,000-60,000=540,000。減価償却も2,700,000÷5年=540,000で、たまたま元本返済額と同額になります(残存ゼロ・リース期間償却のため)。

6-3 期中契約の場合 ― 月割に注意

例題6-3 期中にリース契約した場合応用

X5年10月1日、次の条件でファイナンス・リース契約を結び使用を開始した。利子抜き法による。決算日は3月31日。

  • 年間リース料 ¥480,000(毎年9月30日に後払い) リース期間 4年
  • 見積現金購入価額 ¥1,760,000 減価償却:リース期間4年、残存価額ゼロ、定額法、間接法

X6年3月31日の決算整理仕訳をすべて示しなさい。

解答・解説を見る
Step1 数字の整理
  • リース料総額 = 480,000 × 4年 = ¥1,920,000
  • 利息総額 = 1,920,000 - 1,760,000 = ¥160,000 → 1年あたり ¥40,000
  • 当期の使用期間 = X5/10/1〜X6/3/31 = 6か月
Step2 決算整理仕訳
借方科目金額貸方科目金額
減価償却費220,000リース資産減価償却累計額220,000
支払利息20,000未払利息20,000
  • 減価償却費 = 1,760,000 ÷ 4年 × 6/12 = ¥220,000
  • 支払利息 = 40,000 × 6/12 = ¥20,000。リース料の支払いは9/30なので、決算日時点では未払い → 未払利息で見越計上します。
注意リース料をまだ1度も支払っていないので、リース債務は減りません。「リース債務 / 未払金」のような仕訳は不要です。

6-4 オペレーティング・リースと、貸借対照表での表示

例題6-4 オペレーティング・リース基本

X5年11月1日にオペレーティング・リース契約(年額¥360,000、毎年10月31日後払い)を結び、使用を開始した。X6年3月31日の決算整理仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
支払リース料150,000未払リース料150,000

X5/11/1〜X6/3/31の5か月分=360,000 × 5/12 = ¥150,000。オペレーティング・リースではリース資産・リース債務は一切出てきません。契約時の仕訳も不要です。

POINT リース債務の流動・固定分類(第3問で問われる) 貸借対照表では、決算日の翌日から1年以内に返済する分=流動負債(リース債務)1年を超える分=固定負債(長期リース債務)に分けて表示します(ワン・イヤー・ルール)。
例:利子抜き法でリース債務残高が¥2,160,000、毎年の元本返済が¥540,000なら → 流動負債 ¥540,000/固定負債 ¥1,620,000。

6-5 確認問題

確認問題6-1 リース総合応用

当社(決算日3月31日)は、X7年4月1日に次のファイナンス・リース契約を結び、同日から使用を開始した。

  • 年間リース料 ¥750,000(毎年3月31日に当座預金より後払い) リース期間 6年
  • 見積現金購入価額 ¥4,050,000
  • 減価償却:リース期間を耐用年数とする定額法、残存価額ゼロ、間接法

(1) 利子込み法による、契約時・第1回支払時・第1期決算時の仕訳
(2) 利子抜き法(定額法により配分)による、同じ3つの仕訳
(3) 利子抜き法による場合の、X8年3月31日の貸借対照表に計上されるリース債務(流動・固定)の金額

解答・解説を見る

リース料総額 = 750,000 × 6年 = ¥4,500,000 / 利息総額 = 4,500,000 - 4,050,000 = ¥450,000 → 年 ¥75,000

(1) 利子込み法
時点借方科目金額貸方科目金額
契約リース資産4,500,000リース債務4,500,000
支払リース債務750,000当座預金750,000
決算減価償却費750,000リース資産減価償却累計額750,000
(2) 利子抜き法
時点借方科目金額貸方科目金額
契約リース資産4,050,000リース債務4,050,000
支払リース債務
支払利息
675,000
75,000
当座預金750,000
決算減価償却費675,000リース資産減価償却累計額675,000

元本返済 = 750,000 - 75,000 = 675,000 / 減価償却費 = 4,050,000 ÷ 6年 = 675,000

(3) X8年3月31日のリース債務
  • 残高 = 4,050,000 - 675,000 = ¥3,375,000
  • うち1年以内返済分 → 流動負債「リース債務」¥675,000
  • 残り → 固定負債「長期リース債務」¥2,700,000(675,000 × 4年分)
確認問題6-2 リースの仕訳6問標準
  1. ファイナンス・リース契約(リース料総額¥2,400,000、見積現金購入価額¥2,160,000、期間4年)を結んだ。利子込み法による契約時の仕訳。
  2. 上記1について、年間リース料¥600,000を当座預金から支払った。
  3. 同じ契約を利子抜き法で処理する場合の契約時の仕訳。
  4. 上記3について、年間リース料¥600,000を当座預金から支払った(利息は定額法で配分)。
  5. オペレーティング・リース契約により、年間リース料¥240,000を現金で支払った。
  6. 利子抜き法で処理しているリース資産(計上額¥2,160,000、リース期間4年、残存価額ゼロ、定額法、間接法)について、第1期の決算で減価償却を行う。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1リース資産2,400,000リース債務2,400,000
2リース債務600,000当座預金600,000
3リース資産2,160,000リース債務2,160,000
4リース債務
支払利息
540,000
60,000
当座預金600,000
5支払リース料240,000現 金240,000
6減価償却費540,000リース資産減価償却累計額540,000

4の利息=(2,400,000-2,160,000)÷4年=¥60,000。元本返済=600,000-60,000=¥540,000。

第7章 無形固定資産・研究開発費

形のない資産(のれん・特許権・ソフトウェア)の章です。償却は「直接法(残存価額ゼロ・定額法・月割)」の一本槍なので、覚えることは多くありません。第1問と第3問で確実に得点しましょう。

7-1 無形固定資産の全体像

科目中身償却期間
のれん他社を買収したときに支払った「ブランド力・顧客基盤」などへの上乗せ額20年以内の定額法
特許権発明を独占的に使う権利8年以内(問題文の指示に従う)
商標権商品名・ロゴを独占的に使う権利10年以内(同上)
ソフトウェア自社利用目的のソフトウェア5年以内の定額法
ソフトウェア
仮勘定
制作途中で支払った金額(完成前)償却しない(完成時にソフトウェアへ振替)
暗記 無形固定資産の償却は「直接法」 有形固定資産と違い、減価償却累計額を使いません。資産の金額を直接減らします。
のれん償却 / のれん ソフトウェア償却 / ソフトウェア 特許権償却 / 特許権
また残存価額はゼロ期中取得なら月割です。

7-2 のれん

図7-1 のれんはどこから生まれるか
支払った金額受け入れた純資産(資産-負債)の時価差額
¥5,000,000¥4,200,000のれん ¥800,000(資産)
¥3,800,000¥4,200,000負ののれん発生益 ¥400,000(収益・特別利益)
例題7-1 合併とのれん標準

X5年4月1日、当社は北海商事を吸収合併し、対価として当社の株式1,000株(時価@¥5,000)を交付した。全額を資本金とする。北海商事から引き継いだ資産・負債の時価は、諸資産¥7,800,000、諸負債¥3,600,000であった。

(1) 合併時の仕訳 (2) 決算(X6年3月31日)におけるのれんの償却(償却期間10年)

解答・解説を見る
Step1 のれんの計算
  • 交付株式の時価(=支払対価) = 1,000株 × @5,000 = ¥5,000,000
  • 受入純資産の時価 = 7,800,000 - 3,600,000 = ¥4,200,000
  • のれん = 5,000,000 - 4,200,000 = ¥800,000
No借方科目金額貸方科目金額
(1)諸資産
のれん
7,800,000
800,000
諸負債
資本金
3,600,000
5,000,000
(2)のれん償却80,000のれん80,000

のれん償却 = 800,000 ÷ 10年 = ¥80,000。P/Lでは販売費及び一般管理費に表示します。

注意のれんは「有償で取得した場合」だけ計上できます。自社で築き上げたブランド価値(自己創設のれん)は資産計上できません。

7-3 ソフトウェア

例題7-2 ソフトウェア仮勘定標準

当社(決算日3月31日)の取引である。

  1. X5年6月1日、自社利用目的のソフトウェアの制作をソフト会社に依頼し、契約総額¥3,000,000のうち手付金¥1,200,000を当座預金から支払った。
  2. X5年10月1日、ソフトウェアが完成し使用を開始した。残額¥1,800,000は翌月末払いとした。
  3. X6年3月31日、決算にあたり償却を行う(利用可能期間5年、定額法、月割)。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1ソフトウェア仮勘定1,200,000当座預金1,200,000
2ソフトウェア3,000,000ソフトウェア仮勘定
未払金
1,200,000
1,800,000
3ソフトウェア償却300,000ソフトウェア300,000
3の計算

年間償却額 = 3,000,000 ÷ 5年 = ¥600,000
使用開始はX5年10月1日 → 当期の使用期間は6か月 → 600,000 × 6/12 = ¥300,000

注意償却の起算点は「支払った日」ではなく「使用を開始した日」です。6月1日から10か月分と計算すると誤りになります。

7-4 研究開発費

POINT 研究開発費は全額「費用」 新製品の研究や開発にかかった支出は、将来収益を生むかどうかが不確実なので、支出した期に全額費用処理します。
研究開発目的でのみ使う機械や器具を購入した場合も、資産計上せず全額「研究開発費」とするのがポイントです。
例題7-3 研究開発費標準

(1) 新製品の研究開発に従事する研究員の給料¥1,500,000と、外部の研究機関への委託費¥800,000を当座預金から支払った。
(2) 研究開発目的でのみ使用する測定機器¥2,600,000を購入し、代金は翌月末払いとした。
(3) 【比較】製造にも使用する機械¥2,600,000を購入し、代金は翌月末払いとした。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)研究開発費2,300,000当座預金2,300,000
(2)研究開発費2,600,000未払金2,600,000
(3)機械装置2,600,000未払金2,600,000

(2)と(3)の違いに注目してください。「研究開発目的でのみ使用」=費用、「他の用途にも使える」=資産です。この一文が判断の分かれ目になります。

7-5 確認問題

確認問題7-1 無形固定資産の仕訳8問標準

決算日は3月31日、償却はすべて定額法・残存価額ゼロ・直接法・月割による。

  1. 特許権を¥2,400,000で取得し、当座預金から支払った(X5年4月1日)。
  2. 上記1について、決算(X6年3月31日)で償却する。償却期間は8年。
  3. X5年9月1日に商標権¥1,800,000を取得した。決算(X6年3月31日)で償却する。償却期間は10年。
  4. 他社を吸収合併し、諸資産¥12,000,000(時価)、諸負債¥7,500,000(時価)を引き継ぎ、対価として当社株式(時価総額¥6,000,000)を交付した。全額資本金とする。
  5. 上記4で生じたのれんを、決算にあたり20年で償却する(合併日は当期首)。
  6. 他社を吸収合併し、諸資産¥9,000,000(時価)、諸負債¥6,200,000(時価)を引き継ぎ、対価として現金¥2,500,000を支払った。
  7. 自社利用目的のソフトウェアの制作費として¥900,000を当座預金から支払った。まだ完成していない。
  8. 研究開発部門でのみ使用する実験装置¥1,700,000を小切手を振り出して購入した。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1特許権2,400,000当座預金2,400,000
2特許権償却300,000特許権300,000
3商標権償却105,000商標権105,000
4諸資産
のれん
12,000,000
1,500,000
諸負債
資本金
7,500,000
6,000,000
5のれん償却75,000のれん75,000
6諸資産9,000,000諸負債
現 金
負ののれん発生益
6,200,000
2,500,000
300,000
7ソフトウェア仮勘定900,000当座預金900,000
8研究開発費1,700,000当座預金1,700,000
計算の内訳
  • 2:2,400,000÷8年=300,000(期首取得なので12か月分)。
  • 3:1,800,000÷10年=180,000/年 → 9/1〜3/31の7か月分=180,000×7/12=105,000
  • 4:受入純資産=12,000,000-7,500,000=4,500,000。対価6,000,000-4,500,000=のれん1,500,000
  • 6:受入純資産=9,000,000-6,200,000=2,800,000。対価2,500,000のほうが小さい → 差額300,000は負ののれん発生益(特別利益)「負ののれん」という資産・負債の科目は作りません

第8章 有価証券

この章の重要度 第1問はもちろん、第2問で「有価証券の総合問題」として単独出題されることもある大型論点です。ポイントは4つの保有目的ごとに、期末の評価方法がまったく違うこと。この表を頭に叩き込むところから始めます。

8-1 保有目的による4分類 ― この表がすべて

分類B/S表示科目表示区分期末評価評価差額の行き先
売買目的
有価証券
有価証券流動資産時価有価証券評価益/評価損(P/L 営業外損益)
満期保有目的
債券
投資有価証券固定資産取得原価
(差額が金利調整なら償却原価
有価証券利息(P/L 営業外収益)
子会社株式
関連会社株式
関係会社株式固定資産取得原価
評価替えしない
その他
有価証券
投資有価証券固定資産時価その他有価証券評価差額金(B/S 純資産)
=P/Lを通さない!
暗記 評価差額の行き先だけ覚える 売買目的 → P/L(損益)その他有価証券 → B/S(純資産)満期保有 → 有価証券利息子会社・関連会社 → 何もしない
この4パターンの区別が、そのまま得点になります。

8-2 取得と売却

POINT 取得原価には購入手数料を含める

取得原価 = 購入代価 + 購入手数料

複数回に分けて取得した同一銘柄を売却する場合、払出単価は平均原価法で計算します。

例題8-1 取得と売却(平均原価法)標準

売買目的でA社株式を次のとおり取得した。その後、600株を1株¥720で売却し、代金は当座預金に入金された。売却時の仕訳を示しなさい。

  • 4月10日 400株を1株¥650で購入、購入手数料¥8,000を支払った
  • 6月20日 600株を1株¥700で購入、購入手数料¥12,000を支払った
解答・解説を見る
Step1 平均単価
  • 4/10 取得原価 = 400株×650 + 8,000 = ¥268,000
  • 6/20 取得原価 = 600株×700 + 12,000 = ¥432,000
  • 合計 1,000株 ¥700,000 → 平均単価 @¥700
Step2 売却
  • 売却価額 = 600株 × 720 = ¥432,000
  • 売却原価 = 600株 × 700 = ¥420,000
  • 売却益 = ¥12,000
借方科目金額貸方科目金額
当座預金432,000売買目的有価証券
有価証券売却益
420,000
12,000

売却手数料が別途かかる場合は、支払手数料として費用処理するか、売却益から控除するか問題文の指示に従います。

8-3 売買目的有価証券の期末評価

例題8-2 時価評価基本

決算にあたり、売買目的で保有する次の株式を時価評価する。

銘柄帳簿価額期末時価
B社株式620,000680,000
C社株式450,000410,000
解答・解説を見る

評価差額 = (680,000+410,000) - (620,000+450,000) = 1,090,000 - 1,070,000 = +¥20,000

借方科目金額貸方科目金額
売買目的有価証券20,000有価証券評価益20,000
注意 銘柄ごとに書くのか、合計で書くのか 答案用紙が1行しかないなら合計で相殺した純額を書きます。「銘柄ごとに評価する」という指示があれば、B社は評価益60,000、C社は評価損40,000と別々に計上します。指示を必ず確認してください。
切放法と洗替法 翌期首に評価差額を振り戻さないのが切放法、振り戻す(逆仕訳する)のが洗替法です。洗替法なら翌期首に有価証券評価益 20,000 / 売買目的有価証券 20,000を切ります。

8-4 満期保有目的債券と償却原価法

額面より安く(または高く)債券を買った場合、その差額が金利の調整と認められるときは、満期までの各期に少しずつ配分して額面に近づけていきます。これが償却原価法(2級は定額法)です。

図8-1 償却原価法のイメージ(取得価額960,000 → 額面1,000,000、5年)
時点取得時1年後2年後3年後4年後満期
帳簿価額960,000968,000976,000984,000992,0001,000,000
有価証券利息+8,000+8,000+8,000+8,000+8,000

毎期 (1,000,000-960,000)÷5年=¥8,000 ずつ帳簿価額を増やし、同額を有価証券利息(収益)とします。

例題8-3 償却原価法と端数利息応用

X5年8月1日、満期保有目的でD社社債(額面総額¥2,000,000、年利率2.19%、利払日5月末・11月末の年2回、償還日X10年7月31日)を、額面¥100につき¥97.00で購入し、端数利息とともに当座預金から支払った。前回利払日の翌日から購入日までは62日である(1年365日で計算)。決算日は3月31日、償却原価法(定額法・月割)による。

(1) 購入時の仕訳 (2) X6年3月31日の決算整理仕訳(償却原価法)

解答・解説を見る
Step1 購入価額と端数利息
  • 購入価額 = 2,000,000 × 97.00 ÷ 100 = ¥1,940,000
  • 端数利息 = 2,000,000 × 2.19% × 62 ÷ 365 = ¥7,440
  • 支払総額 = 1,940,000 + 7,440 = ¥1,947,440
No借方科目金額貸方科目金額
(1)満期保有目的債券
有価証券利息
1,940,000
7,440
当座預金1,947,440
(2)満期保有目的債券8,000有価証券利息8,000
Step2 償却原価法の計算
  • 額面と取得価額の差 = 2,000,000 - 1,940,000 = ¥60,000
  • 取得日から償還日まで = X5年8月1日〜X10年7月31日 = 60か月
  • 当期の保有月数 = X5年8月1日〜X6年3月31日 = 8か月
  • 60,000 × 8 ÷ 60¥8,000

決算後の満期保有目的債券の帳簿価額 = 1,940,000 + 8,000 = ¥1,948,000(B/Sの投資有価証券)。

POINT 端数利息は「有価証券利息のマイナス」 買い手は、前回利払日から購入日までの利息を売り手に立て替えて払います。次の利払日には半年分をまるごと受け取るので、払った端数利息を有価証券利息の借方に置いておけば、差引きでちょうど自分の保有期間分の利息だけが収益として残ります。
注意 端数利息を取得原価に含めない 端数利息¥7,440を満期保有目的債券に含めて¥1,947,440としてしまうミスが非常に多いです。端数利息は債券の値段ではなく「利息の立替払い」——ここを混同しないでください。

8-5 その他有価証券(全部純資産直入法)

POINT その他有価証券の3つのルール
  1. 期末に時価評価する
  2. 評価差額は損益にせず、「その他有価証券評価差額金」として純資産に直接計上する(全部純資産直入法)
  3. 翌期首に必ず「洗替え」(逆仕訳)をする ← 忘れやすい
例題8-4 その他有価証券(税効果あり)応用

決算にあたり、その他有価証券として保有するE社株式(取得原価¥800,000、期末時価¥900,000)を評価する。法定実効税率は30%であり、税効果会計を適用する。

(1) 決算整理仕訳 (2) 翌期首の再振替仕訳 (3) 【別解】期末時価が¥740,000だった場合の決算整理仕訳

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)その他有価証券100,000繰延税金負債
その他有価証券評価差額金
30,000
70,000
(2)繰延税金負債
その他有価証券評価差額金
30,000
70,000
その他有価証券100,000
(3)繰延税金資産
その他有価証券評価差額金
18,000
42,000
その他有価証券60,000
計算
  • (1) 評価差額 = 900,000 - 800,000 = +100,000(評価益なので繰延税金「負債」
     100,000 × 30% = 30,000(繰延税金負債) 残り 70,000 が評価差額金
  • (3) 評価差額 = 740,000 - 800,000 = △60,000(評価損なので繰延税金「資産」
     60,000 × 30% = 18,000(繰延税金資産) 残り 42,000 が評価差額金(借方=マイナスの純資産)
暗記 繰延税金資産か負債か 評価益(時価が上がった) → 繰延税金負債評価損(時価が下がった) → 繰延税金資産
「いま利益が出ている扱いだから、将来税金を払う=負債」と考えると迷いません。

8-6 利息・配当金の受取り

場面仕訳
社債の利払日に利息を受け取った当座預金 / 有価証券利息
期限到来後の公社債利札を切り取った現 金 / 有価証券利息
株式の配当金領収証を受け取った現 金 / 受取配当金
決算日と利払日がズレている未収有価証券利息 / 有価証券利息(見越計上)

8-7 確認問題

確認問題8-1 有価証券の仕訳10問標準

決算日は3月31日。法定実効税率は30%とする。

  1. 売買目的でF社株式800株を1株¥1,250で購入し、購入手数料¥20,000とともに当座預金から支払った。
  2. 上記1のF社株式のうち300株を1株¥1,320で売却し、代金は当座預金に入金された。
  3. 決算にあたり、売買目的で保有するG社株式(帳簿価額¥580,000、期末時価¥535,000)を評価替えする。
  4. 満期保有目的でH社社債(額面¥3,000,000)を額面¥100につき¥98.50で購入し、当座預金から支払った。
  5. 上記4について、決算で償却原価法(定額法)を適用する。当期の保有期間は12か月、償還までの残り期間は取得時から5年である。
  6. 子会社株式として I 社株式を¥4,000,000で取得し、当座預金から支払った。
  7. 決算にあたり、上記6の I 社株式の期末時価は¥3,600,000であった。必要な仕訳を示しなさい。
  8. 決算にあたり、その他有価証券として保有するJ社株式(取得原価¥1,200,000、期末時価¥1,350,000)を評価する(税効果会計を適用)。
  9. 上記8について、翌期首の再振替仕訳を示しなさい。
  10. 所有するK社社債の利札¥18,000の期限が到来した。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1売買目的有価証券1,020,000当座預金1,020,000
2当座預金396,000売買目的有価証券
有価証券売却益
382,500
13,500
3有価証券評価損45,000売買目的有価証券45,000
4満期保有目的債券2,955,000当座預金2,955,000
5満期保有目的債券9,000有価証券利息9,000
6子会社株式4,000,000当座預金4,000,000
7仕訳なし(子会社株式は取得原価のまま。評価替えしない)
8その他有価証券150,000繰延税金負債
その他有価証券評価差額金
45,000
105,000
9繰延税金負債
その他有価証券評価差額金
45,000
105,000
その他有価証券150,000
10現 金18,000有価証券利息18,000
計算の内訳
  • 1:800株×1,250+20,000=1,020,000 → 平均単価 @1,275。
  • 2:売却価額 300×1,320=396,000/売却原価 300×1,275=382,500 → 売却益13,500
  • 4:3,000,000×98.50÷100=2,955,000。
  • 5:(3,000,000-2,955,000)÷5年=9,000帳簿価額を増やす(借方)方向です。
  • 7:ここが最重要のひっかけ。子会社株式・関連会社株式は時価が下がっても評価替えしません(著しい下落があった場合の減損は1級の範囲)。
  • 8:評価益150,000 → 繰延税金負債 150,000×30%=45,000、評価差額金 105,000。
確認問題8-2 有価証券の総合問題(第2問形式)応用

当社(決算日3月31日)の有価証券に関する資料は次のとおりである。当期末(X6年3月31日)の貸借対照表に計上される金額と、損益計算書に計上される金額を答えなさい。法定実効税率30%、税効果会計を適用する。

銘柄保有目的取得原価期末時価
L社株式売買目的720,000790,000
M社株式売買目的640,000595,000
N社社債満期保有目的1,880,0001,910,000
O社株式子会社株式5,000,0004,400,000
P社株式その他有価証券2,000,0002,240,000

N社社債は額面¥2,000,000、X5年4月1日に取得、償還日X10年3月31日(5年)。額面と取得価額の差は金利調整と認められるため償却原価法(定額法)を適用する。

解答・解説を見る
銘柄ごとの処理
銘柄処理B/S価額P/L・純資産への影響
L社時価評価790,000評価益 +70,000
M社時価評価595,000評価損 △45,000
N社償却原価法
(2,000,000-1,880,000)÷5=24,000
1,904,000有価証券利息 +24,000
O社評価替えなし5,000,000
P社時価評価(純資産直入)2,240,000繰延税金負債 72,000
評価差額金 168,000
解答
表示区分・科目金額
B/S 流動資産 有価証券(L+M)1,385,000
B/S 固定資産 投資有価証券(N+P)4,144,000
B/S 固定資産 関係会社株式(O)5,000,000
B/S 固定負債 繰延税金負債72,000
B/S 純資産 その他有価証券評価差額金168,000
P/L 営業外収益 有価証券評価益(70,000-45,000)25,000
P/L 営業外収益 有価証券利息24,000
この問題の落とし穴3つ
  1. O社(子会社株式)は時価が¥600,000下がっているが何もしない。ここで評価損を出すと連鎖的に全滅します。
  2. N社(満期保有)は時価¥1,910,000ではなく償却原価¥1,904,000で計上する。時価は使いません。
  3. P社(その他有価証券)の評価差額はP/Lに出さない。営業外収益に入れると誤りです。

第9章 引当金

引当金は「まだ支払っていないが、将来の支出が今期の営業活動から生じている」ものを、今期の費用として先取りする仕組みです。貸倒引当金は第3問で毎回出題、賞与・退職給付・修繕・商品保証は第1問の仕訳で狙われます。

9-1 引当金の4要件

POINT この4つを全部満たすときだけ引当金を計上できる
  1. 将来の特定の費用または損失であること
  2. その発生が当期以前の事象に起因していること
  3. 発生の可能性が高いこと
  4. 金額を合理的に見積もることができること
引当金繰入時の費用科目P/Lの表示区分
貸倒引当金(営業債権)貸倒引当金繰入販売費及び一般管理費
貸倒引当金(営業外債権)貸倒引当金繰入営業外費用
賞与引当金賞与引当金繰入販売費及び一般管理費/製造原価
退職給付引当金退職給付費用(「繰入」ではない)販売費及び一般管理費/製造原価
修繕引当金修繕引当金繰入販売費及び一般管理費/製造原価
商品保証引当金商品保証引当金繰入販売費及び一般管理費
注意 退職給付引当金だけ費用科目名が違う 他はすべて「○○引当金繰入」なのに、退職給付だけは「退職給付費用」です。ここは第1問で狙われます。

9-2 貸倒引当金 ― 債権の区分と設定率

図9-1 債権の3区分と貸倒見積高の計算
区分どういう相手か貸倒見積高の計算
一般債権経営状態に重大な問題がない通常の相手債権金額 × 貸倒実績率(例:2%)
貸倒懸念債権経営破綻には至っていないが、履行に重大な問題が生じている相手(債権金額 - 担保処分見込額) × 設定率(例:50%)
破産更生債権等経営破綻または実質的に破綻している相手債権金額 - 担保処分見込額(全額
暗記 差額補充法

繰入額 = 当期の貸倒見積高 - 期末の貸倒引当金残高

残高のほうが大きければ、差額を貸倒引当金戻入(収益)として戻します。

例題9-1 貸倒引当金(区分あり)応用

決算にあたり、次の資料により貸倒引当金を設定する(差額補充法)。決算整理前の貸倒引当金残高は¥38,000である。

債権金額区分・条件
受取手形1,200,000一般債権(貸倒実績率2%)
売掛金(Q社を除く)1,800,000一般債権(貸倒実績率2%)
売掛金(Q社に対するもの)500,000貸倒懸念債権。担保処分見込額¥200,000を控除した残額の50%を設定
長期貸付金800,000一般債権(貸倒実績率1%)
解答・解説を見る
Step1 貸倒見積高
区分計算見積高
営業債権(一般)(1,200,000+1,800,000) × 2%60,000
営業債権(懸念)(500,000 - 200,000) × 50%150,000
営業外債権800,000 × 1%8,000
合計218,000
Step2 差額補充法による繰入額

218,000 - 38,000 = ¥180,000

借方科目金額貸方科目金額
貸倒引当金繰入180,000貸倒引当金180,000
得点戦略 P/Lでは2か所に分かれる 損益計算書を作らせる問題では、営業債権分(60,000+150,000=210,000相当)は販売費及び一般管理費、営業外債権分(8,000相当)は営業外費用に分けて表示します。期末残高の按分方法は問題文の指示に従ってください(多くは「貸付金に係る繰入額は営業外費用とする」等の指示があります)。
例題9-2 貸倒れの発生と回収標準

(1) 当期に発生した売掛金¥120,000が貸し倒れた。貸倒引当金残高は¥300,000である。
(2) 前期に発生した売掛金¥250,000が貸し倒れた。貸倒引当金残高は¥180,000である。
(3) 前期以前に貸倒処理していた売掛金¥90,000を現金で回収した。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)貸倒損失120,000売掛金120,000
(2)貸倒引当金
貸倒損失
180,000
70,000
売掛金250,000
(3)現 金90,000償却債権取立益90,000
最重要 (1)と(2)の違い 当期に発生した債権が当期に貸し倒れた場合、貸倒引当金は使えません。引当金は「前期末に存在した債権」に対して積んだものだからです。当期発生 → 全額 貸倒損失前期以前発生 → まず引当金を取り崩す。第1問の頻出ひっかけです。

9-3 賞与引当金

「6月に支給する賞与は、12月〜5月の勤務に対するもの」というように、支給対象期間が決算をまたぐとき、当期に対応する月数分を引当金として計上します。

例題9-3 賞与引当金標準

当社(決算日3月31日)は、毎年6月10日と12月10日に賞与を支給している。6月支給の賞与は12月1日〜5月31日の勤務に対するもので、支給見込額は¥3,600,000である。

(1) X6年3月31日の決算整理仕訳 (2) X6年6月10日に賞与¥3,700,000を現金で支給したときの仕訳

解答・解説を見る
Step1 当期負担分

支給対象期間 12/1〜5/31 = 6か月。うち当期(〜3/31)に属するのは 12月・1月・2月・3月の4か月
3,600,000 × 4/6 = ¥2,400,000

No借方科目金額貸方科目金額
(1)賞与引当金繰入2,400,000賞与引当金2,400,000
(2)賞与引当金
賞 与
2,400,000
1,300,000
現 金3,700,000

支給時はまず引当金を全額取り崩し、超過分だけを当期の費用(賞与)とします。3,700,000 - 2,400,000 = ¥1,300,000。

9-4 退職給付引当金

図9-2 退職給付引当金の動き
退職給付引当金(負債)
退職金の支給(減少)
次期繰越
前期繰越
退職給付費用(繰入)(増加)

積み立てておいた引当金から退職金を支払うイメージです。支給時に「退職金」という費用は計上しません(引当金の範囲内であれば)。

例題9-4 退職給付引当金標準

(1) 決算にあたり、当期の退職給付費用¥1,800,000を計上する。
(2) 従業員が退職し、退職一時金¥2,500,000を当座預金から支払った。退職給付引当金の残高は十分にある。
(3) 【比較】外部の年金基金に掛金¥600,000を現金で拠出した(退職給付引当金を計上している場合)。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)退職給付費用1,800,000退職給付引当金1,800,000
(2)退職給付引当金2,500,000当座預金2,500,000
(3)退職給付引当金600,000現 金600,000

(3)の掛金拠出も、引当金の取り崩しとして処理します(費用にしません)。

9-5 修繕引当金・商品保証引当金

例題9-5 修繕引当金と商品保証引当金標準

(1) 決算にあたり、翌期に予定されている機械の定期修繕に備えて修繕引当金¥700,000を設定する。
(2) 翌期に修繕を行い、代金¥820,000を小切手を振り出して支払った。
(3) 決算にあたり、当期の売上高¥40,000,000について、過去の実績にもとづき0.5%の商品保証引当金を設定する。
(4) 前期に販売した商品について無償修理を行い、費用¥130,000を現金で支払った。商品保証引当金の残高は¥180,000である。
(5) 前期に設定した商品保証引当金のうち¥50,000について、保証期間が満了した。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)修繕引当金繰入700,000修繕引当金700,000
(2)修繕引当金
修繕費
700,000
120,000
当座預金820,000
(3)商品保証引当金繰入200,000商品保証引当金200,000
(4)商品保証引当金130,000現 金130,000
(5)商品保証引当金50,000商品保証引当金戻入50,000
  • (3):40,000,000 × 0.5% = ¥200,000。
  • (5):保証期間が過ぎて不要になった引当金は戻入(収益)として取り崩します。
注意 有償保証(延長保証)と混同しない 無償の品質保証は商品保証引当金ですが、追加料金をもらう延長保証は「契約負債」です(第2章 2-11参照)。収益認識基準の適用で扱いが分かれた論点なので、問題文が「無償」か「有償(別途料金)」かを必ず確認してください。

9-6 確認問題

確認問題9-1 引当金の仕訳10問標準
  1. 決算において、売掛金¥2,500,000と受取手形¥1,500,000(いずれも一般債権)に対し2%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。貸倒引当金残高は¥52,000である。
  2. 決算において、R社に対する売掛金¥800,000(貸倒懸念債権)について、担保処分見込額¥300,000を控除した残額の50%の貸倒引当金を設定する。
  3. 当期に販売した商品の売掛金¥95,000が貸し倒れた。貸倒引当金残高は¥400,000である。
  4. 前期に販売した商品の売掛金¥320,000が貸し倒れた。貸倒引当金残高は¥250,000である。
  5. 前々期に貸倒処理した売掛金¥60,000を当座預金に回収した。
  6. 決算において、6月支給予定の賞与(支給対象期間12月〜5月、支給見込額¥5,400,000)について引当金を設定する。決算日は3月31日。
  7. 賞与¥5,500,000を現金で支給した。賞与引当金の残高は¥3,600,000である。
  8. 決算にあたり、当期の退職給付費用¥2,200,000を計上する。
  9. 従業員の退職に伴い、退職一時金¥1,900,000を当座預金から支払った(引当金残高は十分)。
  10. 決算にあたり、当期売上高¥60,000,000の0.4%を商品保証引当金として設定する。商品保証引当金の残高はない。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1貸倒引当金繰入28,000貸倒引当金28,000
2貸倒引当金繰入250,000貸倒引当金250,000
3貸倒損失95,000売掛金95,000
4貸倒引当金
貸倒損失
250,000
70,000
売掛金320,000
5当座預金60,000償却債権取立益60,000
6賞与引当金繰入3,600,000賞与引当金3,600,000
7賞与引当金
賞 与
3,600,000
1,900,000
現 金5,500,000
8退職給付費用2,200,000退職給付引当金2,200,000
9退職給付引当金1,900,000当座預金1,900,000
10商品保証引当金繰入240,000商品保証引当金240,000
計算の内訳
  • 1:(2,500,000+1,500,000)×2%=80,000 → 80,000-52,000=28,000
  • 2:(800,000-300,000)×50%=250,000担保処分見込額を先に引くのがポイント。
  • 3と4:当期発生か前期以前発生かで処理が変わる。3は引当金を使えません。
  • 6:12月〜5月の6か月のうち当期は12〜3月の4か月 → 5,400,000×4/6=3,600,000
  • 10:60,000,000×0.4%=240,000
第5章〜第9章のまとめ ― 第3問での出方 決算整理の定番8項目のうち、減価償却(第5章)・貸倒引当金(第9章)・有価証券の評価(第8章)の3つはほぼ毎回出ます。この3つだけで第3問の配点の半分近くを占めることも珍しくありません。「売上原価・貸倒引当金・減価償却・経過勘定」の4点セットを最優先で仕上げる——これが第3問の攻略ルートです。

第10章 外貨建取引

ドル建てで取引したときの円換算の章です。覚えるのは「いつのレートで換算するか」だけ。ルールは3つしかありません。第1問と第3問(決算整理)で狙われます。

10-1 3つのレートと換算のルール

略号名称使う場面
HR取引時の為替相場
Historical Rate
取引が発生したときの換算
CR決算時の為替相場
Current Rate
決算日に貨幣項目だけを換算替え
FR先物為替相場
Forward Rate
為替予約を付した場合の換算
図10-1 決算時に換算替えするもの・しないもの
換算替えする(貨幣項目)
  • 外貨建の現金・預金
  • 売掛金・受取手形・未収入金
  • 買掛金・支払手形・未払金
  • 貸付金・借入金

→ 差額は為替差損益(P/L 営業外)

換算替えしない(非貨幣項目)
  • 前払金(手付金の支払い)
  • 前受金・契約負債(手付金の受取り)
  • 商品・棚卸資産
  • 固定資産

→ 取得時のレート(HR)のまま

暗記 「お金でもらう・お金で払う」ものだけ換算替え 前払金は「商品を受け取る権利」であって、お金が返ってくるわけではありません。だから前払金・前受金(契約負債)は決算で換算替えしない——ここが最頻出のひっかけです。

10-2 取引発生時・決済時・決算時

例題10-1 一連の流れ標準

当社(決算日3月31日)の取引である。

  1. X6年2月10日、米国の仕入先から商品 $5,000 を掛けで輸入した。直物為替相場は1ドル¥140。
  2. X6年3月5日、上記の買掛金のうち $3,000 を当座預金から支払った。直物為替相場は1ドル¥143。
  3. X6年3月31日、決算をむかえた。残りの買掛金 $2,000 について換算替えを行う。決算日の直物為替相場は1ドル¥145。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕 入700,000買掛金700,000
2買掛金
為替差損益
420,000
9,000
当座預金429,000
3為替差損益10,000買掛金10,000
計算
  • 1:$5,000 × 140 = ¥700,000
  • 2:買掛金の減少は取引時レートで $3,000 × 140 = 420,000。実際の支払額は $3,000 × 143 = 429,000。差額9,000は円安により余分に払った分 → 為替差損
  • 3:残り $2,000。帳簿価額 $2,000×140 = 280,000 → 決算日 $2,000×145 = 290,000。負債が10,000増える=損
POINT 為替差損益の符号を間違えないコツ 円安(レート上昇)のとき:資産は得、負債は損円高(レート下落)のとき:資産は損、負債は得
ドル建ての借金は、円安になると返す円が増えるので損——と現実の感覚で考えれば迷いません。
例題10-2 前払金がある場合応用

(1) X6年1月20日、商品 $10,000 の輸入契約を結び、手付金 $2,000 を当座預金から支払った。直物為替相場は1ドル¥142。
(2) X6年2月25日、商品が到着し、残額 $8,000 は掛けとした。直物為替相場は1ドル¥146。
(3) X6年3月31日、決算をむかえた。決算日の直物為替相場は1ドル¥150。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)前払金284,000当座預金284,000
(2)仕 入1,452,000前払金
買掛金
284,000
1,168,000
(3)為替差損益32,000買掛金32,000
計算
  • (1):$2,000 × 142 = 284,000
  • (2):買掛金 $8,000 × 146 = 1,168,000。仕入の金額は「前払金284,000 + 買掛金1,168,000 = 1,452,000」。$10,000 × 146 = 1,460,000 としてはいけません。前払金は支払時のレートで固定されているからです。
  • (3):買掛金 $8,000 のみ換算替え。$8,000 × (150 - 146) = 32,000 の為替差損前払金はすでに消滅しているので関係ありません

10-3 為替予約(振当処理)

将来の為替レートをあらかじめ銀行と約束しておくのが為替予約です。2級では振当処理——つまり予約レート(FR)で債権債務を固定してしまう方法を学びます。

図10-2 為替予約のタイミングによる2パターン
① 取引と同時(または取引前)に予約

最初から予約レート(FR)で取引を記帳する。
以後、決算でも決済でも換算替えは不要
為替差損益は発生しない。

② 取引の後で予約

すでに帳簿にある金額を、予約レート(FR)に付け替える
帳簿価額との差額を為替差損益で処理する。
以後、決算で換算替えは不要

いずれの場合も「予約を付けたら、その後は決算日レートで換算し直さない」のが最大のポイントです。

例題10-3 取引後に為替予約を付した場合応用

当社(決算日3月31日)の取引である。

  1. X6年2月1日、商品 $4,000 を掛けで輸出した。直物為替相場は1ドル¥140。
  2. X6年3月1日、上記の売掛金について、決済日(X6年4月30日)を期日とする為替予約を行った。先物為替相場は1ドル¥137。振当処理による。
  3. X6年3月31日、決算をむかえた。決算日の直物為替相場は1ドル¥144。
  4. X6年4月30日、売掛金を決済し、当座預金に入金された。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1売掛金560,000売 上560,000
2為替差損益12,000売掛金12,000
3仕訳なし(為替予約により固定済みのため換算替えしない)
4当座預金548,000売掛金548,000
計算
  • 1:$4,000 × 140 = 560,000
  • 2:予約レートによる金額 = $4,000 × 137 = 548,000。帳簿の560,000より12,000 少ない → 売掛金を減らし、為替差損12,000を計上
  • 3決算日レート¥144は使いません。ここで換算替えしてしまうのが最大のミスです
  • 4:予約レートどおりに¥548,000が入金される
深掘り 直々差額・直先差額の区分について 本来、取引後に予約した場合の差額は「直々差額(予約日の直物と取引日の直物の差=当期の損益)」と「直先差額(予約日の直物と先物の差=決済日までの期間配分)」に分けます。ただし2級では簡便的に全額を予約時の為替差損益として一括処理する形で出題されます。問題文に配分の指示がある場合のみ、指示に従ってください。

10-4 確認問題

確認問題10-1 外貨建取引の仕訳8問標準

決算日は3月31日。

  1. 商品 $6,000 を掛けで輸入した。直物為替相場は1ドル¥138。
  2. 上記1の買掛金全額を当座預金から支払った。直物為替相場は1ドル¥135。
  3. 商品 $9,000 を掛けで輸出した。直物為替相場は1ドル¥141。
  4. 決算をむかえた。上記3の売掛金は未決済である。決算日の直物為替相場は1ドル¥147。
  5. 商品 $12,000 の輸入契約を結び、手付金 $3,000 を当座預金から支払った。直物為替相場は1ドル¥140。
  6. 上記5の商品が到着し、残額 $9,000 は掛けとした。直物為替相場は1ドル¥144。
  7. 売掛金 $5,000(取引時レート1ドル¥139)について、先物為替相場1ドル¥136で為替予約を行った(振当処理、取引後の予約)。
  8. 決算をむかえた。上記7の売掛金は未決済である。決算日の直物為替相場は1ドル¥148。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕 入828,000買掛金828,000
2買掛金828,000当座預金
為替差損益
810,000
18,000
3売掛金1,269,000売 上1,269,000
4売掛金54,000為替差損益54,000
5前払金420,000当座預金420,000
6仕 入1,716,000前払金
買掛金
420,000
1,296,000
7為替差損益15,000売掛金15,000
8仕訳なし
計算の内訳
  • 1:$6,000×138=828,000 2:支払額 $6,000×135=810,000。円高になって支払いが少なくて済んだ → 為替差益18,000
  • 3:$9,000×141=1,269,000 4:$9,000×(147-141)=54,000の為替差益(資産+円安=得)。
  • 6:仕入=前払金420,000+買掛金($9,000×144=1,296,000)=1,716,000
  • 7:$5,000×(139-136)=15,000の為替差損。8:予約済みなので決算日レート¥148は無視

第11章 株式会社会計

この章の重要度 第2問で「株主資本等変動計算書」として単独出題される頻度が非常に高い章です。連結会計と並ぶ第2問の二大テーマ。利益準備金の積立額の計算だけは絶対に落とさないでください。

11-1 純資産(株主資本)の構造

図11-1 純資産の分類 ― どこから来たお金か
大分類中分類科目出どころ
株主資本資本金資本金株主が払い込んだお金
(元手)
資本剰余金資本準備金
その他資本剰余金
利益剰余金利益準備金会社が稼いだお金
(もうけの蓄積)
その他利益剰余金
(新築積立金・別途積立金・繰越利益剰余金)
評価・換算
差額等
その他有価証券評価差額金時価評価による含み損益
注意 資本剰余金と利益剰余金は絶対に混ぜない 「株主から預かった元手」と「会社が稼いだもうけ」は性質がまったく違うので、原則として振り替えたり相殺したりできません。第2問の株主資本等変動計算書でも、この2系統を左右に分けて記入します。

11-2 株式の発行(設立・増資)

暗記 資本金にいくら入れるか 原則は払込金額の全額を資本金にします。ただし会社法により、払込金額の2分の1までは資本金としないことができ、その分は「資本準備金」とします。
問題文の「会社法が規定する最低額を資本金とする」= 払込金額の1/2を資本金、1/2を資本準備金、という意味です。
例題11-1 設立と増資標準

(1) 会社の設立にあたり、株式1,000株を1株¥5,000で発行し、全額の払込みを受けて当座預金とした。会社法が規定する最低額を資本金とする。
(2) 設立にかかった登記費用など¥180,000を現金で支払った。
(3) 増資のため株式500株を1株¥8,000で募集したところ、申込期日までに全株式が申し込まれ、払込金額の全額が申込証拠金として別段預金に払い込まれた。
(4) 払込期日となり、上記の申込証拠金を資本金(会社法が規定する最低額)に振り替え、別段預金を当座預金に預け替えた。
(5) 増資にともなう株式の発行費用¥95,000を現金で支払った。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)当座預金5,000,000資本金
資本準備金
2,500,000
2,500,000
(2)創立費180,000現 金180,000
(3)別段預金4,000,000株式申込証拠金4,000,000
(4)株式申込証拠金
当座預金
4,000,000
4,000,000
資本金
資本準備金
別段預金
2,000,000
2,000,000
4,000,000
(5)株式交付費95,000現 金95,000
POINT 3つの「費」を使い分ける
科目使う場面
創立費会社を設立するまでにかかった費用(定款作成費、設立登記の登録免許税など)
開業費設立後、営業を開始するまでにかかった費用(開業準備の広告費、家賃など)
株式交付費増資のときの株式発行費用(設立時の株式発行費用は創立費に含める)

11-3 剰余金の配当と処分 ― 利益準備金の積立額

暗記 利益準備金の積立額(最重要公式)

積立額 = 次の①と②のうち小さいほう

① 配当金 × 1/10 ② 資本金 × 1/4 -(資本準備金+利益準備金)

②は「準備金の積立枠の残り」です。資本準備金と利益準備金の合計が資本金の4分の1に達したら、それ以上積み立てる必要はありません。

例題11-2 剰余金の配当(枠が十分ある場合)標準

株主総会において、繰越利益剰余金を財源として次のとおり剰余金の処分が決議された。仕訳を示しなさい。

  • 株主配当金 ¥3,000,000  別途積立金の積立て ¥500,000
  • 利益準備金は会社法が規定する額を積み立てる
  • 決議時点の資本金 ¥40,000,000、資本準備金 ¥6,000,000、利益準備金 ¥3,000,000
解答・解説を見る
Step1 利益準備金の積立額
  • ① 配当金 3,000,000 × 1/10 = ¥300,000
  • ② 40,000,000 × 1/4 - (6,000,000 + 3,000,000) = 10,000,000 - 9,000,000 = ¥1,000,000
  • 小さいほう → ¥300,000
借方科目金額貸方科目金額
繰越利益剰余金3,800,000未払配当金
利益準備金
別途積立金
3,000,000
300,000
500,000

配当は株主総会で決議した時点ではまだ支払っていないので「未払配当金」(負債)。実際に支払ったときに 未払配当金 / 当座預金 とします。

例題11-3 剰余金の配当(枠が足りない場合)応用

株主総会において、株主配当金¥4,000,000と、会社法が規定する額の利益準備金の積立てが決議された。決議時点の資本金は¥40,000,000、資本準備金は¥6,000,000、利益準備金は¥3,800,000である。

解答・解説を見る
Step1 利益準備金の積立額
  • ① 4,000,000 × 1/10 = ¥400,000
  • ② 40,000,000 × 1/4 - (6,000,000 + 3,800,000) = 10,000,000 - 9,800,000 = ¥200,000
  • 小さいほう → ¥200,000
借方科目金額貸方科目金額
繰越利益剰余金4,200,000未払配当金
利益準備金
4,000,000
200,000
ここが差がつくポイント ①だけ計算して400,000と答えてしまう受験生が非常に多い論点です。問題文に「資本準備金」「利益準備金」の金額が書いてあったら、それは②を計算させるサインだと思ってください。
その他資本剰余金を財源とする配当 配当の財源が繰越利益剰余金ではなくその他資本剰余金の場合、積み立てるのは利益準備金ではなく「資本準備金」です。計算式は同じ。
その他資本剰余金 / 未払配当金・資本準備金

11-4 株主資本等変動計算書(S/S)

純資産の各項目が1年間でどう動いたかを示す財務諸表です。「当期首残高+当期変動額=当期末残高」を横に埋めていくだけ——形式さえ知っていれば怖くありません。

例題11-4 株主資本等変動計算書応用

当社(会計期間X5年4月1日〜X6年3月31日)の資料は次のとおりである。株主資本等変動計算書を完成させなさい(単位:千円)。

  • 当期首残高:資本金 40,000/資本準備金 6,000/利益準備金 3,000/繰越利益剰余金 12,000
  • X5年6月25日の株主総会で、配当金 3,000、利益準備金の積立て(会社法規定額)、別途積立金の積立て 500 を決議した
  • X5年10月1日、増資により株式を発行し、払込金額 8,000 の全額を当座預金とした。会社法規定の最低額を資本金とした
  • 当期純利益は 9,400 であった
解答・解説を見る
Step1 利益準備金の積立額

① 3,000 × 1/10 = 300 / ② 40,000 × 1/4 -(6,000+3,000) = 1,000 → 300

Step2 増資

8,000 × 1/2 = 資本金 4,000、資本準備金 4,000

Step3 株主資本等変動計算書
 資本金資本剰余金利益剰余金株主資本
合計
資本
準備金
資本剰余金
合計
利益
準備金
別途
積立金
繰越利益
剰余金
当期首残高40,0006,0006,0003,000012,00061,000
剰余金の配当300△3,300△3,000
別途積立金の積立500△5000
新株の発行4,0004,0004,0008,000
当期純利益9,4009,400
当期変動額合計4,0004,0004,0003005005,60014,400
当期末残高44,00010,00010,0003,30050017,60075,400
POINT 3つの検算
  • 横の検算:各行の合計が「株主資本合計」欄と一致する。配当の行は △3,300 + 300 = △3,000(社外に出ていくのは配当金だけ)。
  • 積立金の行は必ずゼロ:別途積立金への振替は純資産内の移動なので、合計は動きません。
  • 縦の検算:当期首残高 + 当期変動額合計 = 当期末残高。61,000 + 14,400 = 75,400 ✔

11-5 確認問題

確認問題11-1 株式会社会計の仕訳8問標準
  1. 会社設立にあたり、株式2,000株を1株¥3,000で発行し、全額払込みを受けて当座預金とした。資本金は会社法が規定する最低額とする。
  2. 設立にあたり、定款作成費および設立登記費用¥260,000を現金で支払った。
  3. 会社設立後、営業開始までの広告宣伝費と事務所賃借料の合計¥420,000を当座預金から支払った。
  4. 増資のため株式300株を1株¥10,000で募集し、申込期日までに全額が申込証拠金として別段預金に払い込まれた。
  5. 上記4について払込期日となったので、申込証拠金を資本金(全額)に振り替え、別段預金を当座預金とした。
  6. 株主総会で、繰越利益剰余金を財源として配当金¥2,500,000、新築積立金¥800,000の積立て、および会社法規定額の利益準備金の積立てが決議された。資本金¥30,000,000、資本準備金¥4,000,000、利益準備金¥3,200,000である。
  7. 上記6の配当金を当座預金から支払った。
  8. 株主総会で、その他資本剰余金を財源として配当金¥1,200,000と、会社法規定額の準備金の積立てが決議された。資本金¥50,000,000、資本準備金¥8,000,000、利益準備金¥4,000,000である。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1当座預金6,000,000資本金
資本準備金
3,000,000
3,000,000
2創立費260,000現 金260,000
3開業費420,000当座預金420,000
4別段預金3,000,000株式申込証拠金3,000,000
5株式申込証拠金
当座預金
3,000,000
3,000,000
資本金
別段預金
3,000,000
3,000,000
6繰越利益剰余金3,550,000未払配当金
利益準備金
新築積立金
2,500,000
250,000
800,000
7未払配当金2,500,000当座預金2,500,000
8その他資本剰余金1,320,000未払配当金
資本準備金
1,200,000
120,000
計算の内訳
  • 6:① 2,500,000×1/10=250,000 ② 30,000,000×1/4-(4,000,000+3,200,000)=7,500,000-7,200,000=300,000 → 小さいほうの250,000を積み立てます。繰越利益剰余金の減少額は 2,500,000+250,000+800,000=3,550,000
  • 参考:もし資本準備金+利益準備金がすでに資本金の1/4以上に達している場合、②がゼロ以下になるため利益準備金の積立ては不要(積立額ゼロ)となります。
  • 8:① 1,200,000×1/10=120,000 ② 50,000,000×1/4-(8,000,000+4,000,000)=12,500,000-12,000,000=500,000 → 小さいほう120,000。財源がその他資本剰余金なので資本準備金を積み立てます。

第12章 税金と税効果会計

12-1 法人税等

図12-1 法人税等の1年間の流れ
①中間申告(期中)
概算で納付
仮払法人税等
②決算年税額を確定
法人税、住民税
及び事業税
③差額年税額-中間分
未払法人税等
④確定申告(翌期)
未払分を納付
例題12-1 法人税等基本

(1) 中間申告を行い、法人税・住民税及び事業税の中間納付額¥1,300,000を現金で納付した。
(2) 決算において、当期の法人税、住民税及び事業税が¥3,100,000と算定された。
(3) 確定申告を行い、未払分を当座預金から納付した。
(4) 【別解】(2)で年税額が¥1,100,000であった場合の決算整理仕訳。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)仮払法人税等1,300,000現 金1,300,000
(2)法人税、住民税及び事業税3,100,000仮払法人税等
未払法人税等
1,300,000
1,800,000
(3)未払法人税等1,800,000当座預金1,800,000
(4)法人税、住民税及び事業税
未収還付法人税等
1,100,000
200,000
仮払法人税等1,300,000

(4)のように中間納付が多すぎた場合は、払いすぎた分が戻ってくる=資産(未収還付法人税等)になります。

12-2 消費税(税抜方式)

暗記 税抜方式は「預かった分-払った分」を納める 仮受消費税(預かった) - 仮払消費税(払った) = 未払消費税(納付額)
仮払のほうが多ければ未収還付消費税(資産)になります。消費税は費用でも収益でもありません——ここが最大のポイントです。
例題12-2 消費税(税抜方式)標準

(1) 商品¥800,000(税抜)を仕入れ、消費税¥80,000とともに掛けとした。
(2) 商品¥1,400,000(税抜)を売り上げ、消費税¥140,000とともに掛けとした。
(3) 決算にあたり、消費税の納付額を確定した。
(4) 確定申告により、上記の消費税を現金で納付した。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)仕 入
仮払消費税
800,000
80,000
買掛金880,000
(2)売掛金1,540,000売 上
仮受消費税
1,400,000
140,000
(3)仮受消費税140,000仮払消費税
未払消費税
80,000
60,000
(4)未払消費税60,000現 金60,000

税抜方式では仕入も売上も「税抜きの本体価格」だけを記録します。P/Lに消費税は一切登場しません。

12-3 税効果会計 ― なぜ必要なのか

考え方 「会計の利益」と「税務の所得」はズレる 会計は「正しい業績を示す」ため、税務は「公平に課税する」ためのルールなので、同じ会社でも利益の計算結果が違います
たとえば会計では貸倒引当金を¥100万積んでも、税務では¥60万までしか経費(損金)と認めない、ということが起こります。すると税金だけが不釣り合いに多く見えてしまうので、その分を調整して「会計上あるべき税金の額」に直すのが税効果会計です。
図12-2 税効果会計のイメージ(実効税率30%)
 税効果会計を適用しないと…税効果会計を適用すると
税引前当期純利益1,000,0001,000,000
法人税、住民税及び事業税360,000360,000
法人税等調整額△60,000
当期純利益640,000700,000
実質的な税負担率36%(不自然)30%(あるべき姿)

12-4 一時差異と仕訳のパターン

2級で出る一時差異内容生じる勘定
貸倒引当金の繰入限度超過額会計で計上した繰入額のうち、税務が認めない部分繰延税金資産
(将来の税金が減る)
減価償却費の償却限度超過額会計の耐用年数が税務より短いために生じる差
棚卸資産の評価損など税務上、当期の損金と認められない部分
その他有価証券の評価差益時価が上がったが、まだ売っていないので課税されていない繰延税金負債
(将来の税金が増える)
暗記 仕訳のかたち
場面仕訳
差異が発生(繰入限度超過など)繰延税金資産 / 法人税等調整額
差異が解消(実際に貸倒れた など)法人税等調整額 / 繰延税金資産
その他有価証券の評価差益その他有価証券 / 繰延税金負債・評価差額金
(法人税等調整額を使わない!)
例題12-3 貸倒引当金と減価償却の税効果応用

当社(法定実効税率30%)の資料は次のとおりである。税効果会計に関する決算整理仕訳を示しなさい。なお、期首の繰延税金資産は¥90,000(すべて貸倒引当金に係るもの)である。

  • 当期末の貸倒引当金繰入額は¥500,000であるが、税務上の損金算入限度額は¥380,000であった
  • 当期の減価償却費は¥900,000であるが、税務上の損金算入限度額は¥720,000であった
解答・解説を見る
Step1 当期末に必要な繰延税金資産
項目会計税務一時差異×30%
貸倒引当金繰入500,000380,000120,00036,000
減価償却費900,000720,000180,00054,000
合計300,00090,000
Step2 期首残高との差額を調整する

期末にあるべき繰延税金資産 ¥90,000 - 期首残高 ¥90,000 = ±0

借方科目金額貸方科目金額
仕訳なし(期首と期末の繰延税金資産が同額のため調整不要)
最重要 税効果は「残高で考える」 税効果会計の仕訳は、当期の差異を足し算するのではなく、「期末にあるべき繰延税金資産の残高」と「期首の残高」の差額を計上します。
たとえば期首残高が¥60,000だったなら、90,000 - 60,000 = 30,000 を追加計上して
繰延税金資産 30,000 / 法人税等調整額 30,000 となります。
この「洗替え」の発想が身につけば、税効果はもう怖くありません。
例題12-4 税効果を含む決算(総合)応用

当社(法定実効税率30%、決算日3月31日)の資料は次のとおり。必要な決算整理仕訳を示し、損益計算書の末尾(税引前当期純利益から当期純利益まで)を作成しなさい。

  • 税引前当期純利益 ¥5,000,000
  • 法人税、住民税及び事業税の年税額 ¥1,740,000(仮払法人税等 ¥700,000 が計上済み)
  • 期首の繰延税金資産 ¥120,000、当期末に必要な繰延税金資産 ¥210,000
解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
法人税、住民税及び事業税1,740,000仮払法人税等
未払法人税等
700,000
1,040,000
繰延税金資産90,000法人税等調整額90,000
損益計算書(末尾)
税引前当期純利益5,000,000
 法人税、住民税及び事業税1,740,000
 法人税等調整額△90,000
(差引)1,650,000
当期純利益3,350,000
  • 繰延税金資産の増加 = 210,000 - 120,000 = ¥90,000(借方=資産の増加)
  • 相手勘定の法人税等調整額は貸方 → P/Lではマイナス表示(△)となり、税金費用を減らします
  • 検算:5,000,000 × 30% = 1,500,000。実際の税金費用1,650,000との差は、永久差異(交際費の損金不算入など)があるためです(2級では調整しません)
POINT 繰延税金資産・負債のB/S表示 繰延税金資産は「投資その他の資産」(固定資産)、繰延税金負債は「固定負債」に表示します。同一の納税主体のものは相殺して純額で表示します。流動資産に置かないよう注意してください。

12-5 確認問題

確認問題12-1 税金・税効果の仕訳8問標準

法定実効税率は30%とする。

  1. 法人税等の中間納付として¥950,000を当座預金から納付した。
  2. 決算において、当期の法人税、住民税及び事業税が¥2,400,000と確定した(中間納付額は上記1のとおり)。
  3. 決算において、当期の法人税、住民税及び事業税が¥820,000と確定した(中間納付額は上記1のとおり)。
  4. 商品¥600,000(税抜)を仕入れ、消費税10%とともに掛けとした(税抜方式)。
  5. 商品¥950,000(税抜)を売り上げ、消費税10%とともに掛けとした(税抜方式)。
  6. 決算において、仮受消費税¥1,480,000と仮払消費税¥1,020,000を相殺し、納付額を確定した。
  7. 決算において、貸倒引当金繰入額¥400,000のうち¥250,000が損金不算入となった。期首の繰延税金資産はゼロである。
  8. 決算において、当期末に必要な繰延税金資産は¥180,000と算定された。期首の繰延税金資産は¥260,000である。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仮払法人税等950,000当座預金950,000
2法人税、住民税及び事業税2,400,000仮払法人税等
未払法人税等
950,000
1,450,000
3法人税、住民税及び事業税
未収還付法人税等
820,000
130,000
仮払法人税等950,000
4仕 入
仮払消費税
600,000
60,000
買掛金660,000
5売掛金1,045,000売 上
仮受消費税
950,000
95,000
6仮受消費税1,480,000仮払消費税
未払消費税
1,020,000
460,000
7繰延税金資産75,000法人税等調整額75,000
8法人税等調整額80,000繰延税金資産80,000
計算の内訳
  • 7:損金不算入額 250,000 × 30% = 75,000。期首ゼロなので全額を計上。
  • 8:180,000 - 260,000 = △80,000(減少) → 繰延税金資産を減らし、法人税等調整額は借方(=税金費用を増やす)。

第13章 決算と財務諸表 ― 第3問の攻略

この章がゴール地点 第3問(20点)はここまでの全論点が集まる場所です。やり方さえ手順化すれば、毎回同じ作業の繰り返しになります。この章では「解く順番」と「表示のルール」を固めます。

13-1 経過勘定 ― 費用収益の見越し・繰延べ

図13-1 4つの経過勘定
科目区分状況決算整理仕訳
前払費用資産まだサービスを受けていないのに払った前払○○ / ○○費(費用を減らす)
未払費用負債サービスは受けたのにまだ払っていない○○費 / 未払○○(費用を増やす)
前受収益負債まだサービスを提供していないのにもらった受取○○ / 前受○○(収益を減らす)
未収収益資産サービスは提供したのにまだもらっていない未収○○ / 受取○○(収益を増やす)

これらは翌期首に「再振替仕訳」(逆仕訳)を行います。第2問の勘定記入で必ず問われます。

例題13-1 経過勘定標準

当社(決算日3月31日)の資料により、決算整理仕訳を示しなさい。

  1. 保険料は、X5年8月1日に向こう1年分¥360,000を一括して支払ったものである。
  2. 借入金¥4,000,000は X5年12月1日に年利率3%、期間1年、利息は返済時に元本とともに支払う条件で借り入れたものである。
  3. 受取地代は、X5年10月1日に向こう6か月分¥180,000を受け取ったものである。
  4. 貸付金¥2,400,000は X6年2月1日に年利率2.5%で貸し付けたもので、利息は返済時に受け取る。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1前払保険料120,000保険料120,000
2支払利息40,000未払利息40,000
3仕訳なし(10/1〜3/31の6か月分がすべて当期に対応するため)
4未収利息10,000受取利息10,000
計算
  • 1:X5/8/1〜X6/7/31の1年分。翌期分は4月〜7月の4か月 → 360,000 × 4/12 = 120,000を前払費用へ。
  • 2:X5/12/1〜X6/3/31の4か月分が当期の費用 → 4,000,000 × 3% × 4/12 = 40,000
  • 3:X5/10/1〜X6/3/31 = ちょうど当期の6か月分。繰り延べる分がないので仕訳不要。「6か月分もらった=必ず前受け」と反射的に処理するのが典型的なミスです。
  • 4:X6/2/1〜X6/3/31の2か月分 → 2,400,000 × 2.5% × 2/12 = 10,000

13-2 損益計算書の様式(報告式)

図13-2 損益計算書の5つの利益
区分主な科目
Ⅰ 売上高売上
Ⅱ 売上原価
 期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高
 +棚卸減耗損+商品評価損(指示があれば)
仕入、棚卸減耗損、商品評価損
= 売上総利益
Ⅲ 販売費及び一般管理費給料、法定福利費、広告宣伝費、支払家賃、水道光熱費、通信費、旅費交通費、租税公課、支払手数料、貸倒引当金繰入(営業債権)、減価償却費、のれん償却、ソフトウェア償却、賞与引当金繰入、退職給付費用、修繕引当金繰入、商品保証引当金繰入、研究開発費
= 営業利益
Ⅳ 営業外収益受取利息、有価証券利息、受取配当金、仕入割引、有価証券評価益、有価証券売却益、為替差益、償却債権取立益、雑益
Ⅴ 営業外費用支払利息、手形売却損、債権売却損、電子記録債権売却損、有価証券評価損、有価証券売却損、為替差損、貸倒引当金繰入(営業外債権)、雑損
= 経常利益
Ⅵ 特別利益固定資産売却益、保険差益、負ののれん発生益、国庫補助金受贈益
Ⅶ 特別損失固定資産売却損、固定資産除却損、固定資産廃棄損、火災損失、固定資産圧縮損
= 税引前当期純利益
 法人税、住民税及び事業税
 法人税等調整額
= 当期純利益
注意 区分を間違えやすい3つ
  • 貸倒引当金繰入:売掛金・受取手形に対するもの=販管費/貸付金に対するもの=営業外費用
  • 手形売却損:販管費ではなく営業外費用(利息の性質)
  • 固定資産売却損益特別損益(営業外ではない)

13-3 貸借対照表の様式と表示科目の読み替え

帳簿上の勘定科目貸借対照表の表示科目
繰越商品商品
売買目的有価証券有価証券(流動資産)
満期保有目的債券、その他有価証券投資有価証券(投資その他の資産)
子会社株式、関連会社株式関係会社株式(投資その他の資産)
前払保険料、前払家賃…前払費用(1年超は長期前払費用)
未払利息、未払家賃…未払費用
貸倒引当金売掛金・受取手形から控除する形式で表示
減価償却累計額建物・備品から控除する形式で表示
当座預金の貸方残高当座借越または短期借入金(流動負債)
暗記 ワン・イヤー・ルール 決算日の翌日から1年以内に現金化・支払期限が到来するものは流動、1年を超えるものは固定に分類します。
例:長期借入金のうち1年以内に返済する分 → 1年内返済長期借入金(流動負債)/リース債務のうち1年超の分 → 長期リース債務(固定負債)

13-4 第3問の解答手順

  1. 答案用紙をざっと見て、何を作るのか確認する(財務諸表か/精算表か/後T/Bか)
  2. 決算整理事項に通し番号を振り、下書用紙に仕訳を書く。ここでは答案用紙に書かない
  3. 動かない項目を先に答案用紙へ写す(現金、当座預金、資本金、資本準備金、土地など)
  4. 4点セットを処理する:①売上原価 ②貸倒引当金 ③減価償却 ④経過勘定
  5. 残りの整理事項を上から処理。詰まったら飛ばす
  6. 最後に当期純利益を計算(時間が足りなければ空欄でよい)
得点戦略 当期純利益は「最後の最後」 当期純利益は全部の数字が合って初めて正解になります。配点はせいぜい3点。ここに10分かけるより、他の空欄を5個埋めるほうが確実に得点は伸びます。

13-5 総合問題(第3問形式)

総合問題13-1 損益計算書の作成応用

次の決算整理前残高試算表(一部)と決算整理事項により、損益計算書の金額を答えなさい。会計期間はX5年4月1日〜X6年3月31日。法定実効税率30%。

決算整理前残高試算表(一部)
借方金額貸方金額
繰越商品840,000貸倒引当金32,000
売掛金3,600,000建物減価償却累計額2,700,000
受取手形1,400,000売上28,500,000
建物9,000,000受取地代240,000
仕入19,200,000  
給料4,300,000  
保険料480,000  
仮払法人税等380,000  

決算整理事項

  1. 期末商品:帳簿棚卸高¥910,000、実地棚卸高¥880,000、正味売却価額による評価額¥855,000。棚卸減耗損・商品評価損はともに売上原価に算入する。
  2. 売掛金および受取手形の期末残高に対して2%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。
  3. 建物について定額法(耐用年数30年、残存価額ゼロ)により減価償却を行う。
  4. 保険料はX5年11月1日に向こう1年分を支払ったものである。
  5. 受取地代のうち¥60,000は翌期分である。
  6. 法人税、住民税及び事業税を¥1,050,000計上する。
  7. 税効果会計を適用する。期首の繰延税金資産は¥45,000、期末に必要な繰延税金資産は¥66,000である。
解答・解説を見る
Step1 決算整理仕訳
No借方科目金額貸方科目金額
1仕 入
繰越商品
棚卸減耗損
商品評価損
仕 入
840,000
910,000
30,000
25,000
55,000
繰越商品
仕 入
繰越商品
繰越商品
棚卸減耗損・商品評価損
840,000
910,000
30,000
25,000
55,000
2貸倒引当金繰入68,000貸倒引当金68,000
3減価償却費300,000建物減価償却累計額300,000
4前払保険料280,000保険料280,000
5受取地代60,000前受地代60,000
6法人税、住民税及び事業税1,050,000仮払法人税等
未払法人税等
380,000
670,000
7繰延税金資産21,000法人税等調整額21,000
Step2 計算の内訳
  • 1:棚卸減耗損=910,000-880,000=30,000/商品評価損=880,000-855,000=25,000
  • 2:(3,600,000+1,400,000)×2%=100,000 - 残高32,000 = 68,000
  • 3:9,000,000÷30年=300,000
  • 4:X5/11/1〜X6/10/31の1年分。翌期分は4月〜10月の7か月 → 480,000×7/12=280,000
  • 7:66,000-45,000=21,000(増加=貸方に法人税等調整額)
Step3 損益計算書
区分・科目金額
Ⅰ 売上高28,500,000
Ⅱ 売上原価
 840,000 + 19,200,000 - 910,000 + 30,000 + 25,000
19,185,000
売上総利益9,315,000
Ⅲ 販売費及び一般管理費
 給料 4,300,000 + 保険料 200,000 + 貸倒引当金繰入 68,000 + 減価償却費 300,000
4,868,000
営業利益4,447,000
Ⅳ 営業外収益 受取地代(240,000-60,000)180,000
経常利益=税引前当期純利益4,627,000
 法人税、住民税及び事業税1,050,000
 法人税等調整額△21,000
当期純利益3,598,000
確認ポイント
  • 保険料は 480,000 - 280,000 = 200,000 がP/Lの金額。
  • 棚卸減耗損・商品評価損は「売上原価に算入する」指示があるので、販管費ではなく売上原価の内訳に含めます。
  • 当期純利益 = 4,627,000 - 1,050,000 + 21,000 = 3,598,000

13-6 製造業を営む会社の決算

商品を仕入れて売る会社ではなく、自社で製造する会社の場合、損益計算書の売上原価の内訳が変わります。ここが工業簿記との接続点です。

商品売買業

期首商品棚卸高
+ 当期商品仕入高
- 期末商品棚卸高
= 売上原価

製造業

期首製品棚卸高
当期製品製造原価
- 期末製品棚卸高
= 売上原価

「当期製品製造原価」は製造原価報告書で計算します(第26章)。

注意 製造業のB/Sに出てくる棚卸資産は3種類 材料・仕掛品・製品——この3つが流動資産に並びます。「商品」ではありません。

13-7 確認問題

確認問題13-1 表示区分の判定標準

次の各項目が、損益計算書のどの区分に表示されるか答えなさい。

  1. 棚卸減耗損(原価性あり・売上原価に算入する指示あり)
  2. 手形売却損
  3. 貸倒引当金繰入(長期貸付金に対するもの)
  4. 固定資産除却損
  5. のれん償却
  6. 仕入割引
  7. 保険差益
  8. 為替差損
  9. 研究開発費
  10. 退職給付費用
解答・解説を見る
No項目表示区分
1棚卸減耗損売上原価(内訳)
2手形売却損営業外費用
3貸倒引当金繰入(貸付金)営業外費用
4固定資産除却損特別損失
5のれん償却販売費及び一般管理費
6仕入割引営業外収益
7保険差益特別利益
8為替差損営業外費用
9研究開発費販売費及び一般管理費
10退職給付費用販売費及び一般管理費

この10問が即答できれば、財務諸表作成問題の表示区分でつまずくことはほぼなくなります。

確認問題13-2 貸借対照表の表示標準

次の資料により、貸借対照表に表示される金額を答えなさい。

  • 売掛金 ¥2,800,000、受取手形 ¥1,200,000、貸倒引当金 ¥80,000(すべて営業債権に係るもの)
  • 建物 ¥12,000,000、建物減価償却累計額 ¥4,800,000
  • 繰越商品(決算整理後)¥760,000
  • 売買目的有価証券 ¥940,000、満期保有目的債券 ¥1,952,000、子会社株式 ¥3,000,000
  • 長期借入金 ¥6,000,000(うち¥1,500,000は翌期中に返済期限が到来する)
  • 繰延税金資産 ¥66,000
解答・解説を見る
区分表示科目金額
流動資産受取手形 1,200,000
 貸倒引当金 △24,000
1,176,000
売掛金 2,800,000
 貸倒引当金 △56,000
2,744,000
商品760,000
有価証券940,000
固定資産建物 12,000,000
 減価償却累計額 △4,800,000
7,200,000
投資有価証券1,952,000
関係会社株式3,000,000
繰延税金資産(投資その他の資産)66,000
流動負債1年内返済長期借入金1,500,000
固定負債長期借入金4,500,000
3つのポイント
  • 貸倒引当金は受取手形と売掛金に按分して控除形式で表示(1,200,000:2,800,000=3:7 → 24,000と56,000)。合算して一括控除する形式で示す場合もあるので、答案用紙の形式に従います。
  • 売買目的=有価証券(流動)、満期保有=投資有価証券(固定)、子会社株式=関係会社株式(固定)と科目名を必ず読み替える
  • 長期借入金は1年内返済分を流動負債へ振り替える(ワン・イヤー・ルール)。

第14章 本支店会計

支店を持つ会社が、支店にも独立した帳簿を持たせて記帳する仕組みです。第3問で「本支店合併損益計算書・貸借対照表」または「本店の損益勘定」を作らせる形で出題されます。

14-1 本店勘定と支店勘定 ― 鏡のような関係

POINT 本店勘定と支店勘定は必ず貸借逆で一致する 本店の帳簿にある「支店」勘定と、支店の帳簿にある「本店」勘定は、同じ金額が反対側に立つ関係になります。決算で一致しない場合は未達取引があるということです。
図14-1 本支店間取引のイメージ
【本店の帳簿】支 店
支店へ送った分(増)
支店から受けた分(減)
【支店の帳簿】本 店
本店へ送った分(減)
本店から受けた分(増)

支店勘定は本店にとっての「支店への投資」=資産的な性格、本店勘定は支店にとっての「本店からの元手」=純資産的な性格を持ちます。

例題14-1 本支店間取引標準

次の取引について、本店・支店それぞれの仕訳を示しなさい。なお、本店から支店への商品の発送は原価で行っている。

  1. 本店は支店に現金¥500,000を送金した。
  2. 本店は支店に商品¥800,000(原価)を発送した。
  3. 支店は本店の買掛金¥300,000を小切手を振り出して支払った。
  4. 支店は本店の売掛金¥250,000を現金で回収した。
  5. 本店は支店の広告宣伝費¥120,000を現金で立替払いした。
解答・解説を見る
No【本店】借方金額【本店】貸方金額
1支 店500,000現 金500,000
2支 店800,000仕 入800,000
3買掛金300,000支 店300,000
4支 店250,000売掛金250,000
5支 店120,000現 金120,000
No【支店】借方金額【支店】貸方金額
1現 金500,000本 店500,000
2仕 入800,000本 店800,000
3本 店300,000当座預金300,000
4現 金250,000本 店250,000
5広告宣伝費120,000本 店120,000
暗記 外部との取引以外は必ず「支店/本店」が出てくる 本支店間の取引では、相手勘定は必ず「支店」(本店側)または「本店」(支店側)になります。両者の仕訳を並べると、支店勘定と本店勘定が必ず貸借逆になっていることを確認してください。

14-2 支店が複数ある場合 ― 2つの制度

支店分散計算制度

支店同士が直接やりとりする。各支店は相手支店の勘定を設ける。

例:札幌支店が旭川支店に現金を送った
【札幌支店】旭川支店 / 現金
【旭川支店】現 金 / 札幌支店
【本 店】仕訳なし

本店集中計算制度

すべて本店を経由したものとみなす。各支店は本店勘定だけを持つ。

例:同じ取引
【札幌支店】本 店 / 現金
【旭川支店】現 金 / 本店
【本 店】旭川支店 / 札幌支店

注意 本店集中計算制度では本店にも仕訳が必要 実際にはお金は本店を通っていないのに、「札幌支店 → 本店 → 旭川支店」と動いたものとみなして本店にも仕訳を切ります。第1問でよく問われるポイントです。

14-3 決算手続と本支店合併財務諸表

  1. 未達取引の処理 本店の支店勘定と支店の本店勘定が一致するように、届いていない側で仕訳を追加する
  2. 決算整理 本店・支店それぞれで、売上原価・減価償却・貸倒引当金・経過勘定などを処理する
  3. 合併 本店と支店の金額を合算し、支店勘定と本店勘定を相殺消去して合併財務諸表を作る
例題14-2 未達取引と合併応用

決算にあたり、本店の支店勘定は借方残高¥1,850,000、支店の本店勘定は貸方残高¥1,690,000であった。調査したところ次の未達事項が判明した。必要な仕訳を示し、一致後の金額を求めなさい。

  1. 本店が支店へ発送した商品¥180,000(原価)が支店に未達である。
  2. 支店が本店の売掛金¥90,000を回収したが、本店に未達である。
  3. 本店が支店の費用¥70,000を立替払いしたが、支店に未達である。
解答・解説を見る
未達の仕訳(届いていない側で切る)
No借方科目金額貸方科目金額
1【支店】仕 入180,000本 店180,000
2【本店】支 店90,000売掛金90,000
3【支店】諸費用70,000本 店70,000
一致の確認
本店の「支店」勘定支店の「本店」勘定
1,850,000 + 90,000(No.2)1,690,000 + 180,000(No.1)+ 70,000(No.3)
1,940,0001,940,000 一致 ✔
得点戦略 未達は「差額」で検算できる 最初の差額は 1,850,000 - 1,690,000 = 160,000
一方、未達事項を仕分けると 支店側で処理するもの(180,000+70,000=250,000)- 本店側で処理するもの(90,000)= 160,000
この2つが一致すれば、どちらの側で仕訳を切るかの判断が正しいということです。合わないときは、必ず「どちら側で切るか」を間違えています。
参考 商品を原価より高い金額で振り替える場合 本店が支店へ商品を送るとき、原価に一定の利益(内部利益)を上乗せする方法もあります。この場合は決算で未実現の内部利益を控除する処理が必要になりますが、近年の2級の出題では「原価で発送する」前提の問題がほとんどです。問題文に「原価の10%増しで送付している」等の記載があった場合のみ、指示に従って控除してください。
例題14-3 本店の損益勘定応用

本店の当期純利益は¥2,400,000、支店の当期純利益は¥900,000であった。会社全体の当期純利益と、本店の帳簿における振替仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
帳簿借方科目金額貸方科目金額
支店損 益900,000本 店900,000
本店支 店900,000損 益900,000
本店損 益3,300,000繰越利益剰余金3,300,000

会社全体の当期純利益 = 2,400,000 + 900,000 = ¥3,300,000

支店は自分で繰越利益剰余金を持ちません。支店の利益は本店に振り替えられ、本店の損益勘定で合算されてから繰越利益剰余金になります。

第15章 伝票会計と帳簿組織

15-1 3伝票制

伝票起票する取引仕訳のかたち
入金伝票現金が増える取引借方は必ず現金 → 伝票には貸方科目だけ書く
出金伝票現金が減る取引貸方は必ず現金 → 伝票には借方科目だけ書く
振替伝票現金が動かない取引借方・貸方の両方を書く

15-2 一部現金取引の2つの起票方法

「商品¥300,000を売り上げ、¥100,000は現金で受け取り、残額は掛けとした」——このように現金取引と非現金取引が混ざった取引は、2通りの起票方法があります。

方法① 取引を分解する

入金伝票
(借)現金 100,000 /(貸)売上 100,000

振替伝票
(借)売掛金 200,000 /(貸)売上 200,000

方法② いったん全額を掛けとみなす

振替伝票
(借)売掛金 300,000 /(貸)売上 300,000

入金伝票
(借)現金 100,000 /(貸)売掛金 100,000

暗記 見分け方は「入金伝票の貸方科目」 入金伝票の貸方が「売上」なら方法①(分解)「売掛金」なら方法②(いったん全額掛け)
問題では振替伝票か入金伝票の一部が空欄になっており、埋まっている側から方法を判定してもう一方を埋めます。
例題15-1 一部現金取引の起票標準

商品¥480,000を仕入れ、¥180,000は現金で支払い、残額は掛けとした。次の2つの方法で起票しなさい。

解答・解説を見る
方法① 取引を分解する
伝票借方科目金額貸方科目金額
出金伝票仕 入180,000(現 金)180,000
振替伝票仕 入300,000買掛金300,000
方法② いったん全額を掛けとみなす
伝票借方科目金額貸方科目金額
振替伝票仕 入480,000買掛金480,000
出金伝票買掛金180,000(現 金)180,000

出金伝票の借方が「仕入」なら方法①「買掛金」なら方法②です。

15-3 仕訳日計表と総勘定元帳への転記

1日分の伝票を集計して作る表が仕訳日計表です。ここから総勘定元帳へ合計転記します。

例題15-2 仕訳日計表標準

X6年5月10日の伝票は次のとおりであった。仕訳日計表の現金・売掛金・売上の金額を求めなさい。

伝票内容
入金伝票 No.101売掛金 ¥250,000
入金伝票 No.102売上 ¥130,000
出金伝票 No.201買掛金 ¥180,000
出金伝票 No.202水道光熱費 ¥24,000
振替伝票 No.301(借)売掛金 ¥560,000 /(貸)売上 ¥560,000
振替伝票 No.302(借)仕入 ¥400,000 /(貸)買掛金 ¥400,000
解答・解説を見る
借方勘定科目貸方
380,000現 金204,000
560,000売掛金250,000
180,000買掛金400,000
売 上690,000
400,000仕 入
24,000水道光熱費
1,544,000合 計1,544,000
  • 現金:借方=入金伝票の合計 250,000+130,000=380,000/貸方=出金伝票の合計 180,000+24,000=204,000
  • 売掛金:借方=振替伝票 560,000/貸方=入金伝票 250,000
  • 売上:貸方=130,000+560,000=690,000
POINT 入金伝票・出金伝票の「現金」は書かれていない 入金伝票に書いてあるのは相手科目(貸方)だけ。集計するときに「借方 現金」を自分で補う必要があります。ここを忘れると現金の金額が合いません。

第16章 連結会計 ― 第2問の最重要テーマ

この章にかける時間 第2問で連結会計が出題される確率は50%以上と言われています。しかも出題されるのは基本パターンばかり。難問は出ません。「開始仕訳+4本の定型仕訳」を機械的に書けるようにするだけで、第2問の点数が一気に安定します。

16-1 連結会計とは ― 3つの大原則

図16-1 連結財務諸表ができるまで
P社の個別F/S
S社の個別F/S
単純合算
連結修正仕訳
(グループ内部の
取引を消す)
連結F/S
POINT 絶対に押さえる3つの原則
  1. 連結修正仕訳は「帳簿には書かない」。P社もS社も、自分の帳簿は個別のまま。連結精算表の上だけで修正します。
  2. したがって翌期になると修正はリセットされる。だから毎期過去の修正をもう一度やり直す「開始仕訳」が必要になります。
  3. 開始仕訳では、過去の損益項目はすべて「利益剰余金当期首残高」に置き換えます(過去の損益は、いまや利益剰余金の一部だから)。

16-2 連結第1年度 ― 4本の定型仕訳

通しの設例(この章でずっと使います) P社はX4年3月31日にS社の発行済株式の80%¥4,000,000で取得し、支配を獲得した。
支配獲得日のS社の純資産:資本金 ¥3,000,000/資本剰余金 ¥500,000/利益剰余金 ¥1,000,000
のれんは10年で定額償却する。決算日はP社・S社とも3月31日。

■ 仕訳① 投資と資本の相殺消去(資本連結)

図16-2 のれんと非支配株主持分の求め方
S社の資本(支配獲得日)金額持分の行き先
資本金3,000,000合計 ¥4,500,000 を
P社80% = 3,600,000
非支配株主20% = 900,000 に分ける
資本剰余金500,000
利益剰余金1,000,000
合計4,500,000
P社が払った金額
S社株式 ¥4,000,000
手に入れたS社資本のP社持分
4,500,000 × 80% = ¥3,600,000
差額 ¥400,000 = のれん(払いすぎた分=ブランド力などへの対価)
借方科目金額貸方科目金額
資本金
資本剰余金
利益剰余金
のれん
3,000,000
500,000
1,000,000
400,000
S社株式
非支配株主持分
4,000,000
900,000
暗記 資本連結は「4つ書いて2つ書く」 借方にS社の資本3つ+のれん、貸方にS社株式+非支配株主持分
のれん = 取得原価 -(S社資本合計 × 取得割合)非支配株主持分 = S社資本合計 ×(1 - 取得割合)

■ 仕訳② のれんの償却

借方科目金額貸方科目金額
のれん償却40,000のれん40,000

400,000 ÷ 10年 = ¥40,000。連結損益計算書では販売費及び一般管理費に表示します。

■ 仕訳③ 子会社の当期純利益の按分

S社の当期純利益のうち非支配株主に帰属する分(20%)を、連結上の利益から外します。S社の当期純利益が¥600,000だったとすると:

借方科目金額貸方科目金額
非支配株主に帰属する当期純利益120,000非支配株主持分120,000

600,000 × 20% = ¥120,000。S社が損失を出した場合は逆仕訳になります。

■ 仕訳④ 子会社の配当金の修正

S社が¥200,000の配当をした場合、P社が受け取った分はグループ内部のお金の移動にすぎないので消します。

借方科目金額貸方科目金額
受取配当金
非支配株主持分
160,000
40,000
剰余金の配当200,000
  • P社分 200,000 × 80% = 160,000 → P社が計上した受取配当金を取り消す
  • 非支配株主分 200,000 × 20% = 40,000 → 非支配株主に払った分だけ非支配株主持分を減らす

16-3 タイムテーブル ― これを書けば迷わない

図16-3 タイムテーブル(設例+第1年度)
 X4/3/31
(支配獲得日)
→ 第1年度 →X5/3/31
資本金3,000,0003,000,000
資本剰余金500,000500,000
利益剰余金1,000,000+600,000(利益)
△200,000(配当)
1,400,000
S社資本合計4,500,000+400,0004,900,000
P社持分 80%3,600,0003,920,000
非支配株主持分 20%900,000+120,000
△40,000
980,000
のれん400,000△40,000(償却)360,000

非支配株主持分とのれんの「期末残高」がタイムテーブルから直接読み取れるのが最大の利点です。第2問では、まずこの表を下書用紙に書いてください。

16-4 連結第2年度 ― 開始仕訳がすべて

ここが連結の山場 第2年度になると、前期の連結修正仕訳①〜④は帳簿に残っていないので消えてしまいます。そこで、前期の修正をまとめてもう一度切り直すのが開始仕訳です。
このとき、前期の損益項目(のれん償却・非支配株主に帰属する当期純利益・受取配当金・剰余金の配当)はすべて「利益剰余金当期首残高」に置き換えます。
例題16-1 開始仕訳を組み立てる応用

設例について、連結第2年度(X5年4月1日〜X6年3月31日)の開始仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
Step1 前期の①〜④が利益剰余金に与えた影響を集計する
前期の修正損益項目利益剰余金への影響
② のれん償却のれん償却(費用)△40,000
③ 当期純利益の按分非支配株主に帰属する当期純利益△120,000
④ 配当の修正受取配当金(収益の取消)△160,000
④ 配当の修正剰余金の配当(配当の取消)+200,000
純額△120,000
Step2 開始仕訳
借方科目金額貸方科目金額
資本金当期首残高
資本剰余金当期首残高
利益剰余金当期首残高
のれん
3,000,000
500,000
1,120,000
360,000
S社株式
非支配株主持分当期首残高
4,000,000
980,000
数字の根拠
  • 利益剰余金当期首残高 = 支配獲得日の1,000,000 + 前期修正の影響120,000 = 1,120,000
  • のれん = 400,000 - 40,000(前期償却済み) = 360,000
  • 非支配株主持分当期首残高 = 900,000 + 120,000 - 40,000 = 980,000(タイムテーブルのX5/3/31欄)
  • 検算:借方合計 4,980,000 = 貸方合計 4,980,000 ✔
最重要 利益剰余金だけは「S社の帳簿の金額」ではない 資本金3,000,000・資本剰余金500,000・S社株式4,000,000・非支配株主持分980,000・のれん360,000は、タイムテーブルからそのまま写せます。
しかし利益剰余金当期首残高だけは、S社の帳簿上の当期首残高(1,400,000)ではなく1,120,000を使います。内訳は
支配獲得日の利益剰余金 1,000,000 + 前期の連結修正による減少 120,000 = 1,120,000
なお、この金額は「貸借差額」でも求められます——4,000,000+980,000 -(3,000,000+500,000+360,000)=1,120,000。本試験では貸借差額で出すのが最速です。
POINT 第2年度に切る仕訳の全体像
  1. 開始仕訳(前期分のやり直し)
  2. のれんの償却(当期分 40,000)
  3. 当期純利益の按分(当期のS社利益 × 20%)
  4. 配当金の修正(当期のS社配当)
  5. 成果連結(16-5以降)

16-5 成果連結 ― 内部取引を消す

■ ① 内部売上高と売上原価の相殺

P社がS社に商品¥1,500,000を売った場合、グループ全体で見れば右のポケットから左のポケットに移しただけ。売上も仕入も消します。

借方科目金額貸方科目金額
売上高1,500,000売上原価1,500,000

■ ② 債権債務の相殺

期末にP社の売掛金¥400,000とS社の買掛金¥400,000が残っている場合:

借方科目金額貸方科目金額
買掛金400,000売掛金400,000

■ ③ 貸倒引当金の修正

消した売掛金に対して設定していた貸倒引当金も、当然に取り消します(P社が2%設定していた場合):

借方科目金額貸方科目金額
貸倒引当金8,000貸倒引当金繰入8,000

400,000 × 2% = ¥8,000。仕訳の向きが「引当金を減らす/費用を減らす」である点に注意してください。

■ ④ 未実現利益の消去(期末商品)

図16-4 ダウンストリームとアップストリーム
ダウンストリーム(親 → 子)

利益を上乗せしたのはP社
非支配株主は関係ない。

売上原価 / 商品
これ1本だけ

アップストリーム(子 → 親)

利益を上乗せしたのはS社
S社の利益は非支配株主にも20%帰属している。

売上原価 / 商品
非支配株主持分 / 非支配株主に帰属する当期純利益
2本必要

例題16-2 未実現利益の消去応用

S社の期末商品のうち¥300,000はP社から仕入れたものである。P社は原価に25%の利益を加算して販売している(=売価に対する利益率20%)。

(1) ダウンストリームの場合の連結修正仕訳
(2) 【比較】P社の期末商品¥300,000がS社から仕入れたもので、S社が同じ利益率で販売していた場合(アップストリーム、P社持分80%)

解答・解説を見る
Step1 未実現利益の計算

「原価に25%加算」= 原価100 → 売価125。売価に含まれる利益は 25/125 = 売価の20%
未実現利益 = 300,000 × 20% = ¥60,000

(1) ダウンストリーム
借方科目金額貸方科目金額
売上原価60,000商 品60,000
(2) アップストリーム
借方科目金額貸方科目金額
売上原価60,000商 品60,000
非支配株主持分12,000非支配株主に帰属する当期純利益12,000

60,000 × 20%(非支配株主の持分割合)= ¥12,000。S社の利益を60,000減らしたので、非支配株主の取り分も20%減らすという理屈です。

注意 利益率の読み間違いに気をつける
  • 「原価に25%の利益を加算」「付加率25%」 → 未実現利益 = 期末商品 × 25/125(=20%)
  • 「売上総利益率20%」「利益率20%」 → 未実現利益 = 期末商品 × 20%

どちらも答えは同じ20%になりますが、「原価の20%を加算」と書かれていたら 20/120 = 16.67% です。文言を必ず確認してください。

期首商品に含まれる未実現利益 前期末の商品に含まれていた未実現利益は、当期に売れて実現します。開始仕訳で
利益剰余金当期首残高 / 商品 を切ったうえで、当期に
商品 / 売上原価 で戻す(実現させる)——という2段構えになります。

■ ⑤ 未実現利益の消去(土地などの固定資産)

例題16-3 土地の未実現利益標準

当期、P社は帳簿価額¥2,000,000の土地をS社に¥2,300,000で売却した。S社はこの土地を期末現在も保有している。連結修正仕訳を示しなさい(ダウンストリーム)。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
固定資産売却益300,000土 地300,000

グループ内で土地を動かしただけなので、売却益¥300,000は実現していません。土地の金額もグループ全体では2,000,000のままであるべきなので、300,000を減らします。

16-6 総合演習(第2問形式)

総合問題16-1 連結第2年度の連結財務諸表応用

設例(16-2)の続きである。連結第2年度(X5年4月1日〜X6年3月31日)に関する資料は次のとおり。連結損益計算書と連結貸借対照表の主要項目を求めなさい。

  • S社の当期純利益 ¥700,000、S社の配当 ¥250,000
  • 当期、P社はS社に商品¥1,800,000を販売した(ダウンストリーム、利益率20%)
  • 期末のP社売掛金のうち¥500,000はS社に対するもの。P社は売掛金に2%の貸倒引当金を設定している
  • S社の期末商品のうち¥400,000はP社から仕入れたもの。期首商品にP社仕入分はなかった
  • 単純合算後の金額:売上高 ¥42,000,000/売上原価 ¥30,000,000/のれん ¥0/商品 ¥3,600,000/売掛金 ¥6,800,000/買掛金 ¥4,500,000/貸倒引当金 ¥136,000/貸倒引当金繰入 ¥58,000/受取配当金 ¥310,000
解答・解説を見る
Step1 連結修正仕訳
 借方科目金額貸方科目金額
開始資本金当期首残高
資本剰余金当期首残高
利益剰余金当期首残高
のれん
3,000,000
500,000
1,120,000
360,000
S社株式
非支配株主持分当期首残高
4,000,000
980,000
のれん償却40,000のれん40,000
非支配株主に帰属する当期純利益140,000非支配株主持分140,000
受取配当金
非支配株主持分
200,000
50,000
剰余金の配当250,000
売上高1,800,000売上原価1,800,000
買掛金500,000売掛金500,000
貸倒引当金10,000貸倒引当金繰入10,000
売上原価80,000商 品80,000
Step2 計算の内訳
  • ③ 700,000 × 20% = 140,000
  • ④ 250,000 × 80% = 200,000(受取配当金)/250,000 × 20% = 50,000(非支配株主持分)
  • ⑦ 500,000 × 2% = 10,000
  • ⑧ 400,000 × 20% = 80,000(ダウンストリームなので1本のみ)
Step3 連結財務諸表の金額
項目計算金額
売上高42,000,000 - 1,800,00040,200,000
売上原価30,000,000 - 1,800,000 + 80,00028,280,000
のれん償却40,000
貸倒引当金繰入58,000 - 10,00048,000
受取配当金310,000 - 200,000110,000
非支配株主に帰属する当期純利益140,000
商品3,600,000 - 80,0003,520,000
売掛金6,800,000 - 500,0006,300,000
買掛金4,500,000 - 500,0004,000,000
貸倒引当金136,000 - 10,000126,000
のれん360,000 - 40,000320,000
非支配株主持分980,000 + 140,000 - 50,0001,070,000
得点戦略 単純合算するだけの行が半分ある 連結精算表の問題では、現金預金・建物・資本金・給料などは「P社+S社」を足すだけで正解になります。難所の非支配株主持分や利益剰余金が解けなくても、合算行を全部埋めるだけで10点前後は確保できます。まず合算、それから修正——この順番を守ってください。
確認問題16-1 連結の仕訳8問標準

P社はS社の株式の70%を保有している。次の連結修正仕訳を示しなさい。

  1. 支配獲得日:S社株式の取得原価¥5,600,000、S社の資本金¥5,000,000、資本剰余金¥1,000,000、利益剰余金¥1,500,000。投資と資本の相殺消去を行う。
  2. 上記1で生じたのれんを20年で償却する(当期1年分)。
  3. S社の当期純利益は¥900,000であった。
  4. S社は¥400,000の配当を行った。
  5. 当期、P社はS社に商品¥2,400,000を販売した。内部売上高を相殺する。
  6. 期末のP社の受取手形のうち¥600,000はS社振出のものである。
  7. S社の期末商品のうち¥500,000はP社から仕入れたものである。P社の売上総利益率は25%(ダウンストリーム)。
  8. 上記7がアップストリーム(S社→P社、S社の利益率25%)であった場合。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1資本金
資本剰余金
利益剰余金
のれん
5,000,000
1,000,000
1,500,000
350,000
S社株式
非支配株主持分
5,600,000
2,250,000
2のれん償却17,500のれん17,500
3非支配株主に帰属する当期純利益270,000非支配株主持分270,000
4受取配当金
非支配株主持分
280,000
120,000
剰余金の配当400,000
5売上高2,400,000売上原価2,400,000
6支払手形600,000受取手形600,000
7売上原価125,000商 品125,000
8売上原価
非支配株主持分
125,000
37,500
商 品
非支配株主に帰属する当期純利益
125,000
37,500
計算の内訳
  • 1:S社資本合計=5,000,000+1,000,000+1,500,000=7,500,000。P社持分70%=5,250,000 → のれん=5,600,000-5,250,000=350,000。非支配株主持分=7,500,000×30%=2,250,000。(検算:借方7,850,000=貸方7,850,000)
  • 2:350,000÷20年=17,500
  • 3:900,000×30%=270,000。 4:400,000×70%=280,000/×30%=120,000。
  • 7:500,000×25%=125,000。 8:125,000×30%=37,500を追加。
6の注意債権債務の相殺は売掛金・買掛金だけでなく、受取手形・支払手形、貸付金・借入金、未収入金・未払金でも同じように行います。
連結会計 総まとめ ― 本試験で書く順番
  1. 下書用紙にタイムテーブルを書く(資本金・資本剰余金・利益剰余金・のれん・非支配株主持分)
  2. 開始仕訳を切る(前期までの累積)
  3. のれん償却 → 当期純利益の按分 → 配当の修正(当期分の3本)
  4. 成果連結(売上・債権債務・貸倒引当金・未実現利益)
  5. 答案用紙は合算だけで埋まる行から先に書く

第17章 工業簿記の基礎 ― 全体像をつかむ

工業簿記は「2級で最も点が取りやすい」領域 第4問(28点)+第5問(12点)=40点。範囲は商業簿記の半分以下で、出題パターンもほぼ固定。工業簿記を満点にできれば、商業簿記は60点中30点でも合格できます。ここは絶対に落とさない領域として作り込んでください。

17-1 工業簿記と商業簿記の違い

商業簿記(商品売買業)

買ってきた商品をそのまま売る。
売上原価=仕入れた金額。

「いくらで買ったか」は請求書を見ればわかる。

工業簿記(製造業)

材料を買い、加工して製品にして売る。
売上原価=自分で計算した製造原価。

「この製品にいくらかかったか」は自分で集計しないと誰も教えてくれない。

だから工業簿記の本質は「原価を集めて、製品に割り当てる作業」です。この一点さえ意識していれば、どの論点も同じことをやっているとわかります。

17-2 原価の3つの分類

図17-1 原価の分類 ― 3つの切り口
切り口分類中身
①形態別分類
何にかかったか
材料費モノにかかった原価(鉄板、部品、ネジ、工場の消耗品)
労務費ヒトにかかった原価(工員の賃金、工場長の給料、法定福利費)
経 費それ以外すべて(工場の減価償却費、電気代、外注加工賃、保険料)
②製品との関連
紐づけられるか
製造直接費どの製品にいくら使ったか直接わかるもの
製造間接費複数の製品に共通してかかり、個別には紐づけられないもの
③操業度との関連
生産量で増えるか
変動費作れば作るほど増える(材料費、出来高給)
固定費作っても作らなくても一定(工場の家賃、減価償却費、月給)
図17-2 ①と②を組み合わせた6分類
 製造直接費製造間接費
材料費直接材料費
主要材料費、買入部品費
間接材料費
補助材料費、工場消耗品費、消耗工具器具備品費
労務費直接労務費
直接工の直接作業時間に対する賃金
間接労務費
直接工の間接作業賃金・手待賃金、間接工賃金、給料、従業員賞与手当、退職給付費用、法定福利費
経 費直接経費
外注加工賃・特許権使用料の2つだけ
間接経費
減価償却費、電力料、ガス代、水道料、賃借料、保険料、棚卸減耗費、修繕費
暗記 直接費になるのは3つだけ ①直接材料費 ②直接労務費(直接工の直接作業分) ③直接経費(外注加工賃・特許権使用料)
これ以外はすべて製造間接費と覚えてしまって構いません。「工場長の給料」「工場の減価償却費」「電気代」——迷ったら間接費です。
注意 工場のものだけが製造原価 同じ「減価償却費」でも、工場の建物なら製造間接費(原価)、本社の建物なら販売費及び一般管理費(非原価)です。
また、次のものは非原価項目として製造原価に入れません:支払利息、有価証券売却損、火災損失、法人税等、株主への配当金。

17-3 原価計算の流れと勘定連絡図

図17-3 勘定連絡図 ― この1枚が工業簿記のすべて
費目別計算製品別計算完成販売
材 料
購入 → 消費
仕掛品
直接材料費
直接労務費
直接経費
+製造間接費配賦額

月初仕掛品+当月投入
-月末仕掛品
当月完成品原価
製 品
月初製品
+当月完成品
-月末製品
売上原価
売上原価

損 益
賃金・給料
支払 → 消費
経 費
支払 → 消費
製造間接費 ← 間接材料費・間接労務費・間接経費を集める → 配賦率を掛けて仕掛品

左から右へ、原価が一方通行で流れていく——これが工業簿記の全体像です。第4問(1)の仕訳問題は、この図のどこか1か所を切り取って聞いているだけです。

例題17-1 勘定連絡の仕訳基本

次の取引を仕訳しなさい。

  1. 材料¥800,000を掛けで購入した。
  2. 材料を消費した。直接材料費¥600,000、間接材料費¥120,000であった。
  3. 賃金¥900,000を消費した。直接労務費¥700,000、間接労務費¥200,000であった。
  4. 当月の間接経費¥340,000を計上した(減価償却費¥180,000、電力料¥160,000)。
  5. 製造間接費¥660,000を仕掛品に配賦した。
  6. 当月完成品原価は¥1,850,000であった。
  7. 製品¥1,600,000を売り上げた(売上原価の計上のみ示すこと)。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1材 料800,000買掛金800,000
2仕掛品
製造間接費
600,000
120,000
材 料720,000
3仕掛品
製造間接費
700,000
200,000
賃 金900,000
4製造間接費340,000減価償却累計額
未払電力料
180,000
160,000
5仕掛品660,000製造間接費660,000
6製 品1,850,000仕掛品1,850,000
7売上原価1,600,000製 品1,600,000
POINT 第4問(1)はこの7パターンの組み合わせ 直接費は「仕掛品」へ、間接費は「製造間接費」へ——この振り分けさえできれば、工業簿記の仕訳問題12点はほぼ確実に取れます。相手勘定が2つに割れる仕訳(No.2・No.3)が最頻出です。

第18章 材料費

18-1 材料の購入原価

暗記 購入原価の公式

購入原価 = 購入代価 + 材料副費

材料副費=引取運賃・購入手数料・関税などの外部副費+ 検収費・保管費などの内部副費

例題18-1 材料副費の予定配賦標準

(1) 材料¥1,200,000を掛けで購入した。材料副費は購入代価の5%を予定配賦する。
(2) 当月の材料副費の実際発生額は¥68,000であり、現金で支払った。
(3) 材料副費の予定配賦額と実際発生額の差額を材料副費差異勘定に振り替えた。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)材 料1,260,000買掛金
材料副費
1,200,000
60,000
(2)材料副費68,000現 金68,000
(3)材料副費差異8,000材料副費8,000
  • 予定配賦額 = 1,200,000 × 5% = 60,000 → 材料の取得原価は 1,200,000 + 60,000 = 1,260,000
  • 差異 = 予定60,000 - 実際68,000 = △8,000(不利差異=借方差異)
暗記 差異の有利・不利 予定 - 実際 がプラス → 有利差異(貸方差異)/マイナス → 不利差異(借方差異)
「予定より実際にかかったほうが多い=損している=不利」と考えれば覚える必要はありません。

18-2 材料費の消費額の計算

例題18-2 実際消費額(平均法・先入先出法)標準

当月の材料の受払は次のとおりであった。(1)平均法、(2)先入先出法それぞれによる当月消費額と月末有高を求めなさい。

日付摘要数量単価金額
6/1月初有高100kg50050,000
6/8購 入400kg530212,000
6/20消 費450kg
解答・解説を見る
(1) 平均法

平均単価 = (50,000 + 212,000) ÷ (100 + 400) kg = 262,000 ÷ 500 = @¥524
消費額 = 450kg × 524 = ¥235,800 / 月末有高 = 50kg × 524 = ¥26,200

(2) 先入先出法

消費額 = 100kg × 500 + 350kg × 530 = 50,000 + 185,500 = ¥235,500
月末有高 = 50kg × 530 = ¥26,500

検算:どちらも 262,000 = 消費額 + 月末有高 ✔

18-3 予定消費価格と材料消費価格差異

図18-1 なぜ予定価格を使うのか

実際の購入単価は月によって変動します。それをそのまま製品原価にすると、同じ製品なのに月によって原価が違うという不合理が起きます。また、月末に実際単価が確定するまで原価計算ができません。
そこであらかじめ決めた予定価格で消費額を計算し、実際との差は「差異」として別に把握する——これが予定価格法です。

例題18-3 材料消費価格差異標準

例題18-2の資料により、予定消費価格@¥520を用いた場合の (1) 消費時の仕訳 (2) 材料消費価格差異の計上(実際消費額は平均法で計算する)を示しなさい。なお、消費した450kgのうち400kgは直接材料、50kgは間接材料である。

解答・解説を見る
計算
  • 予定消費額 = 450kg × 520 = ¥234,000(直接 400×520=208,000/間接 50×520=26,000)
  • 実際消費額(平均法)= ¥235,800
  • 差異 = 234,000 - 235,800 = △1,800(不利差異)
No借方科目金額貸方科目金額
(1)仕掛品
製造間接費
208,000
26,000
材 料234,000
(2)材料消費価格差異1,800材 料1,800
材 料
月初有高50,000
当月購入212,000
仕掛品(直接)208,000
製造間接費(間接)26,000
材料消費価格差異1,800
月末有高26,200

材料勘定の貸借が一致していることを確認してください(262,000=208,000+26,000+1,800+26,200)。

18-4 棚卸減耗

例題18-4 材料の棚卸減耗基本

月末に材料の実地棚卸を行ったところ、帳簿有高は50kg(@¥524)であったが、実地有高は47kgであった。減耗は正常なものである。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
製造間接費1,572材 料1,572

(50 - 47)kg × @524 = ¥1,572。正常な棚卸減耗費は「間接経費」として製造間接費に含めます。商業簿記のように「棚卸減耗損」という費用にはしません。

※異常な(多額の)減耗の場合は非原価項目として営業外費用・特別損失に計上します。

第19章 労務費

19-1 直接労務費になるのは「直接工の直接作業」だけ

図19-1 労務費の分類
誰の何の時間か分類
直接工
(製品を直接加工する工員)
直接作業時間(加工そのもの)直接労務費
間接作業時間(機械の掃除、運搬など)間接労務費
手待時間(材料待ちなどの待機)間接労務費
間接工
(修繕・運搬などの補助作業)
すべての時間間接労務費
工場事務員
工場長
すべての時間(給料)間接労務費

直接工の賃金だからといって全部が直接労務費ではありません。ここが第4問(1)の最頻出ひっかけです。

19-2 支払額と消費額のズレ ― 給与計算期間と原価計算期間

暗記 当月消費額の公式

当月消費額 = 当月支払額 - 前月末未払額 + 当月末未払額

「前月分を引いて、当月分を足す」——経過勘定と同じ考え方です。

例題19-1 賃金の消費額標準

当月の直接工に関する資料は次のとおりである。当月の直接労務費・間接労務費と、賃率差異を求め、仕訳を示しなさい。

  • 当月賃金支払額 ¥1,500,000(前月末未払 ¥280,000、当月末未払 ¥310,000)
  • 予定賃率 @¥1,200
  • 当月の直接工の作業時間:直接作業時間 1,100時間、間接作業時間 150時間、手待時間 20時間
解答・解説を見る
Step1 予定賃率による消費額
  • 直接労務費 = 1,100時間 × 1,200 = ¥1,320,000
  • 間接労務費 = (150 + 20)時間 × 1,200 = ¥204,000
  • 予定消費額の合計 = 1,270時間 × 1,200 = ¥1,524,000
Step2 実際消費額

1,500,000 - 280,000 + 310,000 = ¥1,530,000

Step3 賃率差異

1,524,000 - 1,530,000 = △¥6,000(不利差異)

借方科目金額貸方科目金額
仕掛品
製造間接費
1,320,000
204,000
賃金・給料1,524,000
賃率差異6,000賃金・給料6,000
賃金・給料
当月支払1,500,000
当月末未払310,000
前月末未払280,000
仕掛品1,320,000
製造間接費204,000
賃率差異6,000

借方 1,810,000 = 貸方 1,810,000 ✔

第20章 経費

20-1 経費の4分類 ― 消費額の測り方で分ける

分類消費額の測り方
支払経費その月に支払った額(前払・未払があれば調整)修繕費、外注加工賃、旅費交通費、通信費
月割経費年額を12で割った減価償却費、保険料、賃借料、租税公課
測定経費メーターで測った当月使用量電力料、ガス代、水道料
発生経費その月に発生した事実による額棚卸減耗費、仕損費
注意 直接経費は2つだけ 外注加工賃特許権使用料——この2つだけが直接経費で、仕掛品に直接入れます。それ以外の経費はすべて製造間接費です。
例題20-1 経費の仕訳標準

当月の経費に関する資料は次のとおりである。当月の経費消費額を計算し、仕訳を示しなさい。

  1. 工場建物の減価償却費(年額¥3,600,000)
  2. 工場の電力料:当月のメーター検針量にもとづく測定額 ¥185,000(当月の支払額は¥170,000)
  3. 外注加工賃:当月支払額 ¥240,000(前月末未払 ¥30,000、当月末未払 ¥45,000)
  4. 工場の火災保険料(年額¥480,000)
解答・解説を見る
消費額の計算
項目分類計算消費額
減価償却費月割3,600,000 ÷ 12300,000
電力料測定メーター測定額をそのまま採用185,000
外注加工賃支払240,000 - 30,000 + 45,000255,000
保険料月割480,000 ÷ 1240,000
借方科目金額貸方科目金額
仕掛品
製造間接費
255,000
525,000
経 費780,000
  • 外注加工賃¥255,000は直接経費なので仕掛品へ。
  • 減価償却費300,000 + 電力料185,000 + 保険料40,000 = 525,000が製造間接費
  • 電力料は「支払額¥170,000」ではなく「測定額¥185,000」を使います。ここが引っかけです。
確認問題20-1 費目別計算の仕訳10問(第4問(1)対策)標準
  1. 素材¥1,500,000と工場消耗品¥90,000を掛けで購入した。なお、引取運賃¥24,000は現金で支払った(引取運賃は素材と工場消耗品に按分せず、全額を素材の原価に加算する)。
  2. 素材¥1,380,000(すべて直接材料)と工場消耗品¥75,000を消費した。
  3. 当月の直接工の作業時間は、直接作業1,400時間、間接作業120時間であった。予定賃率は@¥1,300である。
  4. 間接工の当月賃金消費額は¥380,000であった。
  5. 工場事務員の給料¥260,000を消費した。
  6. 直接工の実際賃金消費額は¥2,010,000であった。賃率差異を計上する(上記3による)。
  7. 工場建物の減価償却費の当月分¥420,000を計上した。
  8. 当月の電力料の測定額¥136,000を計上した(未払い)。
  9. 外注加工賃の当月消費額¥310,000を計上した(未払い)。
  10. 製造間接費の予定配賦額¥1,450,000を仕掛品に配賦した。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1材 料1,614,000買掛金
現 金
1,590,000
24,000
2仕掛品
製造間接費
1,380,000
75,000
材 料1,455,000
3仕掛品
製造間接費
1,820,000
156,000
賃金・給料1,976,000
4製造間接費380,000賃金・給料380,000
5製造間接費260,000賃金・給料260,000
6賃率差異34,000賃金・給料34,000
7製造間接費420,000減価償却累計額420,000
8製造間接費136,000未払電力料136,000
9仕掛品310,000未払外注加工賃310,000
10仕掛品1,450,000製造間接費1,450,000
計算・注意点
  • 1:1,500,000+90,000+24,000=1,614,000(買掛金は1,500,000+90,000=1,590,000)。
  • 2:工場消耗品は間接材料費なので製造間接費へ。
  • 3:直接1,400h×1,300=1,820,000/間接120h×1,300=156,000。間接作業時間分は製造間接費
  • 6:予定消費額1,976,000 - 実際2,010,000 = △34,000(不利差異=借方)。
  • 9:外注加工賃は直接経費なので仕掛品へ。製造間接費にすると不正解です。

第21章 製造間接費 ― 予定配賦と差異分析

ここが工業簿記の第一関門 第4問(2)でも第5問でも問われる中核論点です。シュラッター図(差異分析図)を1枚書けるようになれば、標準原価計算(第26章)まで一気に理解できます。

21-1 実際配賦の問題点と予定配賦

なぜ予定配賦するのか 実際配賦だと、①月末に実際額が判明するまで製品原価が計算できない、②夏はエアコン代で電力料が増えるため、同じ製品なのに夏だけ原価が高くなる、③生産量が少ない月は固定費の負担が重くなり原価が跳ね上がる——という不合理が起きます。
そこで年間の予算を年間の基準操業度で割った「予定配賦率」をあらかじめ決めておき、実際の操業度を掛けて配賦します。
暗記 予定配賦の2つの式

予定配賦率 = 年間の製造間接費予算 ÷ 年間の基準操業度
予定配賦額 = 予定配賦率 × 実際操業度

21-2 差異分析 ― 予算差異と操業度差異

図21-1 差異分析の公式(公式法変動予算)
差異計算式意味
総差異予定配賦額 - 実際発生額配賦しきれなかった(しすぎた)額
予算差異予算許容額 - 実際発生額ムダ遣いがあったか(コスト管理の責任)
操業度差異固定費率 ×(実際操業度 - 基準操業度)設備を予定どおり使えたか(固定費の回収不足)
予算許容額 = 変動費率 × 実際操業度 + 月間固定費予算

操業度差異は必ず「固定費率」だけで計算します。変動費は使った分だけ発生するので、操業度が下がっても損はしません。損をするのは「設備を遊ばせた分の固定費」です。

例題21-1 製造間接費の差異分析応用

当社は製造間接費を直接作業時間にもとづいて予定配賦している。次の資料により、予定配賦額・総差異・予算差異・操業度差異を求めなさい。

  • 年間製造間接費予算 ¥7,200,000(うち変動費 ¥3,600,000、固定費 ¥3,600,000)
  • 年間基準操業度 12,000直接作業時間
  • 当月の実際直接作業時間 950時間、当月の製造間接費実際発生額 ¥595,000
解答・解説を見る
Step1 率と月間データを出す
項目計算結果
予定配賦率7,200,000 ÷ 12,000時間@600
 うち変動費率3,600,000 ÷ 12,000時間@300
 うち固定費率3,600,000 ÷ 12,000時間@300
月間基準操業度12,000時間 ÷ 12か月1,000時間
月間固定費予算3,600,000 ÷ 12か月300,000
Step2 差異の計算
項目計算金額
予定配賦額@600 × 950時間570,000
実際発生額595,000
総差異570,000 - 595,000△25,000(不利)
予算許容額@300 × 950時間 + 300,000585,000
予算差異585,000 - 595,000△10,000(不利)
操業度差異@300 ×(950 - 1,000)時間△15,000(不利)

検算:△10,000 + △15,000 = △25,000(総差異)✔

Step3 仕訳
借方科目金額貸方科目金額
仕掛品570,000製造間接費570,000
予算差異
操業度差異
10,000
15,000
製造間接費25,000
Step4 シュラッター図で確認する
図21-2 シュラッター図(例題21-1)
操業度 金額 固定費予算 300,000 予算許容額線(変動費率@300+固定費) 予定配賦線(@600) 実際950h 基準1,000h 実際発生額 595,000 予算許容額 585,000 予定配賦額 570,000 予算差異 △10,000 = 予算許容額 - 実際発生額 操業度差異 △15,000 = 固定費率@300 ×(950 - 1,000)

実際操業度950hの縦線上に、上から実際発生額 → 予算許容額 → 予定配賦額の3点が並びます。上2点の差が予算差異、下2点の差が操業度差異——これがシュラッター図の読み方です。

暗記 差異分析の3ステップ
  1. 予定配賦額=予定配賦率 × 実際操業度
  2. 予算許容額=変動費率 × 実際操業度 + 月間固定費予算
  3. 予算差異=②-実際、操業度差異=①-②(=固定費率×(実際-基準))
例題21-2 固定予算の場合標準

例題21-1と同じ条件で、固定予算(月間予算額¥600,000で固定)を採用している場合の予算差異と操業度差異を求めなさい。

解答・解説を見る
  • 予定配賦額 = @600 × 950時間 = ¥570,000
  • 予算差異 = 600,000(月間予算額そのまま)- 595,000 = +¥5,000(有利)
  • 操業度差異 = 570,000 - 600,000 = △¥30,000(不利)

検算:+5,000 △30,000 = △25,000(総差異)✔

違いはここだけ 固定予算では「予算許容額=月間予算額」で、操業度に関係なく一定です。変動費率を使った按分をしません。問題文に「公式法変動予算」とあるか「固定予算」とあるかを必ず確認してください。

第22章 部門別個別原価計算

製造間接費を工場全体で1本の配賦率にすると、精密機械を使う部門と手作業だけの部門が同じ扱いになってしまいます。そこで部門ごとに配賦率を分けて、より正確に製品原価を計算するのが部門別計算です。

22-1 3ステップの流れ

  1. 第1次集計(部門個別費・部門共通費の配賦) 製造間接費を各部門に集計する
  2. 第2次集計(補助部門費の配賦) 修繕部門・動力部門などの補助部門費を、製造部門に配賦する
  3. 製造部門費の製品への配賦 部門別配賦率 × 各製品の操業度

22-2 補助部門費の配賦 ― 直接配賦法と相互配賦法

直接配賦法

補助部門どうしのサービスのやりとりを無視する
補助部門費を製造部門にだけ配賦する。

計算はいちばんカンタン。

相互配賦法(簡便法)

第1次配賦:補助部門どうしのやりとりも含めて全部門に配賦
第2次配賦:第1次で補助部門に配賦された分を、製造部門にだけ配賦(=直接配賦法)

2級ではこの「簡便法」だけ出ます。

例題22-1 直接配賦法と相互配賦法応用

次の資料により、(1)直接配賦法、(2)相互配賦法(簡便法)により補助部門費を配賦し、各製造部門の製造間接費合計を求めなさい。

 製造部門補助部門
切削部門組立部門動力部門修繕部門
部門費(第1次集計後)1,200,000900,000300,000180,000
動力供給量(kWh)600300100
修繕回数(回)202010
解答・解説を見る
(1) 直接配賦法 ― 補助部門への供給量は無視する
 配賦基準切削部門組立部門
動力部門費 300,000600:300200,000100,000
修繕部門費 180,00020:2090,00090,000
製造間接費合計1,490,0001,090,000

動力:300,000 × 600/900 = 200,000/300,000 × 300/900 = 100,000  修繕:180,000 × 1/2 ずつ
検算:1,490,000 + 1,090,000 = 2,580,000 = 1,200,000+900,000+300,000+180,000 ✔

(2) 相互配賦法(簡便法)

【第1次配賦】補助部門への供給分も含めて配賦する

 配賦基準切削組立動力修繕
動力部門費 300,000600:300:—:100180,00090,00030,000
修繕部門費 180,00020:20:10:—72,00072,00036,000
第1次配賦後252,000162,00036,00030,000

【第2次配賦】補助部門に残った分を、製造部門にだけ配賦する

 配賦基準切削組立
動力部門 36,000600:30024,00012,000
修繕部門 30,00020:2015,00015,000
 切削部門組立部門
部門費(第1次集計後)1,200,000900,000
第1次配賦252,000162,000
第2次配賦39,00027,000
製造間接費合計1,491,0001,089,000

検算:1,491,000 + 1,089,000 = 2,580,000 ✔

POINT 必ず合計で検算する どの配賦方法でも、製造部門に集まる金額の合計は必ず「全部門費の合計」と一致します。答案を書き終えたら1秒で検算できるので、必ずやってください。

22-3 製造部門費の予定配賦と差異

例題22-2 部門別予定配賦標準

切削部門の年間製造間接費予算は¥18,000,000、年間基準操業度は15,000機械運転時間である。当月の実際機械運転時間は1,180時間、切削部門費の実際発生額は¥1,455,000であった。予定配賦額と部門費配賦差異を求め、仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
  • 予定配賦率 = 18,000,000 ÷ 15,000時間 = @¥1,200
  • 予定配賦額 = @1,200 × 1,180時間 = ¥1,416,000
  • 配賦差異 = 1,416,000 - 1,455,000 = △¥39,000(不利差異)
借方科目金額貸方科目金額
仕掛品1,416,000切削部門費1,416,000
部門費配賦差異39,000切削部門費39,000

第23章 個別原価計算

船・機械・建物のように受注のつど仕様が違うものを作る場合の原価計算です。製造指図書ごとに原価を集計します。

23-1 原価計算表の作り方

例題23-1 原価計算表と仕掛品勘定応用

当社は個別原価計算を採用している。次の資料により、原価計算表を完成させ、当月の完成品原価・月末仕掛品原価・売上原価を求めなさい。製造間接費は直接作業時間を基準に予定配賦率@¥800で配賦する。

指図書状況月初仕掛品原価当月直接材料費当月直接労務費当月直接作業時間
No.101前月着手・当月完成・当月引渡420,000150,000260,000200時間
No.102当月着手・当月完成・月末在庫680,000540,000450時間
No.103当月着手・月末未完成390,000310,000250時間
解答・解説を見る
原価計算表
 No.101No.102No.103合計
月初仕掛品原価420,000420,000
直接材料費150,000680,000390,0001,220,000
直接労務費260,000540,000310,0001,110,000
製造間接費
(@800×直接作業時間)
160,000360,000200,000720,000
合計990,0001,580,000900,0003,470,000
備考完成・引渡済完成・未引渡仕掛中
解答
項目内容金額
当月完成品原価No.101 + No.1022,570,000
月末仕掛品原価No.103900,000
月末製品有高No.1021,580,000
売上原価No.101(引渡済のみ)990,000
最重要 「完成」と「引渡」は別物 完成しただけでは売上原価になりません。お客に引き渡してはじめて売上原価です。
仕掛中 → 仕掛品/完成・未引渡 → 製品/完成・引渡済 → 売上原価。この3分類が個別原価計算のすべてです。備考欄を必ず確認してください。

23-2 仕損の処理

ケース処理
補修で直せる場合補修指図書を発行し、集計された原価を元の指図書に賦課する
仕掛品(元) / 仕掛品(補修)
作り直す場合
(全部が仕損)
旧指図書に集計された原価を仕損費とし、新指図書に賦課する(仕損品に売却価値があればその分を控除)
例題23-2 仕損の処理標準

指図書No.201に一部仕損が生じたため、補修指図書No.201-1を発行して補修を行った。No.201-1に集計された原価は¥85,000である。必要な仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
仕損費85,000仕掛品85,000
仕掛品85,000仕損費85,000

補修指図書に集めた原価を、いったん仕損費に振り替え、それを元の指図書No.201の原価に加算します。結果として、仕損の分だけNo.201の原価が増えることになります(問題によっては1行にまとめて示す場合もあります)。

確認問題23-1 部門別・個別原価計算の総合応用

当社は部門別個別原価計算を採用している。次の資料により各問に答えなさい。

  • 製造間接費の部門別予定配賦率:切削部門 @¥900(機械運転時間基準)、組立部門 @¥700(直接作業時間基準)
  • 当月の各指図書の操業度
    指図書切削部門
    機械運転時間
    組立部門
    直接作業時間
    直接材料費直接労務費
    No.301300400520,000480,000
    No.302250350460,000420,000
  • 月初仕掛品はない。No.301は当月完成、No.302は月末未完成である。
  • 切削部門費の実際発生額 ¥510,000、組立部門費の実際発生額 ¥518,000

(1) 各指図書の製造原価 (2) 完成品原価と月末仕掛品原価 (3) 各部門の配賦差異

解答・解説を見る
(1) 各指図書の製造原価
 No.301No.302合計
直接材料費520,000460,000980,000
直接労務費480,000420,000900,000
切削部門費(@900)270,000225,000495,000
組立部門費(@700)280,000245,000525,000
製造原価1,550,0001,350,0002,900,000
(2) 完成品原価と月末仕掛品原価
  • 当月完成品原価(No.301)= ¥1,550,000
  • 月末仕掛品原価(No.302)= ¥1,350,000
(3) 配賦差異
部門予定配賦額実際発生額配賦差異
切削部門495,000510,000△15,000(不利)
組立部門525,000518,000+7,000(有利)
合計1,020,0001,028,000△8,000(不利)
得点戦略 部門別計算では部門ごとに配賦基準が違うのが定番です(切削=機械運転時間、組立=直接作業時間)。どの時間にどの率を掛けるかを取り違えると全滅するので、計算を始める前に資料の見出しを指でなぞって確認してください。

第24章 総合原価計算

第4問(2)の主役 同じ製品を大量に作る場合の原価計算です。「ボックス図を書く → 月末仕掛品を計算する → 差額で完成品原価を出す」——この3手順を体に染み込ませてください。個別原価計算より圧倒的に出題頻度が高い論点です。

24-1 直接材料費と加工費を分けて考える

POINT なぜ2つに分けるのか
  • 直接材料費:工程の始点で全部投入されるのが普通。作りかけでも材料は100%入っている数量で按分
  • 加工費(直接労務費+製造間接費):作業の進み具合に比例する。50%しか進んでいなければ加工費も50%完成品換算量で按分

完成品換算量 = 数量 × 加工進捗度

図24-1 総合原価計算のボックス図
直接材料費(数量ベース)加工費(完成品換算量ベース)
月初仕掛品
数量そのまま
完成品
数量そのまま
月初仕掛品
×加工進捗度
完成品
数量そのまま
当月投入
(差額で求める)
当月投入
(差額で求める)
 月末仕掛品
数量そのまま
 月末仕掛品
×加工進捗度

当月投入量は「完成品+月末-月初」で差額として求めます。これを最初に計算するのがコツです。

24-2 平均法と先入先出法

平均法

月初仕掛品と当月投入を混ぜてしまう

月末仕掛品=
(月初原価+当月投入原価)
÷(完成品量+月末量)
×月末量

先入先出法

月初仕掛品から先に完成すると考える。
→ 月末仕掛品は当月投入分だけでできている。

月末仕掛品=
当月投入原価 ÷ 当月投入量
×月末量

例題24-1 単純総合原価計算(平均法・先入先出法)応用

次の資料により、(1)平均法、(2)先入先出法それぞれによる月末仕掛品原価と完成品原価を求めなさい。材料は工程の始点ですべて投入している。

生産データ数量原価データ直接材料費加工費
月初仕掛品(進捗度50%)200個月初仕掛品原価96,00062,000
当月投入1,000個当月製造費用504,000738,000
合計1,200個   
月末仕掛品(進捗度40%)200個   
完成品1,000個   
解答・解説を見る
Step1 完成品換算量を出す
 数量(材料費用)完成品換算量(加工費用)
月初仕掛品200個200 × 50% = 100個
完成品1,000個1,000個
月末仕掛品200個200 × 40% = 80個
当月投入(差額)1,000個1,000 + 80 - 100 = 980個
(1) 平均法
 直接材料費加工費
合計原価96,000 + 504,000 = 600,00062,000 + 738,000 = 800,000
合計数量1,000 + 200 = 1,200個1,000 + 80 = 1,080個
単価@500@740.74…
月末仕掛品600,000 × 200/1,200 = 100,000800,000 × 80/1,080 = 59,259
完成品原価600,000 - 100,000 = 500,000800,000 - 59,259 = 740,741

月末仕掛品原価 = 100,000 + 59,259 = ¥159,259
完成品原価 = 500,000 + 740,741 = ¥1,240,741(円未満四捨五入)

(2) 先入先出法
 直接材料費加工費
当月投入原価504,000738,000
当月投入量1,000個980個
単価@504@753.06…
月末仕掛品504,000 × 200/1,000 = 100,800738,000 × 80/980 = 60,245
完成品原価600,000 - 100,800 = 499,200800,000 - 60,245 = 739,755

月末仕掛品原価 = 100,800 + 60,245 = ¥161,045
完成品原価 = 499,200 + 739,755 = ¥1,238,955

暗記 完成品原価は「差額」で出す 完成品原価を直接計算すると端数処理でズレます。必ず「投入原価の合計 - 月末仕掛品原価」で求めてください。これなら貸借が必ず合います。

24-3 材料の投入時点による違い

問題文の書き方月末仕掛品への配分
「工程の始点で投入」作りかけでも100%入っている → 数量で按分
「工程を通じて平均的に投入」進捗度に比例して入る → 完成品換算量で按分(加工費と同じ扱い)
「工程の終点で投入」未完成品にはまだ入っていない → 月末仕掛品には配分しない(全額が完成品原価)
「加工進捗度60%の時点で投入」月末仕掛品の進捗度が60%を超えていれば数量で按分、達していなければ配分しない

24-4 仕損・減損の処理

暗記 完成品のみ負担か、両者負担か
仕損・減損の発生点負担のさせ方
月末仕掛品の進捗度より後で発生
(例:終点発生、進捗度80%発生で月末仕掛品は40%)
完成品のみ負担
→ 仕損量を完成品と同じ扱いで当月投入量に含めたまま計算する(分母から差し引かない)
月末仕掛品の進捗度より前で発生/発生点が不明平均的に発生両者負担
→ 仕損量を最初から無かったものとして当月投入量から除外して計算する(度外視法)
覚え方:完成品のみ負担=仕損を「含めて」計算(分母が大きい→月末仕掛品は小さい)/両者負担=仕損を「除いて」計算(分母が小さい→月末仕掛品は大きい)
例題24-2 正常仕損(完成品のみ負担)応用

次の資料により、月末仕掛品原価と完成品原価を求めなさい。先入先出法による。材料は工程の始点で投入し、正常仕損は工程の終点で発生した(仕損品に評価額はない)。

生産データ数量原価データ直接材料費加工費
月初仕掛品(進捗度60%)100個月初仕掛品原価42,00033,000
当月投入900個当月製造費用387,000565,500
合計1,000個   
正常仕損(終点)50個   
月末仕掛品(進捗度50%)150個   
完成品800個   
解答・解説を見る
Step1 完成品のみ負担 → 仕損は「完成品と同じ扱い」で計算に含める
 数量(材料費)換算量(加工費)
月初仕掛品100個100 × 60% = 60個
完成品800個800個
正常仕損(終点=進捗度100%)50個50 × 100% = 50個
月末仕掛品150個150 × 50% = 75個
当月投入(差額)900個800+50+75-60 = 865個
Step2 月末仕掛品(先入先出法=当月投入分から)
  • 直接材料費 = 387,000 × 150/900 = ¥64,500
  • 加工費 = 565,500 × 75/865 = ¥49,032(円未満四捨五入)
  • 月末仕掛品原価 = 113,532
Step3 完成品原価(差額)
  • 投入原価合計 = (42,000+387,000) + (33,000+565,500) = 429,000 + 598,500 = ¥1,027,500
  • 完成品原価 = 1,027,500 - 113,532 = ¥913,968
完成品のみ負担のポイント 仕損の原価は月末仕掛品には配分せず、自動的に完成品原価に含まれます。上の計算では、月末仕掛品を出したあと差額で完成品原価を求めているので、仕損分は自然に完成品側に入ります。特別な仕訳は不要です。
例題24-3 正常減損(両者負担)応用

例題24-2と同じ資料で、正常減損50個が工程を通じて平均的に発生した(=両者負担)場合の月末仕掛品原価と完成品原価を求めなさい。先入先出法・度外視法による。

解答・解説を見る
両者負担=減損量を「最初から無かった」として計算する
 数量(材料費)換算量(加工費)
月初仕掛品100個60個
完成品800個800個
正常減損計算に含めない計算に含めない
月末仕掛品150個75個
当月投入(差額)800+150-100 = 850個800+75-60 = 815個
月末仕掛品
  • 直接材料費 = 387,000 × 150/850 = ¥68,294
  • 加工費 = 565,500 × 75/815 = ¥52,040
  • 月末仕掛品原価 = 120,334
完成品原価

1,027,500 - 120,334 = ¥907,166

POINT 両者負担のほうが月末仕掛品が大きくなる 両者負担では当月投入量の分母が小さくなる(850個・815個)ので単価が上がり、月末仕掛品原価も大きくなります。
完成品のみ負担:月末113,532/両者負担:月末120,334 —— この差が「月末仕掛品も減損の損を負担した」金額です。

第25章 工程別・組別・等級別総合原価計算

25-1 工程別総合原価計算

2つ以上の工程を経て製品ができる場合、工程ごとに総合原価計算を行い、第1工程の完成品原価を第2工程に「前工程費」として引き継ぎます

暗記 前工程費は「始点投入の材料費」と同じ扱い 第2工程での前工程費は、工程の始点で全部投入された材料費とまったく同じように計算します(=数量ベースで按分、進捗度は関係なし)。
例題25-1 工程別総合原価計算応用

次の資料により、第1工程完成品原価と第2工程の月末仕掛品原価・完成品原価を求めなさい。平均法による。材料はすべて第1工程の始点で投入している。

 第1工程第2工程
月初仕掛品数量(進捗度)100個(50%)200個(50%)
当月投入数量900個800個
月末仕掛品数量(進捗度)200個(50%)100個(40%)
完成品数量800個900個
月初仕掛品原価:材料費/前工程費38,000154,000
月初仕掛品原価:加工費21,00037,000
当月製造費用:材料費342,000
当月製造費用:加工費255,000371,000
解答・解説を見る
Step1 第1工程
 材料費加工費
合計原価38,000 + 342,000 = 380,00021,000 + 255,000 = 276,000
合計数量800 + 200 = 1,000個800 + 100(200×50%)= 900個
月末仕掛品380,000 × 200/1,000 = 76,000276,000 × 100/900 = 30,667
第1工程完成品原価380,000 - 76,000 = 304,000276,000 - 30,667 = 245,333

第1工程完成品原価 = 304,000 + 245,333 = ¥549,333(800個)

Step2 第2工程(前工程費として¥549,333が投入される)
 前工程費加工費
合計原価154,000 + 549,333 = 703,33337,000 + 371,000 = 408,000
合計数量900 + 100 = 1,000個900 + 40(100×40%)= 940個
月末仕掛品703,333 × 100/1,000 = 70,333408,000 × 40/940 = 17,362
完成品原価703,333 - 70,333 = 633,000408,000 - 17,362 = 390,638

第2工程 月末仕掛品原価 = 70,333 + 17,362 = ¥87,695
第2工程 完成品原価 = 633,000 + 390,638 = ¥1,023,638

注意第2工程の当月投入数量800個は、第1工程の完成品数量800個と一致します。ここがズレていたら、どこかで読み間違えています。

25-2 組別総合原価計算

異なる種類の製品(A製品・B製品)を同じ工場で作る場合。直接費は各組に賦課し、間接費(組間接費)は適当な基準で各組に配賦してから、組ごとに総合原価計算を行います。

例題25-2 組別総合原価計算標準

当月の組間接費は¥900,000であり、直接作業時間を基準に各組へ配賦する。A組の直接作業時間は1,200時間、B組は800時間であった。A組・B組それぞれへの配賦額を求めなさい。

解答・解説を見る
  • 配賦率 = 900,000 ÷ (1,200 + 800) 時間 = @¥450
  • A組 = 450 × 1,200時間 = ¥540,000
  • B組 = 450 × 800時間 = ¥360,000 (検算:540,000+360,000=900,000 ✔)

配賦後は、A組・B組それぞれについて第24章と同じ手順(ボックス図 → 月末仕掛品 → 差額で完成品)で計算します。

25-3 等級別総合原価計算

同じ種類だがサイズや品質が違う製品(Lサイズ・Mサイズ・Sサイズ)を作る場合。まとめて総合原価計算をしてから、等価係数を使って各等級に按分します。

例題25-3 等級別総合原価計算標準

当月の完成品原価の合計は¥3,240,000であった。次の資料により、各等級製品の完成品原価と単位原価を求めなさい。

等級製品完成品数量等価係数
L製品400個1.5
M製品600個1.0
S製品500個0.6
解答・解説を見る
等級数量等価係数積数完成品原価単位原価
L4001.56001,296,000@3,240
M6001.06001,296,000@2,160
S5000.6300648,000@1,296
1,5001,5003,240,000
計算手順
  1. 積数 = 完成品数量 × 等価係数(L:400×1.5=600 など)
  2. 積数の合計 = 600+600+300 = 1,500
  3. 完成品原価 = 3,240,000 × 各積数 ÷ 1,500(L:3,240,000×600/1,500=1,296,000)
  4. 単位原価 = 完成品原価 ÷ 完成品数量(L:1,296,000÷400個=@3,240)
暗記 等価係数の意味 「M製品1個分を1とすると、L製品1個はその1.5倍の原価がかかる」という比率です。数量に等価係数を掛けた「積数」の比で原価を分ける——それだけです。

第26章 標準原価計算 ― 第5問の主役

第5問(12点)はここか、直接原価計算のどちらか 標準原価計算の原価差異分析は、パターンが完全に決まっています。差異分析図を1つ覚えるだけで12点。工業簿記でいちばんコスパの高い論点です。

26-1 標準原価計算のしくみ

考え方 実際にかかった原価をただ集計しても「高かったのか安かったのか」がわかりません。そこで「本来これくらいで作れるはず」という標準原価をあらかじめ決めておき、実際との差(原価差異)を分析して原因を突き止めるのが標準原価計算です。
図26-1 標準原価カード(製品1個あたり)
原価要素標準単価 × 標準消費量標準原価
直接材料費@¥300 × 4kg1,200
直接労務費@¥900 × 2時間1,800
製造間接費@¥700 × 2時間1,400
製品1個あたり標準原価4,400

26-2 パーシャルプランとシングルプラン

パーシャルプラン

仕掛品勘定の借方は実際原価、貸方は標準原価。
原価差異は仕掛品勘定で把握される

2級の出題はほぼこちら。

シングルプラン

仕掛品勘定の借方も貸方も標準原価
→ 原価差異は材料・賃金・製造間接費の各勘定で把握される

26-3 直接材料費差異と直接労務費差異

暗記 差異分析の基本形(材料費・労務費に共通)
差異公式
価格差異/賃率差異(標準単価 - 実際単価)× 実際消費量
数量差異/時間差異標準単価 ×(標準消費量 - 実際消費量)

覚え方:単価の差には「実際」量を、量の差には「標準」単価を掛ける。
どちらの式にも標準と実際が1つずつ入ります。「実際×実際」「標準×標準」になっていたら間違いです。

例題26-1 直接材料費差異・直接労務費差異応用

標準原価カードは図26-1のとおりである。当月の生産・原価データは次のとおりであった。直接材料費差異と直接労務費差異を分析しなさい。材料は工程の始点で投入している。

  • 当月完成品 500個、月初仕掛品なし、月末仕掛品 100個(加工進捗度50%)
  • 直接材料費 実際:実際消費量 2,450kg、実際単価 @¥310
  • 直接労務費 実際:実際直接作業時間 1,120時間、実際賃率 @¥920
解答・解説を見る
Step1 標準消費量(=当月投入量に対する標準)を出す
 数量(材料費)換算量(加工費)
完成品500個500個
月末仕掛品100個100 × 50% = 50個
当月投入600個550個
  • 標準材料消費量 = 600個 × 4kg = 2,400kg
  • 標準直接作業時間 = 550個 × 2時間 = 1,100時間
Step2 直接材料費差異
差異計算金額
標準直接材料費@300 × 2,400kg720,000
実際直接材料費@310 × 2,450kg759,500
総差異720,000 - 759,500△39,500(不利)
価格差異(@300 - @310) × 2,450kg△24,500(不利)
数量差異@300 × (2,400 - 2,450)kg△15,000(不利)

検算:△24,500 + △15,000 = △39,500 ✔

Step3 直接労務費差異
差異計算金額
標準直接労務費@900 × 1,100時間990,000
実際直接労務費@920 × 1,120時間1,030,400
総差異990,000 - 1,030,400△40,400(不利)
賃率差異(@900 - @920) × 1,120時間△22,400(不利)
時間差異@900 × (1,100 - 1,120)時間△18,000(不利)

検算:△22,400 + △18,000 = △40,400 ✔

最重要 標準消費量は「完成品」ではなく「当月投入」に対して計算する 完成品500個 × 4kg = 2,000kg としてはいけません。月末仕掛品100個にも材料は入っているので、当月投入600個分が標準になります。
また、材料は数量(600個)、加工費は換算量(550個)と基準が違う点にも注意してください。

26-4 製造間接費差異 ― 3分法

暗記 3分法の公式(公式法変動予算)
差異公式
予算差異予算許容額 - 実際発生額
予算許容額 = 変動費率 × 実際操業度 + 固定費予算額
能率差異標準配賦率 ×(標準操業度 - 実際操業度)
操業度差異固定費率 ×(実際操業度 - 基準操業度)

※能率差異を変動費部分だけで計算する方法(変動費能率差異)もあります。その場合は操業度差異 = 固定費率 ×(標準操業度 - 基準操業度)に変わります(固定費の能率部分を操業度差異に含めるため)。どちらの方法かは必ず問題文の指示で確認してください。

例題26-2 製造間接費差異の3分法応用

例題26-1の続きである。製造間接費に関する資料は次のとおり。3分法により差異分析しなさい(能率差異は標準配賦率で計算する)。

  • 標準配賦率 @¥700(変動費率 @¥300、固定費率 @¥400)
  • 月間基準操業度 1,200直接作業時間、月間固定費予算 ¥480,000
  • 実際直接作業時間 1,120時間、製造間接費実際発生額 ¥820,000
解答・解説を見る
Step1 基本数値
  • 標準操業度 = 550個 × 2時間 = 1,100時間(例題26-1のStep1より)
  • 標準製造間接費 = @700 × 1,100時間 = ¥770,000
  • 総差異 = 770,000 - 820,000 = △¥50,000(不利)
Step2 3つの差異
差異計算金額
予算許容額@300 × 1,120時間 + 480,000816,000
予算差異816,000 - 820,000△4,000(不利)
能率差異@700 × (1,100 - 1,120)時間△14,000(不利)
操業度差異@400 × (1,120 - 1,200)時間△32,000(不利)
合計△4,000 △14,000 △32,000△50,000 = 総差異 ✔
参考 変動費能率差異で計算する場合 同じ資料でも「能率差異は変動費のみで計算する」と指示された場合は次のようになります。
能率差異 = @300 ×(1,100 - 1,120)= △6,000 / 操業度差異 = @400 ×(1,100 - 1,200)= △40,000
検算:△4,000 + △6,000 + △40,000 = △50,000(総差異と一致)✔
POINT 3つの操業度を区別する
標準操業度 1,100h実際の生産量に対して「本来かかるはず」の時間
実際操業度 1,120h実際に働いた時間
基準操業度 1,200h予算を立てるときに想定した時間(=キャパシティ)

能率差異は「標準 vs 実際」、操業度差異は「実際 vs 基準」——この対応さえ間違えなければ必ず解けます。

例題26-3 仕掛品勘定(パーシャルプラン)標準

例題26-1・26-2の資料により、パーシャルプランによる仕掛品勘定を完成させなさい。月初仕掛品はない。

解答・解説を見る
仕掛品(パーシャルプラン)
直接材料費(実際)759,500
直接労務費(実際)1,030,400
製造間接費(実際)820,000
 2,609,900
製品(完成品標準原価)2,200,000
月末仕掛品(標準原価)280,000
原価差異129,900
 2,609,900
計算
  • 完成品標準原価 = 500個 × @4,400 = ¥2,200,000
  • 月末仕掛品標準原価 = 材料費 100個×1,200 + 加工費 50個×(1,800+1,400) = 120,000 + 160,000 = ¥280,000
  • 原価差異 = △39,500(材料)+ △40,400(労務)+ △50,000(間接)= △¥129,900(すべて不利=借方差異なので、仕掛品勘定の貸方に出てくる)
  • 検算:2,200,000 + 280,000 + 129,900 = 2,609,900 = 借方合計 ✔

第27章 直接原価計算とCVP分析

第5問のもう一方の主役 「いくら売れば黒字になるか」を計算する論点です。公式を3つ覚えるだけで、第5問の12点が取れます。

27-1 全部原価計算と直接原価計算の違い

全部原価計算(制度上の計算)

製造原価に固定製造間接費も含める
→ 固定費が仕掛品・製品に含まれて翌月に繰り越される
→ 生産量を増やすと利益が増えてしまう

直接原価計算(管理目的)

製造原価は変動費だけ
固定製造間接費は発生した月に全額を費用(期間原価)にする。
→ 売上に応じて利益が動くので意思決定に使える

図27-1 直接原価計算の損益計算書
売上高5,000,000
 変動売上原価1,800,000
 変動販売費400,000
貢献利益(=売上高 - 変動費)2,800,000
 固定製造原価1,200,000
 固定販売費及び一般管理費800,000
営業利益800,000

貢献利益=固定費を回収し、利益を生み出すもとになる金額。この考え方がCVP分析の土台です。

27-2 CVP分析の公式

暗記 これだけ覚える
貢献利益率= 貢献利益 ÷ 売上高 = 1 - 変動費率
損益分岐点の売上高固定費 ÷ 貢献利益率
目標利益を達成する売上高(固定費 + 目標利益)÷ 貢献利益率
安全余裕率=(実際売上高 - 損益分岐点売上高)÷ 実際売上高
例題27-1 CVP分析標準

図27-1の資料により、次を求めなさい。

  1. 貢献利益率 2. 損益分岐点の売上高 3. 営業利益¥1,400,000を達成する売上高 4. 安全余裕率 5. 売上高が10%増加したときの営業利益
解答・解説を見る
  • 1:貢献利益率 = 2,800,000 ÷ 5,000,000 = 56%
  • 2:固定費 = 1,200,000 + 800,000 = 2,000,000 → 2,000,000 ÷ 0.56 = ¥3,571,429(円未満四捨五入)
  • 3:(2,000,000 + 1,400,000) ÷ 0.56 = ¥6,071,429
  • 4:(5,000,000 - 3,571,429) ÷ 5,000,000 = 28.6%
  • 5:売上5,500,000 → 貢献利益 5,500,000×56% = 3,080,000 → 営業利益 = 3,080,000 - 2,000,000 = ¥1,080,000
POINT 5の意味を味わってほしい 売上が10%(50万円)増えただけで、営業利益は80万円 → 108万円と35%も増えます。固定費は増えないので、増えた貢献利益がまるごと利益になるからです。これが「営業レバレッジ」であり、経営者がCVP分析を重視する理由です。

27-3 固変分解(高低点法)

例題27-2 高低点法標準

過去6か月の生産量と製造間接費のデータから、最高操業度は生産量1,800個・製造間接費¥1,240,000、最低操業度は生産量1,000個・製造間接費¥920,000であった。高低点法により変動費率と月間固定費を求めなさい。

解答・解説を見る
  • 変動費率 = (1,240,000 - 920,000) ÷ (1,800 - 1,000)個 = 320,000 ÷ 800 = @¥400
  • 固定費 = 1,240,000 - @400 × 1,800個 = 1,240,000 - 720,000 = ¥520,000
  • 検算(最低点):@400 × 1,000個 + 520,000 = 920,000 ✔

高低点法は「操業度が最高の月」と「最低の月」の2点だけを使います。原価が最高/最低の月ではありません。ここは要注意です。

27-4 固定費調整

暗記 全部原価計算と直接原価計算の利益の差

全部原価計算の営業利益 = 直接原価計算の営業利益 + 期末在庫の固定製造原価 - 期首在庫の固定製造原価

在庫が増えれば、その分の固定費が翌期に繰り延べられるので全部原価計算のほうが利益が大きくなります。

例題27-3 固定費調整標準

直接原価計算による営業利益は¥800,000であった。期首製品に含まれる固定製造原価は¥90,000、期末製品に含まれる固定製造原価は¥150,000である。全部原価計算による営業利益を求めなさい。

解答・解説を見る

800,000 + 150,000 - 90,000 = ¥860,000

在庫が増えた(90,000 → 150,000)ので、その差60,000だけ固定費が翌期に繰り越され、当期の費用が減って利益が大きくなります。

第28章 本社工場会計

工場に独立した帳簿を持たせる場合の処理です。本支店会計とまったく同じ考え方で、「本社」勘定と「工場」勘定が貸借逆で一致します。第4問(1)の仕訳で出題されます。

例題28-1 本社工場会計標準

当社は工場に独立した帳簿を設けている。工場の帳簿には「材料・賃金・製造間接費・仕掛品・製品・本社」の各勘定が設けられている。次の取引について工場の仕訳を示しなさい。

  1. 本社が材料¥900,000を掛けで購入し、工場に送付した。
  2. 工場で材料¥750,000を消費した(直接材料費¥620,000、間接材料費¥130,000)。
  3. 本社が工員の賃金¥1,100,000を当座預金から支払った。
  4. 工場で賃金を消費した(直接労務費¥880,000、間接労務費¥220,000)。
  5. 工場設備の減価償却費¥340,000を計上した(減価償却累計額は本社の帳簿にある)。
  6. 製造間接費¥700,000を仕掛品に配賦した。
  7. 製品¥2,100,000が完成した。
  8. 完成した製品のうち¥1,800,000を本社へ送付した。
解答・解説を見る
No【工場】借方金額【工場】貸方金額
1材 料900,000本 社900,000
2仕掛品
製造間接費
620,000
130,000
材 料750,000
3賃 金1,100,000本 社1,100,000
4仕掛品
製造間接費
880,000
220,000
賃 金1,100,000
5製造間接費340,000本 社340,000
6仕掛品700,000製造間接費700,000
7製 品2,100,000仕掛品2,100,000
8本 社1,800,000製 品1,800,000
POINT 工場に無い勘定は全部「本社」に置き換える 工場の帳簿には買掛金・当座預金・減価償却累計額がありません。だから1・3・5では、それらの代わりに「本社」勘定を使います。
「工場の帳簿にある勘定はどれか」を最初に確認する——これが本社工場会計の唯一のコツです。問題文に必ず列挙されています。

第29章 製造原価報告書と損益計算書

29-1 製造原価報告書(C/R)の様式

図29-1 製造原価報告書 → 損益計算書のつながり
製造原価報告書
Ⅰ 材料費×××
Ⅱ 労務費×××
Ⅲ 経費×××
  当期総製造費用×××
  + 期首仕掛品棚卸高×××
  - 期末仕掛品棚卸高△×××
  = 当期製品製造原価×××
損益計算書
Ⅰ 売上高×××
Ⅱ 売上原価  期首製品棚卸高×××
    + 当期製品製造原価(← C/Rから)×××
    - 期末製品棚卸高△×××
    + 原価差異(不利差異の場合)×××
  売上総利益×××
注意 原価差異は売上原価で調整する 予定配賦を採用している場合、不利差異は売上原価に加算、有利差異は売上原価から減算します。製造原価報告書の中では「製造間接費配賦差異」として加減する形式もあるので、答案用紙の様式に従ってください。
例題29-1 製造原価報告書と損益計算書応用

次の資料により、製造原価報告書の当期製品製造原価と、損益計算書の売上原価・売上総利益を求めなさい。

  • 材料:期首 ¥180,000、当期仕入 ¥2,400,000、期末 ¥210,000(すべて直接材料)
  • 労務費:直接工賃金(当期消費額)¥1,850,000、間接工賃金 ¥420,000
  • 経費:工場減価償却費 ¥560,000、電力料 ¥240,000、外注加工賃 ¥180,000
  • 仕掛品:期首 ¥320,000、期末 ¥410,000
  • 製品:期首 ¥480,000、期末 ¥520,000
  • 売上高 ¥8,500,000
解答・解説を見る
製造原価報告書
区分金額
Ⅰ 材料費 180,000 + 2,400,000 - 210,0002,370,000
Ⅱ 労務費 1,850,000 + 420,0002,270,000
Ⅲ 経 費 560,000 + 240,000 + 180,000980,000
  当期総製造費用5,620,000
  + 期首仕掛品棚卸高320,000
  - 期末仕掛品棚卸高△410,000
当期製品製造原価5,530,000
損益計算書
区分金額
Ⅰ 売上高8,500,000
Ⅱ 売上原価 期首製品棚卸高480,000
    + 当期製品製造原価5,530,000
    - 期末製品棚卸高△520,000
売上原価5,490,000
売上総利益3,010,000
暗記 3つの「期首+当期-期末」 材料:期首材料+当期仕入-期末材料=材料費
仕掛品:期首仕掛+当期総製造費用-期末仕掛=当期製品製造原価
製品:期首製品+当期製品製造原価-期末製品=売上原価
同じ形が3回出てくるだけです。勘定連絡図(図17-3)を思い出してください。
工業簿記 総まとめ ― 本試験での立ち回り
  1. 第4問(1):勘定連絡図のどこかを1つ切り取った仕訳。直接費→仕掛品、間接費→製造間接費の振り分けだけ。12点を確実に。
  2. 第4問(2):総合原価計算が最頻出。ボックス図 → 月末仕掛品 → 差額で完成品の3手順。
  3. 第5問:標準原価計算の差異分析か、直接原価計算・CVP分析。どちらも公式暗記だけで解けるので、両方とも仕上げておく。

工業簿記は「手を動かした回数」がそのまま点数になる分野です。同じ問題を3回ずつ解いてください。

第30章 本試験形式 模擬試験 第1回

受験の心得 必ず90分を計って、通しで解いてください。電卓と白紙2枚だけを用意します。解答順は第1問 → 第4問 → 第5問 → 第2問 → 第3問。時間配分は 15分 → 20分 → 10分 → 20分 → 25分(見直し不要)を目安に。
途中で解答を見ないこと。90分経ったら手を止め、そこまでの答案で採点してください。

第1問(20点)仕訳問題

次の各取引について仕訳しなさい(各4点)標準
  1. 札幌商事に商品300個を1個あたり¥900で掛け販売した。同社との間には、当期中に商品を合計500個以上購入した場合に販売額の8%をリベートとして支払う取決めがあり、条件達成の可能性は高いと判断した。
  2. 備品(取得原価¥1,800,000、期首減価償却累計額¥1,050,000、耐用年数8年、残存価額ゼロ、定額法、間接法、決算日3月31日)をX9年6月30日に¥620,000で売却し、代金は翌月末に受け取ることとした。
  3. X5年4月1日に締結したファイナンス・リース契約(年間リース料¥840,000、リース期間5年、見積現金購入価額¥3,780,000、利子抜き法・定額法により利息を配分)について、X6年3月31日に年間リース料を当座預金から支払った。
  4. 決算にあたり、その他有価証券として保有する株式(取得原価¥2,400,000、期末時価¥2,180,000)を評価替えする。法定実効税率30%として税効果会計を適用する。
  5. 株主総会において、繰越利益剰余金を財源として株主配当金¥5,000,000および会社法が規定する額の利益準備金の積立てが決議された。なお、決議時点の資本金は¥60,000,000、資本準備金は¥8,000,000、利益準備金は¥6,600,000である。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1売掛金270,000売 上
返金負債
248,400
21,600
2減価償却累計額
減価償却費
未収入金
固定資産売却損
1,050,000
56,250
620,000
73,750
備 品1,800,000
3リース債務
支払利息
756,000
84,000
当座預金840,000
4繰延税金資産
その他有価証券評価差額金
66,000
154,000
その他有価証券220,000
5繰越利益剰余金5,400,000未払配当金
利益準備金
5,000,000
400,000
計算の内訳
  • 1:300個×@900=270,000。リベート 270,000×8%=21,600 → 売上 248,400。
  • 2:年償却額=1,800,000÷8年=225,000。4/1〜6/30の3か月=225,000×3/12=56,250。帳簿価額=1,800,000-1,050,000-56,250=693,750 → 売却価額620,000との差=固定資産売却損 73,750
  • 3:利息総額=840,000×5年-3,780,000=420,000 → 年84,000。元本返済=840,000-84,000=756,000。
  • 4:評価損220,000 → 繰延税金資産 220,000×30%=66,000、評価差額金 154,000(借方)。
  • 5:① 5,000,000×1/10=500,000 ② 60,000,000×1/4-(8,000,000+6,600,000)=15,000,000-14,600,000=400,000 → 小さいほうの400,000

第2問(20点)連結精算表

連結第2年度の連結財務諸表応用

P社は X6年3月31日にS社の発行済株式の70%を¥3,500,000で取得し、支配を獲得した。次の資料により、連結第2年度(X7年4月1日〜X8年3月31日)の連結財務諸表に計上される金額を答えなさい。のれんは10年で定額償却する。

  • 支配獲得日のS社純資産:資本金¥3,000,000、資本剰余金¥500,000、利益剰余金¥1,000,000
  • 連結第1年度:S社当期純利益¥500,000、S社配当¥150,000
  • 連結第2年度:S社当期純利益¥620,000、S社配当¥200,000
  • 当期、P社はS社に商品¥2,000,000を販売(ダウンストリーム、売上総利益率25%)
  • 期末のP社売掛金のうち¥600,000はS社に対するもの。P社は売掛金に2%の貸倒引当金を設定している(期首の内部売掛金はなかった)
  • S社の期末商品のうち¥480,000はP社から仕入れたもの(期首にP社仕入分はなかった)
  • 単純合算額:売上高¥58,000,000、売上原価¥41,000,000、貸倒引当金繰入¥94,000、受取配当金¥380,000、商品¥5,200,000、売掛金¥9,400,000、買掛金¥6,100,000、貸倒引当金¥188,000

 (1)開始仕訳 (2)当期の連結修正仕訳 (3)連結損益計算書・連結貸借対照表の各金額

解答・解説を見る
Step1 タイムテーブル
 X6/3/31
支配獲得日
X7/3/31
第1年度末
X8/3/31
第2年度末
資本金3,000,0003,000,0003,000,000
資本剰余金500,000500,000500,000
利益剰余金1,000,0001,350,0001,770,000
S社資本合計4,500,0004,850,0005,270,000
非支配株主持分 30%1,350,0001,455,0001,581,000
のれん350,000315,000280,000

のれん=3,500,000 -(4,500,000×70%=3,150,000)=350,000/償却=350,000÷10年=35,000
第1年度末の非支配株主持分=1,350,000+(500,000×30%=150,000)-(150,000×30%=45,000)=1,455,000

(1) 開始仕訳
借方科目金額貸方科目金額
資本金当期首残高
資本剰余金当期首残高
利益剰余金当期首残高
のれん
3,000,000
500,000
1,140,000
315,000
S社株式
非支配株主持分当期首残高
3,500,000
1,455,000

利益剰余金当期首残高は貸借差額で求めるのが最速:(3,500,000+1,455,000)-(3,000,000+500,000+315,000)=1,140,000
内訳の検算:支配獲得日1,000,000 + 前期修正の影響〔のれん償却35,000+非支配株主帰属利益150,000+受取配当金消去105,000-配当取消150,000=140,000〕=1,140,000 ✔

(2) 当期の連結修正仕訳
 借方科目金額貸方科目金額
のれん償却35,000のれん35,000
非支配株主に帰属する当期純利益186,000非支配株主持分186,000
受取配当金
非支配株主持分
140,000
60,000
剰余金の配当200,000
売上高2,000,000売上原価2,000,000
買掛金600,000売掛金600,000
貸倒引当金12,000貸倒引当金繰入12,000
売上原価120,000商 品120,000

② 620,000×30%=186,000/③ 200,000×70%=140,000・×30%=60,000/⑥ 600,000×2%=12,000/⑦ 480,000×25%=120,000

(3) 連結財務諸表の金額
項目計算金額
売上高58,000,000 - 2,000,00056,000,000
売上原価41,000,000 - 2,000,000 + 120,00039,120,000
貸倒引当金繰入94,000 - 12,00082,000
受取配当金380,000 - 140,000240,000
のれん償却35,000
非支配株主に帰属する当期純利益186,000
商品5,200,000 - 120,0005,080,000
売掛金9,400,000 - 600,0008,800,000
買掛金6,100,000 - 600,0005,500,000
貸倒引当金188,000 - 12,000176,000
のれん315,000 - 35,000280,000
非支配株主持分1,455,000 + 186,000 - 60,0001,581,000

第3問(20点)損益計算書の作成

決算整理と損益計算書応用

次の決算整理前残高試算表(一部)と決算整理事項により、損益計算書の各金額を答えなさい。会計期間はX7年4月1日〜X8年3月31日、法定実効税率30%。

借方金額貸方金額
繰越商品1,150,000貸倒引当金46,000
売掛金4,200,000備品減価償却累計額1,440,000
受取手形1,800,000売上42,600,000
備品3,600,000受取手数料360,000
のれん640,000  
仕入28,900,000  
給料6,200,000  
広告宣伝費840,000  
支払利息120,000  
仮払法人税等700,000  

決算整理事項

  1. 期末商品:帳簿棚卸高¥1,280,000、実地棚卸高¥1,240,000、正味売却価額による評価額¥1,205,000。棚卸減耗損・商品評価損はともに売上原価に算入する。
  2. 売掛金・受取手形の期末残高に対して2%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。
  3. 備品は200%定率法(耐用年数5年)により減価償却する。
  4. のれんは取得後4年目である。取得時の金額は¥1,000,000で、10年で均等償却している。
  5. 受取手数料のうち¥90,000は翌期分である。
  6. 広告宣伝費の未払分¥70,000を計上する。
  7. 法人税、住民税及び事業税を¥1,780,000計上する。
  8. 税効果会計を適用する。期首の繰延税金資産は¥96,000、期末に必要な繰延税金資産は¥138,000である。
解答・解説を見る
Step1 決算整理の計算
項目計算金額
棚卸減耗損1,280,000 - 1,240,00040,000
商品評価損1,240,000 - 1,205,00035,000
売上原価1,150,000 + 28,900,000 - 1,280,000 + 40,000 + 35,00028,845,000
貸倒引当金繰入(4,200,000+1,800,000)×2% - 46,00074,000
減価償却費償却率=1/5×200%=0.4/期首帳簿価額=3,600,000-1,440,000=2,160,000
2,160,000 × 0.4
864,000
のれん償却1,000,000 ÷ 10年100,000
受取手数料360,000 - 90,000270,000
広告宣伝費840,000 + 70,000910,000
法人税等調整額138,000 - 96,00042,000(貸方)
Step2 損益計算書
区分金額
Ⅰ 売上高42,600,000
Ⅱ 売上原価28,845,000
売上総利益13,755,000
Ⅲ 販売費及び一般管理費
 給料 6,200,000 + 広告宣伝費 910,000 + 貸倒引当金繰入 74,000
 + 減価償却費 864,000 + のれん償却 100,000
8,148,000
営業利益5,607,000
Ⅳ 営業外収益 受取手数料270,000
Ⅴ 営業外費用 支払利息120,000
経常利益 = 税引前当期純利益5,757,000
 法人税、住民税及び事業税1,780,000
 法人税等調整額△42,000
当期純利益4,019,000
つまずきやすい2点
  • 3:定率法は取得原価ではなく期首帳簿価額(3,600,000-1,440,000=2,160,000)に償却率を掛けます。
  • 4:のれん償却は残高640,000÷残存年数ではなく、取得時の1,000,000÷10年。「均等償却」なので毎期同額です。

第4問(28点)工業簿記

(1) 仕訳問題(12点・各4点)標準

当社は工場に独立した帳簿を設けている。工場の帳簿には「材料・賃金・製造間接費・仕掛品・製品・本社」の勘定がある。次の取引について工場の仕訳を示しなさい。

  1. 本社が素材¥1,700,000と工場消耗品¥130,000を掛けで購入し、工場に送付した。
  2. 直接工の作業時間は直接作業1,500時間、間接作業180時間であった。予定賃率は@¥1,250である。
  3. 工場設備の減価償却費の当月分¥580,000を計上した(減価償却累計額は本社の帳簿にある)。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1材 料1,830,000本 社1,830,000
2仕掛品
製造間接費
1,875,000
225,000
賃 金2,100,000
3製造間接費580,000本 社580,000

2:直接 1,500h×1,250=1,875,000/間接 180h×1,250=225,000。工場に買掛金・減価償却累計額の勘定がないので「本社」で受けるのがポイントです。

(2) 総合原価計算(16点)応用

当社は単純総合原価計算を採用している。次の資料により、月末仕掛品原価と完成品原価および完成品単位原価を求めなさい。平均法による。材料は工程の始点で投入し、正常仕損は工程の終点で発生している(仕損品に評価額はない)。

生産データ数量原価データ直接材料費加工費
月初仕掛品(進捗度40%)250個月初仕掛品原価137,50062,000
当月投入1,350個当月製造費用742,500895,000
合計1,600個   
正常仕損(終点)100個   
月末仕掛品(進捗度60%)300個   
完成品1,200個   
解答・解説を見る
Step1 完成品のみ負担 → 仕損を計算に含めたまま
 数量(材料費)換算量(加工費)
完成品1,200個1,200個
正常仕損(終点=100%)100個100個
月末仕掛品300個300 × 60% = 180個
合計(平均法の分母)1,600個1,480個
Step2 月末仕掛品原価
 直接材料費加工費
合計原価137,500 + 742,500 = 880,00062,000 + 895,000 = 957,000
月末仕掛品880,000 × 300/1,600 = 165,000957,000 × 180/1,480 = 116,392

月末仕掛品原価 = 165,000 + 116,392 = ¥281,392

Step3 完成品原価(差額)と単位原価
  • 投入原価合計 = 880,000 + 957,000 = ¥1,837,000
  • 完成品原価 = 1,837,000 - 281,392 = ¥1,555,608
  • 完成品単位原価 = 1,555,608 ÷ 1,200個 = @¥1,296.34(円未満四捨五入で@¥1,296)
注意完成品のみ負担なので仕損100個の原価はすべて完成品に含まれます。したがって単位原価は「完成品原価 ÷ 完成品1,200個」で計算します(1,300個で割らないこと)。

第5問(12点)標準原価計算

原価差異の分析応用

当社は標準原価計算を採用している。次の資料により、直接材料費差異・直接労務費差異・製造間接費差異を分析しなさい(製造間接費は3分法、能率差異は標準配賦率で計算する)。

標準原価カード(製品1個あたり)
直接材料費@¥250 × 6kg1,500
直接労務費@¥1,000 × 3時間3,000
製造間接費@¥800 × 3時間2,400
合計6,900
  • 当月完成品 800個、月初仕掛品なし、月末仕掛品 200個(加工進捗度50%)。材料は始点投入。
  • 実際直接材料費:実際消費量 6,100kg、実際単価 @¥260
  • 実際直接労務費:実際直接作業時間 2,750時間、実際賃率 @¥1,020
  • 製造間接費:実際発生額 ¥2,280,000/変動費率 @¥300、固定費率 @¥500/月間基準操業度 3,000時間、月間固定費予算 ¥1,500,000
解答・解説を見る
Step1 標準消費量(当月投入基準)
 数量(材料)換算量(加工)
完成品800個800個
月末仕掛品200個200 × 50% = 100個
当月投入1,000個900個
  • 標準材料消費量 = 1,000個 × 6kg = 6,000kg
  • 標準直接作業時間 = 900個 × 3時間 = 2,700時間
Step2 差異分析
差異計算金額
直接材料費 総差異@250×6,000 - @260×6,100 = 1,500,000 - 1,586,000△86,000(不利)
 価格差異(250 - 260) × 6,100kg△61,000(不利)
 数量差異250 × (6,000 - 6,100)kg△25,000(不利)
直接労務費 総差異@1,000×2,700 - @1,020×2,750 = 2,700,000 - 2,805,000△105,000(不利)
 賃率差異(1,000 - 1,020) × 2,750時間△55,000(不利)
 時間差異1,000 × (2,700 - 2,750)時間△50,000(不利)
製造間接費 総差異@800×2,700 - 2,280,000 = 2,160,000 - 2,280,000△120,000(不利)
 予算差異(@300×2,750 + 1,500,000) - 2,280,000 = 2,325,000 - 2,280,000+45,000(有利)
 能率差異@800 × (2,700 - 2,750)時間△40,000(不利)
 操業度差異@500 × (2,750 - 3,000)時間△125,000(不利)
原価差異合計△86,000 △105,000 △120,000△311,000

検算:製造間接費 +45,000 △40,000 △125,000 = △120,000 ✔

この問題の配点イメージ 6つの差異×2点=12点。価格差異・数量差異・賃率差異・時間差異の4つは公式に当てはめるだけなので、ここだけで8点は確実に取れます。操業度差異の「実際 - 基準」を逆にしないことだけ注意してください。

模擬試験 第1回 自己採点と復習ガイド

大問配点復習すべき章
第1問20点第2章(返金負債)・第5章(期中売却)・第6章(リース)・第8章(その他有価証券)・第11章(利益準備金)
第2問20点第16章(連結会計)
第3問20点第2章(棚卸減耗)・第5章(定率法)・第7章(のれん)・第9章(貸倒引当金)・第12〜13章
第4問28点第19章(予定賃率)・第24章(総合原価計算)・第28章(本社工場)
第5問12点第26章(標準原価計算)
点数別・次にやるべきこと
得点次の一手
70点以上合格ライン。間違えた大問の章だけを復習し、あとは第1問の仕訳を毎日10問解いて維持する
55〜69点あと一歩。工業簿記(第4問・第5問)で40点満点を取りにいくのが最短ルート。第17〜29章を通しでもう1周
40〜54点第1問の仕訳と工業簿記に集中。第2問・第3問は後回しでよい。仕訳が固まれば自然に伸びる
40点未満まだテキストの理解が不足。第1章〜第9章と第17章〜第21章を、例題を紙に書きながらもう一度
本試験前日・当日のチェックリスト
  • 前日:新しい問題を解かない。間違えた問題の解き直しだけ。電卓の電池を確認。
  • 当日の持ち物:受験票、身分証明書、電卓(関数電卓・音の出るものは不可)、筆記用具、時計。
  • 試験開始直後:まず全体をめくって第2問・第3問が何の論点かだけ確認する(10秒)。そのうえで第1問から解き始める。
  • 時間が来たら:第3問の当期純利益は空欄でも構いません。埋まっている欄の正確さのほうが点になります。
最後に 簿記2級はセンスの試験ではなく、反復の試験です。ここまでの30章を1周した段階では、まだ半分も解けなくて当たり前。同じ問題を3回解いたとき、ようやく本試験で戦える速度になります。
このテキストは何度でも戻ってこられる場所です。続けて模擬試験 第2回・第3回も用意してあります。合格まで、ぜひ使い倒してください。

第31章 本試験形式 模擬試験 第2回

第1回とは別の論点で構成しています 第2回は第2問=株主資本等変動計算書、第3問=貸借対照表の作成、第4問(2)=部門別個別原価計算、第5問=直接原価計算とCVP分析。第1回と組み合わせることで、本試験で出るパターンをほぼ網羅できます。必ず90分を計って通しで解いてください。

第1問(20点)仕訳問題

次の各取引について仕訳しなさい(各4点)標準
  1. 当社は函館物産と、商品X(¥400,000)と商品Y(¥600,000)を販売する契約を締結し、本日、商品Xを引き渡した。代金は商品Yを引き渡した後にまとめて請求する契約であり、商品Xの代金についてはまだ顧客との契約から生じた債権となっていない。なお、商品Xの引渡しと商品Yの引渡しは、それぞれ独立した履行義務として識別する。
  2. かねて建設中であった倉庫が完成し、引渡しを受けた。請負金額は¥24,000,000であり、うち¥15,000,000はすでに支払って建設仮勘定に計上されている。残額は3か月後に支払うこととした。また、この倉庫の取得にあたり受け取っていた国庫補助金¥4,000,000について、直接減額方式による圧縮記帳を行う。
  3. かねて割り引いていた約束手形¥750,000が満期日に不渡りとなり、銀行より償還請求を受けたので、額面金額に延滞利息¥12,000と償還請求費用¥8,000を加えた金額を小切手を振り出して支払った。
  4. 米国の得意先に対する売掛金 $8,000(取引時の直物為替相場は1ドル¥142)について、決済日を期日とする為替予約を行った。予約時の先物為替相場は1ドル¥138である。振当処理による。
  5. 当社は室蘭商会を吸収合併し、諸資産(時価¥18,000,000)と諸負債(時価¥11,500,000)を引き継いだ。対価として当社の株式2,000株(時価@¥4,000)を交付し、会社法が規定する最低額を資本金とし、残額は資本準備金とした。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1契約資産400,000売 上400,000
2建 物
固定資産圧縮損
24,000,000
4,000,000
建設仮勘定
未払金
建 物
15,000,000
9,000,000
4,000,000
3不渡手形770,000当座預金770,000
4為替差損益32,000売掛金32,000
5諸資産
のれん
18,000,000
1,500,000
諸負債
資本金
資本準備金
11,500,000
4,000,000
4,000,000
解説
  • 1:「まだ顧客との契約から生じた債権となっていない」=契約資産を使うサイン。売掛金にすると不正解です。
  • 2:完成引渡しで建設仮勘定を建物へ振り替え、続けて圧縮記帳。建物が借方と貸方に1回ずつ出る形になります(2つの仕訳を1つにまとめた形)。未払金=24,000,000-15,000,000=9,000,000。
    ※借方の建物を相殺して「建物20,000,000/建設仮勘定15,000,000・未払金9,000,000」+「固定資産圧縮損4,000,000/建物4,000,000」と2行に分けて示す形でも正解です。
  • 3:750,000+12,000+8,000=770,000。延滞利息も償還請求費用も相手に請求できるので、支払利息や手数料ではなく全額を不渡手形とします。
  • 4:予約レートによる金額=$8,000×138=1,104,000。帳簿の$8,000×142=1,136,000より32,000少ない → 売掛金を減らし為替差損32,000。以後、決算日レートで換算替えはしません。
  • 5:対価=2,000株×4,000=8,000,000。受入純資産=18,000,000-11,500,000=6,500,000 → のれん1,500,000。資本金は8,000,000×1/2=4,000,000、残り4,000,000が資本準備金。

第2問(20点)株主資本等変動計算書

純資産の変動を追う応用

当社(会計期間X7年4月1日〜X8年3月31日)の資料は次のとおりである。株主資本等変動計算書を完成させなさい(単位:千円)。

  • 当期首残高:資本金 80,000/資本準備金 8,000/その他資本剰余金 3,000/利益準備金 5,000/別途積立金 5,000/繰越利益剰余金 24,000
  • X7年6月24日の株主総会で次のとおり決議された。
    • 繰越利益剰余金を財源とする株主配当金 8,000、別途積立金の積立て 2,000
    • その他資本剰余金を財源とする株主配当金 2,000
    • 配当にともない、会社法が規定する額の準備金を積み立てる
  • X7年10月1日、増資を行い、払込金額 20,000 の全額が当座預金に払い込まれた。会社法が規定する最低額を資本金とした。
  • 当期純利益は 15,600 であった。
解答・解説を見る
Step1 準備金の積立額
  • 積立枠 = 資本金 80,000 × 1/4 -(資本準備金 8,000 + 利益準備金 5,000)= 20,000 - 13,000 = 7,000
  • 配当総額の1/10 =(8,000 + 2,000)× 1/10 = 1,000  → 積立枠7,000のほうが大きいので、小さいほうの「配当額の1/10」を積み立てる
  • 利益準備金 = 8,000 × 1/10 = 800(利益剰余金を財源とする配当分)
  • 資本準備金 = 2,000 × 1/10 = 200(その他資本剰余金を財源とする配当分)
Step2 株主資本等変動計算書
 資本金資本剰余金利益剰余金株主資本
合計
資本
準備金
その他
資本剰余金
合計利益
準備金
別途
積立金
繰越利益
剰余金
合計
当期首残高80,0008,0003,00011,0005,0005,00024,00034,000125,000
剰余金の配当
(利益剰余金より)
800△8,800△8,000△8,000
剰余金の配当
(資本剰余金より)
200△2,200△2,000△2,000
別途積立金の積立2,000△2,00000
新株の発行10,00010,00010,00020,000
当期純利益15,60015,60015,600
当期変動額合計10,00010,200△2,2008,0008002,0004,8007,60025,600
当期末残高90,00018,20080019,0005,8007,00028,80041,600150,600
検算の3ポイント
  • :利益剰余金からの配当行 = 800 +(△8,800)= △8,000(社外に出る配当金だけ)/資本剰余金からの配当行 = 200 +(△2,200)= △2,000
  • 積立金の行はゼロ:別途積立金への振替は純資産内の移動
  • :125,000 + 25,600 = 150,600 ✔(25,600 = 増資20,000 + 当期純利益15,600 - 配当10,000)
この問題の急所 その他資本剰余金を財源とする配当では、積み立てるのは「資本準備金」です。利益準備金にすると資本と利益が混ざってしまい、大幅減点になります。

第3問(20点)貸借対照表の作成

決算整理と貸借対照表応用

次の決算整理前残高試算表(一部)と決算整理事項により、貸借対照表に計上される金額を答えなさい。会計期間はX7年4月1日〜X8年3月31日。

借方金額貸方金額
現 金320,000貸倒引当金58,000
当座預金1,850,000建物減価償却累計額4,400,000
受取手形2,400,000備品減価償却累計額960,000
売掛金3,600,000仮受消費税3,410,000
繰越商品1,480,000退職給付引当金4,200,000
仮払消費税2,180,000借入金5,000,000
建 物12,000,000  
備 品2,400,000  
満期保有目的債券1,940,000  
長期貸付金2,000,000  

決算整理事項

  1. 銀行残高証明書の残高は¥2,250,000であった。不一致の原因は、①仕入先へ振り出した小切手¥180,000が未取付けであった ②得意先から売掛金¥320,000の振込みがあったが当社に未通知であった ③水道光熱費¥100,000が当座預金から自動引落しされていたが未記帳であった、の3点である。
  2. 期末商品:帳簿棚卸高¥1,560,000、実地棚卸高¥1,530,000、正味売却価額による評価額¥1,495,000。
  3. 受取手形および売掛金の期末残高に対して2%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。なお、決算整理前の貸倒引当金¥58,000はすべて営業債権に係るものである。
  4. 長期貸付金に対して1%の貸倒引当金を設定する(営業外債権)。
  5. 建物は定額法(耐用年数30年、残存価額ゼロ)、備品は200%定率法(耐用年数5年)により減価償却する。
  6. 満期保有目的債券(額面¥2,000,000、X7年4月1日取得、償還日X12年3月31日)について償却原価法(定額法)を適用する。
  7. 退職給付引当金の当期繰入額は¥780,000である。
  8. 消費税(税抜方式)の納付額を確定する。
  9. 借入金は X9年8月31日に一括返済する契約である。
解答・解説を見る
Step1 主な計算
項目計算金額
当座預金1,850,000 + 320,000 - 100,000
(検算:銀行 2,250,000 - 未取付 180,000 = 2,070,000 ✔)
2,070,000
売掛金3,600,000 - 320,000(振込未通知の回収)3,280,000
棚卸減耗損1,560,000 - 1,530,00030,000
商品評価損1,530,000 - 1,495,00035,000
貸倒引当金(営業債権)(2,400,000 + 3,280,000) × 2%113,600
 うち受取手形分113,600 × 2,400/5,68048,000
 うち売掛金分113,600 × 3,280/5,68065,600
貸倒引当金(長期貸付金)2,000,000 × 1%20,000
建物減価償却費12,000,000 ÷ 30年400,000
備品減価償却費(2,400,000 - 960,000) × 0.4576,000
償却原価法(2,000,000 - 1,940,000) ÷ 5年12,000
未払消費税3,410,000 - 2,180,0001,230,000
Step2 貸借対照表
区分表示科目金額
流動資産現 金320,000
当座預金2,070,000
受取手形 2,400,000 貸倒引当金 △48,0002,352,000
売掛金 3,280,000 貸倒引当金 △65,6003,214,400
商 品1,495,000
固定資産建物 12,000,000 減価償却累計額 △4,800,0007,200,000
備品 2,400,000 減価償却累計額 △1,536,000864,000
投資有価証券1,952,000
長期貸付金 2,000,000 貸倒引当金 △20,0001,980,000
流動負債未払消費税1,230,000
固定負債長期借入金5,000,000
退職給付引当金4,980,000
この問題の落とし穴4つ
  1. 売掛金は320,000減らす。銀行勘定調整で「振込未通知」を修正すると、当座預金が増えて売掛金が減ります。貸倒引当金もこの修正後の金額に対して設定します。
  2. 満期保有目的債券は「投資有価証券」と読み替え、時価ではなく償却原価1,952,000で計上。
  3. 借入金はX9年8月返済=決算日X8年3月31日から1年超 → 固定負債の「長期借入金」
  4. 備品の定率法は取得原価ではなく期首帳簿価額(2,400,000-960,000=1,440,000)に0.4を掛けます。

第4問(28点)工業簿記

(1) 費目別計算の仕訳(12点・各4点)標準
  1. 素材¥2,400,000を掛けで購入し、引取運賃¥36,000は現金で支払った。引取運賃は素材の購入原価に加算する。
  2. 当月の材料消費額を予定消費価格により計上した。直接材料費は¥1,980,000、間接材料費は¥240,000である。
  3. 当月の材料の実際消費額は¥2,245,000であった。材料消費価格差異を計上する。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1材 料2,436,000買掛金
現 金
2,400,000
36,000
2仕掛品
製造間接費
1,980,000
240,000
材 料2,220,000
3材料消費価格差異25,000材 料25,000

3:予定消費額 2,220,000 - 実際消費額 2,245,000 = △25,000(不利差異=借方)。材料勘定の貸方に25,000を追加して実際消費額に合わせるイメージです。

(2) 部門別個別原価計算(16点)応用

次の資料により、相互配賦法(簡便法)によって補助部門費を配賦し、各製造部門の製造間接費合計を求めなさい。

 製造部門補助部門
切削部門組立部門動力部門事務部門
部門費(第1次集計後)2,400,0001,800,000480,000360,000
動力供給量(kWh)600300100
従業員数(人)302010
解答・解説を見る
【第1次配賦】補助部門への供給分も含めて配賦する
 配賦基準切削組立動力事務
動力部門費 480,000600:300:—:100288,000144,00048,000
事務部門費 360,00030:20:10:—180,000120,00060,000
第1次配賦後の補助部門残高60,00048,000
【第2次配賦】製造部門にだけ配賦する
 配賦基準切削組立
動力部門 60,000600:30040,00020,000
事務部門 48,00030:2028,80019,200
【集計】
 切削部門組立部門
部門費(第1次集計後)2,400,0001,800,000
第1次配賦468,000264,000
第2次配賦68,80039,200
製造間接費合計2,936,8002,103,200

検算:2,936,800 + 2,103,200 = 5,040,000 = 2,400,000+1,800,000+480,000+360,000 ✔

得点戦略 配賦基準が動力=供給量、事務=従業員数と別々である点に注意。第1次では補助部門どうしの供給も含めて配賦し、第2次では製造部門だけに配賦します。最後に必ず合計で検算してください。

第5問(12点)直接原価計算とCVP分析

損益分岐点と目標利益標準

当社の当期の資料は次のとおりである。各問に答えなさい。

  • 販売単価 @¥2,500  販売量 4,000個(生産量=販売量)
  • 変動製造費 @¥1,100  変動販売費 @¥150
  • 固定製造原価 ¥2,800,000  固定販売費及び一般管理費 ¥1,700,000

問1 直接原価計算による損益計算書を作成しなさい。
問2 損益分岐点の売上高と販売量を求めなさい。
問3 安全余裕率を求めなさい。
問4 営業利益¥1,500,000を達成するために必要な売上高と販売量を求めなさい。
問5 売上高営業利益率10%を達成するために必要な売上高を求めなさい。
問6 【問1〜問5とは無関係の別資料】ある会社の直接原価計算による営業利益が¥500,000、期首製品に含まれる固定製造原価が¥0、期末製品に含まれる固定製造原価が¥140,000であるとき、全部原価計算による営業利益を求めなさい。

解答・解説を見る
問1 直接原価計算の損益計算書
売上高 @2,500 × 4,000個10,000,000
 変動売上原価 @1,100 × 4,000個4,400,000
 変動販売費 @150 × 4,000個600,000
貢献利益5,000,000
 固定製造原価2,800,000
 固定販売費及び一般管理費1,700,000
営業利益500,000
問2〜問6
計算解答
2貢献利益率 = 5,000,000 ÷ 10,000,000 = 50%
損益分岐点売上高 = 4,500,000 ÷ 0.5
販売量 = 9,000,000 ÷ @2,500
9,000,000
3,600個
3(10,000,000 - 9,000,000) ÷ 10,000,00010%
4(4,500,000 + 1,500,000) ÷ 0.5 = 12,000,000
12,000,000 ÷ @2,500
12,000,000
4,800個
5売上高をSとすると 0.5S - 4,500,000 = 0.1S
0.4S = 4,500,000
11,250,000
6500,000 + 140,000 - 0640,000
問5の解き方(頻出) 「売上高営業利益率○%」は貢献利益率から目標利益率を引いた率で固定費を割ると一発です。
必要売上高 = 固定費 ÷(貢献利益率 - 目標売上高営業利益率) = 4,500,000 ÷(0.5 - 0.1)= 11,250,000
検算:11,250,000 × 50% - 4,500,000 = 1,125,000 = 11,250,000 × 10% ✔
問6の考え方 在庫が0 → 140,000に増えたので、その分の固定製造原価が製品として翌期に繰り越されます。当期の費用が140,000減る=全部原価計算のほうが利益が140,000大きい、ということです。

第32章 本試験形式 模擬試験 第3回

最終仕上げ 第3回は第2問=固定資産の総合問題、第3問=本支店会計、第4問(2)=工程別総合原価計算(先入先出法)、第5問=標準原価計算+仕掛品勘定。第2問〜第4問は第1回・第2回で扱わなかった論点、第5問は第1回と同じ標準原価計算ですが、今回は「パーシャルプランの仕掛品勘定を完成させる」形式で出題頻度の高いパターンを補っています。これで本試験の主要パターンは網羅完了です。

第1問(20点)仕訳問題

次の各取引について仕訳しなさい(各4点)標準
  1. 売上原価対立法により記帳している。原価¥620,000の商品を¥890,000で販売し、代金は掛けとした。
  2. 取引銀行に電子記録債権¥800,000を¥782,000で売却し、手取金が当座預金口座に入金された。
  3. 備品(取得原価¥1,500,000、減価償却累計額¥1,275,000、間接法)を当期首に除却した。この備品の処分価値は¥120,000と見積もられた。
  4. 決算(決算日3月31日)にあたり、賞与引当金を設定する。当社は毎年6月10日と12月10日に賞与を支給しており、6月支給の賞与の支給対象期間は12月1日から5月31日まで、支給見込額は¥7,200,000である。
  5. 増資にあたり募集していた株式400株(1株の払込金額¥12,000)について、払込期日となったので、別段預金に払い込まれていた申込証拠金を資本金(会社法が規定する最低額)および資本準備金に振り替え、あわせて別段預金を当座預金に預け替えた。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1売掛金
売上原価
890,000
620,000
売 上
商 品
890,000
620,000
2当座預金
電子記録債権売却損
782,000
18,000
電子記録債権800,000
3減価償却累計額
貯蔵品
固定資産除却損
1,275,000
120,000
105,000
備 品1,500,000
4賞与引当金繰入4,800,000賞与引当金4,800,000
5株式申込証拠金
当座預金
4,800,000
4,800,000
資本金
資本準備金
別段預金
2,400,000
2,400,000
4,800,000
解説
  • 1:売上原価対立法では、販売時に「収益の計上」と「原価の振替」の2つを必ず記録します。原価の振替(売上原価/商品)を書き忘れないことが最大のポイントです。
  • 3:帳簿価額225,000 - 処分価値120,000 = 除却損105,000。処分価値は貯蔵品(資産)で受けます。
  • 4:支給対象期間12/1〜5/31の6か月のうち、当期に属するのは12月・1月・2月・3月の4か月 → 7,200,000 × 4/6 = 4,800,000。
  • 5:払込総額 400株 × 12,000 = 4,800,000。資本金は1/2の2,400,000、残り2,400,000が資本準備金。別段預金→当座預金の振替も忘れずに

第2問(20点)固定資産の総合問題

取得・売却・減価償却を一気に処理する応用

当社(会計期間X7年4月1日〜X8年3月31日、減価償却は間接法)の固定資産に関する資料は次のとおりである。各問に答えなさい。

資産取得日取得原価償却方法
建物AX0年4月1日18,000,000定額法・耐用年数30年・残存価額ゼロ
備品BX5年4月1日3,000,000200%定率法・耐用年数5年
車両CX6年10月1日2,400,000定額法・耐用年数4年・残存価額ゼロ

当期の取引

  1. X7年8月1日、備品D ¥1,800,000を購入し、代金は小切手を振り出して支払った(200%定率法・耐用年数5年)。
  2. X7年11月30日、車両Cを¥1,500,000で売却し、代金は翌月末に受け取ることとした。

問1 各資産の当期減価償却費 問2 車両C売却の仕訳 問3 当期の減価償却費合計と、期末の建物・備品の貸借対照表価額

解答・解説を見る
問1 当期減価償却費
資産計算当期償却費
建物A18,000,000 ÷ 30年600,000
備品B償却率 = 1/5 × 200% = 0.4
X5年度 3,000,000×0.4=1,200,000/X6年度 1,800,000×0.4=720,000
期首帳簿価額 = 3,000,000 - 1,920,000 = 1,080,000
1,080,000 × 0.4
432,000
車両C年 2,400,000 ÷ 4年 = 600,000
4/1〜11/30 の8か月 600,000 × 8/12
400,000
備品D1,800,000 × 0.4 × 8/12(8/1〜3/31)480,000
合計1,912,000
問2 車両C売却の仕訳
  • 期首減価償却累計額 = X6/10/1〜X7/3/31 の6か月 = 600,000 × 6/12 = 300,000
  • 売却時の帳簿価額 = 2,400,000 - 300,000 - 400,000 = 1,700,000
  • 売却価額 1,500,000 - 1,700,000 = 売却損 200,000
借方科目金額貸方科目金額
車両減価償却累計額
減価償却費
未収入金
固定資産売却損
300,000
400,000
1,500,000
200,000
車両運搬具2,400,000
問3 期末の貸借対照表価額
科目計算B/S価額
建物18,000,000 - 減価償却累計額(4,200,000 + 600,000 = 4,800,000)13,200,000
備品(3,000,000 + 1,800,000) - 減価償却累計額(1,920,000 + 432,000 + 480,000 = 2,832,000)1,968,000
車両運搬具売却済み0
この問題の急所3つ
  1. 定率法の期首累計額を自分で積み上げる。備品Bは2年分(1,200,000+720,000=1,920,000)を計算しないと当期分が出ません。
  2. 売却月まで減価償却する。11月30日売却なら4月〜11月の8か月分を計上します。
  3. 期中取得は取得月から月割。備品Dは8月1日取得なので8か月分(8月〜翌3月)。7か月と数えないこと——取得月も1か月に数えます。

第3問(20点)本支店会計

本支店合併損益計算書の作成応用

当社は札幌の本店のほかに旭川支店を有し、支店独立会計制度を採用している。次の資料により、本支店合併損益計算書の各金額を求めなさい。会計期間はX7年4月1日〜X8年3月31日。なお、本店から支店への商品の発送は原価で行っている。

決算整理前残高試算表(一部)本 店支 店
繰越商品680,000420,000
仕 入12,400,0006,300,000
給 料2,800,0001,500,000
支払家賃960,000480,000
支 店3,150,000
売 上18,600,0009,800,000
本 店3,040,000

未達事項

  1. 本店が支店へ発送した商品¥180,000(原価)が支店に未達である。
  2. 支店が本店の売掛金¥70,000を回収したが、本店に未達である。

決算整理事項

  1. 期末商品棚卸高は、本店¥720,000、支店¥510,000(未達商品を含まない)である。
解答・解説を見る
Step1 未達事項の処理と勘定の一致確認
No借方科目金額貸方科目金額
1【支店】仕 入180,000本 店180,000
2【本店】支 店70,000売掛金70,000
本店の「支店」勘定支店の「本店」勘定
3,150,000 + 70,0003,040,000 + 180,000
3,220,0003,220,000 一致 ✔
Step2 合併損益計算書
区分金額
Ⅰ 売上高 18,600,000 + 9,800,00028,400,000
Ⅱ 売上原価
  期首商品棚卸高 680,000 + 420,000
1,100,000
  + 当期商品仕入高 12,400,000 + 6,300,000 + 180,000(未達)18,880,000
  - 期末商品棚卸高 720,000 +(510,000 + 180,000△1,410,000
売上原価18,570,000
売上総利益9,830,000
Ⅲ 販売費及び一般管理費
  給料 2,800,000 + 1,500,000 = 4,300,000
  支払家賃 960,000 + 480,000 = 1,440,000
5,740,000
営業利益4,090,000
未達商品の「二重の効果」に注意 未達商品¥180,000は、①当期仕入高に加算し、②期末商品棚卸高にも加算します。まだ支店に届いていなくても、会社全体としては在庫として存在しているからです。
両方に加算するので売上原価への影響は差引ゼロですが、答案の「当期仕入高」「期末商品棚卸高」の欄には、それぞれ加算後の金額を書かなければ正解になりません。片方だけ加算すると売上原価が180,000ずれます。
得点戦略 本支店会計の第3問は、「本店+支店を単純に足す」だけで埋まる欄が大半です。給料・支払家賃などは足すだけ。未達と期末商品だけ気をつければ、20点中15点は取れます。

第4問(28点)工業簿記

(1) 工業簿記の仕訳(12点・各4点)標準
  1. 当月の直接工の作業時間は、直接作業1,600時間、間接作業140時間であった。予定賃率は@¥1,400である。
  2. 製造間接費を予定配賦率@¥950により、上記1の実際直接作業時間にもとづいて各製造指図書に配賦した。
  3. 当月の完成品原価¥5,800,000を製品勘定に振り替えた。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕掛品
製造間接費
2,240,000
196,000
賃金・給料2,436,000
2仕掛品1,520,000製造間接費1,520,000
3製 品5,800,000仕掛品5,800,000

1:直接 1,600h×1,400=2,240,000/間接 140h×1,400=196,000。間接作業時間分は製造間接費です。
2:950 × 1,600h = 1,520,000。配賦基準は「直接作業時間」なので、間接作業140時間は含めません(1,740時間としないこと)。また、実際発生額ではなく予定配賦率×実際操業度で配賦します。

(2) 工程別総合原価計算(16点)応用

当社は2つの工程を経て製品を製造している。次の資料により、第1工程完成品原価、第2工程の月末仕掛品原価および完成品原価を求めなさい。先入先出法による。材料は第1工程の始点ですべて投入している。

生産データ第1工程第2工程
月初仕掛品(加工進捗度)200個(50%)150個(60%)
当月投入1,100個1,000個
月末仕掛品(加工進捗度)300個(40%)250個(40%)
完成品1,000個900個
原価データ第1工程第2工程
月初仕掛品:直接材料費/前工程費88,000162,000
月初仕掛品:加工費39,00051,000
当月:直接材料費517,000
当月:加工費663,000637,000
解答・解説を見る
Step1 第1工程
 数量(材料費)換算量(加工費)
完成品1,000個1,000個
月末仕掛品300個300 × 40% = 120個
月初仕掛品△200個△100個(200×50%)
当月投入1,100個1,020個
 直接材料費加工費
月末仕掛品517,000 × 300/1,100 = 141,000663,000 × 120/1,020 = 78,000
第1工程完成品原価(88,000+517,000) + (39,000+663,000) - (141,000+78,000) = 1,088,000
Step2 第2工程(前工程費として1,088,000が投入される)
 数量(前工程費)換算量(加工費)
完成品900個900個
月末仕掛品250個250 × 40% = 100個
月初仕掛品△150個△90個(150×60%)
当月投入1,000個910個
 前工程費加工費
月末仕掛品1,088,000 × 250/1,000 = 272,000637,000 × 100/910 = 70,000
  • 第2工程 月末仕掛品原価 = 272,000 + 70,000 = ¥342,000
  • 第2工程 完成品原価 = (162,000+1,088,000) + (51,000+637,000) - 342,000 = ¥1,596,000
POINT 前工程費は「始点投入の材料費」と同じ 前工程費は数量ベース(250/1,000)で按分します。加工進捗度は関係ありません。
また、第2工程の当月投入1,000個 = 第1工程の完成品1,000個。ここが一致していることを必ず確認してください。

第5問(12点)標準原価計算と仕掛品勘定

差異分析とパーシャルプラン応用

当社は標準原価計算(パーシャルプラン)を採用している。次の資料により、各原価差異を分析し、仕掛品勘定を完成させなさい。

標準原価カード(製品1個あたり)
直接材料費@¥400 × 5kg2,000
直接労務費@¥1,200 × 2時間2,400
製造間接費@¥900 × 2時間1,800
合計6,200
  • 生産データ:月初仕掛品 100個(加工進捗度40%)、当月投入 1,000個、月末仕掛品 200個(加工進捗度50%)、完成品 900個。材料は工程の始点で投入。
  • 実際直接材料費:実際消費量 5,150kg、実際単価 @¥390
  • 実際直接労務費:実際直接作業時間 1,950時間、実際賃率 @¥1,230
  • 製造間接費:実際発生額 ¥1,790,000。標準配賦率@¥900の内訳は変動費率@¥400・固定費率@¥500。月間基準操業度 2,000時間、月間固定費予算 ¥1,000,000。能率差異は標準配賦率で計算する。
解答・解説を見る
Step1 標準消費量(当月投入基準)
 数量(材料)換算量(加工)
完成品900個900個
月末仕掛品200個100個(200×50%)
月初仕掛品△100個△40個(100×40%)
当月投入1,000個960個

標準材料消費量 = 1,000個 × 5kg = 5,000kg / 標準直接作業時間 = 960個 × 2時間 = 1,920時間

Step2 差異分析
差異計算金額
直接材料費 総差異@400×5,000 - @390×5,150 = 2,000,000 - 2,008,500△8,500(不利)
 価格差異(400 - 390) × 5,150kg+51,500(有利)
 数量差異400 × (5,000 - 5,150)kg△60,000(不利)
直接労務費 総差異@1,200×1,920 - @1,230×1,950 = 2,304,000 - 2,398,500△94,500(不利)
 賃率差異(1,200 - 1,230) × 1,950時間△58,500(不利)
 時間差異1,200 × (1,920 - 1,950)時間△36,000(不利)
製造間接費 総差異@900×1,920 - 1,790,000 = 1,728,000 - 1,790,000△62,000(不利)
 予算差異(@400×1,950 + 1,000,000) - 1,790,000 = 1,780,000 - 1,790,000△10,000(不利)
 能率差異@900 × (1,920 - 1,950)時間△27,000(不利)
 操業度差異@500 × (1,950 - 2,000)時間△25,000(不利)
原価差異合計8,500 + 94,500 + 62,000△165,000
Step3 仕掛品勘定(パーシャルプラン)
仕掛品(パーシャルプラン)
月初仕掛品(標準)368,000
直接材料費(実際)2,008,500
直接労務費(実際)2,398,500
製造間接費(実際)1,790,000
 6,565,000
製品(完成品標準原価)5,580,000
月末仕掛品(標準)820,000
原価差異165,000
  
 6,565,000
仕掛品勘定の金額の根拠
  • 月初仕掛品 = 材料 100個×2,000 + 加工 40個×(2,400+1,800) = 200,000 + 168,000 = 368,000
  • 完成品 = 900個 × 6,200 = 5,580,000
  • 月末仕掛品 = 材料 200個×2,000 + 加工 100個×4,200 = 400,000 + 420,000 = 820,000
  • 貸借とも 6,565,000 で一致 ✔
価格差異が「有利」である点に注意 この問題では材料の実際単価@390が標準@400より安かったので、価格差異は有利(+51,500)です。すべての差異が不利になるとは限りません。符号を機械的に「不利」と書かず、必ず計算結果で判断してください。

3回分の総まとめ ― 論点カバー表

大問第1回第2回第3回
第1問返金負債/期中売却/リース利子抜き/その他有価証券の税効果/利益準備金契約資産/建設仮勘定と圧縮記帳/手形の不渡り/為替予約/合併とのれん売上原価対立法/電子記録債権売却/除却と貯蔵品/賞与引当金/株式申込証拠金
第2問連結会計株主資本等変動計算書固定資産の総合問題
第3問損益計算書の作成貸借対照表の作成本支店会計
第4問(1)本社工場会計費目別計算(材料)費目別計算(労務費・配賦・完成)
第4問(2)単純総合原価計算(平均法・仕損)部門別個別原価計算(相互配賦法)工程別総合原価計算(先入先出法)
第5問標準原価計算(差異分析)直接原価計算・CVP分析標準原価計算+仕掛品勘定
3回とも70点を超えたら 本試験でも十分に合格できる実力です。あとは同じ3回分を「時間を短縮して」解き直すだけ。1回目より10分早く解けるようになれば、本番の緊張でペースが落ちても間に合います。
1回でも70点に届かなかったら 落とした大問の章に戻ってください。新しい問題集に手を広げるより、この3回を完璧にするほうが確実に伸びます。
特に工業簿記(第4問・第5問)で40点満点を取れるようになれば、商業簿記は60点中30点で合格ラインです。工業簿記は3回とも満点を目指してください。
最後に ― 合格へ 第0章で書いたとおり、簿記2級は「全部わかった人」ではなく「70点を取った人」が受かる試験です。
このテキスト(第0章〜第29章)と模擬試験3回分を3周すれば、必要な力は必ず身につきます。分からない論点があっても、立ち止まらず先に進んでください。2周目には不思議と分かるようになっています。
あなたの合格を心から応援しています。

本テキストは2026年度(2021年度改定・2022年度適用の商工会議所簿記検定試験出題区分表)に基づいて作成しています。
出典:日本商工会議所「商工会議所簿記検定試験出題区分表」https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/exam-list
制度・基準は改正されることがあります。受験前に必ず商工会議所の公式発表をご確認ください。

簿記の先にある「経営の数字」のご相談も承ります

ジェイスタート会計事務所(公認会計士・税理士 菊地裕貴)は、札幌・北海道の法人と個人事業主の税務顧問・記帳代行・決算をご支援しています。初回のご相談は無料です。

無料相談のお申し込みはこちら