公認会計士に税務顧問を頼むメリット|融資・決算書・M&Aで差が出る場面

公認会計士・税理士 監修

この記事は、公認会計士・税理士が代表を務める札幌の会計事務所「ジェイスタート会計事務所」が監修しています。

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公認会計士に税務顧問を頼むメリットは、監査で培った「数字の裏付けを確かめる視点」で、決算書の精度と説明力を高められることです。融資・事業承継・M&Aのように決算書が信用や価格を左右する場面まで、日常の税務と同じ窓口で相談できます。

執筆:ジェイスタート会計事務所 編集部(札幌の公認会計士・税理士事務所)2026年10月時点の法令に基づき作成

この記事の結論

税理士として登録している公認会計士なら、申告や税務調査への対応を含めて税務顧問を任せられます。メリットが大きいのは、融資を使って成長したい会社や、承継・M&Aを控えた会社など、決算書を外部に説明する場面が多い会社です。

  • 監査の視点で残高の裏付けを固め、金融機関に説明しやすい決算書をつくれる
  • 月次決算の早期化や部門別損益など、経営判断に使える数字の仕組みを整えやすい
  • 事業承継・M&A・組織再編・株価算定も、日常の税務と同じ窓口で相談できる
  • 会計士なら中小企業の税務に詳しいとは限らない。申告実務の経験と業務範囲は面談で確認する
目次

公認会計士は税務顧問になれる?税理士登録と頼める業務

公認会計士は、税理士として登録すれば、申告書の作成、税務調査への対応(税務代理)、税務相談といった税理士業務を行えます。名刺に「公認会計士・税理士」と並ぶのはこのためで、法人税・消費税の申告から決算書の作成、財務の相談まで一貫して任せられます。なお、一定の時期以後に試験に合格した会計士は、所定の税法研修を修了していることも登録の要件です。

会計士の本来の業務は監査です。会社が作った決算書が正しいかを、独立した第三者の立場で、証拠に基づいて確かめる仕事です。この訓練が、税務顧問としての仕事の進め方にも表れます。税理士として登録しているかどうかは、日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」で確認できます。

分野主な業務顧問契約での位置づけ
税務法人税・消費税・源泉所得税の申告、年末調整、税務調査の立会い、税務相談顧問契約の中心
会計月次の試算表、決算書の作成、勘定科目の内訳の整備顧問契約の中心
財務融資の資料、事業計画、資金繰り表、金融機関への説明どこまで含めるかを契約で決める
承継・M&A自社株の評価、事業承継税制、財務デューデリジェンス、株価算定内容によって別の契約・見積りになる場合がある
監査金融機関や取引先から求められる任意監査、上場準備の監査顧問をしている会社の監査は担当できない
公認会計士・税理士に頼める業務の範囲(2026年10月時点の一般的な整理)

監査には独立性が求められるため、税務顧問として継続的に報酬を受けている会社の監査は担当できません。顧問の会計士は監査人ではなく、監査を受ける側の準備を支える立場になります。資格の違いを依頼内容から整理したいときは、公認会計士に相談できることの依頼内容別マップも参考になります。

監査の視点で決算書の何が変わる?残高の裏付けと説明力

監査では、帳簿の計算が合っているかだけでなく、決算書に載っている残高が実在し、資料で裏付けられるかを確かめます。税務顧問にこの視点が入ると、申告書ができれば終わりではなく、「一つひとつの残高を外部に説明できるか」まで踏み込んだ決算になります。

科目裏付けに使う資料外部から見られる点
現金・預金現金の実査の記録、通帳、残高証明書帳簿の残高と実際の残高が一致しているか
売掛金取引先別の残高一覧、入金の記録長く回収されていない残高が資産に残っていないか
棚卸資産(在庫)実地棚卸の記録、単価の根拠売れ残りや価値の下がった在庫が含まれていないか
仮払金・仮受金・雑勘定内訳の明細、精算の記録中身を説明できない残高が積み上がっていないか
役員貸付金・役員借入金金銭消費貸借の契約書、利息の計算会社のお金が私的に使われていないか、返済の予定があるか
未払金・未払費用期末後の支払の記録、請求書その期の費用が漏れなく計上されているか
決算で裏付けを確かめる主な科目(一般的な例)

例えば年商3億円、金融機関からの借入残高8,000万円の卸売業を考えます。毎月試算表を締め、減価償却も月割で計上している会社と、決算の時期にまとめて帳簿を整える会社とでは、実績が同じでも銀行担当者の安心感が大きく違います。前者は資料を出すたびに数字の根拠を説明でき、後者は毎回、状況を一から説明し直すことになりがちです。

「説明できる決算書」の目安

勘定科目の内訳書に並ぶ残高の一つひとつに、通帳・契約書・棚卸表などの根拠資料がひもづいている状態を目指します。決算の後に資料を探し直さなくて済むよう、月次の段階から資料と残高を対応させておくのがコツです。

融資・借換えの場面で何が違う?金融機関が見る数字

借入金のある会社にとって、決算書は金融機関に提出する「成績表」です。金融機関は、返済の原資になる利益、回収できない資産を除いた実質的な自己資本、資金の使い道と計画の確からしさを見ています。会計士税理士は、外からどう見られるかという視点で決算を組み立てることに慣れています。

見られる点内容決算での備え
返済の原資本業の利益に減価償却費を足した、返済に回せるお金一時的な損益と本業の損益を分けて説明できるようにする
実質的な自己資本回収できない売掛金、不良在庫、役員貸付金などを差し引いた純資産実態のない資産を整理し、役員貸付金は解消の計画を立てる
減価償却の計上償却を止めて利益を大きく見せていないか毎期、規則的に償却する(月次決算では月割で計上)
月次の数字試算表が早く、正確に出てくるか毎月の締めと残高の照合を習慣にする
計画と資金繰り融資の使い道と返済の見通し事業計画と資金繰り表をセットで示す
金融機関が決算書で確認する主な点(一般的な整理)

雑勘定の整理や役員貸付金の解消といった決算書の磨き込みは、融資の条件にも影響します。追加融資や借換えの場面で、事業計画と資金繰り表をセットで示せる体制は、金利や条件の交渉でも武器になります。

経営者保証を外す交渉でも、決算書の信頼性が土台になります。「経営者保証に関するガイドライン」では、法人と経営者個人の資産・経理を明確に分けることや、財務情報を適時適切に開示することが求められます。社長個人との貸し借りや経費の混在を整理しておくことが、交渉の出発点です。

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減価償却費を定額法で計算する取得価額と耐用年数を入れると、定額法による減価償却費を計算できます。月次決算で月割にするときの確認にも使えます。計算する

事業承継・M&A・組織再編はどこまで相談できる?

会計士税理士のもう一つの強みは、税務だけでは完結しない論点を、日常の数字を知っている専門家に相談できることです。承継やM&Aは準備に時間がかかり、決算書の整え方そのものが選べる手を左右します。

場面主な論点早めに準備すること
親族内の事業承継自社株の評価(相続税評価)、事業承継税制、後継者への株式の移し方株価の試算と、株価を動かす要因(利益・純資産)の把握
第三者へのM&A(売り手)譲渡価格の目線、帳簿に載っていない債務の洗い出し、役員退職金の扱い決算書の整理、主要な契約書・許認可の一覧づくり
M&A(買い手)財務デューデリジェンス(買収前の財務調査)、一時的な損益を除いた実力の利益の把握対象会社の決算書・申告書・総勘定元帳の入手
組織再編(合併・会社分割など)税制適格の判定、繰越欠損金の引継ぎ、登記との段取り再編の目的と時期、グループ内の取引の整理
金融機関・取引先からの監査の要請任意監査の受入れ準備、社内の管理体制月次決算と規程の整備(監査人は顧問の会計士とは別に選ぶ)
税務以外の論点と準備の目安(一般的な整理)

事業承継税制(特例措置)を使う場合、特例承継計画の提出期限は2027年9月30日、贈与・相続の期限は2027年12月31日です(2026年10月時点)。計画の提出期限は延長されましたが、贈与・相続の期限は変わっていない点に注意が必要です。制度の全体像は事業承継税制の完全ガイドで確認できます。

自社株の「相続税評価」と「M&Aの価格」は別物

親族内の承継では財産評価基本通達に沿って評価した価額、第三者への譲渡では当事者の交渉で決まる価格が基準になります。同じ会社の株式でも目的によって金額が大きく異なるため、相談の最初に「どちらの数字の話か」をそろえておきます。

承継やM&Aは、準備を始める時期によって選べる手が変わります。現状の決算書をもとに、どの論点から手を付けるかを初回無料で整理できます。

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月次決算と管理会計はどう整う?経営判断に使える数字の仕組み

会計士税理士は、監査の現場で、短い期間で正確な決算を締める仕組みを数多く見てきています。中小企業でも、締めのルールを決めて毎月回すだけで、試算表が「税金の計算資料」から「経営判断に使える資料」に変わります。

  1. 締め日と資料の回収期限を決める請求書・領収書・通帳データをいつまでに経理へ集めるかを決め、遅れが出る部署をなくします。
  2. 取引が発生した月に計上する売上・仕入・経費を、入出金の月ではなく取引が発生した月に計上します(未収・未払の計上)。
  3. 年1回の費用を月割にする減価償却費、賞与、固定資産税などを月割で計上し、月ごとの利益のぶれを抑えます。
  4. 残高を照合する預金・売掛金・買掛金・借入金の残高を、通帳や取引先の資料と毎月照合します。
  5. 予算と比べて手を打つ部門別・商品別の損益を予算と比べ、差が出た理由を経営会議で確認します。

帳簿づくりのルールは、中小企業向けの会計の目安である「中小企業の会計に関する基本要領」なども参考にしながら、自社の規模に合わせて決めます。月次決算の進め方や科目ごとの処理は、中小企業の経理・会計処理ガイドで詳しく整理しています。

会計士税理士と相性がよい会社はどんな会社?

会計士税理士の強みは、数字を外部に説明する場面や、税務以外の論点が絡む場面で大きくなります。反対に、求めるサービスによっては強みを活かしきれないこともあるため、自社が顧問に何を求めるのかを先に整理しておくことが大切です。

相性がよい会社

  • 借入があり、追加融資や借換えを予定している
  • 売上や人員が増え、月次決算や部門別の損益が必要になってきた
  • 数年のうちに事業承継・M&A・組織再編を考えている
  • 補助金や設備投資で、事業計画や資金繰り表を作る機会が多い
  • 取引先や金融機関から、決算書の説明を求められることがある

強みを活かしにくい依頼

  • 記帳の入力作業だけを最小限で頼みたい
  • 年1回の申告書の作成だけを頼みたい
  • 試算表を経営判断に使う予定がない

当事務所では、決算・申告だけのスポットでのご依頼はお受けしていません。期中の記帳や数字の確認から関わる継続的な顧問契約で、決算の精度と納税の見通しを高めることを重視しているためです。顧問契約で対応する業務は会計・税務顧問のご案内にまとめています。

依頼前に何を確認する?面談のチェックリストと顧問料が決まる要素

公認会計士なら中小企業の税務に詳しい、とは限りません。監査法人での勤務が長く、法人税や消費税の申告実務の経験が浅い場合もあります。資格よりも、自社の課題に合う経験があるかを、面談で次の点から確かめましょう。

  • 税理士として登録しているか
  • 中小企業の法人税・消費税の申告や、年末調整・源泉所得税の実務を日常的に扱っているか
  • 自社の業種・規模で会計上どこが論点になりやすいかを、具体的に説明してもらえるか
  • 試算表がいつ届き、誰がどのように説明してくれるか
  • 融資の資料や事業計画づくりを、顧問契約の範囲でどこまで支援してもらえるか
  • 承継・M&Aの相談に自前で対応するのか、提携先を紹介するのか
  • 税務調査の立会いに対応しているか

顧問料は何で決まる?

顧問料は、公認会計士か税理士かという資格の種類では決まりません。主に次の要素で決まるため、見積りを比べるときは金額だけでなく、含まれる業務を並べて確認します。

  • 売上の規模と取引の量(仕訳の数)
  • 記帳を社内で行うか、事務所に任せるか
  • 面談・報告の頻度
  • 給与計算・年末調整・償却資産の申告などの付随業務の有無
  • 在庫・固定資産・グループ会社の有無など、決算の複雑さ
  • 融資・承継・M&Aなど、特別な論点への対応の有無

料金の考え方と契約までの流れは料金・契約の流れでご確認いただけます。

依頼の判断でよくある失敗

よくある失敗起こること防ぎ方
「会計士だから安心」と資格だけで判断する中小企業の税務の経験が浅い相手を選んでしまうどんな会社を見てきたか、自社に近い規模の論点を具体的に聞く
目的を整理しないまま面談に臨む会計士税理士ならではの強みを引き出せない融資・承継・再編など、数年内に予定していることを書き出して持参する
料金に含まれる業務を確認しない想定外の追加料金や「そこまでは対応しない」が起きる業務の範囲と追加料金の条件を契約書で確認する
前の顧問とのやり方の違いに戸惑う資料の求め方や説明の仕方が変わり、温度差を感じる最初に、重視したいこと(融資・節税・管理会計など)を伝えておく
会計士税理士への依頼で起きやすい失敗と防ぎ方

顧問を切り替えるときの手順と引き継ぐ資料

顧問の切替えは、決算と申告が一段落した後に行うと、引継ぎの負担が小さくなります。期の途中で切り替える場合も、次の順番で進めれば混乱を防げます。

  1. 目的と時期を決める融資・承継などの予定から逆算し、どの決算から新しい顧問が担当するかを決めます。
  2. 業務の範囲を合意する記帳・給与・申告・融資の支援など、どこまでを契約に含めるかを書面で決めます。
  3. 過去の資料を集める過去数期分の決算書と申告書の控え、総勘定元帳、固定資産台帳、届出書の控え、借入金の明細、税務調査の記録をそろえます。
  4. 会計データと電子申告の情報を整理する会計ソフトのデータや、e-Taxの利用者識別番号など、電子申告に必要な情報を確認します。
  5. 前の顧問に連絡する契約の終了時期と、手元にない資料の受け渡しを依頼します。

法人の帳簿書類は原則7年間(欠損金が生じた事業年度は10年間)の保存が必要です。手元にない資料は前の事務所に早めに依頼しておくと、決算期の引継ぎが慌ただしくなりません。面談の前に、直近の決算書と試算表に加えて、今後数年で想定しているイベント(融資・設備投資・承継など)を簡単にまとめておくと、話が具体的に進みます。

よくある質問

顧問をお願いした公認会計士に、自社の監査もお願いできますか?

できません。監査には独立性が求められ、税務顧問として継続的に報酬を受けている会計士は、その会社の監査人にはなれないのが原則です。金融機関などから監査を求められた場合は、顧問とは別に監査人を選び、顧問の会計士には受入れの準備を手伝ってもらう形になります。

個人事業主でも、公認会計士に税務顧問を頼むメリットはありますか?

法人化や融資を予定している、事業を広げて人を雇う予定があるといった場合は、決算書づくりの段階から相談するメリットがあります。確定申告書の作成だけが目的なら、業務の範囲と費用のバランスで判断します。

今の顧問税理士はそのままに、承継やM&Aのことだけを相談できますか?

財務の調査や事業承継など、テーマを限ったご相談は、内容を伺ったうえで対応の可否と進め方をご案内します。なお、決算・申告だけのスポットのご依頼はお受けしていません。承継やM&Aでは日常の会計データが判断の土台になるため、現在の顧問との情報共有の方法もあわせて決めておきます。

会計士税理士に替えると、税務調査の対応は変わりますか?

調査の立会いや税務署とのやり取りは、税理士として登録している会計士が担当でき、対応できる範囲は税理士と同じです。違いが出るとすれば、日頃から残高の裏付けを整えておくことで、調査で説明を求められたときに根拠資料をすぐに示せる点です。

まとめ

公認会計士は税理士として登録すれば税務顧問を担え、監査の視点で残高の裏付けを固めた決算書づくりに強みがあります。融資・承継・M&Aのように決算書が信用や価格を左右する会社ほど、相性はよくなります。資格だけで選ばず、中小企業の申告実務の経験と業務の範囲を面談で確かめ、自社が顧問に求めることを先に整理しておきましょう。

札幌の公認会計士・税理士事務所

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対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り

出典・参考(公的機関)

本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。

更新履歴:2026年10月 全面改訂

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