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「車を手放したら、税金っていくらか戻ってくるの?」というご相談を、毎年5月と3月ごろによくいただきます。結論から申し上げると、戻る可能性があるのは自動車税・自動車重量税・自賠責保険料の3つです。ただし、それぞれ条件がまったく違います。とくに自動車重量税は、手続きの選び方ひとつで1円も戻らないことがあります。
この記事では、2026年4月からの制度改正も踏まえて、車を手放すときのお金の動きを図と表で整理します。個人の方はもちろん、社用車を入れ替える法人・個人事業主の方に向けた経理処理も後半でまとめました。
まず全体像|クルマの税金は「買う・持つ・手放す」の3段階
車の税金は種類が多く、名前も似ていて混乱しがちです。まずは「いつ払うか」で3つに分けて整理しましょう。
ポイントは③です。買うときと持つときは「払うだけ」ですが、手放すときだけはお金が戻る可能性がある場面になります。ここを知らずに手続きすると、数万円を取りこぼすことがあります。
【2026年4月改正】環境性能割が廃止され、税の名前も変わりました
令和8年度(2026年度)税制改正により、2026年(令和8年)4月1日から自動車の税が大きく変わりました。中古車の売買に直接関係する改正なので、まず押さえておきましょう。
| 区分 | 2026年3月31日まで | 2026年4月1日以降 |
|---|---|---|
| 保有しているときに課税(都道府県税) | 自動車税種別割 | 自動車税(名称変更) |
| 保有しているときに課税(市町村税) | 軽自動車税種別割 | 軽自動車税(名称変更) |
| 取得するときに課税 | 自動車税環境性能割 軽自動車税環境性能割 | いずれも廃止 |
環境性能割は、車を取得したときに燃費性能に応じて課税されていた税です。中古車でも取得価額が50万円を超えると対象になっていました。これが廃止されたため、2026年4月以降に中古車を買う場合、購入時の税負担はその分だけ軽くなります。名称が「種別割」から元の「自動車税」に戻った点も、書類や仕訳の摘要を作るときに気をつけたいところです。
なお、車検時に納める自動車重量税のエコカー減税は2028年(令和10年)4月末まで延長されましたが、燃費基準は段階的に引き上げられます。現在は減税対象でも、次回の車検から税額が上がるケースが出てきます。
手放すときに戻ってくるお金は「3つ+1」
車を手放したときに戻る(あるいは受け取れる)お金は、次の4つです。それぞれ条件が違うので、1つずつ確認しましょう。
①自動車税|抹消登録をすれば月割で還付。ただし軽自動車は戻りません
自動車税は、毎年4月1日時点の所有者に1年分がまとめて課税されます。年度の途中で抹消登録(廃車手続き)をすると、抹消した月の翌月から3月までの分が月割で還付されます。
計算式はシンプルです。
還付額 = 年税額 ÷ 12 × 残りの月数(抹消した月の翌月〜3月)
| 抹消した月 | 還付の対象 | 月数 |
|---|---|---|
| 4月 | 5月〜3月 | 11か月 |
| 6月 | 7月〜3月 | 9か月 |
| 8月 | 9月〜3月 | 7か月 |
| 10月 | 11月〜3月 | 5か月 |
| 12月 | 1月〜3月 | 3か月 |
| 2月 | 3月 | 1か月 |
| 3月 | なし | 0か月(還付なし) |
実際の金額は次のとおりです。2019年(令和元年)10月1日以降に初回新規登録された自家用乗用車の標準税率で、8月に抹消した場合(7か月分)の例を示します。
| 総排気量 | 年税額 | 8月に抹消した場合の還付額 |
|---|---|---|
| 1.0L以下 | 25,000円 | 14,500円 |
| 1.0L超1.5L以下 | 30,500円 | 17,700円 |
| 1.5L超2.0L以下 | 36,000円 | 21,000円 |
| 2.0L超2.5L以下 | 43,500円 | 25,300円 |
| 2.5L超3.0L以下 | 50,000円 | 29,100円 |
注意1:軽自動車税には還付制度がありません
軽自動車税は4月1日時点の所有者に年額で課税され、月割の制度がありません。4月2日以降に廃車や名義変更をしても、その年度分は還付されません。逆に、4月2日以降に軽自動車を取得した場合、その年度分は課税されません。軽自動車を手放すなら、3月中に手続きを終えるか、4月2日以降まで待つかで1年分の差が出ます。
注意2:名義変更(売却)では還付されません
還付の対象になるのは抹消登録をした場合です。中古車として売却して名義変更しただけでは、都道府県から還付は受けられません。この場合は、買取業者との間で「自動車税相当額」を売却代金に上乗せして精算するのが一般的な商慣行です。見積書に自動車税相当額が含まれているかどうか、事前に確認しておくと安心です。
②自動車重量税|「解体」まで行かないと1円も戻りません
自動車重量税は、車検のときに車検有効期間分をまとめて納める国税です。国税庁のタックスアンサー(No.7193 使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度)によると、自動車リサイクル法に基づいて使用済自動車が適正に解体された場合に、申請により車検残存期間に相当する額が還付されます。
還付の条件は次の2つで、どちらも欠かせません。
- 解体を事由とする永久抹消登録申請書または解体届出書を運輸支局等に提出すると同時に、還付申請書を提出していること
- 車検残存期間が1か月以上あること
ここが最大の落とし穴です。「とりあえず乗らないから」と一時抹消登録だけで止めてしまうと、重量税は戻りません。実際に解体され、その届出をして初めて還付の対象になります。また、還付申請は抹消手続きと同時でなければ受け付けられないため、後から「やっぱり申請したい」と言っても間に合いません。
還付額の目安は「納付済みの重量税 × 車検の残り月数 ÷ 車検有効期間の月数」です。還付申請書が運輸支局等の窓口に提出されてから、税務署から還付金が支払われるまでおおむね2か月半程度かかります(国税庁)。
③自賠責保険料|税金ではありませんが、解約すれば戻ります
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は税金ではありませんが、車を手放すときに返戻金を受け取れる可能性があります。ポイントは3つです。
- 一時抹消でも永久抹消でも、解約すれば返戻の対象になります
- 残りの保険期間が1か月以上ないと返戻はありません(1か月未満は切り捨て)
- 自動では戻りません。保険会社に自分で解約手続きをする必要があります
解約日は「保険会社が書類を受理した日」が基準です。抹消登録が終わったら、なるべく早く手続きしましょう。買取業者に依頼すると代行してくれる場合もあります。
+αリサイクル預託金|「戻る」のではなく「引き継ぐ」お金です
ここは誤解の多いところです。リサイクル料金(リサイクル預託金)は、新車購入時などに預けておき、廃車時に解体費用として使われるお金です。東京都環境局の説明によると、平均的には1台あたり1万円程度(車体の大きさ等により6千円〜3万円)です。
| 手放し方 | リサイクル預託金の扱い |
|---|---|
| 中古車として売却(次の人が乗る) | 預託金は次の所有者に引き継がれる。元の所有者は預託金相当額を次の所有者に請求できる(資金管理料金部分を除く) |
| 解体して廃車にする | 預けたお金が本来の目的(解体・リサイクル)に使われるため、戻ってこない |
| 輸出のために抹消する | 返還の対象になる(請求期限あり) |
つまり、売却する場合は「買取価格にリサイクル預託金相当額が含まれているか」を確認するのが大切です。含まれていないなら、その分は請求できるお金です。
「一時抹消」と「永久抹消」で戻る金額が変わります
ここまでの内容を、手続きの選び方で整理したのが次の図です。
もう乗る予定がなく、車としての価値もほとんど残っていないなら、一時抹消で止めずに解体まで進めるほうが有利になるケースが多くなります。ただし、車体そのものに買取価格がつくなら、還付額より売却代金のほうが大きくなることもあります。両方を比べて判断してください。
売る?廃車にする?迷ったときの判断ポイント
「もう古いから値段はつかないだろう」と思い込んで、費用を払って処分してしまう方が少なくありません。実際には、次のような車でも買取価格がつくことがあります。
| 車の状態 | 考え方 |
|---|---|
| 年式が古い・過走行 | 国内では値がつかなくても、海外需要やパーツ需要で評価されることがある |
| 動かない・事故車 | レッカー費用の負担が論点。無料引取に対応している業者を選べば手出しゼロにできる |
| 13年・18年を超えた | 自動車税は約15%、重量税も段階的に重課される。持ち続けるコストとの比較が必要 |
| 車検が長く残っている | 解体まで進めれば重量税の還付がある。売却価格と比較する |
| 相続した車・法人名義 | 手続きが複雑になりやすい。代行できる業者かどうかで手間が大きく変わる |
13年超の重課は見落としがちです。たとえば2013年3月31日以前に新車新規登録されたガソリン車(1.5L超2.0L以下)の場合、自動車税は年39,500円ではなく45,400円になります。1年あたり約5,900円の差です。乗り続けるか手放すかの判断材料にしてください。
まずは無料査定で「いくらになるか」を確かめる
還付を受けるか売却するかを比べるには、まず売却した場合の金額を知る必要があります。カーネクストは全国対応の車買取専門サービスで、引取り・レッカー・書類手続きの代行がすべて無料です。法人名義や所有者が亡くなっている場合の手続きも代行に対応しています。
| 項目 | カーネクスト | 一般的なディーラー・販売店の目安 |
|---|---|---|
| 引取り手数料 | 0円 | 1〜2万円 |
| レッカー代 | 0円(全国対応) | 2〜3万円(距離による) |
| 手続き代行費用 | 0円 | 約1万円 |
査定を依頼するときは、車種・年式・走行距離・車検の残存期間・事故や故障の有無を伝えるとスムーズです。車検証を手元に用意しておくとよいでしょう。なお、自動車税の還付は手続き完了からおおよそ2か月後に、各都道府県から還付通知が届く流れになります。
【法人・個人事業主向け】社用車の税務で間違えやすい3点
ここからは事業で車を使っている方向けの内容です。売却・廃車のタイミングは、実は決算の数字に直接影響します。
(1) 中古車の減価償却は「簡便法」で耐用年数を短くできます
新車の普通自動車の法定耐用年数は6年です。中古車を取得した場合は、簡便法により耐用年数を見積もることができます。
簡便法(法定耐用年数の一部を経過した資産)
耐用年数 =(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%
※1年未満の端数は切り捨て、2年に満たない場合は2年
| 経過年数 | 計算 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 2年落ち | (6−2)+2×0.2=4.4年 | 4年 |
| 3年落ち | (6−3)+3×0.2=3.6年 | 3年 |
| 4年落ち | (6−4)+4×0.2=2.8年 | 2年 |
| 6年落ち以上 | 下限に達する | 2年 |
「4年落ちの中古車がよい」と言われるのは、耐用年数が2年になり、定率法なら償却率が高くなるためです。ただし注意点があります。減価償却は月割計算です。期首に取得しなければ1年分をその期に計上できず、一部が翌期に繰り越されます。期末間際の購入は、節税効果が想定より小さくなります。
(2) 売却・廃車の仕訳と消費税の区分
車両を売却したときの仕訳例です(間接法・税抜経理・課税事業者を前提)。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金預金 | 231,000 | 車両運搬具 | 1,500,000 |
| 減価償却累計額 | 1,200,000 | リサイクル預託金 | 11,000 |
| 固定資産売却損 | 100,000 | 仮受消費税等 | 20,000 |
| 合計 | 1,531,000 | 合計 | 1,531,000 |
消費税の区分でつまずきやすいのは次の点です。
- 車両本体の売却代金:課税売上(課税事業者の場合)。売却「益」ではなく売却「代金の全額」が課税対象です
- リサイクル預託金相当額:金銭債権の譲渡にあたるため、非課税売上として扱うのが一般的です
- 自動車税の還付金:課税対象外(不課税)
- 買取業者が支払う自動車税相当額:売買代金の一部と扱われる場合があり、契約内容の確認が必要です
個人事業主の方は、所得区分にも注意が必要です。事業用車両を売却して生じた損益は、事業所得ではなく総合課税の譲渡所得として扱われるのが原則です。譲渡所得には最大50万円の特別控除があり、所有期間が5年を超える場合は課税対象が2分の1になります。事業所得の帳簿上は「事業主借」「事業主貸」で処理し、確定申告書では譲渡所得として集計します。
(3) リサイクル預託金は「費用」ではなく「資産」です
新車購入時に支払うリサイクル料金は、預託であって費用の支出ではありません。東京都環境局の説明でも、預託金としての預託は現金を資産に振り替えたものとされ、費用計上はしないとされています(資金管理料金部分のみ費用処理)。
「リサイクル料金○○円」を購入時に全額経費にしてしまっている帳簿を、決算のときに見かけることがあります。金額は1万円前後と小さいものの、売却時に預託金の残高が合わなくなる原因になります。
よくあるご質問
Q. 自動車税の還付はいつ届きますか?
手続き完了からおおよそ2か月後に、各都道府県から還付通知が届き、金融機関等で受け取る流れが一般的です。自動車重量税の還付は、還付申請書が運輸支局等に提出されてから支払われるまで、おおむね2か月半程度かかります(国税庁)。
Q. 自動車税を滞納していても還付されますか?
還付は「納めた税金を返す」制度なので、未納であれば還付する対象がありません。また、他に未納の税がある場合は、還付金がそちらに充当されることがあります。
Q. 3月に車を手放す予定です。いつ手続きすべきですか?
普通自動車の場合、3月に抹消しても自動車税の還付は発生しません。2月中に手続きを終えれば1か月分が還付されます。一方、翌年度分の課税を避けるという意味では、3月31日までに抹消を完了させることが重要です。軽自動車も同じく、4月1日時点で所有していると1年分が課税されます。年度末は運輸支局が混み合うため、早めに動くことをおすすめします。
Q. 2026年4月に中古車を買いました。環境性能割はかかりますか?
自動車税環境性能割・軽自動車税環境性能割は令和8年3月31日をもって廃止されました。2026年4月1日以降の取得であれば課税されません。3月31日までに登録された分については課税対象です。
まとめ
- 2026年4月1日から環境性能割が廃止され、「自動車税種別割」は「自動車税」に名称変更されました
- 自動車税は抹消登録をすれば月割で還付されます。名義変更だけでは還付されず、軽自動車税には還付制度がありません
- 自動車重量税は、解体を伴う永久抹消登録・解体届出と同時に還付申請した場合に限り、車検残存期間分が還付されます(残存1か月以上)
- 自賠責保険料は自分で解約手続きをしないと戻りません。リサイクル預託金は「還付」ではなく次の所有者への引継ぎです
- 法人・個人事業主は、中古車の簡便法による耐用年数、売却時の消費税区分、リサイクル預託金の資産計上の3点に注意してください
ご相談窓口|車のことはカーネクスト、税務・会計は当事務所へ
車を手放すときは、「クルマの実務」と「税務・会計の判断」という性格の違う2つの論点が同時に出てきます。当事務所では、車そのものの査定・引取り・廃車手続きはビジネスパートナーであるカーネクストにおつなぎし、決算や申告に関わる部分を当事務所が担当する形をとっています。下の表を目安に、それぞれの窓口をご利用ください。
| ご相談の内容 | おすすめの窓口 |
|---|---|
| この車、いくらで売れる? | カーネクスト(無料査定) |
| 動かない車・事故車を引き取ってほしい | カーネクスト(レッカー無料) |
| 抹消登録や還付申請を代行してほしい | カーネクスト(手続き代行無料) |
| 売却と廃車、どちらが得か数字で比べたい | まず査定額をカーネクストで確認 → 税務面は当事務所へ |
| 社用車をいつ買い替えると決算上有利か | 弊事務所 |
| 売却損益の仕訳・消費税の区分を確認したい | 弊事務所 |
| 中古車購入の減価償却・節税効果を試算したい | 弊事務所 |
| 相続した車の名義・税務をまとめて整理したい | 両方(手続きはカーネクスト、申告は当事務所) |
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参考にした主な出典
- 国税庁 タックスアンサー No.7193「使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度」
- 兵庫県「令和8(2026)年4月1日、自動車の税が大きく変わりました」
- 栃木県「令和8(2026)年度 自動車税(種別割)税率早見表(標準税率・重課)」
- 苫小牧市「軽自動車税(種別割)について」
- 東京都環境局「リサイクル料金について」
※本記事は2026年8月時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。
