2026年度(令和8年度)税制改正には、基礎控除やインボイス以外にも、暮らしと事業に効く改正が数多く含まれます。結論から言うと、押さえどころは4分野——①自動車(環境性能割の廃止)、②住宅(住宅ローン控除の5年延長)、③子育て・資産形成(ひとり親控除の引上げ・NISA拡充)、④事業者向け(賃上げ税制の中小重点化・防衛特別所得税の創設・食事支給の非課税枠拡大)——です。この記事では、札幌の税理士・公認会計士事務所が、各分野の変更点と適用時期、実務・家計への影響をまとめて整理します。気になる項目は、改正全体のまとめ記事と各詳細記事もあわせてご覧ください。
4分野の全体マップ

① 自動車:取得時の負担が軽くなる
自動車税・軽自動車税の環境性能割(取得時に燃費性能に応じて課される税)が令和8年3月31日で廃止されます。買い替えを検討している方は、取得時期による負担差を頭に入れておきたい改正です。あわせて、軽油引取税の「当分の間税率」が令和8年4月1日で廃止され、運送・建設など軽油を多く使う事業者のコストに直接効きます。自動車重量税のエコカー減税は、燃費基準を引き上げたうえで適用期限が2年延長されます。車両を多く抱える事業者は、車両の入替計画とあわせて資金繰りへの反映を検討してください。
② 住宅:ローン控除が5年延長
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、見直しを行ったうえで適用期限が令和12年12月31日まで5年延長されます(国税庁)。省エネ性能の高い認定住宅・ZEH水準省エネ住宅の借入限度額の引上げ、子育て世帯・若者夫婦世帯への上乗せ措置の拡充、床面積要件の緩和が盛り込まれており、「性能の高い家ほど・子育て世帯ほど有利」という方向性が明確です。新築住宅の固定資産税の減額措置も床面積要件を緩和して5年延長されます。マイホーム取得を検討中の方は、要件と時期の確認がポイントです。
③ 子育て・資産形成:ひとり親控除とNISA
ひとり親控除は、所得税で35万円から38万円、個人住民税で30万円から33万円に引き上げられます(所得税は令和9年分以後)。NISAは、つみたて投資枠の対象年齢の下限が撤廃され、0〜17歳でも利用できるようになります(こども分の年間投資枠60万円・非課税保有限度額600万円、令和9年1月1日施行)。教育資金の一括贈与の非課税措置が延長されずに終了する(令和8年3月31日)ことと合わせると、子や孫への資金移転は「贈与の特例頼み」から「長期の資産形成枠の活用」へ軸足が移る流れです。
④ 事業者向け:賃上げ税制・防衛特別所得税・現物給与
| 項目 | 内容 | 実務への影響 |
|---|---|---|
| 賃上げ促進税制 | 大企業・中堅向け措置の段階的廃止により中小企業向けへ重点化(教育訓練費の上乗せは廃止方向) | 中小は引き続き活用余地大。要件・控除率は適用年度の最新を確認 |
| 防衛特別所得税(仮称) | 所得税額に1%付加(令和9年1月〜)。復興特別所得税は2.1%→1.1%へ | 源泉徴収の合計税率(2.1%)は変わらず、実務影響は限定的 |
| 食事の現物支給 | 非課税限度額が月3,500円→7,500円に引上げ(令和8年4月1日以後) | 社員食堂・弁当支給の福利厚生設計を見直す好機 |
| 教育資金一括贈与 | 非課税措置は延長せず終了(令和8年3月31日) | 利用予定があった場合は代替策の検討へ |
※2026年6月12日時点。とくに食事支給の非課税枠拡大は、物価高の中で従業員の手取り感を増やせる数少ない打ち手です。給与のベースアップと違い社会保険料に直結しにくい形で設計できるため、中小企業の福利厚生としては実用性の高い改正と言えます(要件である従業員の半額以上負担等の確認は必要です)。
実務への落とし込み
分野が広いぶん、「自分に関係する項目の拾い出し」が最初の仕事になります。車両の入替・住宅取得・子の資産形成のような家計側の項目はタイミング判断、賃上げ税制・食事支給のような事業側の項目は制度設計の見直しが論点です。制度の概要確認までは本記事で足りますが、適用要件の細部(賃上げ税制の雇用者給与の集計、食事支給の非課税要件など)は誤りやすい領域です。当事務所は税務顧問にとどまらず、改正を踏まえた給与・福利厚生の設計や設備・車両投資の税務まで実務で伴走しています。
当事務所での実例
実例:運送業の顧問先で、軽油引取税の見直しと車両入替計画を踏まえた資金繰りシミュレーションを行いました。改正項目の整理と影響一覧の下書きはAI(Claude)が担当し、入替時期と台数の判断材料づくりは有資格者が実施。あわせて食事支給の非課税枠拡大を使った乗務員の処遇改善案も検討し、賃金以外の選択肢が増えたと評価いただいています。
自社・ご家庭に関係する項目の確認は、お問い合わせからご相談ください。状況を伺ったうえで、対応範囲と概算をご提示します。
よくある質問
防衛特別所得税で手取りは減りますか?
復興特別所得税の引下げ(2.1%→1.1%)と同時のため、源泉徴収の合計税率2.1%は変わりません。給与の手取りへの直接影響は基本的にありません。
食事支給の非課税枠はどう使えばよいですか?
従業員が食事代の半額以上を負担し、会社負担が月7,500円以下(改正後)であれば給与課税されない仕組みです。弁当手配や食事補助の制度設計から支援できますので、導入前にご相談ください。
賃上げ促進税制は中小企業ならいつでも使えますか?
適用年度・賃上げ率・対象給与の集計など要件があります(現行制度では繰越控除5年も可能)。決算前に賃上げ実績を集計して適用可否を確認するのが定石です。
相談はどう進めればよいですか?
気になる項目(車・住宅・賃上げ・福利厚生など)と状況をお問い合わせフォームからお知らせください。料金・契約・業務フローはこちらです。
まとめ
- 自動車:環境性能割が令和8年3月末で廃止。軽油の当分の間税率も廃止
- 住宅:ローン控除が5年延長。省エネ・子育て世帯に手厚い設計へ
- 子育て・資産形成:ひとり親控除引上げ、NISAの年齢下限撤廃(こども枠)
- 事業者:賃上げ税制の中小重点化、食事支給の非課税枠が月7,500円へ
- 適用時期が項目ごとに違う。関係項目の拾い出しから始める
当事務所(札幌市)は、税制改正対応・給与福利厚生の設計・税務顧問を一体で支援しています。料金・契約・業務フローをご確認のうえお問い合わせください。
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※本記事は2026年6月時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。
