利益率を改善したい——そう思ったとき、打ち手が多すぎて手が止まるのが中小企業の現実です。結論から言うと、利益率改善のアプローチは①粗利率を上げる、②固定費を見直す、③低採算をやめる、の3つに集約され、この順番で検討するのが定石です。それぞれ効く場所も難易度も違うため、ごちゃ混ぜに議論しないことが第一歩になります。この記事では、札幌の税理士・公認会計士事務所が、3アプローチの中身と着手の手順、効果の測り方を解説します。全体の構造(営業利益の式)は営業利益の記事を先にどうぞ。
3つのアプローチの全体像

| アプローチ | 主な手段 | 特徴 |
|---|---|---|
| ① 粗利率を上げる | 値上げ・仕入条件・商品構成・ロス削減 | 効きが最大。心理的ハードルも最大 |
| ② 固定費を見直す | 惰性費用の整理・事務の自動化・家賃等の交渉 | 確実に効くが、削りすぎは売上を壊す |
| ③ 低採算をやめる | 赤字商品・赤字顧客の条件変更や撤退 | 利益率を一気に変えるが、見える化が前提 |
アプローチ①:粗利率——1ポイントの価値を知る
粗利率の改善手段は、値上げ(値決めの記事)、仕入・原価側の改善(原価率の記事)、高粗利商品への構成シフト(ABC分析)、ロス・値引きの削減の4つです。着手の鉄則は「測ってから動く」こと。商品別・サービス別の粗利率が見えていない状態での値上げ・仕入交渉は、勘の鉄砲です。クラウド会計と販売データの紐づけで月次の粗利率を商品群レベルまで分解する——これが①の事実上の最初の仕事になります。
アプローチ②:固定費——「率」で考える
固定費の見直しで大切なのは、金額の大小ではなく売上比(販管費率)と性質です。手順は、①科目別に3年推移を並べる、②投資性(広告・教育・採用)と惰性(使っていない契約・形骸化した経費)に色分けする、③惰性から削る、の3段階。事務人件費は「削る」のではなく、クラウド×AIで同じ人数のままこなせる仕事を増やす(業務効率化の記事)のが、人手不足時代の現実解です。家賃・保険・リースなど契約系の固定費は、更新タイミングでの交渉・見直しを年間カレンダーに載せておくと漏れません。
アプローチ③:低採算——やめる勇気を数字で支える
利益率が低い会社の多くは、少数の赤字案件・赤字顧客が全体を引きずっています。商品別・顧客別の採算(できれば投入時間まで含めて)を一覧にし、赤字先には値上げ・最低受注額・仕様変更の条件を提示する。応じられなければ縮小・撤退——「全部やめる」ではなく「条件を直す交渉の材料を持つ」のがアプローチ③の実像です。撤退で空いた人員・時間をA顧客と高粗利商品に振り向けて初めて、利益率は構造的に変わります。
90日の進め方と効果測定
推奨スケジュールは、最初の30日で見える化(商品別・顧客別の粗利、固定費の色分け)、次の30日で打ち手の決定(各アプローチから1つずつ、計3つまで)、最後の30日で実行と測定です。効果は売上総利益率・販管費率・営業利益率の3指標の前年同月比で追います(管理会計の記事の月次レビューに組み込むのが自然です)。見える化の集計はAIとクラウドで自動化できるため、経営者の仕事は「決めること」に絞られます。見える化の設計と値上げ・撤退の意思決定支援は、当事務所が税務顧問にとどまらず伴走している領域です。
当事務所での実例
実例:サービス業の法人(営業利益率2%台)で、90日の利益率改善プログラムを実施しました。顧客別の採算一覧(投入時間込み)の作成はAI(Claude)が下準備し、3つの打ち手(主力サービスの価格改定・惰性契約の解約・赤字顧客1社の条件変更)の設計は有資格者が支援。翌四半期から利益率が改善し、値上げによる解約は想定を大きく下回りました。「数字があると交渉も社内説得も楽」というのが経営者の総括です。
90日プログラムに関心のある方は、お問い合わせからご相談ください。状況を伺ったうえで、対応範囲と概算をご提示します。
よくある質問
3つのうちどれから始めるべきですか?
見える化はすべての前提なので最初です。打ち手としては、効きの大きい①粗利(特に値上げ)から検討し、心理的に難しければ②の惰性費用整理で小さな成功を作る順番が現実的です。
値上げで顧客が離れるのが怖いです
全商品一律ではなく、需要の強い商品・サービスから段階的に行うのが定石です。離脱率の想定と損益分岐の試算をセットで設計すれば、「怖い」は「計算できるリスク」に変わります。
利益率はどのくらいを目指すべきですか?
業種により水準が大きく異なるため、まず自社の3年推移の改善(前年比+1ポイント等)を目標にするのが実用的です。同業比較は参考程度に使います。
相談には何を用意すればよいですか?
直近3期の決算書と、商品別・顧客別の売上データ(CSV可)をご用意ください。お問い合わせフォームからご連絡ください。料金・契約・業務フローはこちらです。
まとめ
- 利益率改善は粗利・固定費・低採算の3アプローチに分けて考える
- 最初の仕事は見える化。商品別・顧客別の粗利を月次で持つ
- 固定費は投資性と惰性を色分けし、惰性から削る
- 低採算は「やめる」前に「条件を直す」交渉材料にする
- 90日サイクル+3指標の定点観測で改善を仕組みにする
当事務所(札幌市)は、採算の見える化から値決め・撤退の意思決定支援まで、税務顧問とあわせて伴走しています。料金・契約・業務フローをご確認のうえお問い合わせください。
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※本記事は2026年6月時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。
