「売上はあるのに営業利益が残らない」。この悩みの答えは、根性の経費削減ではなく構造の理解にあります。結論から言うと、営業利益=売上総利益(粗利)−販管費というシンプルな式に対し、打ち手は①粗利率を上げる、②販管費の構造を見直す、③低採算の仕事をやめる、④価格を直す、の4つしかありません。やみくもに全部やるのではなく、自社の決算書がどのタイプかを見極めてから効く順に打つ——この記事では、札幌の税理士・公認会計士事務所が、4つの打ち手の中身と取り組む順番を解説します。
まず構造を見る:あなたの会社はどのタイプか
営業利益が薄い原因は2系統に分かれます。粗利率が低いタイプ(売っても残らない:値決め・原価の問題)と、販管費が重いタイプ(粗利はあるのに固定費が食う:体制・経費の問題)です。直近3期の決算書で、粗利率と販管費率(販管費÷売上)の推移を同業の感覚と比べれば、自社のタイプはほぼ判定できます。タイプを間違えた努力——粗利問題なのに経費削減だけ頑張る等——が、「頑張っているのに利益が出ない」の正体です。
4つの打ち手マップ

打ち手①粗利率を上げる:仕入・原価の見直し(原価率改善の記事)と商品構成の組み替え(ABC分析で高粗利品へ誘導)。打ち手②販管費の構造見直し:科目別に「売上に効く費用か、惰性の費用か」を仕分けます。広告・教育など投資性の費用を一律カットすると売上ごと失うため、削るのは惰性(使っていないサブスク・形骸化した会費・過剰な事務コスト)です。事務コストはクラウド×AI(業務効率化の記事)で構造的に下げられます。打ち手③低採算をやめる:赤字案件・赤字顧客の特定と条件変更。打ち手④価格を直す:最も効果が大きく、最も先送りされる打ち手です(値決めの記事で詳述)。
モデルケース:1%の改善が利益を何倍にするか
説明用のモデルケースです。売上1億円・粗利率30%(粗利3,000万円)・販管費2,700万円・営業利益300万円の会社を考えます。ここで粗利率が1ポイント上がると(30%→31%)、粗利は100万円増え、営業利益は300万円→400万円と33%増になります。値上げ・仕入改善・商品構成の組み替えのどれでも、「率を1ポイント」動かす施策は利益への効きが極めて大きい——これが営業利益率の低い会社ほど価格と粗利から手を付けるべき理由です。一方、販管費の削減で同じ100万円を出すには、2,700万円の費用から約3.7%を恒久的に削る必要があり、難易度は一般に高くなります。※数値は構造説明のためのモデルケースです。
取り組む順番と月次での追い方
推奨の順番は、(1)タイプ診断と低採算の特定(数字の整理)→(2)価格・商品構成(粗利側)→(3)惰性費用の整理と事務の効率化(販管費側)→(4)月次でのモニタリングです。月次では粗利率・販管費率・営業利益の3つを定点観測し(管理会計の記事の5点セットに含まれます)、打ち手ごとの効果を前月比で確認します。数字の整理とタイプ診断はご自身でも可能ですが、商品別・顧客別の採算の見える化と、値上げの設計(どの商品を・いくら・どう伝えるか)は専門家と組むと精度が上がる領域です。当事務所は税務顧問にとどまらず、決算データからの採算分析(AIで高速化)と打ち手の優先順位づけまで実務で伴走しています。
当事務所での実例
実例:卸売業の法人(営業利益率1%未満)で、タイプ診断から着手しました。商品別・得意先別の採算分析の下準備はAI(Claude)が担当し、診断と打ち手の設計は有資格者が実施。「粗利率低下タイプ」と判定し、赤字得意先2件の条件改定と低粗利商品の絞り込みを先行。販管費には手を付けないまま、営業利益率が改善しました。順番を間違えなければ、利益は意外なほど素直に反応します。
自社のタイプ診断から始めたい方は、お問い合わせからご相談ください。状況を伺ったうえで、対応範囲と概算をご提示します。
よくある質問
経費削減から始めるのは間違いですか?
惰性費用の整理は常に有効ですが、粗利率低下タイプの会社が経費削減だけで利益を出そうとすると、投資性費用まで削って売上を失う悪循環に入りがちです。診断が先、が原則です。
役員報酬を下げて利益を出すのはありですか?
銀行対策として一時的に行われることはありますが、構造改善ではありません。むしろ役員報酬は税・社会保険・資金繰りの全体最適で設計すべき項目です(顧問業務の中で設計します)。
営業利益と経常利益はどちらを見るべきですか?
本業の力は営業利益、借入の重さまで含めた実力は経常利益で見ます。金融機関は両方を見ており、営業利益が改善すれば経常利益もついてきます。
相談には何を用意すればよいですか?
直近3期の決算書と、可能なら商品別・顧客別の売上データをご用意ください。お問い合わせフォームからご連絡ください。料金・契約・業務フローはこちらです。
まとめ
- 営業利益=粗利−販管費。打ち手は粗利率・販管費・低採算・価格の4方向だけ
- まず「粗利率低下タイプか販管費過重タイプか」を診断する
- 粗利率1ポイントの改善は、利益への効きが最も大きい
- 販管費は投資性と惰性を仕分けてから削る
- 月次で粗利率・販管費率・営業利益を定点観測する
当事務所(札幌市)は、採算分析・値決め支援・税務顧問を一体で提供しています。料金・契約・業務フローをご確認のうえお問い合わせください。
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※本記事は2026年6月時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。
