舗装工事業の税理士選び|経審・冬の資金繰り・除排雪で確認したい論点

  • URLをコピーしました!

舗装工事業の税理士選びは、工事ごとの原価管理と未成工事支出金、経営事項審査(経審)を意識した決算を説明できるかが分かれ目です。北海道では雪解けから晩秋に工事が集中するため、冬の資金繰りと除排雪の売上の整理も確かめます。顧問料は任せる範囲をそろえて比べます。

執筆:ジェイスタート会計事務所 編集部(札幌の公認会計士・税理士事務所)2026年10月時点の法令に基づき作成

この記事の結論

舗装工事業の会計は、工事別の原価計算・期をまたぐ工事の処理・経審への対応が中心です。面談でこの3点と冬の資金繰りへの答え方を確かめて、税理士を選びます。

  • 工事ごとに原価を集計し、期末に完成していない工事は未成工事支出金で処理する
  • 公共工事を受注するなら、経審の評点を意識した決算書づくりを相談できるかを確認する
  • 除排雪の委託業務は建設工事と分けて管理し、契約の形に合わせて売上の時期を決める
  • 一人親方などの外注先の登録状況を確認し、2026年10月1日〜2028年9月30日は控除70%の経過措置を反映する
  • 顧問料は年商・記帳代行の有無・関与の頻度で変わる。範囲をそろえて比べる
目次

舗装工事業の会計・税務はどこが特殊?

舗装工事は、1件ごとに原価を集計する個別原価計算が基本です。道内では工期が雪解け後の4月から11月に集中しやすく、冬は売上が細る一方で、除排雪の業務に回る会社も少なくありません。売上の季節変動が大きく、公共工事の比率も高いことが多いため、業種の事情を理解した税理士かどうかで顧問契約の価値が変わります。

論点舗装工事業での具体例税理士に確認したいこと
工事原価の集計合材・砕石などの材料費、重機の燃料費、外注費、作業員の労務費を現場ごとに集める工事台帳と会計帳簿を毎月突き合わせる仕組みを作れるか
期をまたぐ工事期末に施工中の現場の原価は未成工事支出金、受け取った前金は未成工事受入金で処理する完成・引渡しの時期の判断と、期末の現場の洗い出し方
売上の計上時期完成・引渡しの時期の判断ひとつで、期の利益が動くことがある引渡しの証拠(完成検査・引渡書など)をどう残すか
経審への対応公共工事の入札に参加するため、決算書を経審の評点も意識して組む建設業の決算書の様式への組み替えと、行政書士との分担
冬の売上と資金繰り工事が止まる冬に、除排雪の売上と固定費の支払いが重なる月次の資金繰り表と融資の段取りまで相談できるか
舗装工事業の会計・税務の主な論点(2026年10月時点)

期をまたぐ工事は、完成して引き渡した時点で売上を計上する方法(工事完成基準)が基本で、一定の長期大規模工事などでは工事進行基準を使います。どちらで処理するかを含め、期末の現場ごとの進み具合を税理士と確認しておくと、決算の数字が安定します。

経審を受ける会社は決算書のどこに注意する?

公共工事を受注する会社は、経営事項審査(経審。公共工事の入札参加に必要な審査)を受けます。経審では、完成工事高、自己資本や利益の額、財務の健全性などが点数化されるため、同じ利益額でも決算書の組み方によって評点に差が出る場面があります。

  • 完成工事高を、舗装工事・土木一式工事など許可を受けた業種ごとに正しく振り分けているか
  • 除排雪など建設工事に当たらない売上を、兼業事業の売上として区分しているか
  • 工事原価と販売費・一般管理費の区分(現場の人件費と事務の人件費など)が実態に合っているか
  • 決算後の決算変更届や経審の申請に合わせて、決算書の完成時期を逆算しているか

除排雪の委託業務は、一般に建設業法上の建設工事には当たらないため、経審の完成工事高には含まれません。売上全体は同じでも、工事と除排雪の区分によって評点の基礎となる数字が変わるため、会計の段階から分けて記帳しておきます。

評点のための「事実と違う処理」は逆効果

経審の点数を意識するのは、正しい会計処理の範囲で区分や科目を正確にすることです。売上の前倒しや原価の付け替えなど事実と異なる処理は、税務上の問題になるうえ、虚偽の申請として許可にも影響しかねません。

決算変更届や経審の申請手続きは、行政書士が担うことが多い業務です。税理士と行政書士の分担や、決算データの受け渡しの時期を先に決めておくと、毎年の手続きが滞りません。業界の動きは「舗装工事業の経営に役立つ最新情報」でも整理しています。

冬の資金繰りと除排雪の売上はどう整理する?

4月から11月に工事が集中する会社では、春の立ち上がりに材料費や燃料費が先に出ていき、工事代金の入金は後からになります。冬は工事の売上が細る一方で、人件費や重機のリース料などの固定費は続くため、年間で利益が出ていても資金が不足する月が出やすくなります。

除排雪の委託業務は、契約に固定の部分と、出動の回数や稼働時間に応じて決まる部分がある場合、それぞれ金額が確定した時期に売上を計上します。シーズンが決算日をまたぐときは、決算日までに確定した出来高を漏れなく計上するのがポイントです。除雪用の重機の燃料費や修理費は、工事の原価と区分して集計すると、事業ごとの採算もつかめます。

北海道の舗装会社は「春の立ち上がり資金」を早めに手当てする

冬の閑散期から春の工事開始までは、固定費の支払いと材料・燃料の先払いが重なります。月次の資金繰り表を12か月分作り、資金が最も薄くなる月を金融機関と共有しておくと、運転資金の相談がスムーズです。

札幌市の融資制度(マル札資金・特別資金)は、2026年10月1日以降に実行される分から利率が0.3%上がっています。借入の時期と利率は、実行時点の条件で確認してください。

決算月によっては、法人税の中間納付や消費税の納付が売上の少ない冬に重なります。納税の時期を資金繰り表に入れ、必要なら決算月の見直しも検討します。資金調達の選択肢は「融資・資金調達ガイド」で整理しています。

重機・プラントと外注費で見られるポイントは?

舗装工事業は、フィニッシャーやローラー、ダンプなどの重機を多く持つ業種です。取得価額によって処理が変わるため、購入や更新の前に税務上の扱いを確認しておきます。

項目内容(2026年10月時点)
少額減価償却資産の特例青色申告の中小企業者等は、2026年4月1日以後に取得した40万円未満の資産を年300万円まで一括で経費にできる(2029年3月31日まで。従業員400人超の法人は対象外)
中小企業経営強化税制計画の認定などの要件を満たす設備は、即時償却か税額控除10%(資本金3,000万円超は7%)を選べる。2027年3月31日までの取得・事業供用が対象
償却資産の申告重機や舗装用の機械は、毎年1月31日までに市町村へ申告する。ナンバーの付いた大型特殊自動車も、自動車税ではなく償却資産の対象。ダンプなど自動車税がかかる車両は申告に含めない
償却資産の免税点課税標準額の合計が150万円未満なら課税されない。令和9年度分(2027年1月1日の賦課期日)から180万円未満に引き上げ
重機・設備に関する主な税務(札幌市の償却資産は市の案内も確認)

外注費も、税務調査で見られやすい費目です。一人親方への支払いが、指揮監督の実態や道具の負担の仕方から給与と判断されると、源泉徴収漏れになるうえ、消費税の仕入税額控除もできなくなります。契約書・請求書・作業の実態をそろえて、外注として説明できる状態にしておきます。

インボイス(適格請求書)の登録をしていない外注先への支払いは、仕入税額控除が一部に限られます。2026年10月1日〜2028年9月30日は消費税相当額の70%、2028年10月1日〜2030年9月30日は50%までの控除です。簡易課税を選ぶ場合、建設業は原則として第3種(みなし仕入率70%)ですが、元請から材料の無償支給を受けて行う工事は第4種(60%)になります。雇用保険料率は、2026年4月1日〜2027年3月31日の建設の事業で16.5/1000です。

舗装工事業に強い税理士を見分ける質問は?

面談では、次のような質問をすると経験値の目安になります。即答できるか、根拠を示しながら説明できるかを見てください。

  • 工事台帳と試算表の突合まで、毎月見てもらえますか
  • 経審の評点を意識した決算の組み方を、正しい処理の範囲で提案できますか
  • 除排雪業務の売上の計上時期と、工事との区分はどう整理しますか
  • 冬季の資金繰り表の作成や、融資の相談まで対応できますか
  • 一人親方への外注費とインボイスの経過措置を、どう管理すればよいですか
  • 決算変更届や経審の手続きを担う行政書士と、どう連携しますか

除雪との兼業、冬期の出来高の計上、燃料費や重機の処理など、地元ならではの論点に慣れているかどうかも判断材料の一つです。税理士に任せる範囲(記帳、工事台帳との突合、申告、給与計算、資金繰り)を先に決めておくと、質問の答えを比べやすくなります。

顧問料はどう決まる?任せる範囲と見積りの比べ方

顧問料は、年商の規模、記帳代行を頼むかどうか、訪問・面談の頻度、月次の関与の深さで変わります。例えば年商8,000万円規模で、記帳は自社で行い税理士は月次チェックと決算を担う形と、記帳から丸ごと任せる形とでは、必要な作業量が大きく違います。

顧問料が決まる要素見積りで確認すること
年商と現場の数工事台帳の件数、仕訳の量
記帳の分担自社入力のチェックか、記帳代行か
月次の関与工事台帳との突合、未成工事の確認まで含むか
面談の頻度と方法毎月か、四半期ごとか。訪問かオンラインか
決算と経審への対応経審を意識した決算の相談、行政書士へのデータ提供を含むか
給与・年末調整作業員の給与計算や年末調整まで任せるか
顧問料が決まる主な要素

大切なのは金額の安さよりも、工事原価の管理や経審への対応まで含めて「何をやってもらえるか」です。料金体系を公開している事務所なら、サービスの範囲と価格の対応を事前に比べられます。当事務所の料金は「料金・契約・業務フロー」で公開しています。なお、当事務所は継続的な顧問契約での支援を基本としており、決算・申告だけのスポット依頼はお受けしていません。

工事と除排雪の区分や経審を意識した決算の組み方は、会社の受注構成で変わります。初回無料で、決算書と工事台帳から確認できます。

無料で相談する

税理士を切り替えるならいつ?引継ぎの準備

税理士の変更は、決算直前の時期を避け、決算が終わった直後か、工事が落ち着く冬場に動くとスムーズです。経審を受けている会社は、審査のスケジュールから逆算し、決算の組み方を事前に相談できる時期に切り替えるのが理想です。

  • 直近2〜3期の決算書と法人税・消費税の申告書
  • 工事台帳(期末に施工中の現場の原価と入金状況を含む)
  • 固定資産台帳と償却資産の申告書の控え
  • 直近の経審の結果通知書と、決算変更届の控え
  • 外注先の一覧(インボイスの登録の有無)と、除排雪の契約書

これらがそろっていれば、引継ぎで大きな支障は出にくくなります。迷ったら、まず今の悩みを整理し、セカンドオピニオンを求めるところから始めても構いません。

よくある質問

工事完成基準と工事進行基準は、どちらを使えばよいですか?

一定の長期大規模工事は工事進行基準で計上する必要があり、それ以外の期をまたぐ工事は、工事完成基準か工事進行基準を選べます。中小の舗装会社では、完成・引渡し時に計上する工事完成基準で処理するのが一般的です。一度選んだ方法は、継続して適用します。

除雪のために買った重機は、その年の経費になりますか?

重機は通常、耐用年数に応じて減価償却します。取得価額が40万円未満なら、青色申告の中小企業者等は少額減価償却資産の特例で一括して経費にできる場合があります(2026年4月1日以後の取得、年300万円まで)。舗装工事と除雪の両方に使う重機は、事業ごとの採算をつかむために、使用の実態に応じて費用を分けて管理すると便利です。

一人親方への外注費が給与と判断されると、どうなりますか?

給与として源泉徴収をしていなかった分の所得税を納めることになり、消費税の仕入税額控除もできなくなります。指揮監督の有無、材料や道具を誰が負担するか、報酬の決め方などの実態で判断されるため、契約書と作業の実態をそろえておくことが大切です。

経審の点数を上げるために、決算を調整してもよいですか?

事実と異なる処理はできません。正しい会計処理の範囲で、完成工事高の業種区分や原価と販管費の区分を正確にすることが、評点を適正にする基本です。どこまでが正しい処理の範囲かは、決算前に税理士へ確認してください。

まとめ

舗装工事業の経理は、個別原価計算と未成工事支出金、経審を意識した決算、冬の資金繰りと除排雪の売上の整理が特殊です。税理士は、工事台帳との突合や経審・除排雪の論点を面談で質問して答え方で選び、顧問料は任せる範囲をそろえて比べましょう。切り替えは決算直後か冬の閑散期が動きやすい時期です。

札幌の公認会計士・税理士事務所

舗装工事業の会計・税務のご相談は、ジェイスタート会計事務所へ

  • 初回相談は無料(オンライン対応可)
  • フォーム・LINEは24時間受付、翌営業日までにご返信
  • その場でご契約を迫ることはありません

対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り

出典・参考(公的機関)

本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。

更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次